ニーハスを出発し、数時間。
 ラキオススピリット隊は、ソーン・リーム中立自治区の入り口の街であるソスラスを通過していた。

 不思議と、ここまでの行程でエターナル達の妨害はない。配下であるミニオンすら一人も来ていないのは不気味であった。

「時深さん。その、永遠神剣……『再生』でしたっけ。そいつの場所は?」
「テムオリン達が隠しているのか、未だ正確な位置はわかりません。しかし、大体の当たりは付いています。……この世界が戦場となることは、随分前から予見していたので」

 時深が事前に調査していたらしい。
 事前、というのは友希達の時間感覚においては遠い昔の事だった。

「しかし、ここまでなんの音沙汰もないのは……皆さん、止まってください!」

 時深が手を振り上げ、鋭い声を上げる。
 後ろに続いていたスピリット達は、即座に停止し、それぞれ警戒の陣形を取った。

 じっ、と時深が前方の虚空を睨みつける。
 友希にも、また、隣に立つ悠人やアセリアにもなんの予兆も感じ取れないが、時深の『眼』にはまた違った光景が映っていた。

 そのまま警戒を続けること数十秒。空間から滲み出るように、二人の人影が現れた。

 もう、この登場にも慣れてきた。通常、この世界のマナ濃度ではエターナルはここまで道理を無視した行為はできないが、タキオスの能力である空間操作によって、ロウ・エターナル達は神出鬼没な行動を可能にしている。

「こんにちは、時深さん。新米エターナルの二人。そして、身の程知らずなラキオスの皆さん。ここはようこそ、と言っておきましょう」

 相変わらず、声だけは可愛らしい幼女のそれだが、テムオリンの言葉に秘められた悪意は隠しきれていない。

「テムオリン……引き連れている配下は一人だけですか? 些か舐めていませんか」
「あら、これは余裕、と言うのですわ。時深さんはともかく、その他の……それも、エターナルですらない者達など、頭数に入るのですか?」
「ええ、勿論。この場に、エターナルが二人しかいないというのであれば、問題なく倒せますよ」

 時深の言葉は、決して強がりや誇張などではない。
 なりたてとはいえエターナルが二人と、レゾナンスの魔法のかかったスピリット隊の者達は、充分に戦力になる。

 自分と合わせて戦えば、テムオリンとタキオスという、ロウでも屈指の実力者と言えど殲滅できると、時深は確信していた。

「あらあら、時深さんに断言されては敵いませんわね」
「……ここで試してみますか?」

 時深が、背後の全員に神剣通話で開戦の準備を促す。
 タキオスの転移は、戦闘中に自在にできるほど便利なものではない。今、一気呵成に攻め込めば、勝てる可能性は高い。

「そうですね、その前に」

 パチン、とテムオリンは指を鳴らす。
 その動作に全員が警戒を露わにするが、しばらく待ってもなにも起こらない。

 ……いや、

 目の前の相手にあまりに意識を集中していたので、すぐには気付かなかったが、ふと友希は視界の端に入ってきた『それ』に思わず叫び声を上げた。

「な、なんだ、あれ……!?」

 遠くの空。位置的には、恐らくソーン・リームの最奥の都市であるキハノレの更に向こう。
 エーテル変換施設を思わせる光の柱が立ち上っていた。

 違うのはその規模。遠近感が狂うほど巨大で、そしてなにより不吉なイメージを抱かせるものだった。

 直感的に、あれがファンタズマゴリア中のマナを貪欲に吸いとっている、その結果であると悟る。かつて、イースペリアの首都に悲劇をもたらしたマナ消失。あれと同質の……

「あれは……『再生』!? しかも、この感触!」
「ええ。この世界を滅ぼすに足るマナが集まるまで……そう、後一時間弱、といったところでしょうか。ここまで隠し通すのは、少々苦労しましたわ」

 ざわっ、とスピリット隊の面々に動揺が走る。
 残り一時間。たったそれだけの時間で、ファンタズマゴリアが消滅する。

 あまりに現実感のないテムオリンの言葉だが、あの光の柱は確かにそうと理解せざるを得ない、圧倒的な力の奔流だった。誇張でも何でもなく、ファンタズマゴリア中のマナがあそこに集まりつつある。

「どうやってここまで早く……!」

 時深の判断では、あと一週間程度は時間があるはずだった。これまで、似たような手法でいくつもの世界を滅ぼしてきたテムオリンの手口はよく知っている。

「あら、そうおかしな事ではないですわ。少々『急いだ』だけ。私直々に調整すれば、この程度は造作もありません」

 もしかしたら、ありえたかもしれない分岐。
 瞬が『世界』に取り込まれ、ロウ・エターナルの手駒となった未来では、『再生』に集ったマナを食わせがてら、マナ消失までの調整を彼が務めるはずだった。
 第二位の神剣持ちとは言え、悠人と同じくなりたての彼では、当然テムオリンよりその調整に時間が掛かる。

 ……そして、テムオリンは、これまでもそういった『ついで』の作業を毎回行ってきた。爆発寸前にまで溜め込まれるマナは、その世界における自陣営の強化にうってつけで、毎度邪魔してくるカオスとの戦いにおいては有用だったのだ。

 瞬がいなくとも、『再生』に集ったマナによってテムオリン自身なり、配下なりを強化することもできたし、普段ならばそうするが、今回はタキオスの提案……あるいは、ワガママを聞いた格好だ。

「それでは。私はこれで」
「!? 待ちなさ――」

 時深が止めようとするが、その直前、テムオリンが飛ばしたいくつもの永遠神剣によって進路を防がれる。
 そんな牽制の攻撃でダメージなどは喰らわないが、テムオリンはまんまと逃げおおせた。タキオスによって、恐らくは『再生』のある場所まで飛ばされたのだろう。

 臍を噛む時深に、タキオスはゆっくりと『無我』を引き抜きながら告げた。

「さて、どうする? 時深を含むエターナル三人に、ラキオスの者ら。全員でかかられれば、流石の俺とて勝ち目はないだろうが……しかし、すぐにやられるほど柔ではないぞ」

 ギリ、と友希が歯ぎしりをする。
 選択肢など、あってないようなものだ。ここでタキオスを全員で打ち倒しては、マナ消失に間に合わない。

 となると、何人かでタキオスの相手をし、それ以外の面子で止めに行く他ないが、そもそもあの『再生』のある場所まで短時間で駆け抜けられるのはエターナルの三人だけだ。

 要は、こいつは友希に対し、決着を付けようと言っている。

「……時深さん。悠人、アセリア。行ってくれ」
「友希……でも! 俺らの誰かが残って……」

 悠人が反論しかけるが、それは悪手である。
 まだ、敵はテムオリンだけでなく、三人もの配下のエターナルがいるのだ。たった三人に任せるのが心苦しいくらいである。

「……行きましょう、悠人さん。テムオリンの思惑通りでしょうが、それしか手はありません」
「ユート。みんなを信じて」

 時深とアセリアに説得され、悠人は苦悩しつつも、しっかりと頷いた。

「ではな、聖賢者。勝っても負けても、この世界で会うことはもうなかろう。いずれ、別の戦場で会おう」
「俺は、アンタなんか二度と会いたくないけどな」
「つれないことだ」

 肩をすくめるタキオスの横を、三人が駆け抜ける。タキオスは、それを止めようともしなかった。

「さて……」

 そうして、残ったスピリット隊。その先頭にいる友希に、タキオスは視線を向けた。

「わざわざテムオリン様に願い出て、この戦場をしつらえていただいたのだ。俺を退屈させてくれるなよ?」
「……お前なんか、楽しませるつもりはないけど」

 友希は『束ね』の切っ先をタキオスに向け、無言で魔法陣を展開する。
 幾度と無く積み重ねてきた訓練。ゼフィを失ってから今日まで、友希が剣を振ってきたのは、この男を打倒するためだった。

 ラキオスのみんなと過ごすうちに、色々と戦う理由は増えていったが……やはり、今でも一番大きな理由はそれだ。

 その全てが、今結実する。

「みんな。力を貸してくれ。タキオスは、ここで倒す!」

 ぉぉ! と、力強い声に後押しされ。
 友希は、魔法を発動させ、タキオスに斬りかかった。
































 僅かな時間で、一気に『再生』までの距離を縮めた悠人は、背後で爆発するマナのぶつかり合いに気付いた。

「……! 友希達が、戦い始めたみたいだ」
「ん。みんな強い」

 アセリアも同意して、感想を漏らす。
 確かに、感じ取れる力はタキオスにもそう引けを取っていない。自身がエターナルとなり、その絶対的な力を思い知った悠人にとって、第五位以下の神剣使いだけでエターナルに抗しきれる事自体、ちょっとした驚きだった。
 間違いなく信じてはいたが、それでも一抹の不安は拭いきれなかったのだ。

「悠人さん。後ろを気にしている暇はありませんよ。彼らの奮闘に応えるためにも、今は急がないと」
「ああ! わかってる!」

 感じ取れる気配からして、未だスピリット隊に犠牲者は出ていない。それがいつまでも続くかどうか、悠人にはわからないが、それを理由に足を止めることは彼らへの最大の裏切りだ。
 自分たちにできることは、一刻も早く『再生』の暴走を止めること。それさえできれば、すぐさま取って返して救援に向かえば良い。

 意識的に、タキオスと友希達の戦いから意識を逸らして、悠人は真っ直ぐ前を見据えた。そもそもの話、

「……悠人さん、わかっているとは思いますが」
「ああ。いるな」

 悠人達は悠人達で、他の心配をしていられるほど余裕のある状況ではない。

 『再生』へと至る道。その途中に、三人のエターナルと多数のミニオンの気配がある。エターナルはテムオリンの配下、メダリオ、ントゥシトラ、ミトセマール。いずれも持っているのは第三位の神剣だが、第二位を持つとはいえなりたての悠人にとってはどれも難敵だ。
 有利な点と言えば、悠人とアセリアはファンタズマゴリアで戦い続けてきたため、この世界のマナとの親和性が高いこと。

「……申し訳ありませんが、あの三人は悠人さんたちに任せてもいいでしょうか」

 ここにあの三人がいるということは、『再生』の元にはテムオリンが一人。
 数においてはそちらのほうが少ないが、どちらがより強敵かは微妙な所。それならば、テムオリンの手の内を知り、そして『再生』を止める手筈を熟知している時深がそちらに向かったほうが良い。

 そう判断した根拠を話す時間はないが、悠人は時深を信頼して強く頷いてくれた。

「わかった。時深が言うんだったら、それが一番いいんだろ?」
「ええ。必ず、一人ずつではなくタッグで戦ってください。あの三人はテムオリンの配下、という繋がりはあるものの、仲間意識は希薄です。突け込む隙は必ずあるはずです」
「わかった。ん、ユートのことは任せて」
「おいおい、アセリア。なんだよそれ」

 アセリアのどこか気の抜けた返事に、悠人は苦笑する。

 いいことだ、と時深は思う。突然強い力を得たというのに、二人ともその力に呑まれてはいない。新人エターナルに行ういくつかの訓戒は、悠人とアセリアには不要のようだ。

 この世界の戦争はロウ・エターナルに仕組まれたもので、いくつもの悲劇があったが……それを戦い抜いてきた者達にとっては確かな糧となっている。
 それが、テムオリン達の思惑を崩す鍵となる。あの連中への意趣返しとしては最高だ。

「お願いします。……接敵しますよ!」

 ロウ・エターナルの三人を先頭に、バリケードのように控えているミニオンの群れ。
 急激に接近してくる悠人達に対し、宙に浮く巨大な目玉が王冠を被った異形のエターナル、ントゥシトラが吠えた。

「グル……シュアァァアァァァァァァ!」

 その咆哮とともに火焔の津波が襲いかかってきた。
 レッドスピリットの魔法とは比較にならない熱量の攻撃。この一撃だけで、都市を一つ丸ごと消し炭にして余りある威力だった。

「舐め、るなあっ!」

 その攻撃に対し、悠人は真正面から突貫する。とても避けきれる範囲ではないが、そんなに広げた攻撃では今の悠人に焦げ目を付けることすらできはしない。
 スピリットなら一瞬のうちに蒸発する炎に対し、オーラフォトンの盾を前面に展開して力任せに押し通る。

 炎を突き抜ける頃には、敵エターナルは目と鼻の先だ。

「時深、行け!」
「わかりました!」

 そのまま、悠人とアセリアは三人と交戦するべく突撃し、時深は脇をすり抜けるため僅かに針路を変え、時間ごと加速することで一気に突破を図る。

「行かせませんよ」

 時深の進撃を阻むべく、二刀を構えたエターナル、メダリオが立ち塞がる。

「生憎と、貴方と遊んでいる暇はありません!」

 しかし、長いスパンでの計略ならばともかく、数秒程度の未来であれば時深の予知を上回るのはエターナルでも困難だ。
 メダリオの介入を読んでいた時深は、彼が動くと同時に符を投げ、彼の動きを阻害する。

 勿論、エターナルに対しその程度の妨害は一秒も稼げないが、

「トキミ、頼んだ!」

 それだけの時間があれば、アセリアが間に合う。
 ウイングハイロゥを広げ、一気に時深とメダリオの間に割って入ったアセリアが、永遠神剣『永遠』を振るってメダリオを押し留めた。

「ちっ、なにやってんだ。ほら、止まりなぁ!」

 最後の一人、目隠しをした美女のエターナル、ミトセマールがその鞭型神剣を振って時深に攻撃を仕掛ける。
 一般人が振るっても、鞭の先端は音速を超える。いわんや、エターナルが振るった鞭の軌道は、同じエターナルでも見切るのは不可能に近い。

「甘い」

 そう。それこそ、未来を見ることでもできなければ避けることは出来ない。
 時深は軽く横にステップするだけで、ミトセマールの鞭から逃れてみせた。

「お前の相手は俺だ!」

 そして、追撃は悠人が防ぐ。

「グルル、アア!」

 完全にエターナルの三人の防衛線を突破した時深を、最後はントゥシトラが止めようと火炎弾を幾つも放つが、時深はそれも避けていく。弾幕と呼べる程の数に数発は躱しきれずに食らうが、それだけで痛手を負うほど時深の防御力は脆くはない。
 むしろ、見境なしの攻撃に、近くにいたミニオン達が巻き込まれて倒れていった。

 時深がある程度の距離を稼ぐのを見て、悠人とアセリアは戦いを仕切りなおし、時深への追撃を防ぐようにロウ・エターナルが待ち構えていた、その後ろに陣取る。
 幸いにして、ントゥシトラの攻撃のおかげでミニオンの数が激減したため、背後からの攻撃はさほど警戒する必要はない。

 なるほど、連携がなっていないという時深の話は事実だった。

「時深を追いかけたいなら、まず俺達を倒してからにしろ」
「行かせるつもりはないけど」

 並んで剣を構える悠人とアセリアに、ちっ、ミトセマールが舌打ちする。隣のメダリオは嘆息しているが、内に秘めた怒気は隠しきれていない。

「あぁ、そうかい。そんなに悲鳴を上げたいのかい。なら、お望み通り切り刻んでやるよ」
「なるほど。殺せばいい、とは単純でわかりやすいですね。悪いですが、死んでもらいます」

 ントゥシトラも、まんまと時深に行かれたことに怒っているのか、低い唸り声のようなものを上げている。

 まったく、勘弁して欲しいと悠人は思う。
 一人だけでも手に余るエターナルが三人。自分一人だけなら、決死の覚悟で時間稼ぎに徹するしかないところだ。

 しかし、今は隣にアセリアがいる。彼女と二人なら、どんな強敵だろうと勝てるという確信があった。

「……やるか、アセリア」
「うん」

 短くも力強い返事。
 それに背中を押され、悠人は駆け出した。



































 二ヶ所での戦闘の様子を感じ取りながら、時深は更に速度を上げた。

 時間を操ることのできる時深の最高速は、この世界では比肩するものがいない。瞬間移動とはいかないが、邪魔の入らない一騎駆けならば、ごく短い時間で『再生』にまで辿り着くことができる。

 それなりに消耗したが、他の敵全てを仲間に任せられた今の状況ならこういった荒業も可能だった。

 時深の敵はただ一人。
 今にも暴走を始めかねない膨大なマナを溜め込んだ『再生』。その前に立つテムオリンだけだ。

 恐らく、ロウ・エターナルが作り上げたと思しき遺跡の中心部。許容量限界までマナを吸収し、巨大に膨張した『再生』を背後に、退屈そうに佇んでいたテムオリンが、時深を見て目を細める。

「あら、時深さんお一人ですの? あれだけ仲間だなんだのと言っておきながら、やはり他の者は力不足でしたか」
「戯れ言を」

 軽い挑発を、時深は一言で切って捨てた。

「そうでしょうか? 新米のエターナル二人は元より……数だけを集めたあのような雑魚でタキオスの相手をさせるなど、正気の沙汰とは思えませんわ。まあ、捨て駒としては丁度良いでしょうが」
「捨て駒などではありません。十二分に勝算があると、そう判断してのことです」
「そうですか……やれやれ、タキオスも妙に評価しておりましたし、どうにも妙なことになっていますわね。まあ、すぐに決着を付けて、こちらに来るでしょうが」

 タキオスが勝利すれば、すぐさまテムオリンの援護に駆けつけるだろう。流石の時深も、一人でテムオリンとタキオスを同時に相手にしては勝ち目は一分もない。
 ……そんなことは百も承知であの場を友希達に任せてきた。他に選択肢がなかったことも事実だが、テムオリンが考えているほど時深は悲観していない。

「すぐに、と言いつつ、まだここにタキオスがいない時点で、貴方の言っていることは間違っているとは思いませんか?」
「………………」

 時深は異例の速度でここまで辿り着いたが、テムオリンの言葉通りの実力差があればとっくにタキオスは友希達を蹴散らしているはずだ。
 なのに、未だ彼がやって来る気配はない。

 『再生』に集まる膨大なマナの影響で感知し難いが、友希らが善戦していることは間違いなかった。

「友希さんを、大したことのないイレギュラーと放置したのが貴方の敗因ですよ」
「……彼のせいで『世界』を手に入れ損ねたのは誤算でしたが、敗因とは……気が早いですわね」

 テムオリンの背後に、永遠神剣が出現する。彼女のコレクションである第四位以下の神剣の群れに、時深は『時詠』と扇子を構えた。
 予知の力を全開にして、時深は全ての剣の射出の向きを観察する。

「まあ、いいでしょう。思えば、時深さんと一対一など、今までなかったことですし」
「……貴方も私も、味方がいましたからね」

 二人のエターナルの戦意が空間に充満していく。常人ならそのまま窒息死しそうな重苦しい空気の中、テムオリンが動いた。

「さあ、楽しみましょう、時深さん。我々にとって、数少ない娯楽ですわよ?」
「生憎、面白いことならいくらでもあります! 世界が続く限り!」

 テムオリンが『秩序』を軽く振ることで、数十本の永遠神剣が一斉に時深に殺到する。
 自身に当たる軌道のものだけを選んで弾き、時深はテムオリンに向けて走りだした。




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