窓から日の光が照っている。
今日もいい天気だ。
まだ眠気でぼんやりした頭でそこまで判断すると僕はのっそりと起きあがった。
隣では人間モードのシルフィがぐーすかと眠っている。
僕が起こさなかったら、このままお昼まで眠り続けるだろう。
とりあえず、洗面所で顔を洗いすっきりする。
そして昨日の残りの食材を使って朝食を作る。
簡単にパンと目玉焼きにサラダ、それからスープだ。
材料が少ないため、今ひとつ作りきれないが、まあいいか。
そして一通りの準備が済んでからシルフィを起こしにかかる。
いつも重労働なんだ、これが。
「…起きろ」
ポカ!!
「にぎゃあ!!!」
第5話「初登校!ライルと愉快な仲間たち」
「うぅ〜。い〜た〜い〜」
「災難だったな」
「自分でしたくせにぃ〜」
「気にするな」
「マスター意地悪だよぉ〜」
涙目でシルフィ(もう小さくなっている)が朝食を食べる。
こいつはこういっているが、これが一番確実な起こし方だ。
すなわち……思いっきり殴る。(少しは手加減するぞ)
いつもは小さくなってて、危ないのでやらないが、たまに大きくなっているとよく使う手だ。
「それはともかく早く食ってくれ、僕は初日から遅刻したくはないからな」
「はいはい……んぐんぐ。ごちそうさま」
「はい、おそまつさま」
そして大急ぎで片付けにはいる。
どりゃぁぁぁぁぁ!!
よしできた!
次に着替え。
………
「おい」
「なに、マスター?」
「お前がここにいると非常に着替えにくいんだが………」
「あぁ、ごめんね」
ちっともごめんそうな感じでない口調でそう言う。
まあ出ていってくれたからよい。
よし、昨日言われたとおり剣を腰に差し、準備完了。
鞄も持ったし、いざ出陣!
「マスター……」
「何だシルフィ?」
「まだ早すぎるよ……」
壁時計を見ると、午前7時。ちなみにSHR開始は8時30分。
「おお、これはうっかり」
「これだからマスターは……」
うるさいやい!
「でも、あれよね、マスターも人並みに緊張するんだ?」
「……どういう意味だよ?」
「そういう意味」
何がうれしいのかにこにこしながらシルフィが言う。
時間が余ったので今はお茶を飲んでいる。
家から持ってきた、ライル君特製紅茶だ。
シルフィのにはたっぷりとミルクが入っている。
「ふう、そろそろ出かけるかな」
紅茶を飲み干すとちょうどいい時間になっていた。
「ん…じゃあ行きましょうかね」
そういってシルフィはいそいそと飛び立った……ってちょっと待て。
「お前も来るつもりか!?」
「当たり前でしょ?なに言ってんの!」
「お前はこの部屋でおとなしくしているんだ!」
「えぇ〜そんなの退屈!絶対やだ!」
「わがまま言うな!」
「………!」
「…………!」
結局折れたのは僕の方であった。
口で言い合ってシルフィに勝てるわけもない。
見事に言いくるめられて付いてくるのを了承してしまった。
勿論姿は消している。
「全く、初日から遅刻寸前なんて……ダメダメね、マスター」
「お前のせいだろうが!」
幸い寮と学園は目と鼻の先だ。何とか間に合う。
校舎に飛び込み………
「しまったぁぁぁ!!」
「どうしたのマスター?」
「クラスがわからん!」
そうなのだ。そういう話は昨日ジュディさんから一言も聞いていない。
「はあ、とりあえず職員室にでも行けば?」
「それもわからん!」
もううろたえるばかりだ。
と、そこに天からの助けが降りてきた。
「ハァハァ……どうにか間に合ったみたい。早く教室に行かないと……」
女生徒が来たのだ。髪の毛を二つに分けて三つ編みにしていて、めがねをかけている。
遅刻しそうで(僕も同じだが)走ってきたらしく、息を切らしている。
まあそこいらはどうでもいい。
この学校の生徒なら職員室の場所くらい知っているだろう。
「ちょっといい?」
「ハァハァ……なんでしょうか?」
「職員室って何処なのかな?」
「え?」
その子は不思議そうに首をかしげる。
「ああ、今日転入してきてね。教室の場所も聞いてないし途方に暮れていたんだ」
やっと納得がいったのか女生徒は口を開いた。
「この廊下をまっすぐ。左側の5つ目の部屋です」
「ありがと……」
最後の「う」を言い終わる前に目の前から女の子は消えていた。
かなり急いでいたらしい。
悪いことをしてしまったかもしれない。
とりあえず教えてもらった部屋も前に行き扉を開けると同時に、始業の鐘が鳴った。
「す、すみません〜」
あいさつをして、職員室に入る。
中にはだいたい10数人の教師らしき人がいた。
「えっと……君は?」
一番近くにいた若い先生が話しかけてきた。
「今日転入することになっている、ライル・フェザードと言います」
「ああ、学園長が連れてきた子だね」
「はい。」
「ちょうど君を待ってたんだ。俺はキース・ロピカーナ。今日から君の担任だ。よろしくな」
その先生の言葉に僕は引っかかる物を感じた。
「あの、ロピカーナって……」
「ああ、俺はジュディ学園長の甥に当たるんだ。つい最近、冒険者をやってた所をスカウトされてここで働くことになってね。まあそれはいいとして、早速君の教室へ行こうか。もう始業の時間だ」
「あ…はい」
そして僕はキース先生の案内で階段を上った。
「……へえ、じゃあライル君はずっと一人暮らしをしてたんだ?」
「…そうなります」
教室に向かう間、ここに来ることになった経緯とかを聞かれた。
(正確には二人だけどね)
僕の隣を飛んでいるシルフィがそっと突っ込む。
「そういえば今日はどうして遅れたんだ?」
う!聞かれたくないことを…
「えっと…その…どうしてでしょう?」
「初日で緊張でもしたか?まあ今日は大目に見るが、明日からは気をつけろ」
「うぅ、はい」
シルフィの方を恨みがましい目で睨む。
シルフィはついっと目をそらした。
「なにやってんだ?」
「な、なんでもないです!」
キース先生は?と言う表情をしていたが、気にしないことにしたらしい、さっさと歩き出した。
そして3階まで上ったところ右に曲がり、廊下を歩く。
「と……ここだ」
キース先生は、「1−B」という表札のある教室の前で止まった。
「じゃあ少しここで待っていろ。俺が呼んだら入ってくるよーに」
「はい」
ガララとドアを開けてキース先生は教室に入った。
「おいお前ら早く座れ」
キース先生が入ってくると同時にごちゃごちゃと雑談していた男子があわてて席に着く。
それにしてもいつも時間に正確なキース先生が今日は珍しく遅かったわね?
「うう、こんな事ならあんなに急がなくてもよかったのに……」
チャイムが鳴るのとほとんど同時に教室に駆け込んできたリムが言う。
「そういうあんたはどうして遅れたのよ?」
「ちょっと昨日新しい占いを試していて…」
リムが恥ずかしそうに弁明する。
この子の占い好きにも困った物だ。
この前なんか「ルナちゃん。グレイ君と付き合ったら?」
とか唐突に言い出すし。
理由を聞いたら「だってすごく相性がいいんだもん」ですって!
まったく、私はあいつのこと大嫌いだっていつも言ってるのに。
「ちょっと静かにしろ」
キース先生が一声かけると教室が一気に静まる。
「今日は転入生を紹介する」
ざわざわと教室が騒ぎ出す。
もしかしてライル?
このクラスになったんだ…
「じゃあ入ってこい」
キース先生に招かれて、入ってきたのは間違いなく昨日再会した幼なじみだった。
「じゃあ入ってこい」
キース先生に呼びかけられて教室に入る。
クラスの人の視線が僕に集まるのが感じられた。
見たところ男女それぞれ20人ずつと言ったところか。
そして教卓の前に立たされる。
「じゃあ自己紹介をしてもらおうか」
「あ…はい」
自己紹介ね…
まあ適当に済ませようか。
「えっと、ライル・フェザードと言います。これからよろしくお願いします」
こんなもんでいいだろ。
「……それだけか?」
「はい」
「ったく…もう少し面白いことを言うと思ったんだがな。まあいい。お前の席は…うんルナの隣が空いてるな」
キース先生の言葉に驚き、その視線をおってみると確かにルナがいた。
こちらに向けて軽く手などを振っている。
「ん?お前はルナと知り合いなのか?」
「ええまあ」
「そうか。じゃあルナのパーティーに登録しておいてやろう。色々教えてやるんだぞルナ」
「はい」
キース先生はルナの返事に満足げにうなずくと、
「じゃあ座れ」
と促した。
「同じクラスになるなんてね」
席に座ると同時にルナが話しかけてきた。
僕の席はルナの左隣。
窓際の一番後ろである。
「ああ。もしかしたらジュディさんが手配してくれたのかもな」
「どっちでもいいじゃない。クラスに知り合いがいるって言うのは安心するでしょ?」
「まぁね」
実際問題かなり心強い。
隣には透明化しているシルフィもいるが、この場合あまり役に立たない。
「そういえば…」
どうしても聞きたいことがあったのだ。
「なに?」
「パーティーって何だ?」
ついさっきキース先生は「ルナのパーティーに登録して置いてやろう」と言っていた。
何のことだろう?
ルナは、ああというふうに手を打って説明し始めた。
「この学校ではね、クラスの中で3人から5人くらいの単位でパーティーを組んでいるの。実技とかそういう授業ではそのパーティーで行動するのよ。パーティー替えは基本的にしないから、来年までよろしく、と言う事ね」
何ともまあ…
思わず頭を抱えそうになった。
これからルナの暴走に巻き込まれることは必至。
生きて1年生を終えれるかどうかも怪しいところだ。
「それから学期の終わりのミッションもそのパーティーで行動するから。残りのメンバーはあとで紹介するからね」
「それでは解散!」
いつの間にかキース先生の話も終わりSHRが終了した。
「ルナその人…」
ルナの前の席に座っている女生徒が僕たちに話しかけてきた。
めがねをかけた三つ編みの…って
「あれ?確か朝の…」
「ああ、会いましたね」
朝職員室の場所を聞いた女の子じゃないか。
「なにライル、リムとも知り合いなの?」
「いや、朝職員室の場所を聞いただけ。リムさんって言うんだ。あのときはどうも」
「いえいえ。それにしても…」
そういってリムさんは僕とルナを交互にじろじろ見る。
「どういう関係なの?ひょっとして…」
「べつに、こいつとは昔同じ村に住んでたってだけ。リムが期待しているような仲じゃないわ」
「そうなの?」
今度はこっちに話を振ってくる。
「そうですよ」
「なんだつまんないの。ルナの昔の恋人だと思ったのに…」
なかなかぶっ飛んだ思考の持ち主らしい。
それともこの年代の女の子はみんなこうなのか?
「あんたねぇ…いい加減私を誰かとくっつけようとしないでくれる?」
「別に想像するくらいいいじゃない」
やれやれ…
隣で口論している二人をとりあえず無視して次の授業を確認する。
次は…魔法学か。
(どんな風なのかな?マスターついていける?)
唐突にシルフィが話しかけてきた。
(さあ?別にまだ初日だし、徐々に慣れていけばいいさ)
(それもそうか)
「おい」
我に返ると目の前に僕より少し背の高い男子が立っていた。
「えっと…なんですか」
「ああ…俺はアレン・クロウシードって言うんだ」
「はあ…で、何の用ですかアレンさん?」
と、そのとき隣でぎゃあぎゃあいっていたルナがこちらに気づいたようだ。
「あら、アレン」
アレンさんは手を挙げて「よう」と返事した。
「ライル、紹介するわ。アレンは私のパーティーの一員よ剣が得意でね、結構強いのよ」
アレンさんはそうだと言わんばかりにうなずいて、
「まあそういうことだ。これからよろしくな。お前も剣を使うんだったら色々教えてやるよ。うち実家が剣術道場なんだ」
そういって手をさしのべてくる。
「こちらこそよろしくお願いします。アレンさん」
そう答えて、手を握り返す。
「おいおい…さん付けはやめろよ、呼び捨てでいい。ついでにそのバカ丁寧な口調も止めろ。対等に付き合おうぜ」
「うん。じゃあよろしくなアレン」
「おう!」
かくしてここに来て初めての友達が出来た。
「そういえばさ…」
「なんだ?」
アレンが聞き返す。
「パーティーのメンバーってこれだけ?」
「いや違うぞ。もう1人……」
「もう1人、今日休んでいるのがいるのよ」
ルナが強引に会話に割り込む。
「風邪だとか何とか…でも明日は休みだし、次に来るときには治してくるでしょ」
「そう…」
ちなみにアレンは、隅の方に行ってすねている。
「どうせ…どうせ俺なんか……」
少し可哀相だ。
そうこうしている内に1時間目が始まる時間になった。
ガラガラ!
「お前らさっさと座れ!」
キース先生が入ってくる。
「では1時間目、魔法学を始める!」
僕の、ヴァルハラ学園初の授業が始まった。
僕は転校してきたとは言っても、実際入学式から1週間そこそこしかたってない。
よって、今まではレクリエーション等で、実質授業が始まったのは一昨日かららしい。
魔法学に至っては、今日がみんな初めてだ。
「今日は最初なので、魔力とは何か?と言うことから説明しよう」
キース先生が、教卓に手をつき、話し始める。
「魔力とは、一般に気とかオーラとか呼ばれる人間の生命力、それが体内で変質した物だ。元の力である気はあまり応用が利かない。せいぜい身体能力の増強、簡単な怪我の治療…と言ったところだ。それに難度も高い。
だが、魔力は違う。ほんの少しの言霊や図形で様々に変化するし、応用範囲もでかい。
しかし、体内の魔力の量や強さについては個人差が激しい。お前らもよくわかっていると思うがな。このくらいで魔力の説明は終わる。何か質問は?」
だが誰も手を挙げなかった。
「と、言うわけで、次は魔法について説明しよう。魔法とは魔力を具体的な力に変える技術のことだ。こうしないと魔力は全くの役立たずだ。
我々人間が使う魔法には大きく分けて5種類ある
まず一つ、真魔法と言われる物だ。
こいつはみんなも知っていると思うが、最も基本的な魔法で、比較的簡単な物が多い。
だがその効果は今ひとつと言ったところだ。
勿論魔力の大きい者が使用すれば話は違ってくるが…」
ちなみにクラスのほとんどの人間は聞き流している。
このくらいのことなら、10歳児でも知っている。
それでも仕方ないといった感じで、キース先生は話を続ける。
「次に黒魔法というのがあるな。これは真魔法を発展させた物で、攻撃に優れている。
同じく白魔法。こいつは逆に、防御、回復と言ったことが得意だ。
黒魔法、白魔法の2つは両方真魔法から派生した物だから、基本的な使い方はよく似ている。
自分の魔力を、詠唱や印を結ぶと言った形で目的に会わせて変化させ、
力となる言葉…まあ一般に魔法の名前だが、を唱えることで発動させる。
熟練すれば、詠唱やなんやは一切省略することが出来るが、その場合威力は本来の6,7割程度だ」
ふと隣を見ると、ルナは完全に寝てしまっている。
全くしょうがないな。
「そして精霊魔法、こいつはさっき話した3つの魔法とは別物だ。自然界に存在する精霊たちを魔力によって操るといった物だ。
これを使うには魔力以上に精霊との相性が問題になってくる。どんなに強い魔力を持っていても、相性が悪ければろくに扱えない。
一般に知られている精霊は全部で6種類いる。
火、水、風、地、光、闇の6つだ。
それぞれの精霊にはその性格上得意不得意がある。表に書くから覚えるように。」
火 |
攻撃が得意な属性だ。そのほとんどが攻撃魔法である。火の精霊は気性が荒いので、結構使いにくい。 |
水 |
防御、回復に優れている。火とは対照的な属性だ。攻撃の場合、圧縮した水や氷を使う事が多い。これは人間との相性はよい方だ。 |
風 |
移動などの補助的な分野を得意としている。だが、強力な雷系の魔法もこの属性なので攻撃力も侮れない。制御が最も難しい属性だ。 |
地 |
すべてを支える大地のイメージ通り、防御、補助に偏った属性だ。攻撃するときは岩を当てたりする。最も扱いやすいが、今ひとつ地味だな。 |
光 |
補助、回復が得意だが、攻撃も結構いけるオールマイティな属性だ。とても強力な魔法がそろっているが、その反面習得がとても難しい。 |
闇 |
火と同じくほとんどが攻撃系の魔法でしめられている。攻撃力ではナンバーワンであるが、人間との相性は最悪。覚えにくさはトップレベル。 |
(ふむ、風の精霊は制御が難しいのか)
そういってシルフィの方を見やる。
(納得だ)
(どういう意味よマスター!?)
(さてね)
(むきー!なんかムカツク!!)
(少し黙ってくれ)
「精霊にはランクがあって、下位精霊、上位精霊、精霊王順で力が強くなる。下位精霊とは、普通の精霊魔法を使うときに操る精霊で、ほとんど自分の意志は持っていない。
それに対して、上位精霊と、精霊王には明確な意志があり、契約をしないと力を借りることは出来ない。ま、契約については次の授業で説明する。
それで、最後に古代語魔法だが…これは数千年前に滅びた文明が使っていたという魔法だ。今でも未知の部分が多いが、今知られている魔法など比べものにならない力を秘めている。真魔法に似通っているが、威力はけた外れだ。
いくつかはこの学園でも教えているが、とても難しいので、あまり使う人はいないな」
そこで授業の終わりを知らせる鐘が鳴る。
「ん?もうこんな時間か…質問がある者は次の授業にするように」
そういってキース先生は教室を出ていく。
やっと最初の授業が終わった。
長々と話していたが、全部知ってることだったな。
授業が終わると同時にルナが話しかける。
かなりだるそうだ。
「全く…私は実践派なのよ…こんな事教えなくても良いのに」
「でもそれじゃあ高位の魔法は扱えないだろ?」
「もう私は独学で、古代語魔法を勉強してるのよ?」
な、なんてヤツだ…
この年で古代語魔法?
宮廷魔術師クラスでも手間取る代物なのに。
「そういえばライル君はどんな魔法が得意なの?」
「俺も聞きたいな」
いつの間にか僕の席にリムさんとアレンが来ていた。
2人とも唐突だなあ。
「そうだな…精霊魔法とかが得意かな?なんか相性がいいみたいで」
「ほう、いいなあ」
「アレンは魔法、ほとんど使えないからね」
「そうなの?」
「昨日やった実践魔法の時間。ファイヤーボール一つ使うのにどれだけ苦労したと思う?」
ルナが意地悪な笑みを浮かべて聞いてくる。
「ルナちゃん、誰でも苦手な者はあるんだから」
それをリムさんがとがめる。
「そうだそうだ!魔法なんか使えなくたって良いんだ!」
半ばやけになってアレンが叫ぶ。
教室の中から笑いが起こる。
なんか良いな…こういうの。
どこか安心できる空気に、ここに来てよかったと、そう思えるのだった。