突如、幻想郷に現れた悪い奴!
 スゴイ力を持っている悪い奴!
 なぜか冥界に来てしまった悪い奴!

 成り行きから、妖夢は悪い奴と戦うことになってしまったのだが、悪い奴を倒したところなんと悪い奴は変身して、スゴイパワーアップを果たしたのだった!

 御免ね頭の悪いあらすじでっ!





「くっ、勝てない、このままでは」

 妖夢は、楼観剣を杖に、なんとか立っている状態。

「まさか、楼観剣、白楼剣でも斬れないやつが居たなんて」
「フハハハハハハーーーーー! その程度で終わりか、白玉楼の庭師っ!」←悪い奴

 頭の悪そうな笑い声に、妖夢は歯噛みする。

(くっ、もっと私に力があれば、こんな奴に庭を荒らさせたりしないのに)

 今や、白玉楼の庭は壊滅状態。
 かつて、幽霊たちの目を楽しませていた美しい景観は見る影もない。

「私は、悔しいっ!」
「その悔しさ、受け取った!」

 ばばーん、と、どこからともなく声が響く!

「りょ、良也さん!?」
「そうだ! とうっ!」

 白玉楼の屋根になぜか立っていた良也は、ジャンプして妖夢のところに降り立つ。お前飛べるだろうという疑問は全力で却下だ。

「良也さん。来てはなりません! こいつは、こんななりをして、とても強い……」
「いや、大丈夫だ。僕にはこの剣がある」

 と、悪い奴を前にして腰が引けまくっている良也は、妖夢に一本の剣を見せた。

「こ、これは……! 白楼剣と対をなす『黒楼剣』じゃありませんかっ! 白玉楼の地下深くに封印されているはずのこれを、なぜ良也さんが!?」
「ふっ、ちょいと五話ほどかけて地下のトラップ群を突破。封印を守る魔獣を三話ほどでボコって、取ってきたのさ。妖夢のために!」
「ありがとうございます。良也さん。この剣が……人の想いを断つこの黒楼剣と、迷いを断つ白楼剣があれば……あの技が出来ますっ!」

 妖夢は白楼剣を、良也は黒楼剣を、それぞれ両手に構える。
 その二本の剣が交差したところから、尋常では考えられない霊力が溢れた!

「な、ナニィ!? 一体、この霊力は」
「受けなさい、悪い奴めっ! これが、魂魄流剣術最終奥義!」
「ああ、見せてやる! 僕と妖夢の合体技!」

 妖夢は奔った。風よりも疾く。良也も走った。百メートル十四秒の健脚を活かしながら。
 微妙に妖夢がスピードを落とし、良也と併走する。

 そして、悪い奴と接触する直前、二人は大きく剣を振りかぶり――

「「断悔剣! 『思却! 滅・縁・斬ァーーーン』!!」」

 悪い奴を一刀――いや、二刀両断とした。

「来世に生まれ変わっても、私たちがくれてやったこの技、忘れないよう」

 そして、幻想郷に平和が戻った。
 ありがとう妖夢。ありがとう良也。君たちの活躍を我々は一生忘れない――――
















「っていう夢を見たんだが」
「一体、良也さんの中で、私はどういう存在なんですか」

 僕が昨日見た夢の内容を語って聞かせると、妖夢はすごく呆れた顔になった。

「大体なんですか、黒楼剣って」
「白があるんだから、黒があってもいいだろう」
「そんな安直な……幽々子様からも言ってあげてください」

 んー? と、興味なさげに胡麻団子を食べていた幽々子が振り返る。……あ、それ僕の分の胡麻団子。

「んぐんぐ……そおねぇ。一つ言わせてもらうなら」
「なんだ。僕の胡麻団子返せよコノヤロウ」
「ごちそうさま。それで、えーとね。なんで良也があの剣のことを知っているの?」

 ……は?

 まさか、本当にあるのか!? 想いを断つ剣『黒楼剣』!
 やっばい! カッチョイイ!

 よしよし、早速僕が手に入れて、妖夢と合体技を―――

 うきうきする僕には、後ろで話している二人の声は聞こえなかった。





「……幽々子様。まさか、本当に?」
「ふふ、どうかしら。まあ、真実はどちらでもいいわよ。面白いし」






 オリジナルスペルカード
 断悔剣『思却滅縁斬』(シコウメツエンザン)

 なんとなく思いついたもの。字面が結構気に入っている。
 別に登場予定はないし、妖夢との合体技なんてぶっちゃけありえません。

 技の設定は、対象の想いと迷いを断ち切り、生者だろうと問答無用で成仏させるとかさせないとか。
 妄想です。



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