大学から帰ってきて、部屋でまったりとインターネットを楽しんでいると、いきなり電話がかかってきた。

「はい? もしもし、爺ちゃん?」
『おお、良也。元気か?』
「元気だけど……」

『突然じゃが、おぬしアルバイトせんか?』
「は?」

















 次は〜麻帆良学園中央駅〜


 は〜、しんどい

 電車を乗り継ぎ数時間、ようやっと目的地へと到着した。

 しっかし、まさか爺ちゃんのいってた人が、あの麻帆良学園の理事長とは、世の中どんな縁があるかわからないね。
 そう思いながら回りをきょろきょろとながめている。 
 やベー、なんかすげー田舎くせーぞ僕。少し恥ずかしいなんておもっていると。


「あの、土樹良也さんでいらっしゃいますか。」 
「あ、はい」
「はじめまして。私、桜咲 刹那と申します。」

 目の前に女子学生の制服を着て竹刀袋を下げた女の子がたっていた。
 見た目てきに中学生くらいかな。

「はい、桜咲さん。土樹です。」
「理事長からお話は伺っておりますので、理事長室までご案内いたします。」

 う〜む、なんとも妖夢を彷彿とさせる雰囲気をまとった子だな。 
 それにどことなくピリピリしている。

「わざわざ、ありがとうございます。」

 桜咲さんに促されて、学園へと続く道をに進む。
 ……うわぁ〜、金かかってそう。学園都市とはよく言ったもんだ。
 西洋建築風町並みが続く中をものめずらしそうに眺めていく僕。
 おっと、観光に着たんじゃなかった。
 お仕事、お仕事、気を取り直して前を歩く桜咲さんに一体どういう事象が起こっているのかを聞く。

 なんでも、一ヶ月くらい前から、原因不明の高熱が続いており、霊視の結果、結構強力な呪詛の類であるとわかったらしい。 、
 しかも陰陽道のものらしく対処しかねているとかで、そこで、なんとかならないかと古い友人である僕の爺ちゃんに連絡したとか

「あ〜、本職の陰陽師にはやっぱりたのめないのか、」
「はい、お嬢様にかけられているのが陰陽道のそれですし、何よりも東の長のお孫さんを狙ったものですから西が絡んでいると見て間違いありません。
 それに、西に所属してなく、信頼が置ける陰陽師などそうそういません。」

 ど〜したもんか、なんかヤヤコシイことに首をつっこんでるのではないか、今更ながらに後悔していると。

「どうしました?」
「いえ、その……」

 そんなこんなで、通学路を抜け学園へとはいっていく。
 でけ〜よ、マジで僕が通っていた中学校とえらい違いだな。

「人が、あんまりいないな」
「今現在、学校は夏休みなので、部活がある生徒以外はほとんど学校にはいません。」
「そっか、中学はこの時期、なつやすみか。」

 なるほど、一人納得していると、でもそれでもかなりすくないきがするが。

「万が一ということもあるので、学校全体に人よけの結界をめぐらせてあります。今いる生徒の大半は魔法生徒ですね。」
「魔法生徒?」
「土樹さんは魔法使いなのにご存知ないのですか?」
「あ〜、すまんせん勉強ぶそくで。」
「いえ、あやまられることではございません。」

 それにしてもなんか居心地が悪い、普通に受け答えはしてくれるのだが、桜咲さんからやたらぴりぴりした感じが伝わって会話がつづかね〜の。
 そんなことを思いながら学園長室前に到着する。
 てゆうかなんで、女子中等部の校舎内に理事長室が普通はもっとこう中立地帯みたいなとこにあるものなんじゃ?
 







 コンコン

「失礼します、土樹良也さんをお連れしました。」
「うむ、はいりなさい。」
「どうぞ、土樹さん。」
「え〜と、失礼します。」
 
 扉をくぐるとやたらと広い室内がひろがる、それに加えて高そうなテーブルやソファーなんかもある。
 あたりを見渡せば、僕と桜咲さん以外に三人ほど室内にいるのにきずいた。
 一人は一番奥の机に陣取る顎ひげを生やしたみょ〜に後頭部が長い爺さん。

 もう一人は、ソファーの後ろに佇む、メイド服を着た耳に変な飾りつけている女の子。

 そして最後が問題だ、ソファーに座り足を組んでいる、見た目金髪幼女。だだ、かもし出す雰囲気が半端ない、なんつーかレミリアを彷彿とさせるなこの子
 そんなことを思いながら金髪幼女を見ていたら、一瞬に目が合う

「ふん。」

 今なんかすげー馬鹿にされたような。

「ジジイ、わたしは帰らせてもらうぞ。」
「これ、エヴァよ、もう少し話を」
「必要ない。帰るぞ、茶々丸。」
「ハイ、マスター。」

 うあ〜、話をぶたっぎったよこの幼女、ソファーから立ち上がった幼女はメイドさんを携えてまだ入り口付近にいた僕とすれ違う

「ん。」
「え。」
 
 唐突に幼女の足が止まるり、僕のほうを見てくる。

「え〜と、なにか?」 
「……いや、なんでもない、いくぞ茶々丸。」
「ハイ、失礼いたしました。」

 そういって幼女とメイドさんは部屋から出て行った。




「あ〜、すまんのう良也くん、あの子は、その、なんていうか気難しくてのう。」
「いえ、大丈夫です。知り合いにもいますから、あんな感じのが。」
「ほほ、そうかそうか、それはよかった。」
「えーと、あらためまして、土樹灯也の孫の土樹良也です。」
「うむ、わしがこの学園の理事長で近衛近右衛門じゃ。」

 このえこのえもん、ドラえもんみたいな名前だな、後頭部ながいし。

「おぬし、今失礼なこと考えんかったか。」
「滅相もないです。」
「ふむ、改めてみると若いときの灯也に、似とるのう」
「そうなんですか?」
「そっくりというわけではないがな、どことなく」
「理事長。」
「なんじゃい、刹那くん。」
「話のこしをおってすいませんが、まずはお嬢様お。」
「うむ、そうじゃな、良也くんさっそくで悪いがついてきてくれ。」
  
 






















「マスター、いかがなさいましたか。」
「いや、なんでもない。」


「ですが、さきほどから考えこんでいるご様子ですが。」
「ちょっとな」
「さきほど理事長室に来た、男性のことでしょうか。」

「ああ、気のせいかもしれんがあの男とすれ違ったとき、違和感を感じた。」
「違和感ですか?」
「ほんの一瞬だがな、何かがはじかれるような感覚がした。」
「ま、気にしてもしょうがないあとでジジイにでも聞けばいいさ。」
「ハイ、マスター。」

















「ここじゃ」
「うげっ」

 なんかこう、嫌な感じに思わず声が出てしまった。
 案内された部屋、だだっ広い部屋だった、床にはなにかの魔方陣が描かれている。
 中央に大きなベッドがあり、そこに件のお嬢様と思しき少女が寝ているのだが。

「……呪いですね」

 目を凝らさずともはっきり見える。彼女に纏わり付いている負の影響力が。

「やはりわかるか。」
「そりゃわかりますよ……。ここまであからさまだと」

 もう、部屋にある呪力だけでお腹いっぱいです。

「すまんのう、こういう立場にいると何かと敵が多くての、孫にまで迷惑を掛ける始末じゃ」
「とりあえず、すぐ解呪しますから」

「たのめるか。」

 懐からスペルカードを取り出し、お嬢様とやらが寝ているベッドに近付く。

「まあ、大丈夫ですよ」

 自分の領域内の彼女が入ったのを確認して。
 
  スペルカードを宣言する。

「遮符『一重結界』」

 バチィ、と結界を張った直後に、呪いの力との反発が起きた。……霊夢から見よう見まねでパクった劣化結界術だけど……。
 僕の能力と合わせれば、多少強力な呪いでもなんとか

 ぐぐぐ!!、と。……オッケー。重かったけど、呪いは弾いた。
 呪い返しの対策位しているだろうけど、ひとまずはこれでいいだろ。

 あとは、僕が近くにいる限り、お嬢様とやらに呪いをかけることは不可能だ。

 例え本人にどれだけ似せた人形だろうが、血液や髪の毛がどれだけあろうが、僕と外の世界とを隔てる『壁』はどんな縁も通じない。一旦呪いのルートを遮断してしまえば、再構築が出来ない。

 ……でもなあ。

「ほう。見事じゃな。」

「それほどでもないです。……けど、術者自体を叩かないと、何回もやってきますよ?」
「その辺関しては手は打ってある、あとはわしの仕事じゃな」



 そういって、先ほどよりは顔色がよくなったお孫さんを見つめる顔をこちらに向け。








「ありがとうの〜、良也くん。」

 そう言った、理事長の顔は、どこにでもいる孫を心配するおじいちゃんのそれだった。


























「……ん」
「あ、元気になってきたか?」

 お嬢様が、目をうっすらと開ける。
 呪いのせいで崩れた体調はすぐには戻らないだろうけど、ひとまずこれ以降は快方に向かうはずだ。

「……だれ〜?」
「えーと、大学生」
「?」

 なんて紹介すればいいんだ。中学生相手に。

「兼魔法使いだ。まだ体調悪いんだから、寝ていなさい」

 はっきり言って、どういう話題を振ったらいいのか分からない。だから、とっとと眠らせる。

「うん……」

 素直に……というか、力尽きた感じでお嬢様は寝入ってしまう。


















 学園からの帰り道、ふたたび桜咲さんに案内されて、駅へと向かっている。
 呪いを解呪してからすぐさま岐路に着いた僕だが。なんか気まずい、最初に案内されたときよりも雰囲気は悪くないが、
 なんか気迫の様なものを感じる、ど〜すっかなこれ。

「え〜と、案内ありがとね。」

 そういって、この雰囲気から脱出したくすぐさま改札へ向かう 

「あの!!」

 がしかし、行こうとした矢先に呼び止められる。

「えっと、なにか?」
「その。」
「はい」


「このちゃん助けてもろて、ほんまありがとうございました!!」


 いきなりお礼いわれ、頭を下げてくる。

 といゆか標準語と京都弁がまざってるぞ。


「あ〜、いや、そんなにたいしたことはしていないし、最終てきには近衛さんが何とかしたわけだし。」

「いえ、本来なら、お嬢様をお守りするのが私の役目。なのに呪いを掛けられ、あまつさえ見ている事しかできませんでいた。」

 あ〜、なるほど、この子があのお嬢様のボディーガードで呪いかけられて責任感じてたわけね。
 最初に会ったときのぴりぴりした雰囲気も納得言った。
 
 まあ確かに、迎えに来た相手が僕みたいな頼りなさげやつなら、そら〜怒りたくもなるわ。

 

「もう終わったことだし、あんまり気にしないほうがいいよ。」

「…そやけども」

「それに、ほら、これ仕事だし、報酬も貰ったから、僕としては言うことないし、のろいが解けて君も近衛さんもパッピーってことで。」

「…そうゆう、ものですか。」

「そうゆうもんよ。」

 はっはっはっ。僕てきには、もうホントよかったよ、これで生活に潤いがでるし。
 爺ちゃんに文句もいわれないもんね。



「…わかりました。」

 まだ納得しかねているがそういって桜咲さんは引き下がった。





「じゃ、そうゆうことで案内ありがとう、桜咲さん、近衛さんにもよろしく伝えてね。」
「はい。…あの、私の事は呼び捨てでかまいませんし、敬語も必要ありません、土樹さんのほうが年上なのですから。」
「そうか、じゃあな、桜咲。」
「はい、またご縁があれば改めて御礼をさせていただきます。」
「だからいいって、そんなのは。」



 縁があったらか、俺の場合い、能力のせいで縁とか、関係ないからな。
 そんなことを思いながら、僕のアルバイトは終わりを告げつのであった。











 あ。そういえば、結局お嬢様の名前聞いてなかったけど、ま、いっか。














 ちなみに、報酬は僕にとってはかなり高額だったが、どっから聞きつけたのかスキマのやつにばれており、ほとんどが酒代えと消えてしまった。

 ま、うまかったから、よしとするか。












 あとがきてきなもの

 はじめまして、砂糖が 好きと申します。
 
 初投稿ではじめて書いた作品です。
 ネギ×良也を読んでみたくて、自分で書いてみました。
 読んでみたくてとありますが自分はあまりネギまを知らなかったりします。その為間違った設定解釈などがあり
 文章が読みにくい点などもあったかもしれませんが、ここまで読んでいただきありがとうございます。
 

 読んでいただいた皆さんならお解かりになると思いますが、この作品は、奇縁譚 閑話の第十四話『お仕事』をモデルとして、 
 『近衛近右衛門』と『土樹灯也』が昔からの知り合いという設定で『高宮 栞』の立ち居地に『近衛このか』を持ってきたものです。
 ネギまの世界なら灯也と近右衛門が知り合ってもおかしくないと思うんですよね。
 
  
 
 
 

 












 






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