良也と生徒と…

ron.c



わーにん、わーにん。
この小説は久遠天鈴の管理人、久櫛縁さまの作品「東方奇縁譚」の3次小説です。
主に、「東方奇縁譚閑話」の設定に基づいて書いていますが、久櫛縁さまの作品に比べると、月と緑亀くらいの差があります。
それと共に、初めてのSSのため、誤字脱字が雨霰のようにある可能性があります。
具体的には、

さろの「あたいったら、ちいきょうね」

ぐらいの誤字脱字キャラ崩壊がある可能性があります。
あはは、何これおもしれーってヴぁという方は、画面をスクロールしていってください。

ふざけんな、こんなの「東方奇縁譚」の3次小説とは認められないZE。
という方は、お手数ですが、ブラウザからバックしていただけると作者的に大変助かります。
よろしいでしょうか?

よろしければ、「アホの子は可愛い(ただし、美少女に限る)」と心に念じて、読み始めてください。









side ryouya


4月、それは、希望と夢とちょっとした野望を胸に新たな生活をはじめる月である。
桜舞い散る道を、僕はこれから始まる教員生活に思いを馳せながら歩いていた。
まだ舗装されたばかりなのか、痛みの少ないアスファルトの通学路を見ても、
蔦のついた名門そうな校門を見ても、新しい生活を認識させられる。
教員実習の際は、「魔法教師」の二つ名をほしいままにした僕だが、新しいこの学校では
まとも(ここ重要)な英語教師として学校デビューしてやるんだ。
そして、ゆくゆくは『師匠』…そう師匠と女子高校生に呼びとめ…ってえぇ!?

「西園寺!?どうして此処に?」
「いやですわ、師匠。この学校の生徒だからに決まっています」
「よっす、つっちー先生。あたしもいるよ」
「藤崎まで、なぜ此処に?」
「西園寺先輩と同じく、ここの生徒だからに決まってんじゃん。まぁ、今日からだけどさ」

おかしい。本来いるはずのない此処の生徒としてここにいる。
西園寺は、あれな言動が目立つ生徒だったが、英文の魔道書を読み理解できるくらい頭がいい。
だからまだ理解はできる。
だが、藤崎は…

「んっ、つっちー先生。何かあたしに言いたいことでもあるの?」
「いや、ここの偏差値ってそんなに低かったっけな、っておもっただけ」
「それは、暗に馬鹿にしてない?」

あたしはアホの子じゃないやい、と吼える藤崎。
そうは言っても、あの小テストの点数を考えると・・・

「師匠あんまりいじめないであげて下さい。あれも、師匠がいなくなってから猛勉強したんですよ」

ほう、つまり僕が教えたのは無駄だったと・・・。
ちくせう、小テストの度、毎回赤点で放課後居残りで付きっ切りで教えてやったのに・・・。

「あぁー、もう、先輩もへんなこと言わない。ほら、つっちー先生も落ち込んでないで早く起きる」
「事実でしょう?それはそうと、師匠。そろそろ始業式の時間です。早く行きましょう」

そうだった。
僕は、今日教師になったんだ。
出鼻こそ挫かれたものの、僕の教師ライフは始まったばかり。
まだ僕の健全なる学校デビューは、まだ…

「おい、あれってノーブルレッドの西園寺さんじゃ?」
「ああ、幾人もの勇者を“師匠がいますので”で粉砕した魔道部の新星」
「じゃぁ、あの冴えないのが魔道部の新顧問?」

…だめぽ。
何なんだよ、高貴なる紅って、超厨二臭いフレーズだなオイ!?
まて、こんなネーミングセンスまえにどっかで・・・

「はぁ、やっぱり私のセンスに狂いはなかったようね」
「やっぱり、有栖ちゃん。つか、どうしてここに?」
「いやですわ、良也さん。卒業生が母校の入学式に出ても問題ないでしょう?」
「そっ、そうなんだ。いや、ちょっとまて。今までスルーしてきたけど、魔道部ってまさか…」
「ええ、昨今では稀有になってしまいましたが、日本で本物のオカルト文化を伝える神聖な部活ですわ。
在学中は私も在籍して“妖精のアリス”として実力を磨いたものですわ」
「新顧問ってのは?」
「私が推薦しました。今、日本にいる魔法教師の中で一番の能力を持つのは貴方ですもの。
幸い、ここの校長は魔道に理解のある方ですし。それに、先の顧問の方は退職されましたし」

何だろう、僕の肩書きが僕の意思と関係なく決まっていく気がする。
ああ、これが無常といふやつか…

「つっちー先生。ホント遅刻するから、そろそろ入学式行こう」

ああ、ありがとう藤崎。普通なのはお前だけだ。これからも普通を貫いてくれ。

「訳判らない事しゃっべってないで足を動かす。西園寺先輩は右手もって引っ張ってください」

両腕を美少女に引っ張られつつ、僕はもはや黒歴史化しかけている教師人生の幕を開けたのだった。









なぜ、式の際の校長の話は長いのだろうか。
そんなたわいのないことを考えるほど僕の脳はフル回転して、どうにかこの公開処刑から逃れる方法を探していた。
いや、さすがにこの睡眠音波から逃れるためじゃないよ。逃げたいけどさ。
さっきから、ひそひそと「あれが…」、とか「こっち見た…」とか、聞こえてくるわけですよ。
あまつさえ、西園寺は誇らしそうに胸張ってるし、来賓席の有栖ちゃんは適度にライバル視してくるし。
ああ、僕のこのやさぐれた心を癒せそうな栞ちゃんはいないし、…いや、こんな事考えたら、栞ちゃんに失礼だ。
それに何より、藤崎にからかわれる。
そういや、藤崎は……ふらふらしてるな……って、たおれる!?

「危ない!!!」

そう叫ぶと、時間を加速させ僕は藤崎を抱きかかえていた。
後で聞いた話だが、この時一瞬で移動した僕に「神速・インパルス・良也」というあだ名をつけた人がいるらしい。


入学式でぶっ倒れた藤崎を抱き上げた僕は、西園寺に案内されて保健室に移動していた。
養護教諭の話では、睡眠不足だそうだが、他の要因もあるかもしれないと思い魔法を駆使して徹底的に調べ上げた。
結果から言うと、まったく関係なかったけど・・・。
その様子を見ていた西園寺に“妬けますわね”って言われたけど、何のことやら。
その後、体育館に戻った僕に浴びせられた拍手と大勢の視線を受けたのは何やら気恥ずかしかったが、
入学式自体はつつがなく進行し、僕は教師としての一歩を踏み出せた気がした。

その後、何も無い所で躓いた西園寺に押し倒されたりしたが、まったく関係ないので割愛する。









































おまけーね(という名の蛇足)





side fujisaki


気がついたら、ベッドで寝ていた。
どうも、入学式で倒れたらしい。
昨日は、わくわくして寝られなかったからかなぁ?

中学時代、良くも悪くも普通出来の悪いの生徒だったあたしに熱心に教えてくれた先生がいた。
あの時は、まだ先生じゃなかったけど。

先輩が呼び出した悪魔からあたしたちを守ろうとした人がいた。
まぁ、知り合いだったらしくあっさり帰ってくれたけど。

誘拐された親友兼後輩を無償であっさり見つけてくれた人がいた。
その子のお祖父さんと知り合いだったらしいけど。

誘拐された親友兼後輩のために命を張った人がいた。
そのときは、血塗れで出てきたけど怪我はしてなかったし。

そんな土樹良也という人間に私は恋におちた。
男としてはヘタレで、教師としては2流、ルックスも良くない。

でも、そんな彼が不意に見せる真剣な表情や、笑顔に私は次第に引かれていった。

ただ、そのときはその思いを知られたくなかったから、わざとあけすけな態度をとった。

それでも、彼との時間を増やしたくて、わざと悪い点を取った。
真剣に教えてくれる彼に心の中であやまりながら、その時間を楽しんだ。

でも、そんな時間もすぐに終わった。
彼は、大学に戻り、渡したメアドに連絡は来なかった。

それでも、あたしはあきらめられなかった。

メイクも、お洒落も勉強した。彼にほめてほしかったから。

彼が何処に就職するかわからなかったとき、西園寺先輩から連絡が来た。
先輩曰く、「師匠は必ずこの学校に来ます」と。

其処からは、必死だった。あたしの成績では全然とどかないところだったから。
1日5時間の勉強はは当たり前。
正直、テストから合格発表まで生きた気がしなかった。

合格通知が来た日は、また彼に会えると思うと嬉しくて眠れなかった。

彼をめぐるライバルは多い。
先輩も、有栖さんも、高宮ちゃんも、もしかしたらあのあくまさんも。

最大のライバルは個人的につながりもあり、彼に気に入られてた高宮ちゃん。

でも、この一年。高宮ちゃんのいないこの一年で一気に差をつける。

恋は戦争なのだ。隙を見せたほうが悪い。だから、……


「まってなよ、良也。あたしが絶対射止めるんだから」

ちなみに、この後、保険の先生に良也にお姫様抱っこで運ばれた事を知ってもう一回気絶したのは、彼には絶対内緒だ。


























後書く(公開?後悔)
やっちまったze。

皆さん、はじめまして。
ron.cです。
毎回、みなさんの奇縁譚を読ませていただいてるうちに、自分でも書きたくなり、筆を執りました。
ここまでお読みになったということは、わーにんを読んでいただいたはずですので安心して続けます。
今回のコンセプトは、「意外性?」です。
いや、普通に妖夢とかさとり様とかやりたいと思っても、皆様の作品に及ぶ発想がでず、
なら閑話で書こうと思い立ち、発想10分、創作4日で仕上げた作品です。
なにぶん初めてなので、足りないところが多かったかもですが、
これを読んで面白かったと言っていただけたら幸いです。
では、久遠天鈴のますますの盛況と久櫛縁さまの壮健を願いまして、締めとさせていただきます。



戻る?