・独自設定多め
・自分(輪舞曲)の過去作のリメイク的な小説です

















夜が更ける、夏の終りの幻想郷。蝉の鳴き声が寂しく響き、月は虚しく光る。

そんな幻想郷の端の端、博麗神社にて男二人が小さな酒盛りをしていた。



「土樹くん、コップが空いてるぞ」

「あ、じゃあお願いします」


そう言って吉田さんは僕のコップに酒を注ぐ。
1時間程前まで、僕は神社で一人晩酌をしていた。そこにひょっこりと吉田さんがやってきて、そのまま二人で飲んでいるのだ。


「いや〜、妖夢も相変わらずだよねぇ全く。頼もしいんだけどどこか抜けているというか。
 あ、そうそう。幽々子様がまた白玉楼メンバーで一緒に宴会をやらないかって」

「僕は白玉楼メンバーかということは置いといて…まあ、また一緒に飲みたいですね」


陽気に語る吉田さん。

それにしても吉田さんはもうすっかり白玉楼に馴染んでしまったなあ。初めて幻想郷に来た時では考えられなかったけれど…。
時間の流れというのは凄い。


「女に囲まれながら酒を呑むのも心地いいけど、たまには男二人で晩酌というのも悪くないよなぁ。森近さんと話していてもいいんだけどさ。
 でも森近さんってなんというか親しみがないというか…ほらぁ、あの人クソ真面目じゃん。しかも大半はどうでもいいウンチクの話になるしさぁ〜」

「え、ええ」


い、いつもより飛ばしてるなぁ…。これはそろそろ来るんじゃないか…?


「…吉田さん、少し酒の進みが早すぎで…吉田さん?」
「うぅ…ごめんよぉ土樹くん…ごめんよぉ…」


うわっ、また始まった。今回は泣き上戸みたいだ。


「ごめんよ土樹くん…痛かったよなぁ、苦しかったよなぁ…」
「あのー…吉田さん?」


このよっている状態からは想像もできないだろうけど、吉田さんは普段は礼儀正しく、マジメな良い人なのだ。
ただ、酔うと少しずつテンションが上がっていく…。

ここまでは割とよくある事なのだが、完全に酔いが回った時に"泣き上戸"か"怒り上戸"、どちらかになるのだ。
どちらになるかは完全にランダムで全く予測はできない。

泣くときは徹底的に自分を卑下し、怒るときはこれまた徹底的に相手を罵倒する。
本人の自覚はなく、東風谷の酒癖とはまた違った意味で余計にタチが悪い。(ある意味、酔うと人格が変わるという点ではキャラが似ている)

泣く時ならならまだいいが、怒るときは幻想郷において特に危険だ。
昔それがレミリアに発動してしまい本気でヤバくなったこともある。(ちなみにその時、もちろん僕もとばっちりを受けた)



「俺は…君に許されない事をしてしまった…。それなのにこうやってのうのうと生きて…自分が恥ずかしい!」
「あの、もういいですから。50年も前の話ですし…」


ちなみに目が覚めても本人は全く覚えていない。
もう長い付き合いになるが、いまだにこれは慣れない。


「よし、決めた。俺は今からちょっくら外の世界に行ってくる。俺も土樹くんと同じ痛みを味わってくるよぉ…」
「ほんとにいい加減にしてくださいって!!第一、吉田さんは外の世界に行けないでしょ!」

「……」
「ふぅ、やっと静かになってくれましたね」

「Zzz…」
「って寝てるのかよ!!」


思わずコテコテのギャグマンガのようなツッコミをしてしまった。


――急に辺りは静かになる。辺りは蝉の声と風の音、…そして吉田さんのいびきの音だけになる。

――それにしても、こんな日は吉田さんと幻想郷で"再会"した時を思い出す。

――50年くらい前のある日。僕がなんとなく白玉楼に出かけたとき。…ちょうど今みたいに夏の終わりの時期だったような気がする…

――確か初めは…吉田さんの正体を知らなかったんだったなぁ…





――――






里での菓子売りも終わり、なんとなく白玉楼に向かう僕。
理由は特にない。ただなんとなく最近白玉楼の方に行っていなかったので顔を見ておこうと思ったのだ。


「あ、良也さん。こんにちは」
「久しぶりね良也。おかえりと言ったほうがいいかしら?」


ピンク色の、本来ならあり得ない色の髪をした女性と、白い髪の少女がその楼閣の中から現れた。


「お、妖夢に幽々子久しぶ…アレ?」


幽々子と妖夢の後に知らない男が出てきた。


「こんにちは。幽々子様のお知り合いの方でいらっしゃいますか?」
「え、ええそうですけど。…どなたですか?」


見た目20代後半くらいの…いかにも"出きるサラリーマン風"の男が出てきた。
人里と香霖堂以外で男に会うことがほぼ皆無なので思わず驚いてしまった。

にしても誰だこの男…。里の人間とは少し雰囲気が違う。そして何か違和感を感じる。
白玉楼に(僕以外の)男がいる、という違和感もそうだが、なにか別の違和感…既視感に近い何かを感じる。

…この人とは昔会ったことがある?


「失礼しました。自分は少し前からここでお世話になっております、吉田といいます。えっと…外の世界から来まして」
「あー…僕は土樹良也です」


そうか、外来人かこの男は。


「大介、その男には気を使わなくてもいいわよ。あと、お茶菓子を持ってきてちょうだい。
 こんな男でも一応客だから」
「おいおい幽々子"こんな男"はないだろ…」

「わかりました」


そう言って席を外す吉田さん。大介…というのは吉田さんの下の名前だろうか。


「ちなみに、大介の説明をしておくと、大介はあなたと全く同じ。外の世界で死にかけて、この幻想郷にやってきたのよ。
 来たばかりで、まだ白玉楼から出たことはないけどね」
「え、そうなの!」


なんてことだ、僕と全く同じじゃないか。
なんだか懐かしいなあ…見ていると、白玉楼に来たばかりの時の僕を思い出す。


「でも何で…?吉田さんもなにか特別な能力を持ってるのか?」
「能力…は持っていないわ。紫は『運命が幻想郷に来ることを望んでいたから』とは言っていたけどね。私もそれには同意見よ」

「…え?」
「いや、最初から運命付けられていたわね。あなたと私がこうやって会話している時点で」

「…え??どういう意味だ、幽々子」


「持って参りました、幽々子様」
「ええ、ありがと」


幽々子にお茶菓子が置かれ、その後に僕の方にもお茶菓子が置かれる。お、栗まんじゅうだ。


「良也、最近調子はどうかしら。また愛しの吸血鬼の所に通ってるの?」
「"愛しの"ってなんだよ…。まあパチュリーのとこに通って魔法を習ってるよ。ついでにフランの面倒を見たり」

「そう、相変わらずね」


幽々子や妖夢とそんな変哲もない話をする。
…にしても隣で吉田さんが興味深そうにマジメに話を聞いてるから話しづらいなー


「少し前の神霊騒動の時も、あなたは相変わらずマイペースだったものねぇ」
「まあねー」


話が弾む。あの時は大変だったんだぞ、マジで
ここで吉田さんが口を開く。


「そういえば…土樹さんは何の妖怪なんですか?それとも…幽々子様と同じく亡霊でしょうか?」

「え?いや、僕は普通の人間だよ」
「…ええっ!?……すみません、驚いたもので。失礼しました」


物凄い驚かれた。いやいや、僕はまだまだフツウノニンゲンデスヨ?


「良也さんのどこが普通ですか…。大介さん、良也さんは蓬莱人といって不老不死の人間なんです。
 刀で切っても炎で燃やしてもすぐ体が復活して、しかも絶対に老いることもないんです。
 決して普通の人間じゃありませんよ」


妖夢に訂正を入れられた…。


「あなたを普通の人間だなんて思っているのはあなた自身だけよ…」


幽々子にもドン引きされた…。そんな普通じゃないのかな、僕って


「はぁ、不老不死ですか…なるほど…」


吉田さんにも…なんか感心された。やめてくれよ、ボクは人間なんだよぉ。


「いや自分も元は外の世界にいたごく普通の大学生だったんですよ。それで色々あってこっちに来たんですけど」
「えっ…本当ですか?」
「本当だよ!」
「…あ、申し訳ございません…」


つい強い口調で言ってしまった。そう謝られるとなんか悪いことした気になるな…。


「しかも、初めは生霊として白玉楼にいつの間にか来てしまって、今の吉田さんと全く同じですね。
 吉田さんを見てるとその時の自分を思いだしてしまうんですよ」
「そ、そうだったんですか。自分の先輩に当たるわけですね…。」
「はは、そうかもしれませんね…」


そのあとは適当に他愛もない話をして、白玉楼を後にした。

この時に既視感の正体に気づいていればよかったんだけど…。


――


「良也さん、遊びに来ましたよ」
「どうも、こんにちは土樹さん」

「お、妖夢久しぶり。それに吉田さん、こんにちはお久しぶりです」


博麗神社で留守番をしていると、やって来たのは妖夢と例の外来人の吉田さんだった。


「二人共、どうしてここに?」
「あ、はい。そろそろ幻想郷に来て一週間くらい経つので、幽々子様のご命令で妖夢さんに幻想郷中を案内してもらっているんです」


そうなのかー。吉田さんはそう話しつつも、目線は神社の中を物珍しそうに観察していた。
僕も初めて来たときはこんな感じだったんだろうか。若干緊張している吉田さんを見て改めて昔を思い出す。

初々しい幻想郷一年生!ってところだろう。


「…あれ?霊夢さんはいないんですか?」
「霊夢ならあいにく香霖堂の方に行ってるよ。まあせっかく来てくれたんだし、話でもしようよ」

「ええ、そうします。大介さんもいいですね?」
「もちろんです」


さあ、お茶菓子を用意するか…。



「そういえば吉田さんは飛べるようになったみたいですね」
「はい、最初はもちろん飛べなかったのですが紫さんにいきなりよくわからない穴に突き落とされて…
 でもそのおかげで飛べるようになりました」
「あー…」

懐かしいなぁ。僕もおんなじ事をスキマにされたなあ…

「吉田さんもアイツのことを紫さんなんて呼ばなくて"スキマ"でいいんだよ、"スキマ"で」
「スキマ?」
「僕はアイツのことはスキマって呼んでるんですよ。これまで何度ひどい目にあったことか…」


スキマは宿敵。うん。


「そういえば紫さんは大介さんに『あなたはどこぞのすぐ騒ぐアホとは大違いね』って言ってましたね」
「…」


スキマあの野郎…


「…それでまあ、今日はまず最初に人里に行って来ました。それにしても驚きましたね…。時代劇そのものじゃないですか。
 思ったよりも人が多くてびっくりしましたが」
「確かに僕もはじめはそんな感想だったなあ」

「その後慧音さんの寺子屋や命蓮寺、カフェ等に行きました。聖さんの話はためになりましたよ。
 それで、人里の定食屋で昼食を食べた後、飛んでここまで来ました」
「うん…」


白蓮さんの話がためになる…?ちょっと違和感を覚えたがまあいいか


「それにしても霊夢さんが居ないとなると…困りましたね。
 吉田さんに幻想郷と外の世界の結界について教えてもらおうと思ったのですが」


なるほど…ん?そうだ、まだ聞いてなかったことがある。


「吉田さんは外の世界に… 「あら、私の神社に何か用かしら」 …って霊夢割りこむなよ」


いつの間にか霊夢が戻ってきていた。いや、ホントにいつ戻ってきたんだ…。


「妖夢と…そこの男の人は誰?」
「初めまして。吉田と言います。この世界で言う外来人…でして、幽々子様の白玉楼の方に居候させていただいております。
 以後どうぞよろしくお願い致します」


ペコリと頭を下げる吉田さん。それを見て霊夢は表情一つ変えずそのまま喋る。


「それはどうもよろしく。普段男の人は下の名前で呼ぶようにしてるから、下の名前を教えてくれないかしら?」
「大介と申します」

「…大介さんね。なんか調子狂うわね」


そうか、霊夢は敬語を使って丁寧に対応してくる人に慣れていないのか。
しかも男性。霊夢の知り合いの男性は僕と森近さんくらいしか居ないだろう…。

そして妖夢がこれまでの経緯について霊夢に説明している。全て説明し終わった後、霊夢は僕と吉田さんを交互に見ながら言った。


「同じ外来人でも、こうも性格が違うのね…」
「おい!」


僕も初めて博麗神社に来たときは僕もこんな感じだったと思うぞ…?
確かに(手を触りたいから)握手を求めたり、(美少女だったから)じーっと見ていたりはしたけど…うん、それが健全な男というものだ。

こういう言い方は失礼かもしれないが、吉田さんはちょっと枯れている気がしないでもない。え、僕が旺盛なだけ?


「あー…霖之助さんのウンチクに付き合わされてきたから疲れたわ…」


そう言って霊夢はごろんと畳に横になる。おいおい、僕は慣れたからいいけど初対面の男の人の前でそんなだらしない格好になるなよ…。
その服だと露出が多いから横になると腋だけじゃなくて裾の間から別の部位も見えるぞ…。
吉田さんは若干目を逸らしてる。僕だったら何故か怒られてるんだろうな…。


「…それじゃあ、結界についての説明はまた今度にしてそろそろ別のところに行きましょうか、大介さん」
「あ、はいそうですね…」


寝だした巫女を見て、これ以上意味は無いと判断したのかさっきまでずっと黙ってた妖夢が口を開いた。


「それじゃあ良也さん、霊夢さん、失礼し…」
「ちょっと待って。私はただ疲れたから寝転がっただけで帰ってとは一言も言ってないわよ」

「え?」


そ、そうなのか。僕も別の所に行こうかと思ってたけど…


「大介さん…だったわね。是非あなたのことについて教えてくれないかしら」
「え?だって霊夢はさっき話を聞かされ続けて疲れたって言ってたじゃないか」

「霖之助さんの話が特別疲れるだけよ」
「え、まあそれには僕も同意するけど…」


そういえば僕も吉田さんの外の世界の時のことを聞いてなかったなあ。

僕と同じように交通事故に遭いかけたんだと勝手に考えてたけど。


「ど、どうして言わなければならないんですか?」


…ん?吉田さんの様子が変だ。


「なんとなくよ。なにか言えない理由でもあるの?」
「い、いや…」


明らかに様子がおかしい。妖夢の方を見ると妖夢も少し表情を落としている。


「妖夢は知らないのか?」
「…え、いえ、幽々子様と紫様にしか話していないようで、自分はその時は庭の手入れをしていました。ただ…」
「ただ…?」


そう言って妖夢は吉田さんの方にちらっと目線を移す。吉田さんは下を向いている。

なるほど、たぶん吉田さんは暗い過去を背負っているんだろう…。勝手に僕のような不慮の事故だと思ってしまっていた。
そういえば前に幽々子が『運命』とかなんとか意味深な事を言っていたな…。


「だいたい検討はついたわ。…大介さん、無理に話す必要はないわ。幻想郷はすべてを受け入れる。
 …あいつ、紫もそう言っていたでしょう?」


これまでの外来人を大勢見てきた経験のある霊夢は、無理強いさせるのは良くないと判断したようだ。


「確かにそうですけど…決めました。やっぱり話させてもらいます」
「え?」

「贖罪にもなると思うんです…自分のしたことに対して。
 自分が死んだ後、何故自分はこの世界にやって来たのか。ずっと考えていました。
 おそらくそれは自分の犯した罪を認めるためじゃないかと思いまして…」
「??」


いきなりたくさん話しだした。
さっきまであれほど渋っていたのに、どうやら話す決心がついたらしい。


「そんな…辛いことならわざわざ話さなくてもいいんですよ」
「…いいえ、決めました。思えばどうして自分がこの幻想郷に連れてこられたのか…。
 もしかしたらここで全て罪を話し、償うことなのかもしれません」


吉田さんの目付きが変わった。


「わかったわ。そこまで言うのなら話して頂戴」


霊夢も真剣に聞くようだ。…相変わらず寝転がったままだけど。


「吉田さん、…いいんですね?」
「はい。いつまでも逃げるわけにも行きません」


そう言って吉田さんは深く深呼吸をしたあとこう言った。


「自分は…人を殺しかけました」




- - - - - - -




――自分はどこにでもいる普通の人間でした。

 普通の高校を卒業し、普通の大学に入り、普通に卒業し、
 特に大きな名誉も挫折も、味わったこともなく、それなりの数の友人にも恵まれ、
 それなりの会社に入りました。

 会社に入ってからも至って普通。上司との仲も良好。部下も至って真面目で特に困ったことなどはありませんでした。


『え?部下ってことは吉田さんおいくつなんですか?』


 自分は今年で31になります。よく若く見られるんですけどね。…まぁ話を戻します。

 自分には愛していた女性が居ました。大学時代から付き合いはじめ、大学卒業と同時に同棲生活を始め、
 喧嘩することはあったものの仲良く過ごしており、28の時に籍を入れました。

 "自分はこれからもこうやって大きな幸運も、大きな災難も無く平凡に生きていく…"そんなふうに思っていました。


――ちょうどその時でした。あの悪夢が起きたのは。


――ドンッ!

――『…え?』

――『う、』

――『うわああああああああああああああああ!!!』


 不況の煽りで親会社が合併していろいろ仕事上の仕様が変わり、その時は徹夜明けでかなり疲れていたのです。
 つい居眠り運転をしてしまいました。

 そして大きな音で目が覚めると…目の前に血まみれの青年が倒れていたのです。

 自分は唖然としてそれを現実だと思えませんでした。というより信じたくなかった…。

 そして通行人の誰かが警察に通報し、自分を逃げないように囲んだのです。


 そこからは正直詳しく覚えていません…。ひたすら泣いていたような気がします。

 拘置所にも入れられました。そこでもひたすら泣いて涙が枯れた後は叫んでいたと思います。
 何せ、これほどの失敗を経験したことは、人生で一度もありませんでしたからパニック状態でした。

 裁判にもかけられました。自分には兄弟はおらず、両親も早死にしています。
 傍聴席に妻の姿すらありませんでした。

 判決は執行猶予となりました。何年かは覚えてません。しかし、その後には民事訴訟が待っていまいた。
 
 その轢かれた青年は、裁判が始まる頃には意識を取り戻しリハビリも完了し、学校にも復帰したみたいです。
 しかし、会社の車を壊し、会社の名誉毀損とかなんとかも含め、ものすごい額の賠償金を命じられ、会社も当然ながら解雇されました。

 面会に来た妻も、離婚届にサインするよう言われただけで、僕もそれに応じました。

 久しぶりに家に帰ると、既に別の人が住んでいました。競売にかけられたそうです。

 所持品もほとんど差し押さえられ、貯金は全て賠償金で消え、小さなアパートに詰め込まれました。


――この辺りになってやっと自分の今いる立ち位置がわかりました。


 送られてきた封筒の中には『生活保護の申請用紙』と『介護や土木関係の仕事の求人票』。
 速攻で破り割いてしまいました。

 もう自分の人生が詰んでいるのだと、気づきました。
 これまで積み上げてきたものが全て水の泡になったと理解しました。

 もう全てがどうでもよくなりました。

――


「そして自分は…自殺を決意しました。すぐさま近くのビルの屋上に上がり、そこから飛び降りたのです。」
「…ッ!!」


妖夢は両手で口を抑えて驚いている。
霊夢は、同じような自殺志願者の外来人を見ているからか慣れているようだ。


「何度が躊躇しましたが、またあのアパートへ戻らなければいけないことを考えると、踏ん切りをつけるのは簡単でした。
 地面についたのか付いていないのかはわかりません。空圧で息苦しかったことだけは覚えています…。
 これで私の話は終わりです…」


僕は…衝撃的だった。ただただ衝撃的だった。いや、何と言ったらいいんだろう。返す言葉が浮かばない。

テレビのニュースで居眠り運転犯が、『疲れていて気が抜けていた』と言うのに対して
その時にはなんて無責任なんだろうと思ったが、今はそんな事言える雰囲気じゃなかった。


「…えっと、いくつか質問させてください。まず車というものがわからないんですけど…
 話の脈絡からだと相手に怪我をさせてしまったってことですか?」
「…ええ。幸い、数ヶ月で治ったみたいですけどね」


妖夢が質問する。…何か嫌な予感がする。吉田さんは冷静に話しているけど…


「それなら…相手に謝って許してもらえればそれでいいじゃないんですか。何も自殺まで…」
「…」


…まずい!吉田さんの目付きが変わった!


「謝って許してもらうって…バカにしてるんですか妖夢さん…?」
「ちょ、ちょっと吉田さん落ち着いて!」


慌てて止めに入る僕。妖夢がバカにしているつもりなんか無いということはわかっている。
ただ外の世界のことを知らず、幻想郷の常識で話してしまっただけ…。


「謝って許してもらう…か…はは…ああ…」


吉田さんの表情が怒りから悲しみに変わり、その場に泣き崩れた。
さっきまでのような冷静で丁寧な口調だった声も変わり、情緒不安定だ。こっちが本来の吉田さんなのかもしれない。


「すみません…自分で贖罪するとか言ったのに…妖夢ざん…すみません……」
「…いえ、大丈夫です。こちらこそすみませんでした」


大の大人が床に突っ伏して泣いている。こうして考えてみると…なかなかキツイものがある。

そういえば僕の幻想入りするきっかけは何だったけ。確か…そうだ、車に轢かれ…あっ!!!


――もしかして…この既視感の正体は。


「吉田さん、いきなりこんなことを聞くのは何だけど…車は水色っぽいミニバンでしたよね?」
「…そうですけど、何で知ってるんですか」

「確か、その事故があった場所は△△町ですよね?」
「…どうしてそれを!!」

「あー、たぶんその轢かれた青年って僕です…」

「…変なこと言わないで下さい!あなたも自分を馬鹿にするんですか」

「いやあのー…ホントですよ?」
「…」

「どうやったら信じてもらえるかな…。外の世界に行けばたぶんその時の資料とかが残っているはずなんだけど…」


「…ともかく、今日は失礼しました。妖夢さん、自分は先に白玉楼に戻ります」
「ま、待って下さい、私も戻ります!そ、それじゃあ霊夢さんと良也さん失礼しました!」


慌てて吉田さんを追いかけていく妖夢。


とりあえず…今日はもうこれから外の世界に帰るつもりだったから、
戻ったら当時の事故の資料でも探してみるか…。





―――





「ふう…着いた」

脇に印刷して持ってきた資料を抱え、白玉楼へと飛んできた。
先週は仕事が忙しく休みが取れず、結局幻想郷に来るのは2週間後になってしまった。

白玉楼に着くと、庭の手入れをしている妖夢…と吉田さんが居た。心なしか二人の距離が近くなっている気がする。


「こんにちは、土樹さん。この前はお見苦しい所大変失礼しました」


吉田さんが頭を下げながら言う。それにしても敬語キャラが被っていて妖夢なのか吉田さんなのかわかりづらい。


「先日のことについて少し話をさせていただきたいので、立ち話もなんですからどうぞお入りください」


白玉楼の居間へと移動すると、吉田さんがお茶と菓子を持ってきて僕の前に置く。

一連の手順の素早さが、幻想郷への慣れを感じる。


「実はあの後色々ありまして…。少々長くなりますけどいいでしょうか?」
「…え?ぜ、ぜひお願いします」


それにしても幻想郷で丁寧な扱いをされるのには慣れない


「自分は何故、人を殺しかけて自殺した身なのにこの幻想郷でもう一度生きることになったのか…
 ずっと考えていたんです」


神妙な面持ちで語る吉田さん。
いや、まあその殺しかけた人は目の前でピンピンしてるけど…。


「意識が覚醒すると、自分は白玉楼の布団の中でした。辺りを見回すとふすまに畳の和室。
 地獄のような雰囲気ではありません。
 『ああ、ここが天国なんだ。こんな自分でも天国にいけるんだ』とその時は思いました」


自分も最初はそんな感じだったっけ。


「しばらくするとふすまが開き妖夢さんが現れ、自分の状況について説明してくれました。
 …っと、幻想郷に来た時の話じゃなかったですね。話題がそれてしまいました。
 そう、あの時博麗神社で霊夢さんに自分の過去を聞かれた時です。

 その時、僕が幻想郷に来た意味がわかりました。
 自分の犯した罪を認識し、償うことだったのです」


ちょ、ちょっと大げさすぎるんじゃないかな…。


「その時悟りました。自殺は逃げでした。自殺して自分で償った気になっても結局はそんなの逃げでしか無いと…」

「あ、あの…とりあえずあの後どうなったのか話していただければ…」


吉田さんってちょっと話が脱線しやすいところがあるのかな。


「あ、はい…すいません。それであの時は自暴自棄になって神社から飛び出しました。
 しかし白玉楼の方向がわからず、途中で迷ってしまいました」

空の上で迷子か…。

「神社からもだいぶ離れていましたし、周りも森や山ばかりでわからないので
 しょうがなく地面に降りて人を探して方向を聞こうと思ったんです」

「白玉楼の方向なんて人間どころか普通の妖怪でもわかんないよ…」


思わずツッコんでしまう。


「そ、そうなんですか。…それでしばらく人を探しつつ歩いてると…急に背中に激痛が走ったんです。
 後ろを見てみると…金髪の少女の外見をした妖怪が居たんです」


そこまで同じなのか…。あの時自分は運良く弾幕は当たらなかったけど…。


「その後何か言われるも話が通じず…背中はどんどん痛くなり、動けなくなりました。
 血も吐いたと思います。背中全体が擦り傷を数百倍強くしたような、そんな苦しみで意識が遠のいていく中…」


な、生々しく表現しないでくれ!


「思いました。『ああ、これがあの時追突された青年の痛みだ』、そしてその痛みを今度は自分が受ける番だ、と。
 それでいよいよ自分も地獄へと落とされるのか…と思いました。 

 そんな時です…私を追いかけてた妖夢さんが助けてくれたのは。
 うっすらと…いえ、しっかりと覚えています。あの時の妖夢さんは自分を地獄から救ってくれる天使のようでした。
 自分を抱えて飛んでいる時に、妖怪も追いかけて来ましたが妖夢さんは倒して追い払ってくれました…」

「い、いえ当然のことをしたまでですよ…」


妖夢は若干頬を赤めながらそう言う。…なんなんだろうこの雰囲気は。明らかに昔の僕の時と違うんだよなあ…。


「幸い、妖夢さんが永遠亭…のお医者様に連れて行って治療してもらったおかげで1週間ほどで動けるようになりました。
 …衝突された青年の方は意識を取り戻すのに数ヶ月かかったのにですが。
 
 その1週間の間で、妖夢さんや永遠亭の方々に色々なことを教わりました。
 そして考えた結果やはり自分は本当は死んでいなければいけない人間。
 三途の川に行って閻魔様に判断を仰ごうと思ったのです」


自分はそんなこと全く考えなかったなあ。


「実際に一昨日行って来ました。自分の思いの丈を話しました。『地獄行き』といわれるのを覚悟していたんです。
 しかし、閻魔様からの言葉は自分の予想とは違い、『この幻想郷であなたの罪を償え』とのことでした。
 そもそも自分は死んでおらず、飛び降りて地面に衝突する前に紫さんが幻想郷に連れてきてくれたみたいで
 まだ生身の人間らしいです」

「良かったじゃないですか」

「はい。それでその後、ありがたいお説教をいただきました。
 『あなたは心の底から反省しているが、ほんの少しだけ自分は運が悪かっただけ、被害者が悪いという
 正当化する考え方を持っているから、それをやめるように努力しなさい。さもなければお前の罪は許されない』、と
 全くその通りです。そんな考えでは被害者の青年に顔向けできない…」

「だからその事故の被害者は僕ですって…」


一応、この前も言ったことをもう一度言う。


「また言うんですか…」

「ほら、資料印刷して来ました。元々僕が幻想入りしたのも車に轢かれそうになったからなんですよ」


実家に頼んで送ってきてもらった当時の事故や裁判の資料を見せる。
みるみる内に顔が驚きの表情に変わっていく。


「え…ほ、本当に土樹さんがあの時の青年なんですか?
 だ、だとしたら何故自分を憎まないんですか…?」

「憎まないって…そりゃ驚きましたけど、正直事故の瞬間はあまり覚えてないし…
 それとやっぱりあの時事故に合わなければ幻想郷に来ることはできなかったから、
 むしろ感謝してるくらいです…はは…」


こんなに辛そうな顔されるとついフォローを入れてしまう自分である。
いや、もしも幻想入りせずに体も完治しなかったら、そりゃ恨んでると思うけどさ。

正直、幻想郷に来て死ぬのに慣れてしまったんだよなあ。


「そうですか…。てっきりあの時は自分を庇うために嘘を言ったのだと思いました。
 裁判の時に、ご家族の方には謝りましたが直接謝ったことはありませんでしたね…。
 先日も土樹さんの言うことを信じなかったことを含めて…最後に一度誠意を込めて謝らせてください。
 …本当に申し訳ございませんでした」

「ちょ、土下座なんてやめてくださいよ!
 もう、過去のことですし自分は許してますから!」

「そうよ、大介。アナタは深く考えすぎ」

「あ、幽々子様と紫様」


唐突にふすまが開き、幽々子とスキマが現れた。
急いでお茶菓子を取りに行く妖夢。…吉田さんと交代制なのかな?


「当の本人が許すって言っているのだからいいじゃない。謝罪も済んだ事だし。はい、これでもうその話は終わりよ。
 幻想郷は自殺志願者でも前科者でも妖怪でも不老不死でも誰でもウェルカムよ」


そう言って微笑むスキマ。珍しく…というか吉田さんには何故か優しいスキマ。
この笑顔はなにか裏がある笑顔だぞ…。


「大介もだいぶ幻想郷に慣れてきたでしょう?…そろそろその他人行儀な堅苦しい言葉遣いもやめたら?
 良也はアナタより年下だし、何より幻想郷にそんな言葉遣いは合わないわ。あ、もちろん私には敬語は使いなさいよ」


幽々子がお菓子を食いながらそう言う。


「そうですよ、僕のほうが年下だから呼び捨てでいいですよ」


確かにあの畏まった喋り方じゃ会話しづらくてしょうがない。


「…わかった。呼び捨ては何だから土樹くんと呼ばせてもらうよ。
 俺がいつまで幻想郷に居られるかはわからないけど…これからもよろしく」

「ええ、もちろん」


そう言って固い握手を交わす。吉田さんの素の一人称は俺みたいだ。
妖夢や幽々子も笑みを浮かべている。



「ところで妖夢に大介。庭の手入れが途中よ」


幽々子がそう言うと、すっかり忘れてたらしく、妖夢と吉田さんは急いで外へと出て行った。


「ふう…何はともあれ、これで解決したか…」


手を大きく伸ばして、伸びをする。


「あの子もこれで晴れて幻想郷の仲間入りね」


あの子…?あ、幽々子からしたら吉田さんでも"子"なのか。…外見年齢は同じくらいだけど。


「それで実は明日、博麗神社で大介の紹介も兼ねて幻想郷中の人妖を呼んで
 宴会を開こうと思ってるの。霊夢にはもう言ってあるわ」

「それ飯を食べたいだけじゃな…何デモアリマセン」


殺気を出されたのでつい謝ってしまう。
まあ、またいつもの宴会だろう。

そういえば僕が幻想郷に来た時も宴会を開いてくれたっけ…。
懐かしいなあ…あまりいい思い出はないけど。


しばらく他愛もない話をしてると、庭の手入れが終わったのか妖夢と吉田さんが戻ってきて、そのまま話に加わる。


「そうだ、せっかく暇だし吉田さんのこれまでの幻想郷での話を聞かせてくれないかな」

「わかりまし…わかった。ぜひ喋らせてくれ」



そこから話は弾み、幻想郷に来てからのことや映姫のことも詳しく聞き、
それ以外にも、既に幻想郷中を妖夢に連れられて回ったらしい。

射命丸に激写されて号外スクープにされたことや、守矢神社で東風谷と外来人同士話してて楽しかったことなど
幻想郷に始めてきた時を思いださせてくれて、聞いていてとても楽しかった。



あっという間に日が暮れかけてきた。

「そろそろ僕は神社に帰るよ。…たぶん宴会の準備をしなきゃならないし。
 じゃあ幽々子にスキマに妖夢に吉田さん。また明日」

「ええ、また明日」
「良也さん、さようなら」
「良也くん…今日は本当に色々ありがとう。じゃあ、また」


こうして白玉楼を後にする。


博麗神社に戻ると、予想通り霊夢に宴会の準備の手伝いを要求され、
何故か僕がほとんどやることになった。
とほほ…。





―――





「それじゃあ、乾杯!ほら、吉田さんも」
「あ、ああ。乾杯!」


吉田さんは幻想郷に慣れてきたとはいえ、
やはりこの大人数のカラフルな服や髪の(見た目は)少女たちに圧倒されていた。


「ほら、大介。せっかくだから全員に挨拶回りしておきなさい」

「は、はい幽々子様。…妖夢さんも一緒に来てくれない?」

「やっぱりまだ慣れないですか。仕方ありませんね」


あれ?何か吉田さんの妖夢に対する口調が違うぞ。



「妖夢もそろそろ男慣れさせないと、と思ってた時に大介が幻想入りしたのはちょうど良かったわねぇ。
 少しマジメすぎるのと失敗に慣れていないところがあるけれど、誠実でハンサムね。前の男とは正反対だわ」


霊夢と同じようなことを言ってるなスキマは…。


「おまけに幻想郷中の人妖問わず女という女と交流し、虎視眈々と狙っていて…」


その言い方だとまるで僕がハーレム物の主人公みたいじゃないか!
僕にそんな魅力はアリマセンヨ?


「ふふふ、大介もこの調子だとすぐ幻想郷に溶け込めそうね。
 あ、良也。酒を注いで頂戴」


自分でやれよと思いつつ酒を注ぐ。


「じゃあ良也。乾杯よ」

「はいはい、乾杯」


スキマと二人で杯を交わす。
酒を一口つまんだ後、スキマは何気なくこう言った。


「大介は"償い"とか"謝罪"とかいろいろ言っていたけど、それは私の方かもしれないわね…」


…ん?どういう意味だ?


ま、まさかあの事故は…。嫌な考えが頭をよぎる。
そうか、それなら妙にスキマが吉田さんに優しいのも納得できる。


が、敢えてここは口に出さないことにした。
吉田さんもこうして幻想郷で新たな第一歩を踏み出したし、
僕もこの通り危なくも楽しい毎日を送っているし、これ以上考えることは何もない。


いつもは心を読んでくるスキマもこの時は何も言ってこなかった。





ちなみに、この宴会で初めて吉田さんの酒癖が発覚するのである…。





――――






それから約50年。色々あった。


その2年後くらいに、吉田さんは妖夢と正式に結婚した。

だからホントは吉田さんは"吉田大介"じゃなくて"魂魄大介"なんだけど…下の名前で呼ぶのもなんか変なので、そのまま旧姓で呼んでいる。


外見で見れば年の差婚だ。しかも年が経つにつれてどんどん差が大きくなっていく。
まあ、僕が言えた義理じゃないけど…。


「…夜分遅く失礼します、良也さん。やっぱりこんな所に居ましたか。
 大介が迷惑かけてすいません」

「良也さん、こんばんは!」

「お、妖夢に妖花ちゃんこんばんは。まあいつもの事だし、僕も話してて楽しかったからさ」


吉田さんを探しに来た妖夢が娘を連れてやってきた。娘の妖花ちゃんは外見年齢15歳くらい(実年齢46歳。何か妙にリアルな数字で嫌だな…)。
50年前の妖夢と同じくらいの容姿だ。

酔いつぶれている吉田さんを背負う妖夢。


「何だか懐かしいですね…。あの時妖怪に襲われて倒れた大介をこうやって運びましたっけ…」


今の妖夢は外見20代後半くらいの淑女に成長した。こっちはちょうど吉田さんが幻想郷に来た時くらいの年齢だ。

それに対し吉田さんはもう80過ぎのお爺ちゃん。今は元気だが、先はそう長くはない。

だからこそ、限られた時間を大切に過ごしているみたいだ。
その感覚を自分はもう感じることはできないので、ある意味羨ましい気もする。


「僕もちょうど昔のことを思い出してたところだよ。どう?妖夢もこのまま一杯いかない?」

「今日はもう遅いですし、大介も連れて帰らないといけないので遠慮しておきます。
 またいつか白玉楼で、宴会を開きましょう。それじゃあ良也さん…お元気で」

「うん、それじゃあ」


飛んでいく妖夢と妖花ちゃんを見送ると、辺りはまた静寂に包まれた。


元々の博麗神社の持ち主である、僕の最愛の妻は一昨年に亡くなった。早死と言えば早死だ。

若返ったり不老不死になったりしようと思えばできるのだが妻はそれを選ばなかった。
ある意味彼女らしいといえば彼女らしい。


吉田さんもそれは同じで、元々早い段階で空を飛ぶことができたり(僕が言えることじゃないけど)と、素質はあり
必死で魔法を極めるとか、僕みたいに蓬莱の薬を飲むとかすれば不老不死が手に入るのだが、

彼もそれは選ばず、あくまで人間として一生を終えることを望んでいる。




なんとなく孤独感を感じながら、今日の晩酌は終了した。










あとがき


昔の作品、『良也と犯罪者』のハッピーエンドバージョンというか、
もし「犯人の性格が違かったら」みたいな別ルート小説でした。




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