「…これって、バッテリーだよなぁ……」

 そう、バッテリーといっても自動車に乗ってるような物ではない、僕の目の前に置かれたこの物
体は外の世界で「リチウムイオン二次電源」もしくは「Li-ion電池」と呼称される黒くて手のひらよ
り若干大きい箱状のモノ……ようするにノートパソコン用のバッテリーだ。
 
 
 
幻想郷ではまずお目にかかれない代物であるはずなのだが、それが何故か其処には存在した。

 

 
 僕はその日、いつもよりお菓子が早く売り切れて暇だったので喫茶店に来ていた。
 勿論お店は成美さんの所だ。別に神社に帰っても良かったのだが、最近大学が忙しく幻想郷に来
る暇も無かったので、暇を潰すついでにお菓子の材料の注文を取りに来たのだ。


「へぇ、今じゃ外の世界も大変ねぇ…良也君は就職大丈夫なの?」
「僕は卒業したら教員免許取って、高校の教師にでも成りますよ。今も塾の講師とかしてるんで
それなりに人に教えるのは慣れてますから。」
 

 まぁ、いざとなればこっちに移住してお菓子売りでも続ければいいや……あっ、外で収入無か
ったらお菓子とか仕入れ出来ないじゃん。うん、やっぱり教員免許くらい取っとこう。


 なんて僕が割と切実な事を考えてると、来客を知らせるベルがカランカランと鳴った


「あっ、森近さんいらっしゃいー、お好きなところへどうぞー」
「おや、良也君じゃないか、暫く振りだね。」
「森近さん、お久しぶりです。」


 お客は森近さんだ。
 成美さんの様子だと結構頻繁に来店してるのかな?


「森近さんって里に来るんですね。」
 
 
 僕のイメージだと一日中家の中で本読んで引き籠ってるイメージがあったんだけどなー


「ははっ、僕だって食事をするから自炊の為に食材の買出しくらいするよ、なにも引き籠って本ば
かり読んでる訳じゃないさ。」
「あ、あははっ、ですよねー、引き籠って本読んでる訳ナイデスヨネー。」


 ごめん森近さんその通りだと思ってたよ


「……まぁいいや、ところで良也君この後暇かな?」
「えぇ、持ってきたお菓子も全部売り切れたんで、暇ですが…」
「それなら家に来てもらえないか?最近、無縁塚で拾った物なんだが用途がさっぱりでね、君に教
えてもらいたいんだ。」
 

 あぁ、やっぱりか、森近さんが頼みごとするってこれくらいしか思いつかないし


「時間もまだ有りますし、構いませんよ。」
「ありがとう、お礼と言ってはアレだけどここの支払いは僕が持つよ。成美さん、あったかい『こ
ーひー』をお願い出来るかな?」
「よろこんで、少々お待ち下さいねー。」

 



という感じで香霖堂にやってきた
 そして冒頭に戻る





「あぁ、『ばってりー』という名前はわかるんだが、どういうものなんだい?」
「うーん、なんていいましょうか……以前そこら辺に散らばってる道具を使うには、一定量の雷を
、一定の時間与え続けないといけないって言いましたよね。」
「!!もしかしてその『ばってりー』はそれが可能なのかい!!!」
「え、えぇ、でもバッテリーにも種類があってこれでは、ここにあるものは動かせないかと…」
「そうなのか……」
 

 あぁ森近さんがすごい落ち込んでる、めちゃめちゃ期待してたからなー…


「でも、何でパソコンのバッテリーが…」
「それは、パソコンがあればつかえるのかい!?」


 うおっ!!回復した!


「ぱ、パソコンって言ってもノートパソコンっていう種類のパソコンなんですが…」
「これの事だね!!一緒に落ちていたものなんだ!!」


 ん、…えっ、PCバッグ…中身は?……嘘だろ…周辺機器含めて…全部揃ってる


「良也君!!どうなんだい!!」
「えぇ、充電…中に保存されてる雷の量が十分ならつかえるはz」
「すぐにやってくれ!!」


 良也君作業中…………



「これで、電源をつければ…っと、起動しましたよ」


 おぉ、Wind○ws2000か…もう、型遅れなんだなー…
 っていうかこのバッテリー、フルチャージされてるよ……何でこんな状態のものが幻想郷に?


「!!!明かりがついた!おぉ、絵が変わった!!他にどんな変化が有るんだい!!」
「………森近さん、使ってみます?」
「あぁ勿論!さぁ、使い方を教えてくれ!!」


 ……森近さんってこんな人だっけ……あぁ、人じゃなくて半妖だった


「このマウスって道具を動かすと、画面に映ってる矢印が連動して動くんで、矢印を画面に映った
モノの上に重ねて、重ねたらマウスの左のボタンを二回押して下さい」
「えぇーと、なるほど、こうやって、ほぅ、こうして、…こんな感じかい?」


 カチッ、カチッ


 森近さんって飲み込みはやいなぁー…って「18禁フォルダ」?………まさか!!!


「森近さんまったぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 カチッ、カチッ、カチカチッ


「…んっ?良也君どうしたんだい?」


『アアーン!!主人がいるのー!!』


「…なるほど、パソコンとは動く艶本の事だったのか!すごい技術だ!」


 あぁ、何故だろう、とっても、嫌な、予感が、するなー…


「おーい、こーりん邪魔す…る…ぜ?」
『アーン!!、ヤメテー』
「霖之助さん、良也さんが来…て……な」
『ダメー!!ダメー!!』


 あぁ、ぱ○らっしゅ、僕、なんだか、とっても、眠たいんだ


「やあ、魔理沙に霊夢、みてごらんよ良也君の御蔭なんだ!!」
「へぇ、良也(さん)の御蔭なの(か)……」
「あぁ!!すばらしいだろ!!これが外の文化なんだ!!」


 そっか、このパソコン、持ち主が”隠して”忘れられたのか…多分、奥さんとかから隠して
 そりゃ、完璧な状態で幻想郷に来るわけだ…


「あぁ、霊夢、魔理沙、とりあえずその物騒なものをおろしてよ、僕はこれを修理したd」


「恋符『マスタースパーク』!!」

「神霊『夢想封印』!!」

 



 奇跡的にも被害は蓬莱人が一人と半妖一人、パソコンが一台だけで済んだらしい
 




 そしてリザレクションした後、スキマから「次はもっと過激よ?」と言われた
 なるほど、霊夢たちが香霖堂に来たのはお前の所為か……パソコンくらいいいじゃないか… 




〜あとがき〜  
 今まで久櫛さんの作品や他の作家さんの作品をROMるだけだったのですが、ついに我慢しきれず
に書いてしまいました。内容は、ネタ・リクエスト板のマイマイさんのプロットを使わせていただ
きました。
 マイマイさん御許可有難う御座いました。

初めて筆を執ったので稚拙な部分がありますのでご指摘くだされば非常にうれしいです。




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