※ただのお遊び企画です




―――――毎度お馴染み清く正しい文々。新聞記者の射命丸文でございます。さて、この度はかの妖怪の賢者、八雲紫さんのご結婚という事でそのご子息であられる八雲修平さんに取材させて頂く事となりました。それではまずご挨拶からどうぞ。

修平:えー、八雲紫の息子の修平です。種族は鴉天狗で、元は人間。今は人里で『神田鉄鋼製作所』の工場長も務めております。ちなみに外部向けにはまだ神田性を名乗っておりますので、あしからず。

―――――はい、では早速本題に移ろうかと思います。まず母上様に当たります紫さんのご結婚についてどう思われますか?

修平:んあ?まぁ母さんの結婚そのものはどうも思っちゃいないな。

―――――という事は…今回のご結婚、反対はされなかったと?

修平:結婚自体はな。ただその相手に関しては一悶着どころじゃぁ無かったぜ。

―――――ほうほう、その一悶着どころじゃない事について詳しくお願いできますか?

修平:そうだな、とりあえず今回の結婚の動機が『この子いじり倒すのが面白くてたまらないから』なんだぜ?息子としてはそんな適当な理由で結婚を決めて欲しくは無いし、こっちにしてみりゃ命令を聞かなきゃいけない相手が不用意に増える訳だ。俺は母さんの命令以外聞く気は無いってのに。

―――――なかなかユニークな動機だとは思いますよ?

修平:ユニークならいいってもんじゃねぇべよ。しかもその親父候補が相当のヘタレと来たもんだ。仮にもあの妖怪の賢者の夫たる人物になるんならもっと甲斐性のある男じゃないと俺やだぜ。立場的にもな。

―――――つまり、あのお方に関しての印象は最悪と?

修平:概ねそれで問題無い。

―――――では、何故一悶着あったんです?

修平:なんというか…俺は俺より弱い親父ってのが論外だからな。息子には絶対に超えられない壁として父親が居るってのが当たり前だから、逆は絶対に駄目なんだよな。

―――――なんというか、随分身勝手な理由ですね。

修平:あの二人だけの問題じゃないしな。二人が結婚するとなれば当然息子である俺も放置出来る問題じゃなくなるし、藍や橙だって居る。俺の式ではあるが、さくやもな。それに下手に弱い奴が来るとなるとそいつが弱点になりかねない。身内に弱みを持ってると色んな奴に付け込まれやすくなるからな。

―――――しかし、最終的にはこうしてご結婚をお認めになりましたよね?

修平:ああ、それが一悶着の主要事項だ。結局俺はそいつに勝負を挑んだのさ。それもガチな殺し合いでな。まぁ相手は蓬莱人だし死ぬ事は無いから、別に大丈夫だろってノリで。そしたらよ、実力はてんで駄目なくせして意志の強さが圧倒的なんだよな。何度心臓を潰されようが、頭を断ち斬られようが、身体を蒸発させられようが、俺に根勝ちするまで諦めないってよ。結局、勘定を止めて暫くした後に意識が飛んじまったから、負けは負けなんだけどな。

―――――それは逆に言うと、意識が飛ぶまでに勘定を止めたくなる程殺されたという訳ですね。

修平:そういう事だ。あいつには俺には真似出来ない意志の強さがある。それが、俺がこの結婚を認めた理由だ。

―――――成程…ありがとうございました。では最後に一言、お願いします。

修平:じゃあ幾つか………まずは『神田鉄鋼製作所』をよろしく!次に母さん、結婚おめでとう。最後に…母さんを、よろしく頼む。以上。

―――――ありがとうございました。ではこれにて八雲修平さんへの取材を終了致します。

修平:で、あのヘタレが父親なんすか?嫌ですよ〜

―――――最後の最後で台無しです………では、新郎の土樹良也さんと新婦の八雲紫さんのご結婚を祝って、パーッと飲みましょう!

修平:のわっ!ヤメローシニタクナーイ!




第八百三十二季 水無月ノ十四
文々。新聞
・土樹良也と八雲紫の結婚披露宴にて








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