目が覚めると天井を見ている奴は実際世界に何人居るんだろう?
最近どうにもこういったどーでもいー事が気にかかるようになってきた。少なくとも俺は目が覚めると壁を見ている人間で、目を覚ました時に天井を見ていた事は一度も無い。
いや、前置きにこれは無いな。正直に、単刀直入に言おう。


朝、目が覚めるとそこには少女が眠っていた。



     『幻想鎖結 〜It's a dream fantasy〜 T』



一旦思考停止する俺。……よし、再開。
とりあえずは状況確認。今は八月の下旬、夏休みも終わり頃だ。時刻は五時頃。何故こんな早い時間に起きたのかは俺にも謎だ。そんなある日ある時間、俺の隣に少女が眠っていた。
最早一種のベッドイン状態な上に割と好みな体型と容姿だが、残念ながら服は着てるし俺はこの娘を知らない。
はっきり言おう、訳が分からん。
しかし相手が起きてないのでは状況を知る為の情報収集としては話にならない。俺は右手で密かに俺の左腕を枕にしている少女の肩を叩こうとして…
「ん……?」
「あ……」
物凄い超絶タイミングで少女が目を覚ました。


「そういう事でしたか、それはお騒がせしました」
「いや、勝手に騒いでたのは俺だから、気にするな」
少女が起きた後、俺は誤解を解こうと必死に弁明した。しかし当の本人は所謂?状態で、とりあえずの状況説明をした結果、今に至っている。
「とにかく、朝起きたら君が俺の隣で寝てたんだ……腕枕で……」
「あ、それは失礼しました」
深々と頭を下げる少女。
「いや、頭を下げるのはいいから、とりあえず自己紹介してくれるか?」
「あ、はい。そうですね」
ちなみに今少女はベッドの上で正座している。かく言う俺も胡坐だが……
「私は幻想郷から来ました、魂魄妖夢と申します」
幻想郷?魂魄?聞いた事の無い場所と苗字だな。まぁいいや。
「俺は神田修平、しがない高校生だ。とりあえずはよろしくな」
「はい。よろしくお願いします」
早朝の風が吹き込む俺の部屋。俺達は少々ぎこちない握手を交わした。


で、これからどうしよ……?


とりあえず冷蔵庫にあった麦茶で一息つく俺達。
聞けば、今ベッドに腰掛けている彼女は半分幽霊らしい。今も彼女の隣には半霊なる物が漂っているらしいが…残念ながら俺には見えない。
「そういえば…」
「ん、どうした魂魄?」
ちびちびと麦茶を飲んでいた魂魄が疑問を口にする。
「神田様、ご両親は?」
「ああ、家は片親。隣の部屋でまだ寝てる」
「そうですか」
一体何が気になったのだろう?俺の親について訊いた後、魂魄はまた麦茶をちびちびと飲む作業に戻った。
……とりあえず、今度はこっちから訊いてみるか……
「なあ魂魄」
「妖夢で結構です」
む、いきなり異性を呼び捨てにする必要があるのか…まぁいいや。
「なら妖夢、その側にある長いのはなんだ?」
俺は妖夢の隣に置かれている長物を指差した俺の見立てでは、恐らく…
「これは私の武器である刀、楼観剣です」
やっぱり…刀としては色々どうかと思う揃だが…
「ちょっと見せてもらっても?これでも、刀剣の心得はあるつもりだから」
すると妖夢は少し警戒した様子で楼観剣を寄越した。
「…どうぞ」
刃部を上に向けて少しだけ引き抜く。すると曇り一つ無い刀身が顔を覗かせた。
「成る程…これがえぇっと、幻想郷?の刀か…」
中々の名刀だという事が分かった。いや、もう隠すのはやめよう。
はっきり言おう、どう妖夢に絡めばいいのか分からん。
突然幻想郷から来たって言われても…そんなの分かる訳が無いし、簡単に信用する事も出来ない。幻想郷っつっても、そんな名前この前拾った『幻想郷縁起』とか言う本で聞いて以来…
「…ん?」
ちょっと待て、今なんつった?
「…幻想郷縁起…」
違う、その前だ。
「…名前…!」
そうだ!名前!
確か幻想郷縁起は人物紹介の本だった。もし同じ幻想郷なら、この少女の事も!何の根拠も無しにその考えに至った俺は、おもむろに机の上を漁りだした。
妖夢の視線を背に受けながら机を漁り続ける俺。だがそんなものは気にせずに探し続け、やがて目的の物を見つけて妖夢に見せた。
「あ、それは!」
ビンゴ。
「これに見覚えは?」
「あります。何故それを?」
「少し前に拾ったんだ。やっぱり幻想郷っていうのは…」
「…ひょっとして、信じてませんでした?」
妖夢が少々怒り気味に言う。うっ……まあ……
「でも、これではっきりした。でもなんで君は現代に来たの?」
すると妖夢は何故か顔を背け、
「そ、それは……」
更に顔まで赤らめた。
……無言……
諦めて麦茶のコップを台所に持っていこうとすると、
「あ、あの」
妖夢が俺を呼び止めた。どうした?
「この家に、木刀はありますか?」
また物騒な質問だな。
「あるよ。昔は兄貴と一緒に剣道やってたし」
それを聞いた妖夢は一度思案顔をしてから、こんな事を言い出しやがった。
「それなら、これから剣の稽古をしませんか?」

……はい?








   あとがき

どうも、あとがきは初めてなカップめんです。これ続きます。
性懲りも無く妖夢長編と言うまさかの暴挙に出た訳ですが、労r…ゲフンゲフン、読み易さを優先する為に可能な限り文章を短く、簡潔にしてみました。
なんか妖夢が頭ファンタジックな娘になっちゃってますが、これがどういう意味を表しているのか、多分勘のいい方はもう気付いたかと思います。
ちなみに、実は話自体はもう出来上がっててただ打ち出して修正してるだけなんですけど、その関係で途中話が分からなくなる部分がありますが、それはまた後のお話……ではまた。



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