目が覚めるとそこは、博麗神社の天井だった。
金曜日に仕事が終わると、すぐさま幻想郷にやってきたのだ。
外の生活も有るが、今の僕は霊夢の夫。
故に、少しでも幻想郷にいる時間を増やすようにしている。

まだ眠たい目を擦りながら、部屋をでて母屋裏の井戸の水をくみ上げて顔を洗う。
井戸の水は冷たく、直ぐに目が冴える。
「霊夢ー朝だぞー」
部屋に戻り、横で寝ていた霊夢を起こす。
「・・・・・・ぅぅん?」
基本的に霊夢の寝起きは悪くはないが、どちらかといえば、僕の方が起きるのが早いので、こうして僕がいる時に霊夢を起こすのが、僕の朝の日課となっている。
「起きたか?それじゃ僕は朝飯を作ってくるからな」
「ん、おはよう、お願いね」
少し乱れた髪を、手櫛で整えながら霊夢は顔を洗いに、井戸に向かう。
さて、それじゃ朝食を作りに行きますか。


「「いただきます」」
今日の献立は、卵焼きに小ぶりの鯵の干物、大根のお味噌汁にあまった大根の葉を混ぜたご飯。
朝食の担当は、早く起きる僕がすることになっている。
幻想郷で菓子売りの仕事をしている、僕の収入があるから生活にはそこそこのゆとりが有る。
以前、魔理沙が朝食をたかりに来た時は、少し驚いていた。
魔理沙曰く、『独身時代の霊夢が、一人で食べていた朝食より、品数が多い』との事。
まあ、博麗神社の賽銭だけではそんなものだろう。
ちなみにその時、魔理沙は霊夢に張り倒されていた。

「午前中は人里にお菓子を売りに行くよ」
食後のお茶を啜りながら、今日の予定を決める。
「そう、それじゃ境内の掃除は午後に回しましょう」
「もう秋も近くなってきたから、そろそろ落ち葉が目立ち始めたしなぁ」


人里に着くと、わらわらと子供達が集まってくる。
とりあえず
飴符『キャンディーレイン』
「ほぉら、とってこーいっ!」
いや、別に本当にスペルカードにしたわけではないけど、いい加減名物気味になっているし、なんとなく名前が気に入ったんだよ。
さて、そろそろ人も集まってきたし、始めるとしますかね。
「はい、おまたせー、土樹菓子店、開店するよー」

二十分程で用意してきた菓子を売りさばき、回収したゴミを
纏めたところで、良い時間になってきたので、霊夢の提案で今日の昼食は人里の食事処で済ます。
ちなみに神社で昼食をとる時は、霊夢が昼食の担当となっている。

「あら、霊夢に良也さん、こんにちは」
昼食を済ませた後、食料や生活品などを購入していると、前方より見知ったメイド服姿の咲夜さんが歩いて来た。
「咲夜さん、こんにちは」
「こんなとこで会うなんて、珍しいわね」
「私はあなたと違って、紅魔館の仕入れがあるから、そこそこ来てます」
・・・・・・おいおい、なんだかいきなり風向きが悪くなってませんか?
そして二人とも、何時の間にお払い棒とナイフを持っているのでしょうか?
「私だって来るわよ」
「あら、良也さんがいないとほとんど寄り付かないくせに」
「言ってくれるわね」
どんどん重くなっていく空気と、それに感ずいて逃げ出す人々。
そりゃ、こんなところで幻想郷の実力者同士による、弾幕ゴッコなど始められたら堪ったもんじゃないよなぁ。
いい加減、遠巻きに様子を見ている人達からの、とっとと何とかしろ!!との視線がグサグサ刺さってくる。
おーけー、把握した。

「二人ともストップ!!こんなところで険悪なムードを出すんじゃない!!」
一定距離を保ったまま、睨み合いを続ける二人に割って入る。
霊夢さんや、そんな怖い顔しないでください。結婚していようがしてなかろうが、怖いものは怖いです。


「仕方ないわね」
何とか二人を止める事には成功した。
二人から小さく、舌打ちが聞こえたような気がするが、気のせいだ。気のせいと言う事にしてください。
「まあ良いです、それより良也さん、最近来ないといって、お嬢様や妹様、パチュリー様がご機嫌斜めなので、たまには顔を出してください」
そんなことを言いながら、咲夜さんは人里の奥へと去って行った。

「良也さんは、人気者ねぇ?」
などと言いながら、こちらを軽く睨むのは止めてくれませんか?マイワイフ。
「勘弁してくれ」



「ふぅー、やれやれ、この季節は紅葉が綺麗なのは良いけど、掃除が大変で困るわ」
午後は、人里で購入したものを整理した後、二人で神社の日課である境内の清掃をした。
「確かに、見る側は綺麗で良いけど、片付ける方は堪ったものじゃないな」
今は境内の清掃も終えたので、縁側で二人でお茶を啜っている。
基本的には、異変や妖怪退治の依頼などがないときは、こうして二人で縁側に座ってお茶を飲みながらゆったりしていることが多い。
時々は、霊夢と二人でレミリアや、輝夜の所に行ってみたりはするが、稀だ。
「ところで、今日の夕飯はどうする?」
夕飯は二人で作るので、献立も二人で考える。
「そうだなぁ・・・・・・確か、この前魔理沙に貰った茸があったよね、それで炊き込みご飯なんてどうかな?後は、ほうれん草があったからおひたしにして」
「良いわね、後は里芋があったから煮物にでもしようかしら」
境内の清掃は大変だが、食事が美味しいのもこの季節の特徴で、特に幻想郷の自然の恵みは本当に美味しいのでたのしみだ。
「それだけあれば十分でしょ」
食後は特にすることもないので、早々に入浴を済ませて、就寝する。
これが霊夢と結婚後の、幻想郷における僕の極普通の一日だ。




まあ、実は今二人は射命丸の取材を受けているわけで・・・
「それで?その後、詳しく言えば夕食後はどうなったんですか!!」
「秘密だ」
「黙秘するわ」
「もー、そこが一番読者が知りたいところじゃないですかー」
「何が悲しくて、公衆に夫婦生活を暴露しなくちゃならないんだよ」
「そうね、放っておいて欲しいわ」
「あやややや、意外とガードが固いですね」
「「当たり前だ」」


あとがき

掲示板でキラーパスを受けたからには!!と休みを利用して執筆してみましたw
特に山も谷もありませんが、今回のコンセプトは、さりげなくずっと一緒にいる霊夢です

ポイントは
・朝、横で寝ている霊夢
・結婚後は菓子売りに同行する霊夢
・入浴と就寝については名言しない二人

です!!
さぁ、脳内で描くのだ!!(主に桃色的な意味で)



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