雛を幻想郷まで見送った、その次の日。
 甲斐は色々と迷惑をかけたメリーと蓮子、そして借りのできてしまった岡崎教授とちゆりを焼肉へと連れて行く約束をした後、朝風呂に入っていた。昨晩は特に暑くて寝苦しく、服が汗だくで気持ちが悪かったのだ。

「はー、すっきりした。やっぱり風呂は命の洗濯だなあ」

 そしてそんな何処か年寄り臭いことを口走りながら髪から滴る水をぐいっと手で拭い、体を拭くべくバスタオルに手を伸ばした所で、

「あれ?」

 何故か脱衣所に例の扇が落ちていたことに気づいてそれに手を伸ばした、その瞬間。

「え、は……?」

 甲斐の体は突然空間の裂け目のようなナニカに落ちてしまい、そして門倉家の何処からも姿を消した。

「あ……、甲斐ぼっちゃま……?」

 直後に家の中からその反応が突然消えたことに気づいたみ〜ことは、すぐにその姿を探してすべての部屋を見てまわるが……

 当然甲斐の姿は、家の中のどこにも見つかることはなかったのである。



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