前書き
幽々子編後日談の後日談Ifです。
良也がちょっと頑張って積極的になってみます。
あと、いつもの通り15禁くらいなので気をつけて。

 

 

 

 

 

 

 

就職活動も無事に終わって、僕は大学を卒業したら、教師として働くことが決まった。
教育実習の学校だったけど。私立なので公立とは別枠の採用試験はあったが、実習中にそれなりの評価を貰っていたこともあって、なんとかパスした。働き出したらいろいろ大変だろうが、いまから忙しくしてもしかたがない。


 

とゆうことで、久しぶりに幻想郷へきた。
外での生活が忙しかったので、かなり期間があいたので土産は奮発した。といっても、この土産は霊夢へというわけじゃない。白玉楼へ持っていく土産だ。

僕と幽々子が、その正式に、正式にって何だ?とつっこみをいれたいが、恋人関係を結んだ宴会の後。
ちょうど、就職活動が始まってこっちになかなか来ることができなかった。別に逃げていたわけではない。本当に忙しかっただけだ。仕方なかったんだ。・・・って僕は誰に言い訳しているんだろうな?

「さて、これからどうしようか」

博麗神社の縁側で、お茶を飲みながら一人ごちる。
かなり期間があいてしまって、どうにも白玉楼に行くのが気まずい。いや、幽々子は気にしていないと思うんだけど、僕が気にするというかなんていうか・・・。我ながら情けない性格だ。
こういうことを相談できる友人は外の世界だといないし、こっちだとほとんどが女だから相談しにくい。
森近さんは色恋語に興味がなさそうだし。

「うーん」
「どうしたの、良也さん?久しぶりにこっちに来たと思ったらそんなに悩んで?”しゅうしょくかつどう”とやらは、もう終わったのでしょう?」

台所にお茶を汲みに行っていた霊夢が戻ってきた。

「いや、それとは別のことなんだ。これからどうしようか考えてて」
「ふーん。でも、それって幽々子へのお土産でしょう?さっさと逢いに行ったら?」
「Pardon me? 」

なんかきれいな発音の英語がでた。英語で聞いたため、質問をよくわかってない霊夢。
僕は咳払いをして落ち着き、今度は日本語で、もう一度聞く。

「なにをいっているんだ?」
「だってねぇ。前、白玉楼へ泊まったとき、かなり高級な菓子の土産もって行っているし。物憂いな様子だし。わかるわよそれくらい。・・・それに、相手が幽々子なら、とっくに良也さんは喰われてるんでしょう?だったら、気にすることもないんじゃない」

なんてことをお茶を飲みながら済まして言う霊夢。というか、おい、ちょっとまて。
なにか不穏なことを口走らなかったかこの脇巫女?

「・・・イマナントオッシャイマシタカ?」

霊夢に片言の日本語で発言内容を確認する。

「・・・?高級なお土産ってとこ?」
「・・・その後」
「とっくに良也さんは喰われて「わー!?わー!??!」ってうるさいわね」

なんでわかった!?!?号外にはそんなことは書いてなかったはず!
恥ずかしくて顔が熱い、というか、体が熱い、物理的に!!お茶を盛大に膝へぶちまけた!!!
落ち着いて、氷符で自分を凍らせるためにスペルカードを取り出したところで、

「はぁ、良也さん。落ち着きなさい」

霊夢は嘆息しながら僕の手からスペルカードを取り上げた。

「というか、なんで霊夢は落ち着いている!年頃の女の子がそういうこと言うんじゃありません!!」
「そういうことに興味がある年頃なのよ」
「・・・欝だ死のう」
「良也さんは死なないでしょ。もう押し倒されちゃったんだし、いまさら遠慮する必要はないんじゃない?」
「・・・・・・そうなんだけど」

能力で体を冷ましつつ、自分の感情が一周して落ち着いたところで、空になった湯飲みにお茶を入れる。それを一口飲んで、もう一度、同じ言葉を繰り返す。

「そうなんだけど。はぁ〜〜」

僕は腹のそこから押し出すような、深いため息を吐く。
こんな年下に自分の悩みを見透かされるなんて、僕は情けなさすぎる。

でも、いいきっかけになった。そろそろ僕が積極的になってもいいだろう。

就職も決まったし、大学も卒業するに十分な単位もある。うまくすれば、暇な時間が一ヶ月ほど作れる。

「うん、決めた!よし、僕は今から外の世界へ帰る」
「どうしたの急に?」

僕の行動を見て、淡々と聞いてくる霊夢。・・・ちょっと怒ってない?

「いや、準備のために帰る。こうなったら僕も腹を括った。一ヶ月くらい白玉楼へ居候してやる!!」

ええい、うじうじ悩んだってしかたがない。僕だってやるときはやるんだ!!
そんな僕をみて霊夢は、ちょっと呆れた声でからかうように、

「やる気になっているところ、水を差すようで悪いんだけど。男女逆じゃない」
「なにが?」
「だって、それ、押しかけ女房でしょ?」

それでも、背中を押してくれるような笑顔で僕を送り出してくれた。
でも、帰るときに賽銭をねだられた。霊夢には相談に乗ってもらった手前、邪険に扱えない。賽銭はお菓子売りをしていから手持ちがなかったので土産を渡しておいた。

・・・僕もこれくらい自分に正直なほうがいいかもしれない。




 

 

 

 

 

 

と、いうことで一週間後。
いろいろ準備をして、僕は白玉楼へやってきた。

「たのも〜う!!」

気合を入れて、大きな声で挨拶をする。ふっ、今日の僕は一味違うぜ!!

「いらっしゃい、良也、ずいぶんと久しぶりね」

ここで、いつもなら妖夢が出迎えてくれるはずだったが、今日は、珍しく幽々子が出迎えた。
えーっと、はい?なんか、その、あれ?

「どうしたの固まって?」

僕が固まってしまって、不思議そうな幽々子。落ち着け、別に久しぶりに会っただけだ。
いつも通り振舞えばいい。一呼吸して普通に挨拶をする。

「久しぶり、幽々子。いつもなら妖夢が出迎えにくるから吃驚して。妖夢はどうかしたのか?」
「あら、妬けるわね。久しぶりに私に逢ったのに妖夢の心配なんて」

僕の様子を見て察しがついたのか、幽々子はからかうようにくすくすと、ひとしきり笑ってから、

「でも、ちょうどよかったわ。今から一人で寂しくお茶を呑むところだったの。良也も一緒にどう?詳しい話はそのときにゆっくり聞かせてもらうわ」

そう言って、優雅に踵を返して屋敷の奥へ向かう幽々子。あー、なんか出鼻を挫かれて主導権をあっさり奪われた。僕も変に片意地はっても仕方がない。幽々子の言うように、お茶を飲みながらを話そう。

それにしても、妖夢はどうしたんだろう?人里にお使いでもいったのだろうか?





とりあえず、いつも使っている客間に大荷物をおいて、今は台所でお茶の準備をしている。
さすがに、幽々子にお茶を入れてもらうわけにもいかないだろう。一応、家主だし。
台所には茶道具が一式置いてあったため、本当に自分でお茶を用意して呑むつもりだったらしい。

ちなみに茶請けは持ってきた土産。今回はオーソドックスにお饅頭にしてみた。二人分を大皿と小皿に分けてもって行く。どっちがどっちかは言わぬが華だろう。皿を分けておかないと、僕の分が気づいたらなくなってるし。用意が終わって居間に向かう。

「ありがとう、良也」
「いいよ、よく神社でもやっていることだし。じゃ、いただきます」
「いただきます」

そういって、二人でのんびりお茶を飲む。

しばらく他愛もない話をする。最近の外の世界の生活のことだったり、食べ物のことだったり、僕の家族のことだったり。こっちに一ヶ月くらい居候することはまだ話してない。妖夢が帰ってきたら一緒にしようと思っている。

決して、気後れして言い出せないのではない。二回説明する手間を省くだけだ。

それにしても妖夢が人里に行ったなら帰ってくる頃合いだが・・・はて、どうしたのだろうか?

「そういえば、妖夢は?今の時間ならもう帰ってきそうだけど?」
「そうそう、言うのを忘れていたわ。先週から妖夢は地獄へ出張中なの。一ヶ月くらい」

・・・はい?

「あー、そうなんだ」

なにかとんでもないことを聞いた気がする、混乱している頭を落ち着けるためにお茶を飲んでみよう。
でも、それはとっくに空になっていた。急須のお茶も無い。妖夢もいない。しかも一ヶ月。僕も一ヶ月居候。二人っきり?幽々子と?ちょうどいい、お茶をいれに台所に・・・

「そうなのよ。あなたにはちょうど良かったみたいだけど?」
「っ!??!??」

僕は本格的に混乱してきて、幽々子の声で我に帰る。よし、あたって砕けろだ。

「一ヶ月くらいここに居候させてもらっていいか?・・・ちょうど外の世界も暇なんだ」

ようやく本題を話す。幽々子も最初から気づいていたみたいだし、もう色々とぐだぐだだ。それに、最後の言葉は『一緒にいたい』といえず、別の形になってしまった。・・・ヘタレな僕。
幽々子はからかうような笑顔で、

「もうちょっと、気の利いた言葉を用意しときなさいな。私も良也と一緒に過ごしたいから、それくらいいいわよ。これから一ヶ月よろしくね」

と、答えてくれた。
・・・でも、断られなくて良かった。それにしても、ストレートに『一緒に過ごしたい』と言われて顔が赤くなるのがわかった。



なんかどっと疲れた。のどもカラカラだ。はぁ、とりあえず部屋へ戻るか。

「そろそろ部屋に戻るよ。荷解きしなくちゃいけないし」
「そう?それは後にして、良也が頑張ったご褒美にお酒でも呑まない?」

また、顔が赤くなるのがわかった
あぁ、酔っていないと恥ずかしくて仕方が無い。もう、こうなりゃヤケだ。酒に逃げる!

「ちょうど良かった。今、すごくお酒が呑みたくなった」
「ふふふ、それはよかった。取っておきのお酒を持ってきてあげるわ」

そんな僕を見て、満足げな顔をして笑った後、足取り軽く台所の方へ消えていく幽々子。まだ自分が顔が赤いのがわかる。でも、一ヶ月はこっちにいるのだし、これから慣れていけばいい・・のか?

 

 

結局、酒にも逃げれなかった、と、そんなことを考えながら、幽々子から酌をされたお酒を呑む。
顔が火照るくらいの量を呑んだが、ばっちりつまみがあったし、幽々子が酌をしてくれるからペースもあげれないから酔いをまわす事ができない。あと、酒にも理由ある。

「それにしても、『あの時』のお酒か。・・・別に、おいしいからいいけどさ」
「ふふ、取っておきと言ったでしょ?」
「でも、なんていうか。あの時と変わらず男女逆で悔しいというか、情けないと言うか」

はぁ。そんなヘタレな僕が憂鬱だ。お酒も入って、かなりダウナーな気分になる。

「まったく、そんな落ち込んで。・・・んー、いいことを思いついたわ。良也、ちょっと目を瞑って」
「・・・なんだ突然?顔に落書きとかするなよ?」

言われるがままに僕は目を瞑った。なにか小難しい事を言うのだろう。以前、神社の宴会で『月が雲に隠れていても想像でより綺麗な月を楽しむことができる』みたいなこと言っていたし。

「大丈夫よ、優しく慰めてあげるわ」

そうして、桜の匂いがした。
口に儚い感触が触れて、口の中にうごくものがある?目を開けると、前に顔があった。
何故か、幽々子にディープキスされていた。おどろいて少し口が開いたら舌を絡みとられた。

室内にはぴちゃぴちゃと、水音だけが響いている。

その内、僕はだんだん気持ちよくなってきて、意識が朦朧として力が抜けて後ろに倒れた。
その拍子に口が離れて、唾液の橋がかかっていた。そんな淫らな光景を見てさらに桜の匂いが強くなった気がする。

意識が霞がかかったようにはっきりしない。ただ、桜の匂いが強くなっていく。

「・・・ゆゆこ?」
「それじゃ、一緒に行きましょうか、良也」

僕はその声にいざなわれるように、桜の匂いに誘われるように着いて行った。
その後ことはよく覚えていない。ただ、この世のものとは思えないくらい気持ちよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・前に見た夢だ。
とても大きな桜。西行妖の夢だ。前と違うのは、最初から満開であることと、僕が桜の下にいること。
ここまで近くで見ていると、引き込まれるくらい綺麗だ。

どれくらい時間がたったのだろう。西行妖に見蕩れていると、ふと、隣に誰かがいる気配を感じた。
それは、前に見た、昔風の衣装を着た幽々子がいた。でも、とても儚くて今にも消えてしまいだった。

『・・・・・・幽々子?』

名前を呼んでも、こちらを見ることなく西行妖を見上げている幽々子。
前は引き止めることができなかったから、今度は、と手を伸ばした。
でも、その手が届く前に、初めから誰もいなかったように幽々子が消えた。

 

『えっ・・・!?」

目を開けると、隣にいる笑顔を浮かべている幽々子がいた。とりあえず、おもいっきり抱きしめてみた。
二人ともなにも身に着けていためか、幽々子の体温がしっかり伝わってきてとても安心できた。

「あら?どうしたの良也?」
「幽々子が西行妖の下でいなくなる夢を見たから」
「・・・・・・そう」

いままで聞いたことのないようなか細い声だった。
気になったから抱きしめたまま、顔をずらして幽々子の顔を見てみる。
なんだか喜んでいるような悲しんでいるような変な顔だった。その表情のまま幽々子は、

「ねぇ、良也、私は私を忘れてしまったけど、あなたは私を覚えていてくれるのかしら?」

このまま消えてしまいそうな儚げな様子で言葉を紡いだ。
僕には、それがどういう意味なのかよくわからなかったけど、幽々子を安心させたかったから、

「うん、覚えているよ。幽々子の分まで、僕がちゃんと覚えておく。ずっと、ずっと」

そう告げた。この答えは間違えじゃなかったと思う。

 

 

 

だって、今の幽々子の顔は花が咲くという言葉がぴったりの、綺麗な笑顔だったのだから。




 

 

 

 

 






あとがき
きっと、この後の同棲生活は展開は18禁で
埋め尽くされそうな感じのエロエロ甘々です。
各自、想像で補完してください。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

それでは、また
ネコのへそ

初稿 2011/3/25






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