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アースラ艦内の作戦行動用通信室には多数のディスプレイが表示されており先行したヴィータとシグナム。 フェイトとミルズの状況が直ぐに把握できるようになっていた。 その部屋に居るのは八神はやてとベルカの守護獣であるザフィーラ。そして騎士甲冑姿のシャマルだった。 ディスプレイの一つには砂の世界の二人。もう一つにはプロトクリスタルを目の前にしたフェイトが映っていた。 氷の世界。コキュートスに赴いた二人は砂の世界の二人よりも先にプロトクリスタルを見つけ出し、回収作業に入った様だった。 ザフィーラは氷世界の映像を見て此方は問題が無いだろうと思った。むしろ今はヴィータ達の方かと主であるはやての方に視線をむける。 八神はやてはヴィータと通信をしていた。 「……だから。シャマルをこっちに遣して欲しいんだよ」 ヴィータの話によると、クリスタルがある場所はシグナムとヴィータだけではたどり着けないらしい。 彼女達の話によると反応の真上に来てはいるのだが神殿らしい物が見当たらない、シャマルの力が必要との事。 はやては彼女達の方にシャマルを送る事にする。 「わかった、シャマルをそっちに送るから気いつけてがんばるんやよ」 「では向かいますね。はやてちゃん」 「たのむよシャマル」 シャマルは直ぐに部屋を出て行き、砂の世界に転移するためトランスポーターに向かっていった。 通信を終えたはやてはフェイトの映るディスプレイをみて考える……今までの番人達の出現パターンはクリスタルの位置から離れていない所に転移してくる。 なぜ分かったのかと言うと雷属性のプロトクリスタルが番人側に落ちた事を、ついさっき知らされたのだ。 報告によると。雷のクリスタルがあったのは管理第三世界ヴァイゼン。 そこの聖王教会が管理する地域の地下洞窟の中にあった。そこは地盤が脆く危険な場所で教会騎士団が洞窟管理を行っていた。 騎士団により結界が施された洞窟ははやてクラスの魔力をもつ魔導師であったとしても容易に突破できる物ではない。それを簡単に奪うにはダイレクトに転移するしかない訳だ。 クリスタルルーム自体をロストロギアとしてみていた騎士団は部屋自体には結界を施してはいなかったのだ。 事実番人を目撃した騎士団の話によれば、転移魔法でクリスタルの付近に現れて持ち去ったとの事。 聖王教会では雷のプロトクリスタルを古代ベルカ時代のエネルギー結晶体として考えていたのだが、番人が持ち去った為にプロトクリスタルという事が判明したのである。 (だとすると……フェイトちゃんの方も安心は出来ないんちゃうやろか……) はやては残っている家族の一人の名を呼ぶ。 「……ザフィーラ?」 「はい、ここに」 人形態のザフィーラがはやての斜め後ろに立つ。夜天の主の顔をしたはやてが彼に目だけを動かし命令を出す。 「フェイトちゃんの方に向かってくれるか? 何か嫌な予感がすんねん」 「お任せを」 答えたザフィーラははやての視界から消える。 (私も前線に出れたらいいんやけど。リィンがおらん今はかえって魔法が暴発しかねんし……シグナム、ヴィータ。シャマル、ザフィーラたのんだよ?) 一人通信室に残ったはやてはクロノにも連絡をとる。 「クロノクンか? はやてです……」 彼女がクロノと話をはじめた頃。フェイトを映していたディスプレイが放送終了のテレビの様に機能しなくなった。 フェイトとミルズは氷の世界コキュートスにいた。辺り一面の白銀の世界。 その世界で二人は戦っていた、番人の一人と。 反応を追ってこの世界にある氷のクリスタルを見つけたまでは良かった。 今までのクリスタルとは違い、コキュートスのクリスタルは外に存在していたのだがはやての考え通りエウリュトスとかち合ったのだ。 本調子ではないミルズと体格差のありすぎるフェイトでは手の打ちようがない。アースラのはやてに連絡しようにもエウリュトスの仕業か通信妨害を受けている。 「いい加減にしてくれませんかね? 相手にするのも疲れますよ?」 二人と戦いながらもエウリュトスはため息をつく。 「でも。これが私たちの仕事ですから……」 フェイトはあきらめてくださいと言う様な声を出す。 エウリュトスはフェイトとミルズを相手に弓のデバイスを使用せず、基本的な魔法のみで戦っていた。 フェイトは思う、この人もグラトニーと同じかそれ以上の力を持ってるんだと。 弓士はフェイトミルズのペアなんか本当にどうでもいいような発言を返す。 「ん~でも。そろそろクリスタルを持って返らないとね。グラトニーは怖いからな」 「素直にもっていかせると。思うなよ……」 グラットンソードを構え近接戦闘を仕掛けながらミルズが必死に敵愾心を煽る。 「そんなへたな挑発に……乗る訳が無いでしょうに」 仕掛けられた攻撃をサラリとかわし緑の長い髪を揺らす弓士。二人の戦いは尚も続く。 「では敢えて聞こう。蒐集をしているのはなんの為だ?」 「さぁ? なんででしょうね?」 ミルズの問いかけにおどけてみせるエウリュトス。 〔インデックスを開放するつもりか? エウリュトス〕 ミルズは敵対している弓士に遠話(えんわ)を行った、エウリュトスの眼が真剣さを帯びてくる。 〔貴様何者だ? 遠話【ログ】を使うって事は、少なくとも本国の縁(ゆかり)の者だな?〕 ミルズは眼を細め、エウリュトスを睨む。 〔そんなことはどうでもいい答えろ。インデックスを開放するつもりなのか?!〕 二人が睨みあう中。突然、周囲に雷雲が立ち込めた。白銀の世界に黒い雷がはしる。 「なに? この雷……」 フェイトは二人の睨み合いの最中に生じた雷に反応する。 落雷した場所から一人の少年の姿が見える。 フェイトより少し高い身長。紫のボサボサの髪、青紫のバリアジャケット。 ラースと同じく赤い瞳。ベスト状の上半身で腹は露出し形のいい腹筋が見え下半身はキュロットを身につけている。 プーレーヌ状の靴を履き。上腕部には小さい小物入れの様なベルトつきの物を巻きつけアムレットを手に装備。 右手には湾刀状の剣が握られている。 少年は、いかにも気だるそうにエウリュトスの方を見ると。左手で左耳をほじくりながら言う。 「エウリュトス。グラトニーのおっさんがまだ戻らんのかって怒ってんぞ?」 ミルズと睨み合いをしていたエウリュトスは表情を戻した。 「すまないねグリード。この二人が厄介にも邪魔をしてくれてね作業が進まないんだ。ちょっと手伝ってくれるかい?」 ミルズとの遠話の時とは違っていつもの口調で言う弓士。 「殺っていいのか?」 少年はフェイトとミルズを一瞥すると、エウリュトスに確認をした。 エウリュトスはこの問いかけにミルズを殺す様に指示する。 「黒い甲冑の方は確実に殺してくれると有り難いね」 「オーケー」 軽く答えると足元にミッド式魔方陣を出現させる。エウリュトスがその行為を確認するとクリスタルの方に向かう。 「まちなさい!」 フェイトは叫びエウリュトスの元に急ぐ、ミルズも同じように追うが。二人の進行を妨げる様に黒い電撃が襲い掛かる。 「させるかよ! 黒龍雷覇(こくりゅうらいは)サンダーボルト!」 回避行動をとる二人。少年はミルズの方に狙いを定め湾刀でミルズを薙ぎにいく。 ミルズはグラットンソードで受けるも力負けして吹き飛ばされた。本調子でない彼のことを心配し叫ぶフェイト。 「ミルズ!」 ミルズが意外に踏ん張らなかったのでつまらないという不満から声をだすグリード。 「あいつ弱いな七罪の番人一の雷使い。グリード様が相手にするまでもねぇ」 フェイトはバルディッシュのカートリッジをロード。ハーケンフォームから魔力刃を作り出し大きく振りかぶりグリードに放つ。 「ハァー!」 掛け声に呼応しバルディッシュも発声する。 【HakenSaber】{ハーケンセイバー} 回転を加えられた金色の魔力刃がグリードに向けて牙をむく。 「オ?」 グリードはフェイトの放った魔法を湾刀で切りにいく。金色の魔力刃と黒色魔力を纏った湾刀がぶつかりハーケンセイバーは湾刀により切断された。 切られたハーケンセイバーから電気の飛沫が生じる。 それを見たグリードは。ヘェ? というような顔をしてフェイトの方に興味を移した。 「お前、少しは電気を使えるみたいだな?」 黒い死神のようなイメージのバリアジャケットを着込むフェイトにニヤニヤとするグリード。フェイトはバルディッシュを構えなおしグリードを睨みつけて言い返す。 「だから何だ?」 グリードは湾刀をフェイトに向けて水平に突き立て一気に詰め寄り叫んだ。 「さっきの黒い鎧の奴よりも先にお前からやってやるか……いくぜ…金髪の、へ・び・頭!」 グリードとフェイトの空中戦が繰り広げられる。 フェイトは持ち前の高速機動で大空を縦横無尽に駆け巡りグリードを間合いに入らせない。 スピードには定評のある彼女だ。神殿内部のようなインドア戦ならいざしらず、大空のようなフィールド戦でフェイトに適う機動を持つ者などそうはいないだろう。 あまりにも複雑に動き回られて頭にきた雷少年は怒鳴って湾刀を振り上げた。 「ちょこまかすんじゃねぇ! 蛇あたま!」 グリードは湾刀に魔力をこめてフェイト目掛けてそれを振る。 (何をしてるんだ間合いは見切ったはずだ。ここまでは届かないはず) フェイトはグリードの行動が不可解だった。だがすぐにそれが自分の足止めのためだと理解させられた。 移動力では自分の方が上だがグリードの放った魔法はフェイトの高速機動力を上回る速度を出していた。 黒い光の雷がヘビ状態になってフェイトの足に絡みつく。フェイトはグリードのサンダーバインドによって高機動の機会を失う事となる。 「しまった!」 捕まったフェイトは叫んだ。この状態では相手との距離が限定されてしまう。 「つかまえたぜ?」 捕まえればこっちの物と言わんばかりのグリード。フェイトは得意げになってるグリードの顔を見つめ言う。 「私を捕まえても……君は何も出来ないよ?」 「何? 負け惜しみ言ってんじゃねぇだろうな?」 グリードはサンダーバインドによって捕まえられた少女がここからどうやって抜け出るんだ? という感じで勝ち誇る様に言う。 フェイトはそんな勝ち誇る少年にこうだよ? と愛機の名前を叫んだ。 「バルディッシュ!」 【yes sir】 【plasmaLanser Multishot】{プラズマランサーマルチショット} バルディッシュが発声するとグリードの周囲に金色の円形状の射撃スフィアが十六個出現した。 「なに?」 グリードはいつのまに? というような顔をするがすでに遅い。 機動合戦中にあらかじめ術式を構築し発動寸前で留めておき反撃の機会を狙っていたフェイトの頭脳プレーだった。 複雑な動きをしていたのは設置ポイントを増やすためにしていたのだ。彼女の脳裏には親友の顔が浮かんできた。 (この間。模擬戦でなのはにやられたんだけど役に立ったかな) 親友の方法を以前は汚い! と言っていたフェイトだったが、実践してみるとこれほど助かるものなんだと実感していた。 「ファイア!」 フェイトが命令を下す。八発の金色槍がグリードに襲い掛かる。 「くそ!」 サンダーバインドを解除して回避に専念せざる得ないグリード。 「バルディッシュ。次!」 のこりも起動させて8X2の金色槍でグリードを追い詰める。 槍を切り結び撃退していくグリードだが、フェイトは凶悪にもフォーミングターンも付加していた為に避けたランサーが再び襲い掛かってくる。 「しつこい攻撃だ、あったまくるぜ!」 もう結果は見えていた。さばききれないランサーが距離を短縮していき攻撃の間隔がだんだんと早くなっていく。 結局。4発のランサーがグリードにヒットした。 墜落するグリードを見てフェイトは「ふぅ」と安堵の息をもらす。 「なかなかクレバーな戦いをするな?」 「え?」 フェイトは背後に気配を感じ振り向こうとするが青い光によって手足をバインドされる、 (いつのまに?) フェイトの胸に刃物のような感触が感じられる。 「だが。勝利の余韻は最大の隙になることを覚えておくことだな」 フェイトの目の前に青い髪のオールバックの男が現れる。 刃物と思われたものは槍の矛先だった。手槍ともいえるような短い槍。 「恨みはないが。死んでもらう」 槍に力がこめられフェイトの胸に槍の切っ先が徐々に沈んでいく。 フェイトの顔がみるみる青くなっていく。 (このまま殺されるの?) 震えるフェイトの頭上から叫び声が聞こえた。 「ておあぁぁぁ!」 声が空間に響き手槍を打ち砕く音がする。 フェイトの視界に白い影が見えたとおもったら目の前の男が吹き飛ばされた。 フェイトの窮地を救ったのはベルカの守護獣ザフィーラ。白い影と思えたのは彼の尻尾だった。 フェイトのバインドを解くベルカの守護獣。 「すまない、テスタロッサ・ハラオウン。遅れた」 「ザフィーラ?」 フェイトは此処にザフィーラが来てることが理解できなかった。通信妨害をされて連絡もできていなかったし。 「主がこちらに助勢するよう命じられた。間に合ってよかった」 さっき吹き飛ばした男から視線をはずさずに言う。 「ありがとう、ザフィーラ」 自分の窮地を救った守護獣に礼をいうフェイト。同時にザフィーラを送ってくれたはやてにも感謝する。 「気にすることはない」 我の役目はこう言う事なのだ。さらりと流すザフィーラはここは任せろと次の言葉をフェイトに言う。 「ヒューディが気になる。ここはいいから行ってくれ」 フェイトは頷いてミルズの元に向かった。彼女を見送ったザフィーラは槍の男と対峙する。 「ふむ、お前アニメーガスか?」 ザフィーラの容姿を見て男はそう言った。 ザフィーラは『アニメーガス』の言葉にひっかかりを感じたが答える。 「我は、ヴォルケンリッターが一人。盾の守護獣ザフィーラだ!」 「俺は七罪のスロウス」 ザフィーラに名乗りを終えるスロウス。彼の目の前には赤い槍が出現する。 「そしてこれは再生する槍。ゲイアサイル」 スロウスが槍を手にすると今までの服から騎士甲冑姿に変化する。 青いオールバック、更に深い青みを持った瞳。黒いぼろぼろのジュストコールを身に付け黒いズボンを着用する。 ザフィーラが両拳を構えいざ戦いが始まると思えば、スロウスは反転しザフィーラに背中を向けた。 「しかし、今は他に優先すべきことがある」 男はそういうとフェイトが去った方向に凄い速さで飛んでいく。 「まて!」 ザフィーラも槍士を追うために飛んだ。 グリードはランサーが命中したにもかかわらず、わずかの時間で覚醒していた。 あれだけの攻撃魔法を受けはしたが、フェイトは非殺傷設定魔法を使っているのだ殺す事なんかは絶対にしない。 だが予想以上の速さで気がつけたのは彼自身が持つ耐電体質のおかげであろう。 「あのヘビ女め……」 頭を数回横に動かし首をコキコキ鳴らして意識をしっかりさせる少年。 グリードは似た年齢の怪力ですわ少女を脳裏に浮かべる。 「このままじゃラースあたりに。ほんと使えませんですわ。とか言われちまう」 そこに空中を横切るフェイトが見えた。 彼女はグリードに気がついていない。かなりの速度なのでアッと言う間にグリードの視界から消え去った。 「あのアマ、次こそはぶっ倒す」 グリードはフェイトに再び攻撃する為に飛び出し彼女を追った。 ミルズはエウリュトスと再び対峙していた。すでに氷のクリスタルを回収されてしまったが転移魔法を使わせる暇を与えない。 逃げるエウリュトスを執拗に追う。彼は空から地上にエウリュトスを追い込んだ。 追い込まれはしたがエウリュトスは攻撃魔法の手は休めない。ミルズはエウリュトスの放つ魔法を叩き落しながら叫んでいた。 「エウリュトス! インデックスを開放するつもりならやめろ。お前は又繰り返すつもりなのか? あの惨劇を!」 「しつこいね君も。しつこい男は女性から嫌われるよ?」 エウリュトスの魔法とミルズのグラットンが相対する中、フェイトはこの場所たどり着いた。 「ミルズ!」 「ここで彼を逃がしてはいけない。クリスタルを奪取された!」 ミルズに返事を返す為に叫んだ。 「わかった。1分持たせて!」 ミルズは頷くとグラットンソードに力を込める。 フェイトが何故時間を指定したのか? 彼女はこの魔法の行使を以ってケリをつけようと画策したのだ。 彼女の身体を覆うマントが風もないのにバタバタと揺れ始めた。魔力放出による力場の乱れからくるマントの揺れだ。 「アルカス クルタス エイギアス……」 バルディッシュを自分の目の前に直立させフェイトは詠唱を始める。バルディッシュは残っている全てのカートリッジを激発させる。 「疾風なりし天神 今導きの元に 打ちかかれ」 フェイトの周囲ではランダムにミッド式魔法陣が現れては消えていく。 「バルエル ザルエル ブラウゼル……」 足元に極大の金色の魔方陣が形成される。 「いくよ? バルディッシュ」 愛機に声をかけフェイトは発動キーを口にした。 「プラズマランサー、ファランクスシフト!」 【PlasmaLancerPhalanxShft set】{ファランクスシフトセット} 「ファイア!」 合計1086発。光の槍の乱舞がエウリュトスに注がれる。ミルズは絶妙のタイミングでシフト外に離脱する。 次々に命中していく光の槍。彼女は全ての魔法力を槍のコントロールに回す。 「ここで……終わらせる!」 フェイトが声をあらげると残った全ての槍が当たり終え、周囲にはものすごい魔力煙が立ち込める。 フェイトとミルズの二人は同じ位置。空中でエウリュトスの確認をする。 煙が晴れていくとミルズは信じられないものを見るように声をだす。 「馬鹿な……千発以上のプラズマランサーを受けて平気なはずが……」 エウリュトスは立っていた。彼の隣では間に合ったのかグリードとスロウスが防御魔法を使って彼を庇う様に立ってはいるが、二人にはダメージが入っている。 「さすがに、無傷とはいかないですがね……」 エウリュトスはミルズに答えると弓形デバイス。ヴァーリボウをフェイトに向け構えた。 「あれだけの儀式魔法ですからそっちは打つ手もすでにないでしょう? ラスト復活までは戦いは避けたかったのですが……」 エウリュトスは弓の弦を引く。ギリギリと唸りをあげて彼の弓は魔法の起動を開始する。 「もうだめですね……お前達はやりすぎた」 ヴァーリボウの前に魔力が集まっていく。 なのはのスターライトブレイカーと同じように流星状に魔力光が振りそそいだ。 弓と弦の間に魔力の矢が番(つが)えられる。 「アーチングブラストエンピリアルショット」 ヴァーリボウから緑の砲撃が放たれフェイトに襲い掛かる。エウリュトスはスターライトブレイカーと同種の収束砲撃魔法を使ったのだ。 先の魔法(ファランクスシフト)で体の反応がにぶくなってるフェイトは。避けられないと苦言をもらす。 「ここで、朽ち果てるのですね!」 弓を構えたままでエウリュトスが吼える。 「うおおおおおおお! 鋼の軛(くびき)!」 スロウスを追っていたザフィーラがアーチングブラストから二人を守るため。 フェイトの目前に立ち防御を試みる。軛(くびき)がザフィーラの前に何本も出現し収束砲撃を防いではいるが威力自体を殺せてない、かろうじて止めてる感じだった。 フェイトはザフィーラに叫ぶ。 「ザフィーラ、無茶だ!」 「無茶でも。やらねばならん時がある!」 ここで守らねば二人は終わる。ザフィーラは軛に魔力を送りさらに強固にしていくが ピシ ピシとヒビがはいっていく。 防御に定評のあるザフィーラでも威力を押さえ込めない。ミルズは下唇を噛む。 (ここで終わる訳には……最悪あれを使うしかないのか?) ミルズが奥の手を出そうか考えていた時に彼等の上空から、男の声で呪文詠唱が響き始めた。 「悠久なる凍土 いてつく棺のうちにて 永遠の眠りを与えよ……」 エタナールコフィン。 クロノが自身最大の凍結魔法で砲撃の魔力を凍結。さらに分解させて無力化させる。 氷と化したアーチングブラストは氷の結晶となってコキュートスの空に消えていった。 「クロノ!」 ミルズとフェイトが同時に叫ぶ。クロノは空から見下ろしデュランダルを突きつけ番人達三人に告げる。 「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。エウリュトス以下ニ名。次元世界騒乱罪他の容疑で逮捕する」 クロノのお前達はチェックメイトだ! という宣言に対しエウリュトスは余裕をもって対応した。 「残念だけど、時間切れだ。転移魔法構築の時間は稼げた又の機会にさせてもらうよ?」 僅かの間での転移魔法の構築。彼らの足元には緑の魔法陣が光を放っていた。 敵ながら食えない奴であるエウリュトスはクロノに返事をすると、光の中に消えていく。 「金髪へびあたま、次はおれが勝つ! 首洗ってまってろよ!」 グリードはフェイトを指差し睨んで吼えるとスロウスと共に消えていく。 はやてはシャマル、ミルズから報告をうけた。どちらも回収に失敗という結果だった。 「そうか、だめやったんか……」 アースラに戻った面々は意気消沈する。特にフェイト達の方はあれだけ追い詰めながらも逃げられてしまっていた。 「となると残りは後ニつ……何か新しい事は分かってないん?」 はやては残りのクリスタルの残数を口にしユーノに質問をする。ユーノは首を横に振る。 「今のところは何も……」 「そうかぁ」 はやても肩を落とす。 シグナムとザフィーラが怪我を負いフェイトミルズがかなりの魔力の疲弊。 前衛で今動けるのはヴィータのみだった。正直な所、今回の失敗は痛い。 シャマルは医療室に向かい、シグナムや負傷疲弊したメンツの診断と治療をする。 フェイトは魔力疲弊が激しくすぐの出撃は無理と判断し、休息の必要性を報告書に記入する。 シグナムはエンヴィーとの戦いでかなり体力も魔力も消耗しておりはやてからの魔力リンクの必要性があると判断した。 ザフィーラの治療をしようと準備をするとザフィーラが医務室にはいってきて人形態で治療椅子に座った。 シャマルは回復魔法をかけながらザフィーラの怪我した部分に包帯を巻いていく。 「シャマル……」 治療を静かに受けていたザフィーラだったが、湖の騎士に自分が感じたひかっかりを相談しだす。 「アニメーガスって言葉、お前は何のことか解るか?」 「アニメーガス?」 聞き慣れない言葉に詳しく話を聞くシャマル。 「ウム、先の戦いで相手にしたスロウスという者が我を見てそう言ったのだ」 ザフィーラはその言葉に何か感じるものがあるのだが、その正体がわからないと述べる。 シャマルも七罪の番人相手に体の違和感を感じたし、ヴィータもシグナムも似たような事を言っていた。 「正直アニメーガスという言葉は知らないわ……でも……私の憶測にすぎないのだけど」 シャマルは断ってからザフィーラに思ってることを伝える。 「七罪の番人と私達。何処か深いところで因縁があるのかもしれないわね……」 ザフィーラに答えはしたが、彼女の表情には困惑の色が出ていた。 ミルズは医務室で簡単な治療を受けた後、艦長のリンディの所に向かう途中だった。 通路には彼が歩く音がコツコツと静かに鳴り響く。前回の戦闘、そして今回。自分の力の無さを痛感する。 (やはり……クロトを使うしかないか……) しばし歩みを止め遠話(えんわ)を使用する。エウリュトス戦でやったあれだ。 (起きているか? クロト) (はい……マスター) 姿は見えないがログに相手の声が聞こえる。ミルズは遠話相手に奥の手の使用リスクがどのくらいか問うのだ。 (今の私が君の力を使った場合。体の負担はどの位と見る?) (…………) クロトと呼ばれたログの相手は、かなり考えてから答える。 (今のマスターの状態で、私の力を開放すれば92%の確立で体の崩壊を起こすでしょう) (そうか……そこまで高いか……しかしこのままでは……) ミルズは冷静な答えに。どうしたものかと考え込む。 (くれぐれもお体を。ご自愛下さいますように……) クロトと言われた相手は彼に体の事を考えろと伝えるとログを切った。 艦長室に着いた彼は扉前で声を出す。 「ミルズ・ヒューディ広域特別捜査官。呼び出しにより参りました」 「どうぞ」 直ぐにリンディの声がして入室を促す。 「失礼します」 ミルズが艦長室に入ると日本の茶室の様な造りの部屋にクロノがすでに在室していた。 今回の失敗はアースラにとっては深刻な状況となった事がリンディから二人に伝えられた。 「それで、今回はメンバーの負傷疲弊もそうだけど。貴方自身もかなりのダメージを負ってるわ」 リンディは今後の行動をミルズに告げる。 「情報を整理しつつ、一度本局に戻ろうと思うの」 落胆するミルズをお茶をのみつつ横目で見ながらリンディは反応をみる。 本来は本局には戻らずこのままエルヌアークに出向く予定だったのだ。 だが現状ではアースラは一時帰還した方が良い。先にアースラの状況を伝えたのはミルズがなんと言うか見たかったリンディだった。 「そうですか……自分だけでもエルヌアークに向かおうと思いますが」 「お前なに言ってるんだ、一人でなんて無茶苦茶だ。今のお前は広域特別捜査官であってもアースラに所属という状態だ。単独行動特権なんか使えないんだぞ」 クロノはミルズの意見を否定する。 予想通りの反応が返ってきたので彼女はお茶を飲み干し、急須から再びお茶をいれ少し語気を強めて言う。 「貴方が提案したエルヌアークの再調査は別部隊に行ってもらう事にするわ。今は体と心を休めることに勤めなさいこれは命令ですよ? 別隊にはクロノに行って貰いますから」 リンディはそこまで言うとミルズにもういいわよと退室を促す。 ミルズが出て行ったあとにリンディはため息をついた。その後、クロノに喋る。 「彼……何か隠してるわね……エルヌアークにこだわりすぎてるわ」 クロノはミルズが出て行った扉を見つつもリンディに切り返す。 「そうかもしれません」 肯定するが次の言葉を本音として言った。 「でも、僕にとっては友人ですから。話してくれる事をまちますよ」 そういってクロノは艦長室を後にする。 「だといいのだけれど……男の子の友情ってやつなのかしらね……」 リンディはリンディスペシャルティをいつもの倍の甘さでのんだ。 ――魔法少女リリカルなのは 星の道光の翼 Distant Worlds―― 第六話 番人VS魔導師 あとがき 南です。此処まで読んで下さり有難うございます。 とりあえず言い訳します、今回の話でフェイトが使ったファランクスシフトですが、原作ではフォトンランサーファランクスシフトです。 彼女がこのシフトを使ったのが無印の頃であり、本作はそこから少し時間が経過していますのでプラズマランサーでもシフト行使ができるんじゃないか? そういった作者の妄想から生み出されております。 現在東方SSの方も書き込み開始しております。時間がちょっと掛かりますが書き上げたら投稿しますのでよろしくお願いいたします。 |
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