「申し訳ありませんでした!!!!!!!」
「って、なんで圭介さん謝ってるのよ」

 お前たちにはわかるまい、色々と内装を破壊したりメイドさんたちが怪我したりの光景を見てきた俺が、全てをこめてこう謝罪していることを。
 
「なんで謝ってるのか知らないけど、別にどうでもいいから早く立ちなさい」
「はい」

 どうやらこの紅魔館を取り仕切っているこのロリは寛大な心の持ち主らしいので安心したよ。
 まったく、どこかの巫女さんや魔法使いさんも見習ってほしいもんだね。

「おっと手が滑ったぜ!」
 
 そう言って脇腹に箒の柄が食い込んで真面目に痛いっていうか、何だお前は俺の心の中が読めているのか。
 さて、まずは現在の状況を説明すると、じゃんけんの結果。
 霊夢はグー。ロリはチョキというわけで霊夢の勝ち。だったので、今現在紅魔館の全兵力が降伏し、大食堂において一部の人間を入れての話し合いが行われている。
 ちなみに俺の座っている席から、みんなの席は若干遠い、今だに女の敵の烙印が消されているわけでもないようである。

「さてと、それじゃまず私がこの紅魔館の主、レミリア・スカーレットよ。名前を言わないとロリロリうるさいのがいるのでね」
「あの、なんでそれで俺を睨みますか?」
「現に圭介、お前だけが私をロリと呼んでいるからよ」

 そ、そりゃそうかも知れないけどさ。
 だって、背格好だってそれだしねぇ〜。

「もしかして圭介さんてそう言う趣味の人なのかしら?」
「失敬な!」
「でも、ケイちゃんってなんかそういう人っぽく見えるよね」
「ルーミアと知り合いだったて言う点も結構しいものね」

 ちょっとまてノーレッジ、そう言うお前は俺と知り合いだろうが。

「あら、パチェは圭介と知り合いなのかしら?」
「とても不快だけど知り合いね」

 紅茶飲みながら優雅に語ってくれますね〜。
 ええ、不快ですか。不快で申し訳ありませんでしたね。
 そんな感じであるが、大食堂にはだんだんと料理が運び込まれてくるわけである。
 そのなんだ、全部おいしそうなんですけど、これ一杯盛ってあったりとかしないよな?

「まったく、負けたからって一杯盛って殺そうなんてそんな低レベルなことするわけないじゃない」
「本当にそうかしら?」
「なら、先に私があなたの料理を全部食べてあげるわ。あなたは飯抜きになるけどね
「圭介さん先に食べて」

 はい、多分そうなることくらいは予想してましたよ。
 でも正直レミリアがこう言った卑怯なことをしそうには見えないわけであるし、っていうかチルノとルーミアはもう食べ始めてるし。
 っていうか、妖精は飯を食わなくても生きていけるんじゃないか?

「おいしい!」
「そーなのだー」
「なら食う」

 なんとも単純な巫女だなおい!

「お、これはうまいぜ。ん、圭介はいらないみたいだから私達で仲良く分けるから」
「って、まて俺もく―――」
「気安く触るな女の敵」
「はい」

 一瞬だけ、本当に一瞬だけ魔理沙の声がとても冷たく感じて、正直みんなが食べているこの席にいるのが辛いわけである。
 なので。

「ちょっとトイレ」

 そう言ってそうそうに大食堂から出るのである。
 なんというか、あそこには女の子たちだけの方がいい気がするんだ。多分、帰った頃にみんな俺のことを女の敵で認識し始めているだろうし。

「はぁ〜災難続きだ」
「そう嘆くこともないわよ圭介」
「へ?」

 横を見ればいつの間にかレミリアの姿、ってまてよくよく考えたらなぜ俺の名前をこいつが知っているんだ。

「圭介とみんなから呼ばれているからに決まっているでしょう」
「あ、それもそうか、でだ………」
「レミリアと呼びなさい。ロリっていったらもう一度首を切開してあんたの血を飲み干してやるわ」
「それは勘弁です」

 まったく、なんていうことを言うんだこいつは。
 とそんな感じで待機しているとレミリアが何やらこちらに来いと手招きしているわけだ。
 なんだ、なんだ?

「圭介、私がこの館を破壊されたことを本当に気にしていないとでも思ったかしら?」
「やっぱり気にしてましたか?」
「もちろんよ。できれば今すぐにでも徴収したいくらいにわね」
 
 それってかなり根に持ってるってことですよね。
 まて、それで何で俺がこんな話を一人で聞いている…………はっ!

「俺トイレに」
「今背中を向けたらその背中から背骨を本気で抜き取るわよ」
「おっと、おっと、それは怖すぎる話ですね〜」
「よろしい、で二つに一つを選ばせてあげる」

 やばい、なんだこの引きつけられるもの言いは、これがうわさに聞くカリスマという奴なのか。

「一つは今すぐにあんたの体にある血液を一滴残らず、私に貢ぐ」
「ちょ、それってなんて言う雑巾絞りだよ」
「もう一つはここの紅魔館に雑用として半年ほど務める」
「それってただの人手不足なんじゃ」
「さぁ、どっちにする。どちらでもなかったら、今さっき言ったことをすぐに実行するわ」

 それだけ言って静かになるレミリア。
 やばい、ここに局地的な異空間が誕生していて、その犠牲になるのは確実に俺だけっていう真実!
 まて、どっちが楽だろうかって、言われれば確実に前者だな。
 一回の苦しみですべてチャラ、もう願ったり叶ったりの状態だ。
 しかしだ。その〜紅魔館で半年雑用というのはなんか楽しそうだ!

「決まったかしら?」












「………………」
「え、えっと、なんだその、圭介だよな?」
「なんだよその反応はさ、っていうかなんで、なんでこんなことになるんだよ!」
「ふふふ、似合ってるわよ圭介」
「レミリア、嵌めやがったなちきしょう!」

 俺はヒラヒラしたスカートのメイド服を着ている。
 ええ、そうですとも紅魔館で半年雑用を選んだんだ。そしたらレミリアはこれに着替えろって、着替えろってさ

「少し童顔だし、髪も付け毛で伸ばして、さらに足も滑々してるからこれがいいかなって思ったのよ」
「絶対俺で遊んでるだけだろ」
「ふふふ、どうかしらね」
「口調が男だから意味ないだろ!」
「もしかしてあなた、自分の声が結構女声なのに気付いてないのかしら?」

 そう言われてそんなことないだろと思いながらすごい昔に、お前って女の声っぽいよな〜って言われたことがあったことを思い出した。
 でも、女にしては背が高いと思うんだ。これ気持ち悪いだろ!

「レミリアさん、なんてことをしてくれるんですか!」
「あら、お気に召さなかったかしら?」
「いいえ、いつかケイちゃんにコスプレさせてコミケ行こうと思ってたんで夢がかなった気分です!」

 レミリアの手を取りながら力説するんじゃない!
 って、思っていると俺の周りには人だかりが出来ている。

「圭介、もうお前は女の敵じゃない、女そのものだぜ」
「あの、ちょっと失礼かもしれないけど可愛いですよ」
「市ノ川、なんかきれいになったね〜」
「これは、咲夜さんに匹敵する美しさですよ。それにどこかかっこいいですね」
「このメイド服、前回のメイド服ね。久しぶりに見るわ」
「あたいの下僕にしては中々にきれいね! さすがさいきょーのあたいの下僕ね」
「なんか、女なのに負けた気分になるわ。はぁ〜」

 なぜ霊夢は溜息を洩らす。そしてなぜ俺がこんな恰好をしていることに本当の意味での突っ込みを入れないんだ!
 そしてふと見るとノーレッジがいて。

「ふふ、とても似合っているわよイチ」
「お前も突っ込まないのか?」
「ええ、似合いすぎてるもの」

 そんなに似合ってるのかと思い始めてしまう。でも付け毛をとれば多分みんなからキモイで済まされる印象になるはずだし、でもなんかこの付け毛を取ると後ろのカリスマがうるさそうだ。
 
「私のコーディネイトなんだからありがたく思いなさい」
「あは、あははははは」
「それと今から半年間、よろしく頼むわね圭介」

 異変は無事終わったかもしれないが、俺の心に関しては異変が始まったばかりである。
 しかしまぁ、今日くらいはもう流されよう。流されて流されて、それでもうおしまいだ。
 窓から空を見上げれば、すでに霧はほとんど晴れ、空に満月が浮いていた。


あとがき

 やっと紅魔異変終わりました。
 ここまで読んでくれた方ありがとうございます。
 次は『圭介☆ドキドキ紅魔館奉仕編』になりますのでこうご期待。
 ちなみに今になって圭介の外見を説明しますと、背は170行かず、顔は童顔で声が結構女声っていうある意味男の娘です。



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