※これは東方奇縁譚の三次創作、しかもめっちゃIfが入った話です。
恋愛とか結婚とかくそ食らえ、って人は見ないほうがいいです。





土樹良也が東風谷早苗と結ばれることとなったのは、既に数週の前のことである。
元来外の世界では講師と教え子という関係であったためか、良也がいつまでも乗り気にならず、最後は早苗がプロポーズしたのは有名な話であり。
守矢神社にて本日行われた結婚式には、良也と親交のある妖怪や妖精に人間、もちろんのこと紅魔館や永遠亭の令嬢たちも参加したという。
無論宴会はあったが、敵対するものたちもが並んで酒を飲み、良也が振舞う外界の料理に舌鼓を打つ至極朗らかなものだったことを記載しておく。

そして、その初夜。
東風谷と苗字を変えた良也と、その妻である早苗は、二人で並んで眠ろうとしていた。

「東風谷、酒は抜けたか?」
「先生、違いますよっ。先生だって東風谷になったんですから、早苗って呼んでください!」
「それもそう・・・なんだけど。お前だって、僕はもう先生じゃないんだから」
「分かってますよ、良也さん」

ニタリと笑む早苗に、良也は苦笑する。
外界にいた頃は、もっと清楚で素直だったと思っていたのに、本当はこんなに小悪魔的な少女だったとは。

「・・・・むぅ。何か変なこと、考えてません?」
「いや、別に。東風谷が可愛いなぁっと」
「だぁかぁらぁ。東風谷ではなくて、早苗と呼んでくださいっ」

むくれながら、しかし良也の布団に忍び込む早苗。
確かに女性との交流は多いが、性的な意味での付き合いは皆無だった良也にとって、その刺激は計り知れない。
霊夢や妖夢たちと同じ屋根の下に暮らしていたこともあったが、そのときと今では相手との関係も何もかもが違う。

「ひとつ聞くけど、本当に後悔はしてない?」
「それ、何回目ですか?後悔なんてしてませんし、するつもりもないですよ」
「それならいいんだけど」

幻想郷で良也が出会った少女の大半と同じくに、早苗とて相当の美人である。
自分よりもいい相手が、と結婚前から何度も早苗に言っては怒鳴られていた。

「じゃあ、そろそろ寝ようか」
「そうですね。明日からは、またいつもどおりなんですし」
「お休み、早苗」
「おやすみなさい、良也さん」

良也に寄り添いながら、早苗は眠りにつく良也の顔を見つめ続ける。
何事もないかのように夢の世界に旅立つのは悔しいが、時間はまだまだたっぷりあるのだ。
焦る事も、慌てることもないと早苗は微笑んでいた。





しばらくして、良也に早苗と初めて呼ばれたことに顔を真っ赤に染めてしまう少女が、そこにはいた。



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