最近、紅魔館に行く回数が激増している。
理由は言わずもがな、フランドールなのだが。

以前レミリアに頼まれたとおりに、外の世界の御伽噺や童話の本をしこたま持っていったところ、フランドールはそれに夢中になった。
無論僕の読み語りなのだが、そこは割愛しよう。
問題はフランドールがお姫様志向になってしまった、ということだ。

言うまでも無く、童話などにはお姫様と王子様の恋愛が描かれていることが多い。
その本の中のお姫様たちのような恋に憧れる、悪い話ではない。


その相手が僕だということを除いては、なのだが。


「良也〜っ」
「・・・どうしたの?」
「今日も、本読んで?」
「いや、勉強してるから・・・」

紅魔館の図書館で、いつものように引っ付いてくるフランドール。
目の前にある魔法の教本を見せようとすると、僕の手より先にパチュリーの手がそれを掴んでいた。

「今日はもうお仕舞いでいいわ」
「やった!じゃあ早く読んで、読んでっ♪」
「もう、仕方ないなぁ・・・・」

ため息をつく僕のひざの上にフランドールが座る。
これももう、日常のことなので気にはしない。

「全く。尻に敷かれているじゃない」
「どっちの意味で?」
「両方の意味で」
「そういうなら助けてよ・・」

呆れ顔でこちらを見ているパチュリーに、助けを求めてみる。
が、その前に膝の上のフランドールが不機嫌そうに頬を膨らませていた。
仕方なくフランドールに本を読み聞かせ始めた僕を見つめる影があったことを、僕は気付いてもいなかった。

そして、僕が人生の岐路に立たされることになるのも・・・・。



戻る?