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*注意!* これは『良也とルーミア 後編』であり、先に前編・中編を読まないと訳が分からないです。 先に前編を読んでからお越しください。 中編からやってきた方々で、まだ読んでやろうじゃないかという方は、このままお進み下さい。 この先本文↓ 封印が解けて以来、ルーミアのデレっぷりがすごい。 「旦那様、お茶をもってきたわ」 子供形態のルーミアは、以前より洗練された所作でお茶を煎れて持ってくると、縁側の僕の隣に座った。そして、その位置が近い。 肩と肩が直ぐに触れ合う位置だ。ルーミアは僕がお茶に口を付けるのを見届けた後、自分の分に口を付けた。 ルーミアは紅茶も緑茶も美味しく煎れてくる。 しばらく心地よい無音の中お茶を飲んでいると、ルーミアがトンっと僕の肩に頭を乗せて寄りかかってきた。 「ルーミア……?」 「旦那様、出来ればこのまま……」 ルーミアの顔を伺う事は出来ないが、見える肌は仄かに赤みを帯びている。 ルーミアは肩に頭をのせ、左腕を僕の右腕の下に回して抱きつくようにくっついている。 ルーミアの綺麗な金髪から、女性特有の良い香りが漂って鼻孔を突く。 以前なら、そこまで意識しなかったろうが、今のルーミアは見た目は子供でも、中身は大人と変わらない。自然、頬が熱くなってきた。 傍目から見れば、付き合いたてのカップルにしかみえないんじゃないか?……その場合僕は捕まるだろうが…… 普段から贅沢も我が侭も少ないルーミアからのお願いを断れる筈もなく、そのまましばらくそのままじっとしていた。 秋になり、日増しに風が冷たく成りだした今日この頃、隣のルーミアの温かさが心地よかった。 そのまましばらくじっとしていると。僕は次第に瞼が重くなり、夢現に意識を手放した。 *** 誰かが頭を撫でている。 心地良い温もりに包まれて微睡んでいた僕は、頭に触れる優しい感触で目を覚ました。 「……ルーミア?」 「あ……おこしてしまった?」 確かにルーミアのナデナデで目覚めたが、それは問題じゃない。むしろ心地よかったし……って違う!大事なことは…… 「どうしてこうなった……」 僕は半ばルーミアに覆い被さり、抱きつきような格好で寝ていた。しかも ル ー ミ ア の 胸 を 枕 に し て 「どうしてって……眠ってしまった旦那様が私を押し倒したからよ?あの至近距離だとこんな体制になるわ」 なるほど……一応理由はわかった。しかし、いま僕が硬直して動けない最大の理由である、現在進行形で僕の頭を包んでいる豊満な母性についての説明は? 「あの体形だと旦那様を受け止められないと思ったから大人化しておいたわ。枕代わりになったかしら?」 ええそれはもう、至福の枕でした。良い香りで、柔らかくて、温かくて……ハッ、いかんいかん。早くどかねば。 「わ、悪いルーミア、すぐに退くから」 「あ……」 僕が退くと、ルーミアは心なしか少し寂しそうな顔をした。 その顔を見るとズキンと胸が痛んだ。 「わるかったルーミア……僕に出来ることならなんでもするから許して欲しい……」 「別に旦那様を怒る理由は……」 そこまでいってルーミアはハッとしたあと、ニヤリと笑う。 「……じゃあ、旦那様其処に座ってくれる?」 ルーミアに縁側をさされ、僕は言われるままに座った。するとルーミアは隣に座った後、僕の太ももを枕に寝転がった。所謂膝枕という奴だ。 「えへへ……」 ルーミアは幸せそうに目を閉じる。見た目は大人の女性だが、こういう仕草は少女期のままなのか……これがギャップ萌と言うものか…… 「旦那様」 「何?」 「頭撫でてくれる……?」 ああ……可愛いなぁこんちくしょう…… 僕は無言でルーミアのなめらかな髪を優しくなでてあげる。 「ありがとう……少しだけ……もう少しだけ……」 そこまでいって、ルーミアは心から安心したような顔で、眠った。 *** ルーミアの頭を撫でながら思う。ルーミアはなぜか知らないが、僕と一緒に居ることに負い目を感じている節がある。 あの告白のあと、ルーミアは僕へかなり素直に甘えてくるようになった。しかし、それでもまだ一歩距離がある。その一歩を詰めてしまわないと、またルーミアが消えようとした時に手が届かないかもしれない。 もしルーミアが消えてしまったら…… 『さようなら』 あの時の、僕の前から去ろうとしたルーミアの姿が頭をよぎる。 あの、悲しみと苦しみと寂しさがないまぜになったルーミアの顔に、胸が締めつけられる。 もうルーミアに……好きな人にあんな顔して欲しくない。 どうすれば……どうすればいい……? 「旦那様……」 その時、ルーミアが呟く。起こしてしまったかと思ったが、どうやら寝言のようだ。 旦那様か……あ! 旦那の意 ・仕えてる商家の主人 ・夫 そうだ!僕がルーミアの『旦那様』になって一緒になれば……!ルーミアが消えようと考た時に抱き締められる距離まで近づけるはず……! 僕は、眠るルーミアの顔を見ながら、決意を固める。 必ず、君を僕のところに引き止めてみせる……! 「僕は君をはなさないぞ……ルーミア……」 思わず、口から思いが溢れた。 *** さて、ルーミアにプロポーズする事に決めたが、正直、どうすればいいのかわからない。 外の世界でも、結局結婚せず、齢百数十歳になってようやく出来た恋人……恋愛スキルが絶望的に足りない…… とりあえず、プロポーズするなら指輪かな?ルーミアの指のサイズは…… そこまで考えて気付く。ルーミア、サイズが変動するんだった…… まさかこんな所で躓くとは…… 大人サイズに合わせると、小さくなってあの着物とか着るときに外れちゃうし……かといって子供サイズだと大きくなったら指に食い込むし…… 「そういう訳で何か良い考えはない?」 「どういう訳だい?」 今居るのは森近さん宅だ。現在森近さんは魔理沙と結婚した為、魔法雑貨店を営んでいる。 ある時魔理沙は人間の魔法使いやめて不老の術を覚え、猛アタックの末森近さんを落とした。あの時は、それは見事な肉食系乙女っぷりをみせてくれた。 閑話休題 「ふむ……持ち主のサイズに合わせて大きさが変わる指輪か……」 森近さんは、顎に手を当てて考え込んでいる。 「出来ないかな?」 「出来ない事は無いはずだ。作るのは大変そうだけどね」 森近さんは言い切る。 「大きめに作って、最初に嵌めた指にサイズが合うようにする魔法なら簡単なんだけどね……何度も大小変化するとなると……」 「魔法使いの手助けが要るんだぜ」 森近さんの言葉を遮って魔理沙が現れた。手には茶の乗った盆がある。 「よう良也、指輪って事は、お前も遂に身を固める気になったか」 魔理沙は楽しそうに言いながら茶を渡してくる。 「まぁね、この歳になってようやく渡したいと思える相手が出来てね」 僕がそう答えると、魔理沙はカラカラと笑った。 「そうかそうか、しかしあのヘタレの良也がプロポーズねぇ? 変われば変わるもんだな……しかしなんでそんな変な指輪なんだ?」 「ああ……実は……」 ~良也説明中~ 「なるほど……あのルーミアのリボンにそんな秘密がね……」 これまでの経緯や、ルーミアの封印の事や苦しみの事を説明すると、魔理沙は真剣な顔で頷く。 「ああ……だからルーミアがもう苦しまなくていいよう、是が非でもこのプロポーズを成功させたいんだ……頼む、森近さん!魔理沙!協力してくれ!」 僕が二人に頭を下げて頼むと、魔理沙にポンッと肩に手を置かれた。 「そこまでいわれて断っちゃ、女が廃るってもんだぜ。任せな良也、その指輪、結婚祝いに作ってやるぜ!」 顔を上げると、ニッと、不敵で漢らしい、気持ちの良い笑顔を浮かべた魔理沙がいた。 *** そんなこんなでさらに一月ほど過ぎ、季節は秋から冬へと移り行く。 指輪は既に完成している。魔理沙から完成したペアリングを渡された時。 「これ以上できない程のものを作った。千年たとうが、万年過ぎようが、綻び一つ出来ないくらいの逸品だぜ!」 と、言いながら対の指輪を渡された。 指輪は、ヒヒイロカネを地金にして、自動修復等の魔法が付与されている。 赤みを帯びた指輪は、シンプルな作りだが、見とれるくらい綺麗な物だった。 「頑張れよ良也」 最後にそういって僕の肩を叩いた魔理沙は、一度も振り返らずに帰っていった。すごくかっこいい後ろ姿だった。 そして今、僕は自室で計画をねっている。 狙うはクリスマス、そのときに指輪を渡さないと。 僕は机に置いてある指輪を眺めながら決意を固めた。魔理沙達からの応援、無駄にするわけにはいかない……! 「よし!やるぞ!」 「何をやるの旦那様?」 「ヌッヒュェエイ!?」 「キャア!?」 ルルルルルーミア!?い、いつの間に!? 「る、ルーミア?脅かすなよ」 僕はバックンバックン早鐘を打つ心臓を抑え、振り返る際に指輪をさり気なく回収してポケットに隠した。 「それはこっちのセリフよ旦那様!扉あいてたから閉めようとしたら、声が聞こえて訊ねただけじゃない!」 何!?扉閉めてなかったのか!?迂闊にも程があるぞ僕よ!! れれれ冷静になれぼく、そ、素数を数えるんだ……12345678駄目だ頭が真っ白に…… 「それで旦那様、いったい何を……」 「ルーミア!」 ガシッと、ルーミアを正面から抱き締めた。 「……!?……!?!だ、だだだだ旦那様!?ヤルってそういう……!?ヘタレの旦那様がそんな大胆な……!?こ、心の準備がまだ……!?」 ウワアアアアアイ!?ヤバヤバヤバイ、これから、どどどどどうするべ!? か、神様!誰でもいいから幻想郷の神様!プリーズヘルプミー! 『良也よ』 神様!?祈りがつうじ…… 『無くした財布はベッドの下だ』 ……たわけなかったよこんちくしょうが! く!?こうなればなるようになれだ! 「ルーミア……」 「な、なんなの旦那様……」 僕の脳味噌がかつてないほど高速回転する。なにか!なにかないか!この流れからR18展開に流れず、かつ親密度を上げるイベントは! そのとき……!閃く……!圧倒的……!閃き……! 「……僕にはね、夢があるんだ、恋人ができたらやって欲しいと思っていた」 「そ、その夢とは?」 ルーミアが緊張でゴクリと喉をならす。 「それは……」 「それは……?」 「添い寝だ」 ウワアアアアアなに言ってんだ僕ううぅぅ! ルーミアポカーンとしてるじゃん!?タイム!タイムくれ! 『神はいっている、そのまま続行せよと』 役に立たん神だな!? 「旦那様、そんなに私と、そ、添い寝がしたかったの……?」 「ああ、この前は『気付いたら添い寝』だったからな、最初から添い寝ってのに憧れてて……」 ひどい、こんなひどい言い訳聞いたこと無いぞ……これは流石に…… 「わかったわ」 ……え? 「旦那様がしたいなら、私に是非はないわ。添い寝しましょう」 そういって微笑むルーミア。て、天使かこの娘。 僕は再びルーミアをギュッと抱き締めた。やはりこの女性が、どうしようもなく愛しい…… 「旦那様は甘えん坊ね」 そういってルーミアはポンポンと僕の背中を叩いた。 *** 夕食後、風呂に入って就寝する。いつもなら、互いの部屋に行って寝るが、今日は二人で僕の部屋にいた。 僕の一人用のベッドの上で、二人で寝る。必然的に、かなりの密着状態である。 今のルーミアは子供形態で、僕の買った浴衣を寝間気に着ている。僕もまたルーミアが作った作務衣を寝間気に着ている。浴衣から覗く鎖骨がとても艶めかしい。 現在の姿勢は右腕を枕にしたルーミアが、僕に抱きついて寝ている状態だ。 温かいなぁ…… もはや季節は冬、こうして抱き合って暖をとると、自分は一人ではないんだと実感する。 この家に独り暮らしだして幾星霜、冬の寒さは心を凍てつかせた。 思慕するのは今は無き家族の団欒、消えて逝った人々、もう手に入らないと思う日々。 そんなとき、心が寂寥感で悲鳴を上げた。突然叫び出したくなるほどの苦しみと悲しみに胸が締め付けられた。 いつからか、僕にとって冬の夜とはそういう存在になっていた。 しかし、そんな気持ちも、今は解けて失せてしまった。 まるでルーミアの温かさが、僕の中の氷を溶かしたかのようだった。 「旦那様……」 ルーミアの声が聞こえた。寝言かと思い声を返すか迷っていると、声が続いた。 「私は……今、とても幸せよ……でも、だから怖い、怖いの……」 ギュッと、ルーミアの手に力が入った。 「この温もりが、この幸せが、無くなってしまうのが怖い……また独りになるのが怖い……そうなったら、耐えられない……」 ルーミアは震えている。 「仲良くなったと思った人間から、妖怪だとばれた瞬間、恐怖と、悪罵をぶつけられ、攻撃され、挙げ句の果てに封印された……」 グスッと、涙をすするルーミア。 「それから、ずっと、ずっと独り、闇の中にずっと独り……辛かったの……苦しかったの……」 ルーミア…… 「旦那様に助けて貰ってからも、いつかまた裏切られて封印されるんじゃないか、追い出されるんじゃないかって……ううん、それだけじゃない、もしも旦那様が誰かと結婚してその人の所から帰ってこなくなったらって……そう思うだけで怖くて悲しくて、どうしようもなくなるの……だからそうなる前に、自分から旦那様から去ろうと思った……けど、旦那様に抱き締められて、告白されたとき、そんな覚悟もくだかれちゃったわ……もう離れられない……だからお願い旦那様……」 そこでルーミアは一拍おいた…… 「家政婦としてでもいいから、せめて、せめてずっと側に置いてね……」 僕は、あまりに健気なルーミアの姿に、涙腺が緩んでしまった。ルーミアに気付かれないよう、必死に唇を噛み、嗚咽を殺した。 もうすぐ、もうすぐルーミアの願いに答えるから、今はまっててくれ、ルーミア……! *** そうして、告白の機会をまって数日、ついにクリスマスの日がやってきた。僕らはクリスマス用の御馳走を食べた後、食後のティータイムに入った。 「今日はキリストの誕生日ね、旦那様」 ルーミアはこたつに入っている僕にお茶をだしてから同じこたつに入る。 同じこたつで隣り合って座る。僕はルーミアの肩に僕が羽織っていた毛布を掛けて密着した。一つの毛布を一緒に羽織っていると、とても暖かい。 「そうだな、結界の外じゃ毎年毎年お祭り騒ぎだよ。特に日本じゃこの時期になると急にキリスト教徒が増えるからねぇ。いったいどこからあらわれるんだか」 そうおどけるとルーミアも笑う。 「あらあら、日本はいまでも隠れキリシタンがおおいのね」 「隠す気があるのか甚だ疑問だけどね」 和やかに会話を続ける。 「しかしわからないものね?反逆者として処刑された男が、死んでから世界最大の宗教の救世主(キリスト)になるんだから」 「それだけ多くの人が、彼の教えに惹かれたんだろう」 「汝の敵を愛せ、右の頬を打たれたら左の頬を出せ、ね……確かに素晴らしい教えよね、ただ、その教えを守りそんな事をしてくれた救い主(キリスト)は、私がヨーロッパにいたころ終ぞあらわれなかったけどね。私が救われたのは、此処に来てからだけよ」 ルーミアはそういいながら僕の手を握った。ルーミアの手の温かさが気持ちよい。 ルーミアの赤みの差した美貌を見ていると僕の頬も熱を帯びた。 僕は、愛しい恋人と見つめ合った。 「旦那様、旦那様はとても素敵な人よ、私なんかには勿体ないくらい。だからこそ、いいの? あなたは私でいいの? 私は、私だけの為にあなたを望んでいいの?」 ルーミアの言葉は、確認の言葉だった。この言葉への返答次第で、ルーミアとの間の最後の壁を乗り越えることが出来る。僕はそう確信した。 ここしかない。僕はそう思うと、懐から指輪を取り出し、そして不安げに揺れるルーミアの左手を取り、そっと薬指に指輪をはめた。 「あ……」 ルーミアのハッとしたような顔を見ながら、僕は続けた。 「僕は、ルーミアが好きだ。この世の誰よりも……何よりも……君の事が一番大切で、愛しい」 僕の言葉に、ルーミアとの間にあった最後の壁が、崩れた。 赤くなったルーミアは、瞳いっぱいに涙を溜めて言う。 「私も、私も旦那様が、土樹良也が、この世で一番好き。愛してるわ」 ルーミアの瞳から涙が溢れる、だが、それは悲しみの涙ではない。 「ルーミア」 「はい」 「結婚しよう」 「……喜んで」 歓喜の涙を流しながら、ルーミアが微笑む。 僕達はギュッと抱きしめあい、いったん離れた後、顔をゆっくりと近づけていった…… *** ~エピローグ~ 今日は、人里中が綺麗に飾り付けられ、町中いたるところに料理や酒が用意されている。その気合の入りっぷりは下手な祭りよりも気合が入っている。しかし、例年なら今日は祭りではないはずだ。 ではなぜ、こんなにもお祭りムードなのか? それは……今日が、僕とルーミアの結婚式だからだ。 僕とルーミアが結婚すると発表すると、人里中どころか、幻想郷中が大騒ぎとなった。途中、様々な要因が重なった結果、異変級の事件まで発生したのだが、それについては時間の都合上割愛させていただく。 まぁ、とにもかくにも諸々の騒動も収まり、あの出会いから一年目の今日、無事に結婚をとりおこなうことができたのだ。 僕は人里の皆を甥や姪の様に思っていたが、人里の皆も兄や叔父の様に僕のことを思っていてくれたらしく、結婚式は人里丸々を会場に使った幻想郷史上最大規模のモノとなった。 さらに幻想郷中の僕の知り合い立ちも集まってくれた為、人里は人間、妖怪、神様、妖精、亡霊、蓬莱人、宇宙人、仙人etc……と、幻想郷のほぼ全てが結集したと言っても過言ではない有様となった。 そんな中、僕らは、数十年前に人里に出来た教会に居た。 壇上には年老いた、優しそうな神父様が立っている。彼も、僕は子供だった頃から知っている。彼が小さかった頃はよく面倒を見てあげた。そして、この教会を建てる時も、周囲への交渉役になってあげたんだったな…… 彼は僕が結婚すると知った時、感激で咽び鳴きながら祝福してくれた。そして、ぜひとも自分に式を任せて欲しいとまで言ってくれた。 彼の気持ちが嬉しくて、そのまま結婚式の神父約をお願いした。 壇上の神父様は、僕に言葉をかける。 「新郎、土樹良也は、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」 「はい、誓います」 僕が言葉を返すと、神父様は優しく微笑んだままルーミアのほうを向く。 「新婦、ルーミアは、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」 その言葉に、ルーミアは一呼吸だけ間を置いて、続けた。 「はい、誓います」 ルーミアは幸せそうな笑顔で、そう言い切った。 そして、指輪を交換し、誓いの口付けを行う。 僕らが口付けを行うと、会場が割れんばかりの拍手と歓声で包まれた。 「良也さんおめでとう!」 「幸せにな!」 「美人の嫁さん羨ましいぞー!」 「良也兄さんおめでとー!」 「良也おめでとう!」 「良也君おめでとう!」 振り向けば、見知った顔ぶれ、幻想郷に来てからであった皆が居た。人間も、神様も、妖怪も、妖精も、ありとあらゆる種族の皆が祝福してくれている。 僕は感動であふれ出しそうになる涙をこらえながら、ルーミアと手を組んで歩いていく。 周囲から祝福を受けながら教会の扉を抜けると、雲ひとつ無い青空の下、幻想郷中の人々が、そこに居た。 僕らが姿を見せると、大歓声が僕らを包んだ。その光景に、こらえきれず涙がこぼれる。 それを拭いながら、僕は隣のルーミアに目配せをした。 ルーミアはそれだけで理解してくれたようで、タイミングを合わせてくれた。 ぼくらは手の中の花束を、天高く放り投げた。 花束は、どこまでも澄み切った青空の中、綺麗に飛んでいった…… 良也とルーミア 完 ~あとがき~ こんにちは、ジャムでございます。 今回は個人的に大好きなキャラの一人、ルーミアとのルートを書かせていただきました。 ルーミアルートが影も形もない奇縁譚ですので、『ないならかけばいいじゃない』と思い立ち、なんとかしてルーミアの魅力を伝えたいなというコンセプトで書き始めました。 目標としては、奇縁譚個別キャラルートみたいな感じで行こうと決意しました。ルーミアの封印が解けて恋仲になるまでで一括り、婚約までが後日談ですね。 しかし、本編では碌な関係ではない二人をそれだけでくっつけるのは至難の業でした。 というのも、こういうラブラブ話というのが、いままでロクに書いたことのないジャンルの話だったので、脳みそから変な汁が溢れそうで……我ながら無茶なことをするものです。 結局、ルーミアへの愛(妄想)を原動力になんとか書き上げました。すごい時間がかかりましたよ…… 最終的にはどんどん話が長くなっていって、最後まで書き上げた時には前中後編総文字数三万字越え、バイト数で66キロバイトとかもうね、あほかと。 さて、このへんで設定について触れていきたいと思います。 ●時代背景について だいたい奇縁譚本編から100年後位の幻想郷(良也くん基準で百数十歳)が舞台。大きな変化は発生していないが、人里に何本か街灯ができるくらいまでは発展している。奇縁譚本編中の人間キャラは種族魔法使いになった魔理沙や、神格が上がって不老化した早苗さん位しか残っていない。咲夜さん?あの人は時間操って……メメタァ! ●ルーミアについて ルーミアは二次創作でも扱いに差が出やすいキャラですよね、ですので今回はどんな方向性のキャラで書くのか大いに悩みました…… 所謂「~~なのだ、なのか」口調を連発するオーソドックスな二次創作系ルーミアにするのか。 「~~ね、~~わ、~~よ」の様な、原作や奇縁譚に近い普通の女の子口調にするのか。 性格にしても、天真爛漫系か、冷静系にするのか、雰囲気はロリっぽく行くのかお姉さんっぽくいくのか。 そしてなにより、EX設定をどこまで持ち込むか…… そんな事を考えているうちに、とある東方二次創作系同人ゲームに出てきた、私を一撃でノックアウトしたルーミアを思い出し、もうあんな感じで行こうと決意。 結果、私の好み全部乗せといった感じのルーミアになりました。 キャラコンセプトとしては、包容力のあるお姉さん的な感じだけど、割りと寂しがり屋で甘えん坊。良妻賢母で尽くす女性だけど、結構独占欲の強くて嫉妬しやすい女性。 こんな感じでキャラの方向性を固め、ここにEX設定を独自配分で融合。 封印が解けると体格を任意で変更できるということにして、母性全開の大人ルーミアと、甘え全開の子供ルーミア両方の要素を持ちながら、ロリもナイスバディも両方いけるという、様々な需要にも対応できるキャラになりました。 うわぁ……なんだか大変なキャラになっちゃったぞ…… いやぁ、自分で言うのもなんですが、欲張りな設定ですね。自分で書いてて良也くんマジ裏山。 ちなみに、ここまでで、何を参考にしたか分かった方は同志と呼ばせてもらいます。 作中でのルーミアの葛藤は、昔裏切られた経験から、どうしても良也との関係に臆病になってしまっているが、それでも良也くんが好きで、かつ独りが寂しく、離れるに離れられないうちに更に好きになっていくというスパイラルに突入していた、という感じです。 最終的に良也くんが自分から突っ込んで近づいてきたので、葛藤を振り切り、これからは我慢せず甘えていきます。もう、傍で見ていて砂糖がダバダバ出てくるくらい甘い関係になります。 やっぱり良也くん裏山。 ●ルーミアの封印について 今回封印については、「周囲からエネルギーを集め、それによって持続するタイプの封印」であり、ルーミア本人の力を押さえつけながら、周囲からエネルギーを吸収して持続していたとしています。 その為、良也君の世界が展開された空間で生活するうちに、周囲から力をうまく吸収できずどんどん封印が弱っていきました。 最初にルーミアが良也君に吹っ飛ばされた際に封印にダメージが入り、しかも前述の通り殆ど回復できなかったので、しだいに封印が弱まっていき、封印時の人格と、封印前の人格が混ざり合い、少しずつ本来のルーミアに近づいていきました。最初に良也君が「違和感がどうのこうの」と言っていたのは、表に出てきた本来のルーミアの部分を感じ取ったからです。 その上、良也君の家で過ごしだしてからは、良也君の献身的な介護のおかげでルーミア自体の力も回復していき、封印は殆ど抑えきれない状況になっていきました。 最終的に、破裂寸前であった封印に、良也君が直接触れてしまったことで封印が決壊、記憶も力も戻ってEX化しました。 なお、人格的には殆ど封印時のものと融合状態だったので、記憶が増えただけで、良也君への愛情は微塵も変わっていませんでした。 ●ルーミアの強さについて 普通に良也君より強いです。具体的には幻想郷トップクラスとタメはれるくらい強いです。封印がとけた事で能力は『闇を司る程度の能力』となり、科学的な意味での闇から、心の闇の様な概念的な意味での闇まで、ありとあらゆる闇をすき放題出来ます(良也君には効きませんが)。 あまりに危険すぎるので、封印解放後紫から警告を受け、普段は良也君が監視しつつ、自分で能力を封印して置くということで落ち着いています。(ちなみに半封印状態でも普通に良也君より強いです) 本人はこの能力を使うつもりは殆ど無いので封印は特に気にしていません。ですが、本気で切れたらその限りではありません。具体的には良也君がひどい目あわされるとか、良也君が浮気するとかした場合には封印を解除するかも? 当初のプロットでは、このEXルーミアとの戦闘→和解→恋仲へのルート分岐も考えてましたが、流石にムリゲー過ぎるので自重、現在のルートと相成りました。 ●良也くんについて 良也くんは外で教師としての一生を終え、死んだことにして幻想郷に移住しました。それから更に数十年が経ち、今作では御年百数十歳になっています。 しかし、結局年齢イコール恋人いない歴、未婚の大魔法使いです。 人里と博麗神社の間に居を構え、普段は神社への橋渡しをしながら、結界の外で出稼ぎして物資を買い込み幻想郷に輸入して里に卸しています。 魔法のアイテム等も売っているため、現在は『土樹雑貨店』をなのっています。 何度か世代交代があったため、現在人里にいるほとんど皆を甥姪扱いしている。 根本的なところは奇縁譚本編中と大差ないが、人格は人生経験が長い分成熟している。但し、女性関係を除く。 基礎能力的には年月分上位互換されています。具体的には弾幕ごっこなら2ボスくらいまでは余裕で勝てます。あと、3ボスには運がよければ勝てるくらいは強いです。 百歳前後から、周りから人間の友人が大勢消えていき、それに恐怖して現在の住居に移住、人との関わりを現状まで減らす。 表面上は昔と変わらないが、少しづつ精神的に追い詰められてきていた、しかし、妖怪の友人も大勢いるので最悪の展開には至っていない。 そんな時出会ったのがルーミア、互いが互いの寂しさを埋めあい、知らぬ間に離れられなくなっていた。 最終的にはルーミアにベタ惚れして見ているこっちが恥ずかしいぐらいラブラブになる。 ●作中の大まかな時系列 奇縁譚本編 良也君20台 良也君教師完全引退 移住準備開始 80歳頃 良也君幻想郷に永住 百歳頃 今作 良也君百数十歳 *** 夏 ↓前編 6月 ルーミアに出会う 7月 ルーミアが来てから一ヶ月 人里デートイベント ↓中編 8月 夏祭りイベント (第一次 文良戦争勃発 勝者 良也) 秋 9月 ルーミア 封印解ける ルーミアと良也恋仲に ↓後編 10月 良也 ルーミアへのプロポーズを決意 良也 魔理沙へエンゲージリングの作成依頼 11月 指輪完成 冬 12月 良也プロポーズ秒読み 添い寝イベント 12月25日 クリスマス 良也、ルーミアにプロポーズ ↓エピローグ 6月 良也とルーミア 結婚式 ●最後に 拙い本作をここまで読んでくださった皆様方、ありがとうございます。作者様と読んでくださった皆様方に最大限の感謝を。 これからも奇縁譚を楽しみに待っております。 それではまたいつかノシ 追記、感想とかいただけると、すごくありがたいです。 |
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