“今、私は飛空挺の墜落現場に来ています。 現場は大変混乱しており、飛空挺の乗組員でしょうか? 瓦礫の上で謎の少女の一団が、警察及び地元住民と衝突をしています! 大変危険な状態です!! ひっきりなしに爆発が巻き起こり、周囲にはエネルギー弾らしき物が飛び交い、その他ツッコミが凄まじい勢いで入ってます!『そこでツッコミの事を入れるんかいィィィ!!』 ああ、またツッコミが!! 以上、現場から花野アナでした!“ 「全く、何をやってるんだか」 そう、黒い和服の見た目50歳過ぎの女性が言った。 「今ノツッコミ、新八ノメガネダネ」 それにネコミミなのはいいんだけど、顔がアラブのむさい男並みに濃い女が返した。 残念具合が半端ないよ! 橙やお燐がどれだけの逸材だったのか、よく分かる。 「先ほど私がお目にかかった方がおられます。やはりどの星の方なのか分かりかねますが」 って、銀時って人を霊夢と忍者とキョンシーとで追った、ロボメイドじゃん。 僕も追われたけどさ。 「トコロデオ登世サン。コノボロゾーキンドウシタノ?」 「ああ、拾ったのさ。上の万事屋と同じだよ」 誰がボロゾーキンだ。拾ってきたって、猫かい。 いや、ありがたいけどさ。 「先ほどの方ですね。銀時様と一緒でした」 「ミルミル怪我ナオッテナイカイ? コノママ汚レマデトレテクレリャ、無限ニ使エルンダケドヨ」 「あくまで僕は雑巾かい……」 ようやく声が出た。 ダメージ蓄積してたせいか、生き返るのに時間かかったな。 「もう少し横になられてた方がよろしいです。あと、ただ今あなたに適切な食料をご用意致しますので」 優しいな。この世界に来て初めて優しくされた気が。 あの化け物はノーカンで。 「ヴォ………ヴォエエエエエエ!!! ……どうぞ。もんじゃです」 「食えるかぁぁぁぁあああああ!!!!!」 今の何!! 口からアレとしか言い様のない物体出したよ!!! 外見可愛いのに、妖怪連中よりやってることがとんでもない!!!! 「必要と思われるビタミン、ミネラルを調合致しております。強壮効果は抜群です」 「いや、結構です。ほら、僕はもう元気だし」 「ドッカノ糖尿病寸前ノ、侍ジャネーンダカラオトナシクシテナ。店ノ準備ノ邪魔ダヨ」 「全く、確かにこんな怪我で動けるのは銀時位だね。奴も拾ってきた時は、あんたの様にボロボロだった。どうせ、この騒ぎにも関わっているんだろ」 銀時……、あの銀髪の霊夢が追っている男か。 やる気の無い目をして、味覚が壊れた、頑丈過ぎる男だけど。 結構有名みたいだし、この異変のキーなのは確かだと思う。 そうじゃなかったら、霊夢はここまで無差別に攻撃を繰り返さないはずだ。 「あの、銀時って人について聞きたいんですけど」 「タダノ馬鹿ナ侍ダヨ。ナマケモンデ血糖値ノ高イ、義理ヲ通ス奴サ」 「家賃の滞納を重ねる、大切な物を守り通すお方です」 「まあ、そんな所さ。あの銀時って男は」 煙草の煙を吐き出し、お登世と呼ばれていた女性が続ける。 「私が死んだ旦那の墓参りしてたら、そこにいたのが奴さ。 旦那の代わりに守ってやるよ、つってたし拾ってやったのさ、気になってね。 で、今はこの店の上で万事屋って名前の何でも屋をやっているんだけど。 巻き込まれるんだか、巻き起こすんだか、このかぶき町をしっちゃかめっちゃかにする騒動のど真ん中にいつもいやがる。 家賃払わないし、いい加減にしろっつーの。 そうこうしている内に、警察やらホームレスやらテロリストやら忍者やら天人やら何やらかんやら引きつけて。 お陰で退屈はしないけどね。 みんな、なんだかんだ奴の助けられてるさ。私ら含めてね」 ……少し、あいつに似ているか……? 「それで、拾われる前にしていたのが、攘夷志士としての活動。 本当に言葉通りの一騎当千だったそうね」 横から、聞いた事のある胡散臭い声がした。 …………スキマ。なぜ、ここにいる。 「久しぶりだね。まだ店はやってないよ」 「あら、今日は彼に用がありましたので。ここに運ばれたと聞きまして」 ……ここに来たことあるんかい。 「オウ、イイ女ツレテンナ! 同伴カイ!」 「いえいえ、そんな事……あるわよね?」 「ないわ!!」 それだけは断る!! 「で、なんで今出てきた。こんな状態になるのは一番嫌うのはお前だろ」 「それは速攻で霊夢に封じられたからよ」 え? 「何か感づいていたんでしょうね。あの穴を塞ごうとする前にとんでもない霊力で封じられたわ。まさか、あんな力を発揮できるとは思いもしなかったのよ」 スキマを封じた?! ……一体何があいつにあったんだ? 「さっきの話だけど」 スキマが続ける。 「あの男は実際とんでもなかったそうよ。 攻めてくる圧倒的な科学技術を持つアマントと呼ばれる宇宙人の軍勢に対して、刀一本で切り込み続け、相当恐れられた。 そして名付けられたのは白夜叉という異名。 でも、今の現状を見れば分かる通り、開国を不平等な形で押し切られ、戦いには負けたわ。 多くの大切な仲間も、守りたかった物も失ってしまってね」 「それでも奴は失っちゃいない。 侍であることを忘れちゃいない。 守りたいと思った物を見捨てはしない。 己を貫き通すことは、止めはしない」 「銀時様は坂田銀時をお止めにはなりません」 「目ハ死ンジマッタケドナ!」 「だらけきった正義、と言う事かしらね」 なぜに、ここでジャンプネタ。 「って、あの人のフルネーム初めて聞いた」 坂田銀時。……どこかで聞いたような名前だな。 「ところで、スキマ。 霊夢がその銀時って人に攻撃を繰り返しているかわかるか?」 「さあ、どう思います?」 と、三人に振る。 「何か変な事言ったんじゃないかい?」 「下ネタバッカダシナ」 「そこは銀時様ですので」 地下の自警団の人と同じ事言われるって、何。 「まあ、行けば分かるわ」 「どういう事だよ」 「依頼したのよ。霊夢と弾幕ごっこして欲しいって」 「マジか」 「異変を締めくくるには、それが一番。それがこの世界、かぶき町に対する敬意。 祭りは派手に爆発させないとね」 爆発って。おい。 「まさか……、幻想郷の連中送り込んだの、お前?!」 「ええ」 「な、何を考えて……」 「だってそれがこの町への敬意ですもの」 ダメだ、コイツの考えはわからん。 「思った通り、次々にこの町の人が出てきて大変な事になってくれたわ。 まあ、いつもの事よ」 「そう。この位、なんてことない。 宇宙中の行き場の無いはみ出しモンが集まった町なんだ。 そのゲンソウなんとかって星と同じだよ。 たまには爆発させないとね。良い薬さ。 ほら、あんた。霊夢ってのと銀時の遊びを見に行きな。 町外れの神社だってさ」 同じ、か。 「わかりました。行ってきます」 せめて見届けるか。 似たもの同士の、決着を。 郷と町、人と人、似たものの。 |
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