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霊夢を止められないことが、よく分かった。 必殺のお賽銭をもってすれば、今まで少しは気持ちを釣れたのだけど、全く聞く耳を持ってくれない。 となると、幻想郷的に弾幕ごっこで実力行使だ。 僕がしゃしゃり出たところで何の意味もないとして。(なんか哀しいのは置いとく) この世界に来ている知り合いに頼む、と言うのが一つ。 あとは、この世界の勢力の力を借りる、と言うのがもう一つ。 「まず、萃香」 ズドゴオォオオオォォォン……、と地響きがした。 ビルの向こうに、見たことのある二本の角と、ビルを飛び跳ねるチャイナ服が見えた……。 まだやってるのか………。 「次に、魔理沙」 追われてるんだよな……。 あのシンセングミとかいうのが仲間割れしているから、追跡は甘いかもだけど。 他にも、ああいった組織があるたいだし。 あいつの移動速度的に、厳しいか。 「で、射命丸」 あいつも追われてるんだよな………。 テロ組織が追っているから、そこまで派手ではないかもだけど。 幻想郷最速のスピードじゃ、捕まえるのは困難だ。 「あと、幽香さん」 無理。 軽くトラウマだよ。 「他は、ルーミアに芳香」 ぶっ飛ばされる。 僕と同じか、もう少し持つ位だ。 「他に知り合いは来てないとして。この世界の勢力」 この世界の警察……アカン。 ストーカーにマヨラーにバズーカ狂だ。 しかも全裸で気絶中と、仲間割れの真っ最中。 似たような組織があるとして、魔理沙の追跡に集中してるか? それに僕のたれ込みどこまで信用してくれる? 「どうしよう。一旦幻想郷に戻って、誰か連れてくるか…?」 誰が、霊夢を止めてくれる? それ以前に、この世界まで連れてこれるか? そんなことを考えていると。 「ん……あの傘……」 見覚えが。 それに、あのメイド服! 咲夜さん! 傘をさしているって事は、レリミアも一緒か! 待って、と言うよりも早く、その人影は下へ消えていった。 駆けつけると、そこには大きな穴が開いてあって、覗くと繁華街が広がっていた。 二つの人影は米粒より小さく、よく見えなかった。 「で、来てみたけど」 地下に広がる街ってここの事だろうけど、地下にある理由がわかった。 吉原桃源郷って名前だけど、内容がカオスになった吉原じゃん! いかがわしい店に怪しいおもちゃの店と、体の一部を元気にする専門店街。 見かけたのは女王様と犬という名のおっさん。 ………ダメだろ、これ。 「あら、良也じゃない」 と、聞き慣れた声がした。 「レリミア。ちょうど良く」 振り返ると、レリミアと咲夜さんがいた。 レースを使ったフリフリの服を着た幼女とメイド服の少女。 なんというか誤解されるぞ、おい。 ……咲夜さんが無言でナイフをハンカチで拭いていたのが、凄い気になった……。 見なかったことにしよう……。 「博麗神社に遊びに行ってみればこんな所につながっているとはね。外の世界とは違うみたいだし、スキマがやったにしては変だし。 ま、楽しいからいいけど」 忘れてたけど、スキマ何やっているんだ? こういう事態を防ぐのがあいつのやることだ。 「そうそう、咲夜。ここのおもちゃ、良也に見せたらいいんじゃない? 面白そうだから持ってきたんだけど。使い方がよく分からなくてね」 「ええ、年端のいかない少年が店番していた所に同じような物があったので、危険では無いと思いますが」 ここ、ってつまりこの地下の。 「このイボイボがついた、スイッチを入れると振動する、コケシ状の物なんですが」 「はいそれ、すぐしまって!!!!」 やっぱりだよ!! 「何よ、人前に見せたらダメだって言う気?」 「うん、そう。特にここで、お前や咲夜さんが持ってたらイケナイ! 絶対!!」 「カラフルに大小各種あるのですが」 「だから、外に出さないで下さい! 誤解される!!」 「誤解って。ここに降りて、これ持った奴が声を掛けてきたのよ」 「『イチマンエンでどう?』とかよく分からない事を言う怪しい男でしたので、丁重におもてなし致しましたが」 つまり、それって。 「幻想郷的な、弾幕的な、意味で……?」 ザックリいった、と。 「ええ。……と、少し失礼します。もう追ってきたみたいです」 「あら、早いのね。あいつら、良也より強いわよ」 ナイフを投げる咲夜さん。すると、花魁風の長刀を持った人が落ちてきた。 ……みんな、なんでこうナチュラルにケンカ売るんだよ……。 あれ、巻き込まれフラグ? これ。 ナイフを的確に四方八方から現れる花魁風の人たちに命中させる咲夜さん。 すると飛び退き、地面にクナイが刺さった。 アスファルトに刺さるって、どんな威力だよ。 「ぬしら、引きなんし。わっちが相手する」 花魁風の人たちは、頭すいません、などと言い、けが人を抱え去って行った。 金髪にクナイ型の簪を差し、黒い着物にスリットから網タイツの右足を出した、顔に縦横の傷痕がある女性が現れた。 某賢狼みたいな口調だな。廓言葉だっけ。 「自警団百華が長、死神太夫月詠と申しんす。覚悟しなんし。ここでの狼藉、見逃す訳にはいかなんし」 クナイを向ける相手に対し、 「紅魔館メイド長、十六夜咲夜です。おもてなし致しますわ」 スカートの端をつまみ上げ、頭を下げる咲夜さん。 「咲夜、本気出しなさい」 そうレリミアが言うやいなや、ナイフとクナイが交差した。 ナイフが壁に突き刺さり、クナイが地面にめり込む。 大量の飛び道具にも関わらず、お互い当たらない。 「良也、何ケガしてるのよ。血がもったいない」 「無理言うな! うわ、また掠った!」 現時点で一番ダメージあるの僕だよ、またしても。 不意に、黒い着物の女性の周りにナイフが現れ、全身に突き刺さった。 さすがに時間停止には対応できない。 くっ……、とその女性は膝をついた。 これで勝負ついた、と思った時だった。 「当てるとはね。それだけ鋭かった、気持ちが強かったと言う事かしら」 「申し訳ありません。気に当てられたようです」 咲夜さんの手に、包帯が巻かれていた。 ……どういう事? 「良也って魔法使う才能だけじゃなくて、動体視力もないのね。弾幕ごっこも弱いはずだわ」 「大きなお世話だ」 「時間停止の解除の直後、ほとんどナイフが全身を貫かれながら放った。 それだけだったら咲夜はよけれただろうけど、そこに載せられていたのは強い決意。 気圧されたと言う事よ。 その後咲夜は再び時間停止して、応急処置した訳だけど」 「試験なんかの前だと、緊張して動きが鈍る、プレッシャーみたいな?」 「良也の生き物としての小ささが垣間見れる、良いたとえね。それ」 うるせえよ、と思った時だった。 ナイフとクナイから、弾き合う音と火花が出た。 「それにしても、どんな決意があるのかしら」 接近した状態で刃物の応酬を繰り広げ、お互いダメージは感じさせなかった。 黒い着物からは血液がしたたっているのに。 再び刃物が弾き合う音がした。 戦っている二人は距離を取り合う。 「メイドからのおもてなしは快く受け取るべきですよ? ナイフをハートに突き刺せば、憂い無く旅立てますわ。 血液は我が主のジュースとなりますし」 ……物騒過ぎるよ。 「ここは女たちの国。見捨てられ、売られてきた女たちの最後に行き着く場でありんす。 ならばわっちは死神になりんす。 秩序を乱す者を狩り、暗い闇を照らす月となりんす。 覚悟、しなんし!!」 今度は僕の目でも追えた。 だが、咲夜さんはそのクナイをナイフで弾いた。 あと少しで刺さっていた……。 「全く、この世界の人間は誰もそうなのかしら」 「何の話だよ」 「強さよ。人間独特の。どこかの巫女にはないものだけどね」 「どういうことだよ?」 ブッサリ。 何かに刃物が刺さった音がした。 いや、僕には何も刺さっていない。 てか、何か刃物が刺さったような音がどこから? 「月詠姉―、痛いんだけど」 クナイが頭に刺さった少年が歩いてきた。 ああさっき弾いたクナイね、ってだからなんで割と平然としてるんだよ。 しかも手には例のコケシ持ってるし! 「いや、お仕置きでクナイ投げつけられる事あるしさ。おいら店番やってたし」 そういう問題? って、店番してたの君か。 と、黒い着物の人。 「晴太、離れるでりんす。異変が起きた訳でもなかろうに」 「取り込んでいる今言う事じゃないかもけど、変なんだ。紅白の服着た女の子が空飛びながら、『どこだぁ!』って叫んでいるんだよ」 ……奴が来たか。 「二人共、休戦して! あと、レリミア! 後で献血していいから、協力して!! 霊夢が暴れてる。止めなきゃダメだ!!」 「霊夢が? 異変と言えば異変だろうけど。 幻想郷に侵略しようとする奴なんかいないじゃない。 大体、何を探しているのよ」 とレリミア。 「探しているというか…、銀髪の目が死んでる男に何でか攻撃を繰り返している。 その人を何度もぶっ飛ばしている。 それに、あちこち爆撃しているみたいだ」 「銀時を?」 「銀時の兄ちゃんを?」 この街の二人が同時に言った。 「あの男は死なんせん。セクハラでもしたか」 「変な事、あの子に言ったのかなぁ。銀時の兄ちゃん、割と懲りないしなぁ」 有名なのか、あの男。 「とにかくみんな協力して! さっきの長刀持った花魁の人たちも動員して下さい。 お願いします!」 「何があったと言うんじゃ。銀時の一大事となれば協力もやぶさかではありんせん」 「地上の城や攘夷志士、シンセングミとかいうところもやられてます。止めないと……」 「あ、あの子だ」 紅白が近づいてきた。 「お嬢様、来ました」 「いつだったかの、異変の時みたいな勢いね。よく分からないけれど、行くわよ、霊夢」 幻想郷トップランカー二人とそれに匹敵すると思われる人物、三人で対抗だ。 来るなら来い! 霊夢はやや煤がついている上、納豆と思しき糸が髪についていた。 さっきの女忍者とロボとバズーカ狂、それに芳香もぶっ飛ばしたか? 多少は消耗しているはずだ! 霊夢は両手にスペルカードを持っていた。 「右手に『夢想封印』、左手に『夢想封印』合わせて『極・夢想封印』」 なにそれぇぇぇぇぇえええええ!!! 周囲を丸ごとぶっ飛ばし、僕と少年を巻き込んで、負けた。 「今度はレリミアに咲夜? それにちょっとイラつく奴?」 そう霊夢が言ったのが聞こえた。 相手をほとんど確認しないでスペル使ったのか。しかも、少年マンガ的な合体スペルを。 ただでさえチートな存在が、反則技を使うってどういう事だ。 そういえば、異変時はそれに合わせてレベルアップしているように感じさせる奴だ。 もしそれが本当なら、この世界で霊夢が解決しようとしている事は、そこまでやらないといけないのだろうか? あと、イラつくって言ったが、どう言う意味だろう。 あとレリミアが言った「巫女には無い、人間独特の強さ」って何だろう。 あいつが感じている感情(多分、恐怖)と関係あるのだろうか? まあその前に。 「助けて……」 がれきの下でかすかな声を出す僕だった。 |
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