「全くヒドイ目に合ったアル」
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と、チャイナ服の少女の神楽は傘を閉じつつ言った。

「つーか、毎回毎回出てくるエネルギー弾違えってどーなってんだよ。
源外のジジイ、たまの奴をどーいじくってんだか」

相変わらずの死んだ目で銀時。片手に何かボロボロのものを持っている。

「なんで僕が盾にされてんですかぁぁぁぁあ!」

そのボロボロの何かは叫んだ。

この二人に無理矢理盾にされた新八だ。

『不滅 フェニックスの尾』という炎の弾幕を防ぐ盾にされ、結構な勢いで食らったのだ。

「いや、新八君。大きなメガネには小さなメガネにはない火の玉を防ぐ能力が」

「あるかァァァ!! スーファミのゼルダの伝説の盾じゃねーんだぞォォ! そんな古いゲームの設定なんか知るかぁぁぁ!」

「じゃあ、よく磨けばレーザーも防ぐアルネ」

「ミラーシールドにならねぇよ! だからみんな知らねっつの!!
神楽ちゃん僕のメガネ取んないで!」

ミシ!

「メガネにヒビがぁぁぁ!!」

「救急車ァァ!! 神楽! 新八にヒビが! 救急車呼べェェ!」

「僕はこっちだァァァア!!! どいつもこいつもォォ!」

そんな騒ぎの中、ノックがした。

「ごめんください」

日傘を携え、緑髪のにこやかな女性が入ってきた。

「万事屋というのはこちらでしょうか?」


「え、お客さんですか?」

「ええ、どのような事もやってくれる所だと聞いたのですが」

「白い飯と卵が費用アル。すぐよこすヨロシ」

「こら、神楽。個人的な要望言ってんじゃねーよ。今必要なのは、あんぱんだろーが! そうあんぱんがあんぱんであんぱんにあんぱんを」

「何があったぁぁぁ?! 山崎さんの症状がうつってんじゃねーかぁぁ!」

「そうアル。あんぱんがあんぱんであんぱんアルヨ」

「お前もかぁぁぁぁ!!」

「フフッ。面白い人たちね。私の依頼を聴いてもらってもよろしいですか?」

「あ、はい。すいません。お願いします」

「私、太陽の畑という所に今住んでいる、風見幽香という者なんですけど、近頃変なガスが入ってきまして」

「え、太陽の畑ですか? そんな所ありましたっけ」

「やっぱり知らないんですね。向日葵の綺麗な所なんですけど」

「いや、あるぜ。みんなの心に」

「狙撃の島か! グランドラインもねーよ!」

「花が咲いているのは、オメーらの頭アル」

「あなたの頭にも咲かせてあげますか? 綺麗な血の花を。へし折ってあげますか? 心もその傘も」

怒っている。笑いながら。

「夜兎の傘なめんじゃねーぞ!! ゴルァ!」

「いや、あの、穏便に…。それで何をすればいいんですか?」

「ええ、害虫駆除です。そのガスをお尻から出す色とりどりの人が乗った鉄の害虫を駆除してほしいんです」

「あの、それって…」

「私が何十匹か駆除したんですけど、そうしたら白黒の虫がうるさい音を出しながら集まって来まして。その中にいた人間たちが刃物を向けてきましたし、叩き潰してあげたんですけど、いい加減うざくなったので。
それでその虫をやっつけてほしいんです」

「つまり、それ……」

「オラァァァ! 万事屋ァ! テロリストを差し出せェェ!」

マヨラーの声が聞こえてきた。


「自動車連続爆破犯に告ぐ!
ここはもう包囲されている! 大人しく出てきなさい!」

「1数える間に出てくるんだねぃ。いーち」

バズーカ発射。

「ちょ……総悟ォォォ!!」

「男は1数えればいいんでさぁ」

「だからテメーは何もすんなぁぁぁぁ! 片栗虎のおやっさんの真似はいらねぇんだよ!」

爆煙の中から日傘を差した人影が出てきた。

「またあなたたち? 弱いくせにしつこいわね。いいわ、苛めてあげる」

「いーち」

その時だった。

「いきなりなんじゃあ、ゴルァァァァ!」

神楽が沖田に殴りかかった。


「おう。チャイナ娘。一緒に逮捕されてーみてーだな」

「今日という今日は決着着けてやるネ!」

日本刀と傘でハイスピードのチャンバラが繰り広がれていく。

「ちょ……神楽ちゃん! 銀さん止めないと」

その銀時。

「あんぱんあんぱん」

「あんぱんあんぱんあんぱんあんぱん」

山崎と不思議な対話をしていた。

「あの、何してんですか?」

山崎と共に駆け出した。

「「あんぱん!!!」」

そう叫びつつ、土方に襲いかかる!

「お前ら、何してんだぁ! あんぱんのあんを抜いてマヨネーズを入れただけだろ!」

「トシ、お前が悪い気がする」

「ちょっと近藤さん……。伏せろォォ!」

大量の弾幕が降り注いだ。

「万事屋のみなさん。まさか助太刀してくれるとは思いませんでしたけど、下がっていて下さい。私一人で大丈夫です」


 三閃、爆破された万事屋のまえに立つ女性の頭上に降ってきた。

それらは開いた日傘で防がれる。

続く土方の斬撃は受け流し、沖田の突撃は払いのけ、近藤の攻撃は弾いた。

続く山崎のあんぱんは、傘で突き刺して投げ返した。

「あら、よく避けたわね」

無事なのはこの四人だけだ。

他の隊員は全て倒れた。

「なめんじゃねーよ。コラ」

「この位余裕でさぁ」

「新選組局長として皆の仇を取らせて貰う! 覚悟するんだな!」

「あんぱん」

そこに二人の陰。

「あんぱん! その仇だあぁぁぁぁ!」

「テメーは邪魔すんな!」

「逃げんなァ! 決着着いてねーぞ! ゴルァァァ!」

「止め差してやらぁ」

「って、トシ、総悟ォ! 俺一人にしないでェェ!
今、三人でちょうど良かったじゃん!
山崎はともかくとして!」

「あなたが親玉? じゃあ潰してあげる。害虫駆除にはよさそうね」

「ちょ……(微妙にうれしいんですけど)」

「何か喜んでない?」

そんな時だった。今度はパトカーが降ってきたのは!!


「今度は何ですかぁぁ?!」

との新八の声を尻目に、
「え、来てくれたのかぁぁぁ!」
と、近藤はパトカーが降ってきた方を向いた。


幽香は突き刺さったパトカーの上で同じ方を見る。

「あらあら、山の四天王の一角が何の用かしら」

「あんたが悪さをしているって聞いたからね。こいつらはやられるだろうし」

それは瓢箪から酒を飲みつつ歩いてきた、両側頭部から角を伸ばした少女だった。伊吹萃香だ。

「あらそう。害虫と一緒に潰してあげるわ」

「潰されるのはそっちだけどね!」

萃香は巨大化しパトカーごと殴りつけるが、宙に浮かび弾幕を広げ撃つ。

その弾幕は土方、沖田に向かうがそれをかいくぐり放つ刀に、銀時と神楽はすぐさま切り返す。

そんな幽香の弾幕を何か恍惚の笑みで受けているのは近藤だ。

「何してんだよ! あんたは!」

「新八君こそ、蚊帳の外じゃん!」

「それはそーですけど、何とかこの事態を収束して下さいよ! 一応局長でしょーが!」

「それなら、銀さんと神楽ちゃんを止めてくれよ! 我が義弟よ!」

「誰が義弟だぁぁぁ! この変態ストーカー!」

 突如、地面から朝顔の様な植物がその場にいた者の足を縛る。

「そうね、死んで。万事屋のお二人以外。『花符 幻想郷の開花』」

「させるかぁ! 姑息な能力使ってんじゃないわよ!! 『吐息 小鬼の深呼吸』」

スペルがぶつかり衝撃が皆を襲う。

「つーか、なんですかぁ! この二人ィ! 空飛びまくりの、エネルギー弾撃ちまくりの、肉弾戦しまくりなんですけど!!
Z戦士の闘いそのものなんですけど!!!
あと、僕は万事屋に入ってなかったんですけど!!!」

「幻想郷とか言う星の出身者なら普通らしい!
あと、万事屋に新八君が入ってなかったのは闘ってないからじゃん!」

「止めなきゃ駄目でしょうが!
つか、あんたも止めろよ!!」

そんな中。

「「あんぱんにあんぱんをあんぱんだぁぁぁ!」」

「お前らぁぁぁぁ!」

「まだまだアルヨ! 隙ありネ!」

「それはそっちだねぃ」

飛び交う弾幕を避け、弾きつつ、闘っていた。

足には、からまったツルを引きちぎり、ぶら下がっている。

なによりもこの二人だ。

「あら、やっぱり隙ないわねぇ」

「鬼が強いのは当たり前でしょうが!」

どう止めろと言うのか。


山崎が叫ぶ。レシートを掲げて。

「くらえ! 『山崎 春のパン祭り』」

銀時と沖田はパトカーのトランクからあんぱんを土方に投げつけまくる。

「何をしてーんだぁぁぁぁ! お前らぁぁぁ!
つーか、トランクに何詰めてやがんだぁぁぁぁぁ!!」

かと思うと神楽。

「巨大化しておっぱい大きくする方法ォ! 教えるヨロシ!!!」

「いかなり何よ! あんたは!」

萃香に喧嘩を売りつけていた。

そんな中、近藤は。

「あ、やめ…(あ、気持ちいいかも)」

「喜んでるの? 変態ねえ」

幽香に苛められていた。

「つーか、いつの間にかカオスになってんですけど!
収集つかねーよ!!」

その時だった。

緑の影がこの騒動の真ん中に割り込み、全員をはね飛ばした。

大きな緑のその人物は、穏やかに、しかし凶暴な顔面で言った。

「ケンカは、ダメですよ」

万事屋の隣の花屋である、屁怒絽だった。


「へ…屁怒絽さん?!」

(何でコイツが来るんだよ! 怖ぇし!)

(イヤァァ! やっぱ怖いアル!)

(何だよ! この顔面は!)

(あ、荼吉尼だねぃ)

(あ、あんぱん)

(あ、ヤベ。チビった。あとモレた。トシや総悟、気づいてねーよな)

そんな反応とは違い。

「あら、屁怒絽さん」

「幽香、知り合い?」

「面白い植物がたくさんあるから、この人のお店に良く行くのよ。
あと、万事屋の事も教えて貰ったの」

「ダメですよ。仲良くしないと。お花はケンカなんかしませんよ。見習って下さいね」

「コイツは花の妖怪みたいなもんだけど」

「いけませんよ。人の事を妖怪とか言っちゃ。
そう言えば風見さん。空気も水もきれいにしてくれる苗があったんです。
良かったらどうぞ」

と、苗を差し出す。

それは口の様なものを大きくパクパクさせている植物だった。

「あら、いただけるの? うれしいわ」

すると、萃香。

「あ、みんな逃げた方がいいよ。特に近藤ー、多分ヤバイ」

「え?」

巨大な植物の口が近藤の頭上で大きく開けていた。

さっきまで鉢植えにあった植物なのだが。

「幽香の能力は花を操る程度の能力。大きくして、どんなものか確かめるに決まっている。
そして、汚いって言ったらね。決まってるし」

「チビって漏らした近藤さんだからねぃ」

「下半身緩いからな、近藤さん。まだ若いのに」

「ちょ……、バレて……? あと、助けて……」

バクン。

「おら」

と土方に汚れを付ける沖田。

「あ、足滑った」

と、泥をかける銀時。

「オメーの好きなマヨネーズ。味わうヨロシ」

と、マヨネーズかける神楽。

「あんぱん!」

と、あんぱん投げつける山崎。

「お前らぁぁぁぁぁ!」

バクン。

「あ、ダメですよ! 精神が汚い人も食べられます」

「「「「え?」」」」

バクンバクンバクンバクン。

「あの焼け焦げてかわいそうな子もきれいにしたいの? じゃ、お食べなさい」

「あの、ちょ……」

バクン。

「あんた、相変わらずだね。霊夢に退治されるよ。あと、どーなんの、食べられた人」

「大丈夫です。後できれいになって出てきます。精神の汚なさはどうしようもないんですけど」

「それじゃ、汚かった人が出てきたら、持っていきますね。それまで預かって下さいな。気に入ったわ」

その植物を軽く持ち上げ、幽香は屁怒絽の店に持っていく。

横には「このお花の事うっかり忘れていてすいません。きっと空気も凄いきれいになりますよ」と言いつつ、屁怒絽。

「なんかこの植物の中でみんな暴れているんだけど。って幽香が出させればいいじゃない」
後ろから、萃香。

「汚いならきれいにする。基本でしょ。それに面倒は嫌だし」

「まあねー。みんな死ぬタマじゃないし」

こうして幽香の悩みは解消されたのだった。


"なんか、柔らかいヤスリみたいのでワシャワシャやられてんですけど!"

"あ…、そこは……。あうん"

"イヤァァ! ゴリラの変態と密室で一緒はイヤネ! あっち行けヨロシ!"

"テメーらがそっち行って俺を助けな"

"そーだぞ、変態の生け贄はお前らなんだ"

"いい加減にしろ! このドSコンビ!"

"あんぱん"

"つーか、これで解決かよォォォ!"



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