注意:このストーリは二次設定を結構つかってます。
それを我慢できない方は『戻る』を押すか、我慢してください。

あと、この話の良也は本編を終了した後、100年位後の良也です。





今日は少し憂鬱だ。


「はぁ〜、この歳になって大学とは……。」


20代の外見の青年が(主観的な判断だけど……30には見えないだろう……見えないよね?)言う言葉じゃないが、こう見えてももう100歳を超えているのだ。これも全部、輝夜に貰った蓬莱の薬のおかげというか、所為なのだが……

まぁ、知り合いが死に行く姿を見るのは辛いが、数千年は生きる知り合いもいるし、やっぱり生きてる方がいいに決まってる。

霊夢や早苗が死んだ時はやはり悲しかったが、レミリア、幽々子、スキマ、それ以外にも皆無限に近い生を残している。そして、この皆と生きていくのは案外楽しいかもしれない。霊夢と早苗はいないが、大丈夫。それに……これは慣れなくてはいけない事。これが蓬莱人の宿命なのだろう。

でも、自分は時が許す限り皆と生きて行く。

うん、今良いこと言った。

……そうやって永遠を生きる覚悟をしたのは良かったが、世界は甘くなかった。ていうか、僕にだけ甘くなくない?


弾幕の実力は普通。
武術の実力も普通。
魔法の実力も普通。


外の世界ではこれでも十分を通り越して、反則なのだが……幻想郷ではこう、何それ?美味しいの?という
感じなのだ。嫌味じゃないから余計に……ね?

輝夜には普通レベルが許されるのは100年前までよね〜、とか言われたし。永琳には努力してないから、と断定されたし。パチュリーには凡才と言われたし。

……別に何ともないぞ。うん、そう。何ともないから。知ってた事だし。

……でも、やっぱりぐさっと刺さるね。意外と……

永遠を生きるにはそれに相応しい力と知識が必要とのことだが、僕には全然足りないらしい。

いやいや、僕は永琳や輝夜とは違うから、と反論したらめっさ怒られた。そういう心構えが問題なのだと。そうやって心の中で限界を決めているから発展が遅いと。あと、妹紅にも力が無いと苦労すると、呑みながら言われた。彼女は昔に何か有ったのか、ちょっと遠い目をしていた。



それで何故か、『良也を強くしよう。』プロジェクト委員会が発足した。



それから、皆『良也はやれば出来る子。』と言いながら、訓練させようとする。

最初はこのままじゃダメだな、と思い弾幕と、武術と、魔法の訓練を始めたのだが……永琳の弾幕授業はきつ過ぎ、美玲との稽古は痛いし(あと、気絶している隙にレミリアに血吸われるし。)、パチュリーもスパルタ式だし。

このままじゃダメだな、てか無理。死ぬ。死ねないけど……でもだからこそ辛い。

そこで久々に外に出ることにした。いわゆる生への逃避行という奴だ。あと、外の事情にも興味が有った。外の世界で教師を引退した後は、幻想郷から20年くらい外の事情に気を配らなかった。外の知り合いも既に他界していたし、家族にも会いに行く訳にもいかなったからな。皆、死んでると思ってるし。



まぁ、外の世界に出たのは良かったが(地獄の訓練から開放されたし。)


でも……

幻想郷に引き篭もって20年位過ごしたらもう、自分の知る世界じゃ無かった。

日本の首都が京都になり、韓国は統一し、中国は民主国家に成った。それ以外にもいろいろとあったが全体的に言えば世界は平和だった。

でもそんな事は今は置いといて……(そんな事じゃないが……)


「難しすぎだろ、これ。」


教科書難し過ぎる。

現代人の知識量は年々凄まじく成長すると言うが……20年で此処まで変わるのかと、20年前まで先生やってたのに全然分からないってどういう事?

なぁ〜にこれ?

サッパリすぎて逆に清々しいわ。


「こっちもこっちか……?」


逃げて来た先でもこれとは。

身分証明書はスキマのお陰で得ることができたが……学歴まで偽るのは色々と問題が有り大学に入った。それにまた先生をやるつもりだから勉強しようとしたんだが……無理じゃね?と思えと来た。あと、凄くプライドが傷つきました。


「現実は甘くないか……」


楽する為に来たが、楽にできそうもない。でも……死ぬ事は無い分こっちがまし……なのか?!










メリーと蓮子、大学ではそこそこ有名な美人である二人は大学のカフェでコーヒーを飲んでいた。二人の優雅なティータイムに他に男性がちらちらと二人の様子を窺っていたが、メリーと蓮子は視線を物ともせず、今後の方針を相談していた。


「メリー、やっぱり此処が怪しいと思うんだけど……」
「さぁ、其処で変なものを見たこと無いけど。」


地図を指で示しながら言う黒い帽子を被った黒髪の少女。そしてその少女が示した場所を一見して、優雅にコーヒーを飲みながら答える金髪の少女。


「それより、私は博麗神社が怪しいと睨んでいるわ。」
「結界が見えるんだっけ?」
「そう。」


『結界』、普通は日常会話で出て来る話題ではないのだが、この二人の間では日常であった。秘封倶楽部という有名なオカルトクラブの部員であるし、二人とも普通の人は持ってない能力があるからにはその方面とは自然に関わりを持つことになる。



それに興味も十分にある。


「こう、妙な幕みたいな物が見える……んだけど……」
「んん?どうしたのメリー?」
「ちょっと待ってて、少し確認したい事ができたわ。」


メリーは慌てて立ち上がり人波の中へ飛び込んで行った。その突然な行動に蓮子は目を丸くして見ていたが、人ごみの中へ入っていく親友を追いかけようとした。


「何々?!あ、待ってよ。」


蓮子は追いかけようとしたのだが……


「エスプレッソ、899円になります。」


彼女に巨大な壁が現れる。それは余りにも巨大で蓮子では逃げる事もできない。

物理的にも、精神的にも。


「う!メリー!」


蓮子は店員の笑顔にびびった。筋肉質に執事服、なんなんだこのマッチ。

兎も角、蓮子は少し焦りながら財布を出し金を払おうとした。


「……………………」


したのだが……金が無い。


「金が足りない、ナンテコトハナイデスヨネ?」
「あはは……。」


言えない。500円しかない、なんて絶対言えない。死ぬ。いや、死ぬ。あの服の上からも分かる筋肉は凶器だ。あと、その笑顔は大量殺人兵器だ。

そしてその内にメリーは視野から消えていた。


「メリー!!計ったな!!?」










メリーは突然見えた結界の様な物を追っていた。自分にしか見えない特別な『境界』。博麗神社でしか見れないと思っていた『神秘』。それが人波に紛れ動いている。その事に好奇心が湧かない訳が無い。今までそういう『妙な事』を探していたのだ。

結界の範囲はそれほどに広くない。だが、人が多くて中心を特定できない。中心地点の周囲に人が多くて、何が力を行使しているのか分からない。ただ、結界は見えやすいので見失う心配は無いが、早く人が少ない所に出て欲しかった。


「人か、動物か、それとも物か……。」


メリーは好奇心に心踊らせながら呟いた。













大学……やっぱダメかも。

1年の授業から全然だよ。あと、何で文系なのに相対性精神学なんて物を習うんだ?!文系に対する挑戦か?……でも皆何故か普通に授業受けてるし。これが時代の流れなのかな……言ってて悲しくなった。


「はぁ、100年生きてもダメかも。」


人混みを抜け、広い公園に出る。そして暫く歩いてい、公園の中に在る木の下に背をもたれる。そして自分の世界を外から見えなくする。訳して『蛇の箱(ダンボール)』。昼寝スペースを作るには最高だ。でも見えなくても入れるから余り意味は無いが……

ある一人を除いて気付かれる事は無い……と思う。いや、思いたい。永琳には何故か効かなそうだし。


「じゃ、一眠しますか」


霊夢に影響されたのか昼寝が増えてるような気がする。


「其処の貴方。」
「ん?」
「そこの貴方よ。きょろきょろしなくて良いわ、その貴方だから。」
「えーと、僕?」


僕を直視しながら言う金髪の少女。結界張ってるから普通の人には見えない筈なんだけどな。でも目が合ったし……て、あれ?どこかで見た……ってお前かい。


「スキマ、何でいんの。」
「何よ、いきなり。」
「いや、そっちこそ。」
「なんなのいったい。」


スキマが顔を歪めて言う。何か反応が普通だ。普通此処で『目かそれとも脳が狂ったのかしら。良い病院をお勧めするわよ』とか言われそうなのだが……それに何故か外見相応の少女に見える。

神秘だ……


「まぁ、今は良いわ。一つ質問、貴方は妖怪?」


いきなり何を言うんだこのスキマ(?)は?


「違うけど。」


人間とも言い難いが妖怪ではない。嘘は言ってないよ?

でもこういう事を言うからにして、妖怪か?外で生きる妖怪もいることは知ってるけど……

まさか、外見からして……スキマの子?!

何か想像して気分が悪くなった。ていうか……旦那の存在が想像できない。こう何かしっくり来ないんだよな〜。いや、スキマの事だ。細胞分裂とかも……いや、それはさすがに無いか。


「なら……貴方の周りに有る結界は何?」
「結界?」


そんな物を張れる能力は無いんだけどな。あ、もしかして僕の能力の事か?


「それは僕の能力の自分の……」


『自分だけの世界に引き篭もる程度の能力』と言いそうになって止めた。


「えーと、スキ……マじゃないよな?」
「だから何よそれ。」
「八雲紫という名を聞いたことある?」
「知らないわ。」


びっくり……じゃないよな?態度を見ると違うのだが……あのスキマである。油断は禁物だ。

金髪の少女がこちらを睨みながら早く答えろと、そういう顔をしていた。


「『自分だけの世界を創る程度』の能力のお陰だと思うけど。」


言っちゃった。でも幻想郷の連中以外にはかっこつけても良いじゃない!いや、中二病と言われるのか?でも、『自分だけの世界に引きこもる程度の能力』と、自分で言うのは正直……ねぇ?あと、引き篭もり疑惑は勘弁してください。


「そう、嘘じゃなさそうね。」


金髪の少女が物の品を見定める様な視線で僕を観察する。


「やはり私達のような人間はいたのね。」
「え〜、君にも何か能力が在るの?」
「そう、私の能力は『結界を見る程度の能力』。だから貴方に気付けたのよ。あと、私の名前はマエリベリー・ハーン。呼ぶときはメリーでいいわ。」
「本当に?後でびっくりでした〜。なんて事には……。」
「さっきから何言ってるのよ。あと、レディーが名を明かしたら返事するのが礼儀じゃないかしら。」
「あ、ゴメン。僕の名前は土樹良也。……で、本当の名前は?」
「くどい。」


マエリベリーに軽く殴られた。でもふっ飛ばなかったのでスキマじゃない事は確実。スキマに殴られたら最低骨
折である。それ以前にスキマに飲まれてたかもしれない。

世にそくっりさんは最低三人はいる、か。

……本当に本〜当にスキマじゃないよな?






それから僕は秘封倶楽部という所に連れて行かれた。いわゆるスカウトと言う奴だ。まさかこんな事をされるとは思っても無かった。僕の能力の所為だろうが気分は悪くない。


「ようこそぉぉぉぉぉぉぉ!!!!我々はぁぁぁぁぁぁ、君をぉぉぉぉぉぉ、歓迎するぅぅぅぅぅぅ!!!」


部長が凄く熱く出迎えてくれました。その後は問答無用でクラブに入会させられ、めでたく部のメンバーになった。


「よっしゃ!部費ゲットだぜ!!」
「やったな、部長!」


部長と黒い帽子を被った少女が大いに喜んでいた。それにしても、『ゲットだぜ。』って、ポケモンはまだ放送中なのか?だったら凄すぎでしょ。


「あら、蓮子。戻ってたの。」
「『あら、蓮子。戻ってたの。』、じゃないぃぃぃぃぃ!!」


突然部長を蹴飛ばしメリーに叫ぶ黒い帽子の少女。それにしても、哀れな部長。でも何故か共感できるのは何故だろう。


「あの後、私がどれ位苦労したか知ってる?死にそうだったんだから!いや、部長が通りかからなかったら死んでたね、アレは。」
「もう、何を言ってるのか意味が分からないわ。」
「メリーに分かるもんかぁぁぁ!!」
「なら言わないで。」


蓮子という少女が僕をびしっと見て言う。


「私は九死に一生を得た時にメリーはこの冴えない男とデートしてたんだ。」
「冴えなくて悪かったな。」
「まったくよ、もうすこし冴えなさい。」
「いや。どうやって。」
「自分のことは自分で考えなさい。」
「……お前スキマじゃ……ないのか?」
「何よ、それ。」


何か少し雰囲気が似てるのだが……


「うう〜。やっぱり友達より男を選ぶのね。しくしく。」
「よしよし。目が狂ったのね。病院に行こうかしら。」
「メリーが冷たい!!」


部長と俺の目が合った。そして目で語ったさ。


『ぶっちゃけ、ウチラ空気じゃね?』


ますます共感してしまった。


「そんなんじゃないわよ。この土樹良……これは能力者よ。」
「物かい!後、土樹良也だ!」
「そうそう、それ。」
「な、何だって?!!!!」


蓮子が目を光らせて驚いていた。


「それに『自分だけの世界を創る程度の能力』という、ありえない能力の持ち主よ。」
「す、すごい!凄いよお兄さん!!」


蓮子が近づいてきて胸板を突いたり興味を見せていた。


「私の名は宇佐見蓮子、よろしく!」
「ウサミミ?」


うさみみって、レイセンの知り合いか?耳は無いけど。


「ち、ちがうぅぅぅぅ!!」
「ぷっ、うさみみだって。蓮子、可愛いわよ?」
「うるちゃい!」

あ、舌噛んだ。


「う、うるさい!」


言い直した。


「ウサミミじゃない!宇佐見!う・さ・み!!」
「わ、わかった。」



凄い気迫……というのではなく。顔が近すぎたのでとりあえず分かったと言っておく。でも、うさみみか……これはウドンゲインといい勝負ができるぞ。


「ぷっ」


あ、ウドンゲインを思い出したら笑えてきた。


「笑うなぁぁぁぁ!!!!」


蓮子に思いっきり体当たりされた。でも、美鈴と良い勝負ができる……わけではないが、それでも普通の人間(祖父や妹を除いた)、それも少女の体当たりにびくともしない僕なのだ。いや、普通か……


まぁ、結論から言うと何故か抱き付かれる様な体制になってしまったのだが。


「あ。」


顔を赤らめる蓮子、僕に惚れた……って、この歳じゃ普通の反応か。


「し、しねぇぇぇぇ!」
「いやいや、しねぇぇぇは無いだろ。」


普通、『離れて』位じゃない?それか『きゃぁぁぁ』。


「何いちゃついてるのよ。」


メリーに言われたので、とりあえず蓮子を離してやる。いや、元から離すつもりでしたよ?ただ、タイミングを逃しただけで……って、誰に説明してるんだ僕。


「とりあえず。秘封倶楽部にようこそ。」
「ああ、よろしく。」


メリーが言い、それに僕は頷いた。


それが僕たち三人の、始まりだった。
















「ねぇ、部長の俺は?」



哀れな部長である。





あとがき

秘封倶楽部をやる人が無かったので、
やっちゃったZE! でも反省はしてない。

誤字や違和感があるのなら、ご指摘ください。









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