題目 後ろから来るぞ気をつけろ


「オーバー、目標は山に入って行く。オーバー。」
「ぬ、其処には何が在ったっけ?まぁ、取り敢えず尾行を続行。あとオーバーは一回にしろ。オーバー。」
「ねぇ、真横でやってて楽しい?」
「気にするな。雰囲気だ。……オーバー。」

とある学生の集団がぞろぞろと一人の青年を尾けていた。すごく怪しい光景だが、尾けられている本人は其れに気付いてなかった。

「よし、今日こそ先生の恋人を確認するぞ!!」
「おお〜〜。」

少年Hの掛け声に皆で小さな声で返事する。皆、女に縁が無さそうな担任の恋人の存在を一度拝んで見たいのだ。


……凄く迷惑です。


学生達の目標である良也が彼等の存在に気付いたらそう言っただろう。



まぁ、先生の意見は置いといおこう。取り敢えず、今は目の前にあるボロ神社に入って行く良也先生に集中しよう。

草むらに隠れ観察する。

「お〜い、霊夢〜。来たぞ〜。」

先生が緩い声で叫ぶ。

「霊夢、其れが嫁の名か!!」
「意外と美人そうな名前……」
「いやいや、先生に限ってそんな……」

「う〜ん〜。あら、良也さんもう帰ったの。」

えらい美人が出て来た。もう、ヤバイ。何がヤバイかと言うと、いろいろとヤバイ。

「まさか、あ、あの美人が?!」
「そんな訳ない!!!いや、ありえん。」
「チッ、私のお色気に耐えたのは美人に免疫が有ったからか。」
「いや、黒いからだと思う。」
「ああん?何か言ったか?」
「いえいえ。何も。」

パニック状態である。

まぁ、ある意味仕方ない。長く美しい風にひらひらと揺れる黒髪。綺麗な瞳。すらりと伸びた手足。牛乳を連想させる白い肌。

そう。完璧な美少女である。

「どうやって落としたぁぁぁ!!!」
「ヤバイ、惚れるわ。」
「意外にやるね〜。」
「其れにしても、あの服は先生の趣味かしら?」

巫女が着るような服なのだが……

「脇……だと?!」

そう、霊夢の脇は今も輝いている。てか、少年Hの目にはそれしか見えない。

「先生俺とかわっ……」
「ん? 霊夢、何か言ったか?」
「何言ってるのよ。兎に角、お茶。」
「ハイハイ。」

良也は霊夢に急かされて中に入って行く。

「ふぅ、危なかったわ。」
「マジ自重しろ、ばれたらどうする?」
「アイフルする。」
「………いっぺん死んでみる?」
「ごめんなさい。ごめんなさい。助けてお願い。もうしません。」

少女B(Black)、黒いよ。と思うHであった。

「如何わしいわ、恋人にあんなコスプレをさせるなんて!!!」
「でも萌える。」
「脇バンザイ〜。」
「男子シネ」

強いよ少女B!

そんなバカな事をしてる最中に良也が戻って来て、手に持ったお茶を霊夢に渡す。

「ありがと、良也さん。」
「そう言うなら、自分で淹れたらどうだ?霊夢の方が美味いんだし。」
「私は良也さんが淹れたお茶が良いの。」

霊夢が良也を見つめながら淡々と言う。

「甘い。」
「黙れ、今良い所だから。」

それを観察する学生達。

「良也さん、ん。」
「はぁ、全く。」

何かを求めるような霊夢の視線に良也は頭を掻きながら仕方ないといった感じで周囲を確認する。

「んんっ」

そして誰も居ないことを確認すると同時に霊夢の唇を奪う。少年少女達はその光景を息をするのも忘れただ見ていた。深い〜そして長い〜フなんとかキッス。

「おお〜〜〜!」

約何分間の呼吸停止をして離れた良也と霊夢はお互い顔を赤らめ見つめる。霊夢は恥ずかしいのか、それともただ見つめる事に飽きたのか突然良也の胸に抱き付いた。

「今日はこっちで過しましょう。邪魔されるのは好きじゃないわ。」
「まぁ、其れはこっちもかな。」

何か分からないが凄く甘い空気です。そして二人の顔が近付こうとした瞬間‥‥

「この泥棒!!年下になにエッチイ事をしようとしている!!先生でも許せん!!!!」
「な、な、少年H!!どうして此処に?!」
「俺をその名で呼ぶな!この男の敵!!羨ましいんじゃないから。それ絶対に違うから!!!」

生徒の出現に戸惑ってる良也。反面、霊夢は親の敵を見るような目で少年Hを睨んでいた。

「先生は結婚しないと思ってたのに!!裏切りだ。抜け駆けだ。恵まれない俺達にもひかりを……がっ」
「おほほ、先生お騒がせしてすみません。我々はこれで退散しますので……楽しんでね?後、明日話してくれるのを楽しみにしてますね?では」
「ちょっと待てぃぃぃぃ!!!!!」

やっと頭が動き出した良也が渾身を掛けて叫ぶ。

「いつから見てた?!」
「そりゃもう全部、ふふ」

少女Bが含み笑いをしながら言う。そしてその後ろからぞろぞろと現れる学生達。ぶっちゃけ班全員である。

「な、な、お前ら!!」
「それじゃ失礼します〜。」
「お疲れさまです〜。」
「頑張ってください〜〜。」
「何をだ!!!!!!!」

良也の言葉に皆はお互いを見て

「「「そりゃ、ナニヲ」」」

といった爆弾を投下し後ろに向けて前進した。捕まったら何か怒られそうだったからである。





学生達が消えた後、良也は一人ぼっとしていた。

もう生きて行けない。死ねないけど。恥ずかしくて死ぬ。やっぱり死ねないけど。学校にもう行けない。行きたくない。

「取り敢えず……」

霊夢が(精神的に)死んだ良也を生き返させる。

「続きをしましょ。」
「ちょ、おま……」

その後良也は霊夢が美味しく頂きましたとさ。



あとがき


短い……

初めまして、エルゥといいます。上手く書けたかは微妙ですが、書いて見ました。

兎に角甘いのが良かったんですが……甘くねぇ!!(気付くのがry)



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