―Warning!―
 この物語は仮想話であり妄想爆発してます。
 更に、各人物の性格改変、キャラ変更なんでもありです。
 あと、かなり暗い内容になっていて「○○に傷つけないで」という方は閲覧しないほうがいいでしょう。
 以上をご理解の上、了承を頂ける場合のみこの下の本文をお楽しみください。







良也がいなくなった。

最初に異変を感じたのは霊夢だった。

とはいえ、彼は周に二日しか幻想卿に来れない為,急ぎの用で早めに戻ったのかもしれない。
多少の違和感を感じつつ週が変わるのを待つことにした。

ところが、既に八日は経っているのに良也は来ない。

「なにかあったのかしら?」

徐々に違和感が強くなっていく。
更に一ヶ月が経った。が、良也は姿を見せる事はなかった。
その間魔理沙や萃香、レミリア、射命丸etcが神社を尋ね、良也について聞くが
誰も知らないと言う。

流石に良也がいないことで幻想卿全域にも影響が出てきた。
紅魔館では主とその妹が不機嫌になっている。人里でも騒ぎになりつつある。
このままだと厄介と悟った霊夢は紫に頼み、外の世界から良也をつれて来るように頼んだ。






「どうやら良也は、外の世界にも帰ってないみたいよ。」






紫の発言の後、良也と縁のある者が博麗神社に集結。

「・・・というわけなんだけど、今まで誰も良也さんは見ていないの?」
「一応、魔法の森を見てみたけど、やっぱり見てないぜ。」
「美鈴も見ていないといっていました。・・・寝ていただけかもしれないですがね。」
「竹林も探してみたけどね・・・」

霊夢の問いかけに対し魔理沙、咲夜、鈴仙が返す。

「白玉楼にも訪ねて来ませんでしたし・・・」
「私たちの神社にも来ていない・・・」
「幻想卿にもいないんじゃないの?」
「それはないわ。外の世界では既に良也の家族が必死に捜索していたわ。」

妖夢、早苗も状況を伝える。レミリアも参加し紫が返す。

「おいおい、それって結構ヤバくないか?」
「大丈夫よ御家族には[旅行に出る]って説明しておいたから。」

いや、そういう意味じゃなくて・・・と魔理沙が続ける。
勿論、紫も言わんとしていることはわかっている。
これは立派な行方不明だ。誘拐にしても良也を攫う意味も薄い。
他に良也が足を運ぶ場所といえば、天界や地底、三途の川くらいだが、一月も滞在するところ
ではないのは全員知っていた。

「どこにも見当たらないぞ〜、良也の奴。」

突如縁側から角を二本生やした小さな女の子が現れた。

「お?萃香じゃないか。お前も探していたのか?」

霧状に幻想卿中に散っていた萃香は捜索を終えて元に戻ると、魔理沙の質問に頷いて答え持っていた
瓢箪の酒をぐいっと呷る。

「良也には萃める力は効かないからなぁ・・・」

頭を掻きながら縁側に座り込む萃香、足をバタつかせながら唸るその姿は少しの焦りを感じさせる。

こっちにいないのならば、外の世界で行方不明になったのではないか?という考えも出たが
紫に一蹴される。
良也の霊力や気配は本人の意思で隠す事ができるのだが、姿形が痕跡を残さず消えてしまったという。
ここにいる大半の者がその意味を理解できずにいたが、少なくとも
【良也は幻想卿の何処かにいる】ということは理解した。

「とりあえず、もう暗くなってしまったから明日。もう一度集まって捜索しましょう。」

全員に話を通すように、と付け足して紫が解散を促した。

「あなたも気を付けた方がいいわよ」

霊夢に忠告しつつ紫は隙間に消える。
その後全員解散し、自分のあるべき所に戻る。状況が状況なだけに其々表情が曇りがち。
なんだかんだ言いながらここにいる連中は良也に好感を持っている人たちだ。心配していない訳がない。
全員の姿を見送ってから霊夢も寝室へと向かう。


 良也さん、無事だといいけど・・・




flom紅魔館

「そう、じゃあ良也は幻想卿にいるのね。」

世話を焼かす弟子だこと、と呟き溜息を漏らす七曜の魔法使い−パチュリー
レミリアと咲夜は夕食時に全員を呼び集め博麗神社での話を説明した。

「ねえ、お姉様。良也は無事なの!?」

フランドールが今にも泣きそうな表情で問う。
大丈夫よ、とフランドールを宥める。

「でも、良也さんが隠れたにしろ、誘拐されたにしろ、理由は何なのでしょう?」

パチュリーの隣に座っている小悪魔が疑問の声を上げる。

「きっと、血を採られるのが嫌だったとかですかねぇ?」

美鈴が冗談めかして答える。が、レミリアとフランドールの表情が一瞬凍りついた、と同時に額にナイフが
突き刺さる。
馬鹿ね・・・、とパチュリーが呟いたが誰も聞いていない。
既に涙ぐんでる妹様、若干青筋を浮かべつつ紅茶を口につけたまま固まるお嬢様
その二人を必死にフォローする完璧で瀟洒なメイド長

「彼がそんな事で隠れるような真似はしないでしょう。大丈夫ですよ、お二方を嫌うような人間ではありません。」
「そ、そうね・・・」
「うん・・・」




flom白玉楼

「大変なことになってるわねぇ」
「はい・・・」

時を同じくして白玉楼に帰宅した妖夢も、この家の主である幽々子に状況を説明した。

「幽々子様、今回の異変。どう思いますか?」
「あら?妖夢は何か心当たりでもあるの?」

真剣な眼差しで見つめる妖夢。幽々子は態度を崩さずに答える。

「はい、今回の件。良也さんや私達の知人が関係しているとは思えません。」
「・・・ということは、私達の知らない何かが犯人・・・ということかしら?」

博麗霊夢についで良也と縁が深いのはこの魂魄妖夢である。これは良也の知人百人に聞けば全員が
答えるほどの周知な事だ。妖夢は稀に人里に下りて良也と出会うため彼の交友関係も概ね把握している。
その交友関係で幅が利く人は一部除き神社に来ており、その間不穏な空気は感じなかった。

「よ・・・む。妖夢。」
「っは、はい!」

どうやら考えに没頭していたらしい。幽々子の呼び掛けで意識が戻る。

「なんでしょうか?幽々子様。」
「ふふふ。妖夢ったら、良也の事となると真剣なんだから。」
「なっ、ゆ、幽々子様!」

突拍子もない発言にあわてる妖夢とからかう気満々になった幽々子。
ある程度からかい尽くした後、妖夢にお茶を頼み妖夢は台所へ行く。
それを見送る瞳は優しく、何処か不安げだった。

「良也が心配なのは、あなただけじゃないのよ・・・」

小さな声で呟いた一言は妖夢には聞こえなかった。




flom永遠亭

「・・・という、わけです。」
「良也は蓬莱人だから死ぬ事はないから、心配はないけど・・・」
「・・・問題はあっちですよね・・・」

会話の傍らでビリビリと衝撃波が響く。例によって輝夜と妹紅が弾幕ごっこの名を借りた殺し合いを
している為だ。最近は頻度が増えた上に互いの攻撃が徐々に苛烈になってきている。
更にその苛烈になった弾幕の流れ弾が竹林には勿論のこと、永遠亭の屋敷にまで飛び火しはじめている始末。

「最近の姫は苛々が溜まってますよね。」
「いないといないで、結構困るわね。」

良也の件について話そうにも、二人は一向に鬩ぎ合いを止めるつもりがない。
二人の対立頻度が増えたのも良也が来なくなってからだ。

「こんな時、良也の一声で簡単に鎮まりそうなものだけどね・・・」

ぼそっと呟いて溜息を漏らす、薬師−永琳
この溜息が二人の対立に対してなのか、良也絡みなのかは定かではないが、少なくとも永琳を
悩ませているのは間違いない。

「ところで、お師匠様?先ほどからてゐの姿が見当たらないのですが・・・」

鈴仙の問に対し笑顔を見せる永琳。長い付き合いの為、この笑顔が何を示唆しているのかはすぐにわかった。
聞きたい?という問に対しNoと即答。聞けばこっちも恐怖で身震いしてしまう。

・・・因みに、日が変わってようやく二人の勝負が治まり、話を通す事ができたそうだ。




flom守矢神社

「あっはははは、そいつは大変だねぇ。」

豪快な笑い声で答える神奈子。笑い事じゃないです!と怒っても決して笑顔は崩さない。
良也は幻想卿にいるらしいが、どうにも居所がわからない。
良也なら大丈夫さ、と元気付けるが早苗はどうにも落ち着かない。

「やはり、自分の惚れた男が行方不明となると心配かい?」
「かっ、神奈子様!?先生は別に・・・」

顔を赤くしつつ怒りを露にする。とはいえ、神奈子とて不安でないわけではない。
少なくとも早苗や諏訪子は良也を慕っている。この二人には笑顔でいてほしいという神奈子なりの優しさだ。

「あー、うー、早苗〜、お腹すいた〜。」

卓袱台に突っ伏していた諏訪子が間の抜けた声を出す。
明日も集合ということもあって、早苗も足早に台所へ向かう。

「神奈子は、どう思う?」

いつになく真剣な表情になる諏訪子。神奈子自身もこの一件には妙な違和感が付きまとっていた。
全員感じているであろう違和感、正体のわからない不安。単に良也がいないだけではないもの。

「まあ・・・明日になれば何かがわかるだろう。」

真剣な表情で言う神奈子に黙って頷く諏訪子。







こうして各々の夜が過ぎていった・・・







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あとがき

はい、というわけで「人の想いを断つ黒楼剣」が実在したら・・・という妄想から始まった「黒楼異変」。
今回は主人公であるハズの良也には席を外れてもらってます。
タイトルの割には肝心の黒楼剣が出てきてないです・・・

最初っからえらい勢いでキャラクターが登場してます。初めて小説書く人のすることじゃないですね・・・
これから話が展開して行くわけですが・・・どう進むのかは書いてるときの気分で大きく左右されます。
面白いと思っていただければ幸いです。

あと、感想や指摘があったらどんどん言って下さい。それだけで個人的ヤル気が↑↑になります。



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