急いで帰ってきたけど、僕はレティシア達を見つけることが出来なかった。結局、銭ばっかり持って神社にたどり着いてしまった。 「何しに行ったのよ」と霊夢からお叱りを受け、夢想封印の上八方鬼縛陣、磔の刑と相成ったわけだ。 その上僕を追ってきたという魔理沙が、そんな僕を見て面白がるからたまったものじゃない。 何故僕がこんな目に会わなきゃならない。ちゃんと仕事はしてきたんだからいいじゃないか。 いやまあ、レティシア達を発見できなかったのは、僕の落ち度だけど。でもこの扱いには納得がいかない。 僕は霊夢の夫なんだから。一家の大黒柱なんだから、もう少し敬われてもいいんじゃないだろうか。 「無理ね。」 「無理だぜ。」 声を揃えた二人の宣告に、僕は項垂れる以外に選択肢がなかった。 しばらくして、香夢がレティシアとメニィを連れ帰ってきた。どうやら無事に帰ってこれたようだ。 だが、少し様子がおかしい。メニィはレティシアに負ぶわれていた。 途中で怪我でもしたんだろうか。 「おバカさん達を連れ帰って参りました。」 「ご苦労様。」 「よう、お邪魔してるぜ。それと、後ろの二人は初めましてだな。」 「で?見たところ妖怪に襲われたみたいだけど。幻想郷を実感できたかしら。」 「・・・ええ、嫌というほどにね。」 やっぱり襲われたのか。香夢が助けたんだな。 「おお?何だ何だ、お前ら外の人間なのか?」 「そうだけど・・・あなたは?」 「レティシアさん、こちらは大巫女様とご先祖様の古い友人で魔法使いの霧雨魔理沙おばさま。手癖が物凄く悪いので注意してください。」 「・・・魔法使い、ね。何でもありなのね、ホント。」 「私は借りてるだけだぜ。人聞きの悪いことを言うな。」 「私、嘘はあまり言いません。魔理沙おばさま、この二人は外来人のレティシア・マイスターさんと外来ばいおうぇぽんのメニィ・マリオンさんです。トラブルシューターという職業だそうです。」 「おう、そーかそーか。よろしくな。」 「・・・てちょっとキョウム!?何さらりと重大情報漏らしてるの!!」 うん。今ごく自然にとんでもないこと言ったよね。メニィってバイオウェポンだったのか。 そういえばちょっと前に、外でクロフトって会社がクローン人間騒動起こしてたっけ。あそこ火星の会社だったよね。 二人も火星から来たらしいけど・・・まさかね。 「あー?何かおかしなところでもあったのか?というかばいおうぇぽんって何だ?」 「何でも、人の手で造られた強い生き物のことらしいですよ。」 「おお、そうなのか!よし、気に入った!!」 「何でそうなるの!?」 あっさり順応した魔理沙に納得がいかず、叫ぶレティシア。 まあ、一般的な外の人から見たら、ここの住人の懐の深さはある意味理不尽かもね。 「そういうもんなのよ、幻想郷は。特に魔理沙はパワーと名のつくものが大好きだから。」 「弾幕も魔法も、何事もパワーが一番だぜ!」 「・・・私がいまだに悩み続けているというのに、何でここの連中はこうもあっさりと。」 「レティ、どうしたの?お腹痛いの?」 「違うわよ!」 理不尽な何かに耐え切れず、レティシアは半ばやけくそだった。 きっと彼女も苦労してるんだろう。常識人故に。 メニィの足首は物の見事に骨が折れていた。妖怪の弾幕を喰らったらしい。 この中で治癒術が使えるのは僕しかいない。というか、幻想郷で治療系の術が使えるのって僕と僕の師匠ぐらいしかいない。どいつもこいつも攻撃特化ばかりだ。 永琳さんはたちどころに傷が治る薬とかは作るけど、あれは薬であり術じゃない。それにあの人も攻撃的な薬の方が多分多い。 それはともかく、僕の治癒術は自分の体だったらどんな怪我でも1時間もあれば治せる。いっそ死ねば一瞬で治るけど、痛いのは嫌いだ。 だけど他人の体となると途端に効きが悪くなる。しょうがない、下手に『拒絶』してしまったら逆に傷つけかねないから。所詮は漫画のパクリだ。 メニィの足は見事にぽっきりいってるから、治すとなると明日までかかりそうだ。 それも、僕の能力が一番効率よく働くこの神社での話だ。当然だが、今日は捜索中止だな。 「そう・・・。とりあえず、メニィの足は治せるのね?」 「それは保証する。効きはいまいちだけど万病に効果があるのが僕の治癒術だ。」 僕の言葉を聞き、レティシアは安堵のため息をついた。 ――さっき香夢が教えてくれたけど、レティシアはメニィを造り出した人の娘だそうだ。メニィに対して、色々思うところもあるんだろう。 けれど、レティシアのこの反応を見て、僕は思う。それはきっと、悪い意味だけじゃないって。 でなきゃ、レティシアがこんなにも優しい目でメニィを見るはずがない。そもそも大変なトラブルシューターという仕事を、一緒に続けられる道理がない。 レティシアは自分で『いまだに悩んでる』って言ってたけど、それでいいんじゃないかな。 だってそれは、取りも直さずメニィのことが好きってことなんだから。 「ごめんねレティ、私のせいでお仕事遅れちゃって。」 「変な気を回すんじゃないわよ、三歳児。謝るのはこっちの方なんだから。あんたはゆっくり休んで、全快させなさい。」 それは、微笑ましい光景だと思った。 「何だ、お前ら幻想郷に住むわけじゃないのかよ。つまんないなー。」 今日はオフとなったレティシアは、魔理沙に取っ捕まった。曰く、「宇宙の話を聞きたい」と。 星や月を模した魔法を好んで使う魔理沙だから、宇宙のことには興味があるんだろう。 そしてレティシアは今までにあった依頼の話をした。 開拓惑星に潜む犯罪グループを殲滅した話や、未確認生物の調査をした話。依頼と見せかけた同業者からの嫌がらせなんていう話もあった。 それを聞いて、僕はレティシアのバイタリティの高さに感心した。ここに住む住人は非常識なのが多いけど、レティシアの体験談も十分非常識だと思う。素質は十分だ。 そんなレティシアを気に入った魔理沙が「新しい楽しみが増えた」と言ったのだが、レティシアは否定の答えを返した。 「ごめんなさいね。でも、依頼もあるし兄さん一人に経営を任せるわけにもいかないのよ。今は大変な時期だし。」 「いいじゃないかそんなもん。もうお前の家族も仕事仲間も、皆幻想入りしちゃえよ。」 なかなか無茶を言う魔理沙。まあ、そんな例がなくもないんだろうけど。 「あんまり無理言ってレティシアを困らせるなよ。宇宙を駆け回ってるレティシアには、幻想郷は小さすぎるだろ。」 色んな異界と通じているため、僕には狭いと思えないけど。宇宙に比べたら小さなものだ。 「えー、けど幻想郷も悪くないだろ?妖怪はいるし、刺激には困らないぜ。」 「困らないだろうけど別の点で困るだろ。」 今日早速妖怪に襲われたばっかりなんだから。 「まあ、今日みたいなことになったら寝覚めが悪いですから?幻想郷にいる間は私がボディガードをやってあげてもいいですよ?」 「ナイスツンデレ!」 「だ、誰がツンデレですか、この白黒!!」 うん、僕も同じ意見だ、魔理沙。 まあ、曾々祖父としては百合はどうかと思うんだけど。 「霊夢の異常性愛を受け継いだのが敗因だな。」 「封印するわよ。それに呆れるほど行き遅れたあんたには言われたくない。」 「私のはいい相手がいなかっただけだぜ。」 ていうか、魔理沙と釣り合いとれる男ってどんなのだ。 「・・・そういえば、マリサはリョウヤとレイムの古い友人なのよね。ということは、あなたも・・・。」 「? 最初に魔法使いだって言ったぜ。」 お前が人間やめるとは思ってなかったけどな。 「そりゃ、何処ぞの三流魔法使いが不老不死になんぞなったからな。永遠かければ追い抜かれるかもしれないじゃないか。」 負けず嫌いだなぁ。一回ぐらい僕に勝ちを譲ってくれてもいいのに。 「そう、そうよね。これが幻想郷なのよね。妖怪や神様がいるんだもの、魔法使いや不老不死の一人や二人・・・。」 受け入れたとは言え、常識人であるレティシアには少々刺激が強かったのか、虚空を見詰めてブツブツと呟き始めた。 「って、さすがに不老不死はないわよ!!何処の誰、不老不死って!?」 「ここの僕。」 「・・・リョウヤ、やっぱりあなた頭が・・・。」 違うってば!! 「あー、こいつが不老不死なのはここにいる全員が保証するぜ。何せ、何べんもこいつが死んで生き返るところを見てるからな。」 「頭痛がしてきたわ。」 「なに、じきに慣れる。」 「それに、不老不死は僕だけじゃないよ。他にもあと三人いるから。」 僕なんてまだまだ新米不老不死だ。何せ彼女らと来たら千年とか生きてるんだから。 「・・・人類が歩んできた道って何だったのかしら。」 「不老不死なんかよりも凄いことやってると思うけどね、今の外。」 どっちも大概非常識だと思う。 「・・・とまあ、そんなわけで依頼を蹴るわけにもいかず、地球に来てここに来てしまったというわけよ。」 話は移ろい、今回の依頼の話へ。 レティシアも結構苦労してるんだなぁ。若いのに。 「あー、なるほどな。確かにそれなら、ここに来てるって可能性も捨てきれないな。」 「私もリョウヤの話を聞いてそう思ったのよ。だから、情報収集のために人里に行こうと思ったんだけど・・・。」 「そら無用心だったな。ここらは妖怪がよく出る場所なんだ。私らみたいな常連組は大抵空を飛んでるから、会うこともあんまりないんだがな。」 お前の場合会っても蹴散らすだろ。得意の魔砲で。 「ええ、さっきまでは妖怪なんて信じてなかったしね。冷静に判断できなかった私の落ち度だわ。」 「そんな気にすることでもないだろ。お前もあっちのちっこいのも、結果的には生きてたんだし。」 「まあね。けど、そんなもの結果論に過ぎないわ。次も同じように行くとは限らない。今回のことはしっかり反省するつもりよ。」 「まじめだねぇ。だが、嫌いじゃないな。」 レティシアはプロ意識を持って仕事をしてるんだな。そういうところは、素直に尊敬できるよ。 「香夢、ちょっとは見習ったらどう?」 「まるで私がまじめに仕事してないみたいな言い方しないでください。ちゃんとやってるじゃないですか、境内の掃除とか。」 「一人で異変解決もできないけどね。」 「うぐ!?しょ、しょうがないじゃないですか、そういう能力なんだから!!」 『妖怪しか退治できない能力』だからなぁ。 まあ、だけど一人でできないことを二人でするのも悪くはないんじゃない?何だかんだで一緒にやってるわけだし。 「私は好きで守矢の風祝と一緒に戦ってるんじゃありません!」 「嫌よ嫌よも好きのうちってな。全く、お前はツンデレスターだな。誇っていいぞ。」 「いい加減にしないとあなただけ神社に入れなくする結界張りますよ!!」 「おお、やってみろ。ぶち抜いてやるぜ!!」 「ヒートアップしてるところ悪いんだけど、わからない単語がいくつか出てきたわ。解説お願い。」 香夢と魔理沙がギャーギャー言い争いをし、レティシアは実に冷静に意見を述べる。 馴染んでるな、レティシア。 「ところで、その捜してる奴は何ていうんだ?」 巫女に締め技をきめる魔女が、何の気なしにレティシアに尋ねた。 「それはちょっと。依頼人のプライバシーってものがあるから。」 「えー、ちょっとぐらいいいじゃんかよ。んなもん気にしてたら天狗はお飯の食い上げだぜ。」 「テングってそんな生き物なの・・・?けど、名前ぐらいならいいかしら。捜索を依頼されてる対象の名前はキクコ・タチバナさん。あなた達風に言うとタチバナキクコさんね。」 その名前を聞き、魔理沙はパチクリと目をしばたたかせた。 「? どうしたの、マリサ。」 「あ、いや。最近どっかでそんな名前を聞いた記憶があってな。」 「本当?それが何処だったかって、思い出せない?」 「そんな、ことより、いい加減、解放して・・・。」 魔理沙の言葉に、レティシアは興奮した面持ちで身を乗り出した。そして香夢が限界寸前だった。 「ん〜、確か人里で・・・先月だっけ?いや、もうちょい最近な気もするなぁ・・・。というか何しに人里行ったんだったっけ・・・。」 魔理沙は人差し指を頭に当てながら考えた。しばらくうんうん唸りながら考え。 「そうだ、思い出した!私の実家に遊びに行ったときだ!!」 両の掌を合わせ、得心がいったと叫んだ。それにより香夢が解放され、床に崩れた。どうやら落ちたらしい。 「先々週ぐらいに私の実家の方に遊びに行ったら、見ない顔がいてな。甥っ子に聞いてみたら先月ぐらいから住み込みで働いてるらしくて、確かそいつの名前が橘菊子だったんだ。」 「それよ!間違いないわ!!」 意外なところから、レティシアの求める答えは湧いて出た。まさか魔理沙が知っているとは。 「案内してもらえる?」 「お?今日は捜索は中止なんじゃなかったのか?」 「捜索じゃないわ、確認よ。行って、話を聞いて、戻ってくるだけ。それならメニィが動く必要もないし。」 「なるほどな。」 「それで?」 「ああ、いいぜ。案内してやる。」 言って魔理沙は立ち上がった。続いてレティシアも立ち上がる。 「レティ、行くの?」 「ええ、行って確認してくるわ。もし件の人物が私達の捜してるキクコさんなら、これで仕事が終わるわ。」 「そしたら、帰れるんだね。私達。」 メニィが朗らかな表情で言った言葉に、レティシアが一瞬ピクリと反応したような気がした。 けど、それは僕の見間違いだったのかな。次の瞬間には冷静なレティシアだった。 「そうね。だからあんたは、さっさと足を治しなさい。」 「ん、わかった。」 メニィは素直に頷いた。 「キョウムは・・・完全に伸びてるわね、これ。しょうがない。マリサ、ついでに護衛を頼めるかしら。」 「任しとけ。私は香夢と違って妖精にも負けないぜ。」 「頼もしいわね。」 というか、妖怪に勝てて妖精に勝てない香夢が特殊なだけなんだけどね。 「さらについでだ。私の箒で運んでやる。移動時間は短い方がいいだろ?」 「・・・箒で飛ぶんだ。まるっきり御伽噺の魔女ね。」 「あんまり無茶苦茶な運転するなよ、魔理沙。僕や霊夢と違って、レティシアは自力で飛べないんだから。」 「そんなことわかってるぜ。私の安全なドラテクを見せてやる。」 そこはかとなく不安になる言葉だな。ドラテクって時点で。 レティシアは魔理沙の箒の後ろに乗って、空を駆けて人里へ向かった。 箒で飛ぶということには驚いていたけど、生身で風を切って飛ぶことに感動はなかったみたいだ。まあ、今はスカイモービルとかあるからな。高いけど。 そして、僕と霊夢と伸びた香夢、治療中のメニィが神社に残ることになった。 怪我が痛むのか、昨日は饒舌だったメニィはあまりしゃべらなかった。僕も霊夢もあまりしゃべる方じゃないし、魔理沙が来て賑やかだった母屋は一気に静まり返ったようだった。 「・・・レティ、怒ってるのかな。」 ふと、メニィが口を開いた。 「怒ってる?そんな風には見えなかったけど。」 「ううん。ちょっと様子が変だった。何か考え込んでるような、我慢してるみたいな感じ。」 そうだったかな?だけど、レティシアの相棒を務めているメニィが言うということは、多分そうなんだろう。 「レティってね、考え事すると眉毛がほんの少しだけ寄るんだよ。」 「メニィはレティシアのことをよく見てるんだね。」 余程しっかり見ていなければ、そんなことに気がつくことはないだろう。僕には全くわからなかったんだから。 そんな最高のパートナーに対し、レティシアが怒るようなことが何かあっただろうか?少なくとも、僕が話を聞いている限りでは、そんな流れはなかったが。 「私が生体兵器だってこと、言っちゃったからかな。」 「それはないと思うな。だって、それを言ったからって何かがどうにかなったわけでもないんだし。」 その程度のことで僕達は動揺したりしない。気持ち悪がったり、怖がったりすることはない。 人の姿をした人でないものなんて、幻想郷には五万といる。僕の友人にもそんな奴はたくさんいる。 だから、現代が生み出した『妖怪』でも、僕達は受け入れられる。それが幻想郷だ。 ・・・まあ、そんな実験をしてた連中に対しては、少しばかり思うところはあるけど。僕が何かしたところで、意味があるわけじゃない。 「レティシアが何か考え事してるとしても、多分怒ってるわけじゃないよ。きっと依頼のこととか考えてるんじゃないかな。」 たとえば、魔理沙の言ってた菊子さんがレティシアたちの捜してる菊子さんだった場合、依頼人にどう説明しようかとか。 「そうかな?」 「そうだよ。メニィはレティシアのパートナーとしてしっかりやってるんだ、もっと自信を持ちなって。」 「・・・うん。」 メニィの返事は控えめだった。 メニィがバイオウェポンであるということ――人ではないということ。それは僕達にとっては何でもない、ただの事実だ。 だけどこの二人にとってはそういうわけにはいかないんだろう。 外で生きる上で、そんな事実はハンディキャップにしかならない。人間は自分とは違うものを認めないから。 だからレティシアはメニィが『人』として生きられるように頑張っている。メニィはそれに対して引け目のようなものを感じている。 お互いがお互いを思い、それ故に困難が立ちはだかる。僕はこの状況を、そう判断した。 全く、年頃の娘っていうのは難しいものだ。そういえば、良夢もそうだったっけ。あの子は中と外の境界の人間として育ったからな。 僕がこれ以上口出しすることはできない。こういうデリケートな問題は、そんなことで解決したりはしない。 でも、少しの間だけ楽しませてあげることぐらいはできる。 「じゃあ、この間は昔の地球の話をしたから、今度は幻想郷で起こった色々な事件の話でもしてあげようか。」 「うん!」 僕の言葉でメニィはパッと表情を輝かせた。 やはり、このぐらいの歳(三歳)の娘は笑っていないとね。 「そうだね。それじゃあ、僕が幻想郷に来たときの話にしよう。あれは、確か僕が二十歳ぐらいのとき・・・。」 神社では、とても穏やかな時間が流れていた。いつものように。 * * * ・・・リョウヤの言っていた意味がわかった。確かにこれは無茶苦茶な運転というに相応しいだろう。 「ぐく・・・もうちょっとスピード落として!!」 「あー!?聞こえないぜ!!」 耳元をごうごうと風が流れ、私の声をさらう。マリサは全く取り合わず、スピードを緩めることをしなかった。 スポーツカーの限界速度を軽くぶっちぎっているように思える。そんな速さで私達は滑空しているのだ。 振り落とされたらひとたまりもない。私はマリサにしっかりとしがみつき、落ちないように全力を注いでいた。 生身でこれだけの速さを――しかも飛行速度を出すとは。魔法使いとは恐ろしい生き物ね。 そして、速さ故にその時間は短かった。 「ほれ、着いたぜ。」 朝方1時間以上をかけても着かなかった人里に、ものの5分で到着してしまったのだ。 「・・・確かに、移動時間は短かったけど。生きた心地がしなかったわ。」 「そうか?私達の間では普通だぜ。」 どんな普通よ。 確かに、そんな速さで空を飛ぶ乗り物も存在するにはするけど、こんなむき出しではない。 おまけに、加速と減速も急だ。かかるGが凄まじい。少しめまいがした。 「普通の人間が住むにはきつすぎる場所ね・・・。」 「そうでもないぜ。見ろよ、ここに住んでるのは大抵何の力も持たない普通の人間だ。」 マリサに言われ、私は下げていた視線を上げた。 そこは、旧い町並みだと思った。私はこの国の文化を知っているわけじゃないけど、直感的にそう感じた。 何故そんな風に思ったのか、分析をしてみる。 まず、電線の数が極端に少ない。遠くに見える山から伸びている電線が、見える範囲で10本程度張られているだけだ。 そのどれもこれもがレトロだった。木で出来た電柱の上に、電線が引っ掛けられている。 そしてそれらは、どうやら民家で使われているものではないらしい。ごくごく一部の建物にしか張られていない。 次に、建物全てが木造の平屋で、大きいもので3階程度の高さしかなかった。 行きかう人々の格好も奇妙だ。私達が普段着ている洋服ではなく、キモノと呼ばれるものを身に纏っていた。 確か古くはこの国で着られていた衣装のはずだ。それが現役で活躍している。 歴史に取り残された町、いや里か。私はそんな印象を受けた。 「外から来た奴はこれを見ると大抵驚くんだ。まあ、少しは進んだけど、ほとんどは幻想郷が隔離された当時の文明らしいからな。」 なるほど、実際歴史に取り残された町なのか。 それは、私達が失ってしまった大事なものを、彼らは持っているかもしれないということ。激動の時代に置き忘れたものが、ここにはまだあるのかもしれない。 「・・・感慨に浸ってる場合じゃなかったわ。案内してくれる?」 「切り替えの早い奴だな。いいぜ。」 だからどうというわけではない。それはそれで尊いことかもしれないけど、今の私にはあまり重要なことではない。 それが重要なのは、私よりもむしろ――。 結論から言うと、それは私達の捜していたキクコさんに間違いはなかった。 キクコさんは私がタチバナ氏の依頼で捜しにきたということを聞くと、ひどく驚いた顔をしていた。 彼女はここの話を聞き、家族に無事を伝える手立てがないと諦めていたらしい。通常は行き来のできない土地らしいから、しょうがないわね。 私だって、偶然がなければこんなところまで捜しにくることはなかっただろう。世にも不思議な話だ。 「それで、私達の目的はあなたを連れて帰ることだったんだけど・・・。」 どうやら彼女は、この土地で生き、骨を埋める決心をしたらしい。 それはそうか。でなければジンジャに行ってこの土地を去っているはずだ。 「はい。すみませんが、私はここで生きることに決めました。その決心は揺るぎません。」 意思は固かった。説得は無理そうだ。 けど、こっちはこっちの仕事がある。はいそうですかと簡単に引き下がるわけにはいかない。 「理由をお聞かせ願えるかしら。」 帰らない、それ相応の理由がなければ。 「・・・わかりました。」 私の真剣な視線を見て、菊子さんは居ずまいを正した。 「父と母から既にお聞きでしょうが、私外では家の手伝い以外何もしたことがなかったんです。農作業を手伝い、山菜を取りに行って。後は学校に行くぐらい。」 「それが嫌だった、と。」 「そうじゃないんです。私はそれでいいと思っていました。そういう人生を、私も送るんだって思ってました。」 では、何故? 「・・・結局のところ、それって私が選んだ道じゃなかったんだって気がついたんです。ここに来てから。」 菊子さんは語った。ここに来て、私達と同じように大いに戸惑ったことを。そして偶然通りかかった人に助けられ、人里へきたこと。 「ここでの日々は大変でした。便利な機械なんてほとんどないし、食べ物がなければ飢え死にする危険だってある。妖怪という脅威もありますし。」 外だったら、その辺りは多少はどうにでもなる。でなければ、人類が宇宙に進出しなおこれだけの人間が増え続ける余裕などありはしない。 けれどここは閉じたコミュニティだから、その中で完結させなければならない。その中でまかなわなければならないのか。 「だけど、同時に実感できたんです。ああ、今私は生きてるんだって。」 ・・・それは、あるいは私が依頼で死の危険にさらされた後に感じる安堵に似ているかもしれない。 ただ生きている状況では、人間は生を実感できない。何らかの刺激があって、初めて知覚できるのだ。『生きる』ということを。 「ただ漫然と生きていた外の日々とは違って、ここでは生きるために必死です。皆が生きるために互いを支えあって頑張ってるんです。 だから私は、ここで皆と生きていこうって思ったんです。私だって、きっと何かの力にはなれるから。」 それに、とキクコさんは続けた。とても朗らかな笑顔で。 「ここの夕日は、最高に綺麗なんですよ。」 ・・・私は、この人を無理矢理連れ帰る意思が起きなかった。 結局、家族に向けた手紙を書いてもらい、私はそれを運ぶ役割を仰せつかった。 任務、失敗かしらね・・・。 ただ帰るのも味気ないだろうと、マリサは人里を案内した。 私としてはさっさと帰りたいところだったけど、マリサが運んでくれないことには帰ることもままならない。大人しく従うことにした。 キモノが基本である里の人々には、黒のスーツ姿の私は奇異に映るのだろう。通り過ぎるときに私を振り返り――また何事もなかったかのように日常に戻っていった。 ここもやはり幻想郷か。奇異を日常の一コマとして受け入れているのだろう。 「・・・で、ここの煎餅は美味いんだ。あとめぼしい食い物屋と言ったらこっちの大福とか・・・。」 マリサは色々と里のことを教えてくれたが、私は全て話半分にしか聞いていなかった。 どうせ去る身なのに、そんなことを聞いたってしょうがない。 どちらかというと、私の意識は町並みの方に向いていた。 やはり、古臭い雰囲気を醸し出している。建物自体は新しいものもあるが、意匠が旧時代というイメージを持っている。 そして何と言うか、緩やかだった。時間の流れ、人の意識が、緩やかに流れていっていた。 私は過去にこんな町を訪れたことがあったわけではないが、不思議と落ち着けた。 楽園という言葉があるが、それはきっとこんな場所のことを差すんだろう。 と。 「ここは寺子屋っつってな。半獣の教師が一人で切り盛りしてる、まあ人里の名物だな。」 私達は少し大きめの平屋の前に出た。半獣とか、突っ込みたいところはあったけどあえてスルーし、用語の解説を求めた。 寺子屋とは言い換えれば私塾のこと。ここは里の子供に読み書きや計算を教えたりするところなんだそうだ。 「ここの教師は基本温厚なんだが、怒ると頭突きをしてくるからな。気をつけろ。」 「気をつけてどうするのよ。会う予定もないわ。」 「いやいや、幻想郷に住めば会うこともあるさ。」 だから私は明日帰ると言ってるでしょうが。 「何だよー、まだ考えを改めてないのか。」 「というか、依頼の途中よ。キクコさんの手紙をタチバナ氏に届けなきゃならないのよ。」 「んなもん、良也あたりに任せとけばいいぜ。あいつなら行き来自由だからな。」 「それ抜きにしたって住み着く気はないわ。私はトラブルシューター。宇宙が私の働く舞台よ。」 「ふむ、なるほど。見ない顔だと思ったら外の――しかも宇宙に住む人間だったか。」 いつの間にか、私達を遠巻きに眺めている女性が一人いた。奇妙な帽子が特徴的だ。 「おう、慧音。寺子屋見物させてもらってるぜ。」 「ああ、構わないよ。私はここの教師をやっている上白沢慧音だ。」 「さっきマリサの言ってた半獣の人ね。シェリフスターカンパニーのレティシア・マイスターよ。」 「慧音からも言ってやってくれよ。こいつ幻想郷に住まないとか言ってるんだぜ。」 マリサはケイネが現れたことで助力を求めた。が、ケイネは首を横に振った。 「魔理沙。レティシアさんは自分の意思で帰ろうと決めているんだ。私達に止める権利はない。」 「ありがとう、ケイネ。それと私のことはレティシアでいいわ。」 「ああ、わかったよレティシア。・・・と言っても、きっと次に会うことはないだろうが。」 「そうね。」 私は去る。これはもう、決定事項だ。 そうだ。たとえここが楽園だったとしても、私には切れない縁がある。ここに居続けるわけにはいかない。 私はいられない。だけど。 「けどまあ、気が変わったら色々とお願いするわ。」 「そうだな。そのときは人里の守護者として、歓迎するよ。」 「お?レティシアもその気になってきたか?」 「億に一つの可能性もないけどね。」 私はいられないけど、ひょっとしたらあの子は――。 それからすぐに、私はマリサの箒に乗りジンジャへと帰った。相変わらずの運転で、少し酔ってしまった。 その晩は、私とメニィ、リョウヤ、レイム、キョウムのジンジャ組に加え、マリサも食卓に同席した。 これは普段から結構あることらしい。ジンジャの敷地で宴会などということもざらだそうだ。 そうなると、幻想郷のあちこちから人や妖怪、妖精、神様が集まってきて、賑やかに騒ぐという。 私はそこまで賑やかなのは得意じゃないけど、それはきっと楽しいことなんだろうと思う。 「結局、菊子さんは帰らないんだ。」 「らしいわ。生きがいを見つけたみたい。」 「珍しいことじゃないわよ。ここは楽園なんだから。」 「ということは、任務失敗ですか?」 「ニヤニヤしながら言うんじゃないわよ。一応、手紙は預かったわ。」 「それを運んだらお仕事終わりだね。おトーフが食べられる♪」 メニィの頭の中はトーフで一杯だった。 「ここに住めば豆腐なんて食べ放題だぜ?メニィもこう言ってることだし、もう住み着いちゃえよ。」 「しつこい。」 何故マリサは私にこんなに定住を勧めるのだろうか。そこまで気に入られることをしたかしら。 「強情だな。だったら、メニィが住みたいって言ったらどうするんだ?」 何の気なしに言ったマリサの言葉に、私はつい動きを止めてしまった。 「・・・レティ?」 「何でもないわ。」 誤魔化す。が、メニィはそれを良しとしてくれなかった。 「レティ、怒ってる?」 「何で私が怒るのよ。理由がないじゃない。」 「だって、私自分から生体兵器のこと言っちゃったし・・・。」 「結果として何の問題も発生してないんだから、気にしてないわよ。」 嘘だ。問題が発生しなかったから、私は気にしている。 そんなことはわかっているけど、私はそれを口にはしない。 ・・・つもりだった。 「何を一人で悶々と考えてるのか知りませんが、ここらでたまってるものぶちまけちゃったらどうです?」 キョウムがそんなことを言ってこなかったら。 見れば、いつの間にか皆が私を見ていた。リョウヤもレイムも、マリサでさえ。 ・・・どうやら、私が悩んでいることはお見通しのようだ。私は諦念のため息をついた。 「あなた達は、メニィを受け入れたわ。あっさりと、残酷なほど。」 私が長い間かかってようやくここまでこれたのに、彼らはあっさりと私を追い抜いた。 「それはきっと、あなた達だけじゃない。きっと幻想郷というところはそういうところなんでしょう?」 「そうよ。紫の言葉じゃないけど、『幻想郷は全てを受け入れる』のよ。」 ユカリというのが誰を指すのかわからないけど、それはキョウムにも聞いた。 「ここなら、メニィを受け入れられる。サミィとイーザーだって、きっと。」 「その二人も、バイオウェポンなんだね?」 リョウヤの言葉に、私は頷き答えた。 私は彼らが人として生きていけることを、ずっと考えていた。父が生み出した『兵器』を、一人の『人間』として見るようにしてきた。 だけど、それは実のところ私の押し付けでしかない。父のように命を弄びたくないから、彼らを――メニィを『人間』にしたいだけ。 結局のところ私の感情でしかない。幾ら綺麗事を並べ立てたところで、正体は私のエゴだ。 それに対しここは、ここの人は、妖怪は、受け入れる。損得とかではなく、ただ受け入れるのだ。 私とは比べるべくもないほど、優しいと思った。 「ねえメニィ。あなた、幻想郷は好き?」 私は最後の一押しとなる答えを、メニィに求めた。 私はメニィの目を真っ直ぐに見て、メニィもまた真っ直ぐ私の目を見た。 メニィはしばらく考えていた。やがて、口を開く。 「うん、好きだよ。」 ――そう。なら、私の答えは一つだ。 「だけど・・・」 メニィを置いていく。そう言おうとした私の言葉は、次のメニィの言葉に完全に消し飛ばされた。 「私はレティの隣の方が好きだよ。」 ――何も、言えなかった。言う言葉が見つからなかった。 ただメニィの瞳は純粋で、何の疑いもなく私を見ていたから。 「これでメニィさん置いて帰ったら、あなた人でなしですね。」 キョウムが呆れたように言った言葉に、私は驚いた。私の考えは読まれていたようだ。 ・・・いや、当たり前か。あれだけ分かりやすい振りだったんだから。 「今日レティシアが里に行ってる間に、ちょっとメニィと話をさせてもらったけどね。メニィは君のパートナーとしてあるべきだし、君はメニィのパートナーであるべきだと思ったよ。」 リョウヤが、年経た者の顔で私に告げる。 「レティシアは僕達が受け入れると言ったね。確かにその通りだ。僕達は何でもかんでも受け入れる。深く考えることもなしにね。 だから、レティシアのようにそこまでメニィのことを考えてあげることはできない。それがメニィにとっていいことだとは、僕には到底思えない。」 「まあ、いい悪いなんてのは彼岸の閻魔ぐらいが持ってるだけでいいのよ。んなもん見方によって色々変わるんだから。」 リョウヤの言葉を引き取って、レイムが続ける。 「あんた、ここでこの子を置いてって満足した人生を送れるの?」 この言葉を聞いたとき、私は始めてレイムを『神』だと思った。それだけの威厳が、この言葉にはあった。 ここにメニィを置いていって、後のメニィの行く末を知らず、私は気兼ねなく人生を送れるだろうか。 わからない。――だけど、何かしらのしこりが残るのは確かだった。 「ならちゃんと連れて帰りなさい。自分の都合?大いに結構じゃない。誰かの気持ちなんて、それこそ『覚り』でもないとわからないわよ。」 「あの人でも僕の気持ちだけはわからないらしいけどね。」 「良也さんの場合思ってることがそのまま顔に出るから、んなものなくてもわかるけどね。」 「うぐっ。」 硬い空気は一瞬だけだった。そこからは、前と同じ軽い空気・・・空気みたいな空気とでも言えばいいか。そんなものに戻っていた。 「ちぇー、レティシアとメニィの幻想郷残留はなしか。つまらん。」 「あら、あんたも人の都合じゃなく自分の都合を優先したら?力ずくで止めればいいじゃない。」 「そんなことするんだったら撃つわよ?」 「ちょ!?食事中に拳銃を出すな!!」 「大丈夫よ、中身はゴム弾だから。この距離だったらせいぜい骨にヒビが入るぐらいよ。」 「それなら・・・十分危険だよ!!」 「不老不死が何を言ってるんですか。消し飛ばされたことも何度かあるくせに。」 「レティ、何だかんだで凄く馴染んでるよね。」 優しい喧騒のなか、私達は幻想郷最後の夜を過ごした。 翌朝。 私達は朝早くに、ハクレイジンジャの前に立っていた。 リョウヤが『能力』とやらで私達は『向こうの世界』に運ばれる。本来はハクレイのミコであるキョウムの役割らしいけど、リョウヤに巻き込まれた私達は本人が責任を持って連れて行くそうだ。 見送りは、レイムとキョウム。それと昨晩ジンジャに泊まったマリサ。 たった三人の見送りだけど、十分だ。私達は幻想郷でそれほど多くの人に出会ったわけではない。 「それじゃ、送ってくるよ。」 「変なところに繋がないようにね。」 少々不安になる会話をするリョウヤとレイム。・・・大丈夫よね?本当に私達帰れるのよね? 「まあ、ここからなら外の世界に繋がるだけでしょう。安心していいと思いますよ。」 「・・・その言い方だと、前にリョウヤはやらかしたことがあるのね。」 「ええ。魔界に3回、彼岸に2回。それからどこともつかぬ異次元に6回ほど。」 「ぜ、全部不可抗力だよ。何かそれっぽいものがある場所だったから・・・。」 一番常識的な会話が通じるリョウヤだけど、案外この中で一番非常識なのかもしれない。 「じゃ、元気でな。気が向いたらこっちに住めよ。」 「幻想郷から出たら本来戻ってこれないんですが・・・。まあ、多分ご先祖様に頼めば入れますから。」 「考えておくわ。」 最も、そんなことはありはしないだろうけど。 「メニィ!次に会ったら勝負だ!!」 「いいけど、何で?」 「もちろん弾幕ごっこだぜ!!」 「私、肉弾戦しかできないんだけどなぁ・・・。」 メニィはマリサと何やら約束したみたいだけど。・・・実行がまず不可能なのは、これが今生の別れとなるからか。 ともかく、最後の挨拶は済んだ。 じゃあ。 「行きましょう。」 「わかった。」 リョウヤに進言する。するとリョウヤは目を瞑って何やら集中を始めた。 それと同期するように、周囲の景色が徐々ににじみ始めた。まるで、世界がひっくり返るかのように。 「じゃーなー!!」 「元気でやんなさい。」 「メニィさんのこと、しっかり見るんですよ!!」 三人の声が少しずつ遠ざかっていく。 私は三人に、そして幻想郷そのものに別れを告げた。 「さようなら。」 しばらくすると、あの閑散としたジンジャになっていた。落ち葉が積もり、寂れた場所へと。 何だか寂しさのようなものを覚えたが、仕方のないことだ。 私達は、こちら側の人間なんだから。 「それじゃ、依頼人のところまで行こうか。」 一人こちら側に着いてきた――私達を連れて来たリョウヤが、そう言った。 「ええ。」 私はそれに短く返事をし。 『博麗神社』を後にした。 +++あとがき+++ 長い。長いよ。これの何処が短いんだよッ!!ロベルトです。 とりあえず、レティシアとメニィにはとっとと幻想郷を脱出してもらいました。実にあっけねえ。 本当はもっとメニィ絡みで長々とやりたかったんですが、短編にそこまで情熱燃やしてどうするのかと思いまして。 つーかそれやったらさらに長くなるし。具体的にはバイト数が多分10K増えます。 バイトのKって1000と勘違いしてる人が多いけど、実際には1024刻みなんですよね。日本語は一文字2バイトだから、10K増えると5120文字増えると。 400字詰め原稿用紙で考えると実に13枚分になるわけです。恐ろしい。 とか言いつつこの話も30Kあるわけで、既に原稿用紙40枚近く消費してるわけですよ。 手書きだったら絶対に頑張れないと思う。PC最高ゥーーーーー!! で、全然あとがきっぽくないあとがきになってきるんでそろそろ方向修正して。 本編で書ききれなかった部分があります。多分これから書くことがないと思うので、書ききれなかった部分を少し語ろうかと。 ・香夢(きょうむ)という名前について 何でこんな名前にしたかというと、キョウムという音が良かったんです。その中で、一番字面が綺麗そうなのを選びました。 妖怪を退治する程度の能力によって妖怪退治時には『狂夢』あるいは『凶夢』になるわけですが、それを解説してくれる人があの場にいませんでした。 ・守矢の風祝について もちろん早苗の子孫です。名前は守矢美稲(みいな)。能力はまだ考えてません。 早苗と違ってがさつなしゃべり方です。丁度霊夢と早苗のしゃべり方を香夢と美稲で入れ替えた感じ? 常識人。守矢の三柱や香夢の非常識っぷりに振り回される薄幸人。 ・良也の空間転移 だいぶ色んなところにつなげられるようになりました。『外と中を行き来できるんだから、他もできるんじゃね?』という発想の元使われます。 しかし精度はあまりよろしくなく、変なところに繋がることもしばしば。その関係で神綺様とは仲が良かったりする。 ・お菓子屋常連の子供 まごごそら君、12歳。尻尾が生えてたり生えてなかったり。 こんなところでしょうか。 さて、次でようやくラストです。無駄に長かった短編(?)ですが、ようやっと彼ら彼女らの日常に戻ります。 俄かに交わった二つの物語に、どんな影響が出るのか。それとも何事もないのか。 それは次回のお話で確認してください。 最後ぐらい、綺麗にまとめたいな〜・・・。 そんではまた、次回にでも。 |
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