さて、今日も幻想郷へ行こうと思ったんだけど…… 「……」 じーっと。 女の子が僕のことをみていた。 どうしよう。 見られたまま幻想郷へ行くのは不味いし、このままなのもなぁ。 「ね、ねぇ君?」 なんでこっちをじっと見てるのか気になる。 だから話しかけてみようと思ったんだけど。 「……後でいいや」 「は?」 僕の横を通り過ぎて、歩き去ってしまった。 ……なんだったんだろう? とりあえず気にしないことにして、幻想郷へ入った。 「おーい霊夢いるかー?」 「あら良也さん、久しぶり」 お茶を飲みながら寛いでいる霊夢が言う。 確かに久しぶりかも。 ここんとこは仕事が忙しかったし。 僕もお茶を入れ(霊夢のおかわりも入れた)寛ぐ。 「そう言えばさ、幻想郷に入る前に女の子が僕をじーっと見てたんだよね」 なんか気になる。 普通あんな寂れたところに女の子が近付くとは思えないし。 なんか僕のこと見てたし。 「ふーん」 「聞く気ないな、おい」 「興味ないもの」 確かに大した話じゃないけどさ。 「なんか咲夜さんを小さくしたような子だったなぁ」 咲夜さんを小さくして、冷たくしたような印象を持った。 「……あら、戻ってきたのね」 ……ん? 「戻ってきた?」 「その女の子よ。彼女、少しの間幻想郷に住んでいたのよ」 良也さんが来る前までだけど。 と霊夢は続けた。 「へー。でも幻想郷からよく出られたな」 自由に出入りできる僕がいうのもなんだけど。 というか戻ってきたって、幻想郷に入れるのか? 「紫に頼めばすぐよ」 「スキマに?」 スキマが頼みをきいてくれる? いやいや…… 「ま、いずれ会う機会もあるでしょ」 霊夢はめんどくさそうに話すのをやめた。 本当に幻想郷へ来ていれば確かに会う機会もあるだろうなぁ。 あの後、神社を後にし、人里へお菓子を売りに来た。 うん。今日も順調順調。 「これ。もらえる?」 「あ、まいど」 女の子に声をかけられ、お菓子を渡す。 って。 「さっきの」 さっき見たばかりの女の子だった。 本当に幻想郷へ来ているとは。 「こんにちは、現代の蓬莱人さん。紫から貴方の話はちょっとだけ聞いてるわ」 スキマから、というだけで碌な話じゃないんだろうなぁ…… 「んー……」 「な、なに?」 またもやじーっとこっちを見てくる女の子。 なんかあんまり良い予感はしないなぁ。 「……多少、霊力はあるようだけど。普通の人間にしか見えない」 まぁこっちじゃ雑魚同然だしね…… 「別にいいけど。……あ、うざい奴の気配がする」 うざい奴? すごく嫌そうな顔してるんだけど… そう思った矢先、魔理沙が飛んできた。 「おー! 面白そうな感じがしたから来てみれば! 鈴音じゃないか!」 「うるさい」 ふーん。鈴音ちゃんって言うのか。 ってか魔理沙。お前何を構えてる。 何、魔力を高めてる!? 「おま、こんなところで暴れる気か!? しかもこんな小さい女の子相手に!」 思わず間に入ってしまう。 「いや、さすがにこんなところじゃ暴れないぜ?」 じゃあその魔力はなんなんだ! 「……勘違いしているようだけど。私は貴方よりずっとずっと年上よ?」 「鈴音は半妖なんだぜ?」 鈴音ちゃんの言葉を魔理沙が補足する。 いやまぁ確かに妖力は多少感じていたけど、せいぜい僕の霊力と同等くらいだと思うんだけど。 「魔理沙。また弾幕ごっこ? やるならどこで?」 「魔法の森だな! あそこなら私のテリトリーだぜ!」 って! なんか知らない間にどんどん話が進んでる!? そして二人とも飛んでいく。 当たり前のように飛ぶんだな。僕ですら飛ぶけど。 なんとなく二人についていく。 すぐに後悔することになったけど。 僕が追いついた時にはもうすでに二人の弾幕ごっこは始まっていた。 鈴音ちゃんはナイフを使うのか。 なんか本当に咲夜さんを小さくしたみたいな感じだな。 あ、魔理沙がスペル発動した。 ……いきなりマスタースパークかよ。 鈴音ちゃんは気にせず避けたし。 あ、避けた先に魔理沙がいる。そしてまたスペルか。 鈴音ちゃんもスペルを取り出した。って……、マスタースパーク? おーおー。って、ん? なんかこっちに迫ってきてないか? 「ちょっと待てぇぇぇぇ!?」 なんとか避けることに成功! あぶねぇ…… ……ナイフ? ナイフが魔理沙の周りどころか、僕の周りにもあるんですけど。 「風符!『シルフィウインド』!」 なんとか少しナイフを吹き飛ばし…… 「逃げる! 死ぬ前に逃げる!」 逃げることにした。 後で聞いたが弾幕ごっこは魔理沙が負けたらしい。 今まで一度も勝ててないとか。どんだけ強いんだよ、あの子。 |
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