「ぜぇ、ぜぇ……」

逃げ、きれたのか? 結局追ってはきてないみたいだけど……。

しかしよくあそこから、あのメイドさんから逃げられたな。

何か、よく確認はできなかったけど、妖精のメイド達が攻撃したような感じだった。

あれは俺を狙ったんじゃなかったのかな? でもそうじゃないとおかしいよな? あの妖怪はあの館の主のはずだし。

俺を狙ったんじゃないのなら俺を助けてくれたってことか? チルノといい、妖精っていい奴ばかりなのかな。

「よく、わからんな……」

あぁ、こっちに来てから体力に余裕ができたけど、それでも疲れた……。

「少し、休むかぁ」

そうやって木陰に座ろうと思ったが。

「あはっ」

「な……っ!?」

ここに来てから最初に会った妖怪が目の前にいた。

「わざわざ私に食べられに来てくれるなんて。今度は逃がさないわよー?」

くそっ! 逃げてきた先は最初にいた森か!

本当に今日は何回命の危険に晒されればすむんだよ!?

「あははっ」

妖怪は言った。

――月符「ムーンライトレイ」――

何を、って!

「レーザー!?」

横っ飛びで避けるが、小さい弾幕が行く手を阻む。

「く、そ……」

避けきれない!

「あぐっ!」

被弾し、倒れてしまう。

「あははっ! もう動けないわよね?」

本当に動けない。

せっかくさっきも命からがら助かったのに、また……。

誰か助けてくれ。そう願うが、ここにはさっきの妖精たちはいない。

だけど、願わずにはいられない。誰が俺を助けてくれ! と。

「な、なによこれ!」

そして、願いは通じた。

また通じた。

そこらの植物が妖怪の動きを遮っていたのだ。それに風も舞っている。

だけど、身体が上手く動かない。さっきのここまで逃げてきた疲れと、弾幕のダメージで動けないのか……、せっかくの逃げるチャンスなのに……!

「むー、邪魔するなー!」

――闇符「ディマーケイション」――

「な……っ」

また大量の弾幕が……。森を破壊する……。

俺を助けてくれた森が……。

「この……! やめ、ろ!」

俺は思い切り右手を振るう。そして、カマイタチを発生させる。風が起こせるならこのくらい!

「痛っ!」

妖怪の頬に掠っただけ、か。だけど、弾幕は止まった。

これで森が破壊されることは……。

「っ!?」

突然右腕に痛みが走った。

「捕まえたわよ!」

妖怪に掴まれていた。弾幕も止まっていたけど、妖怪の邪魔をしていた周りの植物も動きを止めていたのか。あぁ、今度こそ死んだかなー。

何故か他人事のように思っていたが。

「痛ぁっ!?」

今度は弾幕が複数妖怪に当たっていた。

「正義の味方、参上だぜ!」



◇◇◇◇◇



そこには魔女のような格好をした少女がいた。

人間、だよな……? うん、この感じは妖怪でも妖精でない。

「白黒! もうすぐでこの人間食べられたのに邪魔しないでよ!」

「邪魔されたくなかったら私を倒すことだぜ?」

弾幕ごっこしようぜ。そう言う少女。何なんだ一体。

「いいわよ! ふん、二人とも食べちゃうんだから!」

「それは無理だぜ」

二人は空へと上がっていった。正直意味がわからん。

だけど、とりあえずは助かったということでいいのか?

移動しようにも身体が動かないし。どうしたものかな。

そんなことを考えつつ、体を休め、数分。

「あっけなかったな」

降りてきたのは人間の少女だけだった。

妖怪のほうはどっかに行ってしまったのかな。

気配が遠ざかった気がするし。

「よぉ、大丈夫かあんた?」

少女が俺に話しかけてくる。大丈夫かといえば大丈夫じゃないな。

ぜんぜん動けないし。

「あぁ、まぁ何とか大丈夫だ」

だがそこで強がってしまうのが男ってものだよな、仕方ない仕方ない。

「それは何よりだな。しっかし空を飛んでたら、なんかこの辺の植物がやたらと動いてたから驚いたぜ」

さっきのか。

「それで俺を見つけて助けてくれたと」

「ま、そういうことだな」

ありがたい話だが、咲夜さんといい、この世界は人間も反則的に強いんだな……。

妖怪に勝つ人間って……。

「あ、そういえばまだお礼を言ってなかった。助けてくれてありがとうな」

「気にしなくていいぜ。あんたにも興味が沸いたしな」

そう言って笑う少女。いや、興味って。

「なぁ、あんたは里の人間じゃないよな? 変な服着ているし外来人か?」

貴女の服も妙だぞ。とは言わないが。

「あぁ、そういったものらしい。いまいちよくわからないけど」

「ふーん……。それじゃ、ゆっくり話も聞いてみたいし、神社に行こうぜ」

神社? 神社になにかあるのか?

「説明はついたらするぜ。ゆっくりでいいからついて来な」

説明か。とりあえずついていこう。

俺は痛めている身体に鞭打ち、ゆっくりと浮かび上がり空を飛ぶ少女についていった。

あ、自己紹介してない。神社についたらしなくちゃな。



◇◇◇◇◇



面白い奴に会ったものだぜ。

茸をとりに出ただけだったが、まさか植物を操る外来人に会うとはな。

どうせ紫の奴が連れてきたんだろうが、能力持ちみたいだし、空も飛べる。

ルーミアの奴に食われそうになっていたが、助けてやった。

なかなか楽しめそうな奴だぜ。



――あとがき――

お久しぶりです。

諸事情により更新できなかったのですが、やっと落ち着きましたので書かせていただきました。

やっぱり少しでも間が空くとダメですねぇ。

まぁそれはともかく今回の話はルーミアとのやたらと早い再来。そして魔理沙登場。

次は神社でのお話。霊夢も当然出てきます。

これで主人公の安全もとりあえずは確保できるか?

それではこれで失礼します。

しーゆー☆



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