「んぁ……?」

目が覚めたわけだが……、あれ?

「空気がいつもと違う?」

そう、病院とは空気が違う。かなり澄んだ空気。外? いやなんでだ?

「外、っつうか森? 林?」

森だった。いやいや、何で俺はこんなところで寝ているんだ? たしかに病院にいたはず。

これもまた夢か? でも感じる空気は本物だし……。

「だけど、夢じゃないとおかしいんだよな」

夢でなくてはおかしい。

だって、今にも死にかけていたはずなのに。

「嘘のように身体が軽い……」

今までは身体を動かすことすらほとんど困難な状態だった。だからいくらなんでもいきなり動けるようになるはずがない。

ないんだが……。

「あの夢、信じるべきか?」

昨夜の夢。あの人が言った通りならば俺は死なずに済んだということになる。

ただ、家族にはもう会えない。知っている人は誰もいないということにもなる。

というか世界を捨てろって言っていたけど、どういうことなんだろうか。

……異世界?

「んなわけないか……」

とりあえず移動するべきか。こんなとこにいても仕方ないし。夢にしろ、現実にしろね。

「とはいえ、どこに行けばいいのか……」

どの方向へ行こうか決めかねていると女の子の声が聞こえた。

『ねぇ、あなたは食べてもいい人類?』

――そこには“闇”がいた。



◇◇◇◇◇



必死に走る。逃げるニゲル逃げる!

意味がわかんねぇ!

何なんだいったい! 食べてもいいってどういうことだよ!

見た目はかわいい少女。最初はそれすらわからなかったが。

最初はその場所だけ夜になったかのような暗い闇が話しかけてきたようだった。

でもあれはあっちも見えないらしい。それを解いて見えた姿が少女だった。

名前は聞いてないから知らん。とにかくあれは駄目だ。話すだけ無駄。

そもそも人間じゃない。あの闇は俺の“力”と同じようなものだと考えられるが、気配が違う。

何で分かるか知らないが、何か、“異質”を感じた。

「わはー。逃げても無駄よー?」

“光の玉”がいくつも飛んでくる。奴も空を飛んでいる。

周りの木が砕けているのを見るに、俺がくらったら一撃でダウンだな。

「無駄でも逃げるに決まってんだろうが!」

何故か目が覚めてから身体の調子が良かったわけだが、それ以上に身体能力がかなり上がっているようだ。今までよりかなり速く走れる。

だからこそ逃げていられるんだろうが……。

正直いつくらうかもわからない恐怖で体力がどんどん削られる。

折角生き続けることができるかもしれないって言うのに……。

「食われてたまるかっ!」

玉が途切れたのを感じた瞬間に逆走する。

一応言っておく。俺の“力”は雨を降らしたりしかできないわけじゃないんだぜ?

「フラッシュ!」

右手を奴に向け言う。別に言う必要はないけどな。

「きゃっ!」

目くらまし。これはただ単に日の光を右手から浴びせただけ。

相手が闇を使う力を持っているなら多少は効果あるだろ!

「そして逃げる!」

そしてまた逆走。逃げる。どうせ戦ったって勝ち目はない。なんとか奴から逃げ切るための策でしかない。

これで逃げ切れるといいのだが……。



◇◇◇◇◇



多少奴から離れた後、木に隠れながら視力の回復した奴の様子を窺う。

これで奴が諦めてくれればいいんだが……。

「むー……、食糧が生意気ー。どこいったー」

見失ってはいるようだな。これで気配が読めたりしたらやばいんだが……。

まぁそんなことはなさそうだ。よし、このままゆっくり離れていけば――。

「もう面倒! 絶対食べてやるんだからー!」

――夜符「ナイトバード」――

さっきまでとは比較にならないほどの玉が飛んできた。

ありえないだろっ!?

「くそっ!」

目の前の木が木端微塵になり、俺はそこからまた走り出す。

「見つけた♪」

速い!? さっきまでのは本気じゃなかったってことかよ!?

玉の大群も未だ健在。このままじゃやばい。俺も奴と同じように飛ぶことが出来さえすれば――。

「え?」

風が舞い起こった。俺の身体が浮いた? いや、飛んで――。

「ちょ、ま! 速すぎ――!」

木々よりも高く浮き上がり、ものすごいスピードで飛んで行った。

これ、俺ってば死んだんじゃないのか?



◇◇◇◇◇



逃げられた。久しぶりに人間が食べられると思ったのに……。

変な服を着ていたからきっと外来人。食べてもいい人類。

それなのに、逃げられた。

最初は遊んでた。でも、あの人間が右手を私に向けてきて、目を向けたら突然の光。

ただの人間じゃないのかもしれない。そう思ってスペルカードまで使ったのに。

今まで必死に走っていたのが嘘のように空を駆けて行った。

とくに攻撃らしい攻撃はしてこなかったけど、逃げられたっていうことに腹が立つ。

「次見つけたら絶対食べてやるんだからー!」

そう決めてまた私は闇を纏った。

うぅ。お腹空いたのだー……。





――あとがき――

うん、ごめんなさい。

一話も短かったです。全然分量が増えませんでした。

そして二人目の原作キャラ、ルーミアを出してみたのですが……。キャラが少しおかしい気がします。

というかいまいち口調とかがわからないです。

主人公、ルーミアと遭遇後、一応逃げることに成功。

ただし生きているかは不明(笑

一応、主人公の能力でできることをいくつかやってみたわけですが……、うん、きっとまだわからないはず。気づかれたら私は泣くよ?

それじゃ、しーゆーあげいんっ!
それでは、短いですが、これで第一話終了です。

第二話でお会いしましょう。しーゆーあげいん♪



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