短いうえに鬱いです。注意。 「お兄ちゃん…」 玲於奈は今日も一人、病室にいた。 彼女の兄は二年前の初夏、交通事故にあった。 奇跡的に一命はとりとめたものの、それ以来兄は目をさまさない。 一度、夏休みに入ってすぐくらいの時に少しだけ回復の予兆があったが、… 結局戻っては来なかった。 ―――――― 「残念ながら土樹様は…植物状態になっています。呼吸はしていますが、言葉を発したり、 動いたりするのは難しいです」 お医者さんからそう告げられ時は頭が真っ白になった。 どうしてお兄ちゃんが?どうして?どうして…。 「…息子の意識が戻ることはないんですか?」 お父さんが辛辣にな表情で聞いた。 「…可能性は0ではありません。 ただ、それがいつになるかは現時点では明言できません…」 お医者さんは申し訳なさそうに言った。 お母さんは顔にハンカチを当てながらお医者さんに質問した。 「息子は…息子は今、どういう状態なんですか?もし、今もずっと苦しんでいると思うと…」 そう言ってお母さんはまた泣き出した。 「いえ、それは違います。今、息子さんは夢を見ています。 いつまでも終わらない長い長い夢を。 」 夢……良かった。 お兄ちゃんは、夢の中で私と会える。 それならお兄ちゃんは私の事を忘れてはいないよね。 …お兄ちゃんはどんな夢を見ているのかな。 夢の中でもお兄ちゃんは平凡なのかな? それとも女の子に囲まれていたりして…。 それはないかな…。 ―――――― 玲於奈は今日も一人、病室にいた。 幻想の世界から戻らない兄の帰りを待ちながら。 あとがき 短編です。ストーリーとかはありません。orz …もしも全て夢だったら…という話です。 奇縁譚本編の「第十八話、第十九話」を少し参考ににさせていただきました。 では、批判・感想などはここへ… http://clap.webclap.com/clap.php?id=rond |
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