!注意!
・オリキャラが一人出てきます。
・オリジナル設定が含まれています。
・例によって前話、前々話とは関係ありません。
それでもおkな方はどうぞ。





またまたいつものように幻想郷に来た僕は、人里で外の世界のお菓子を売った後、なんとなく香霖堂に行ってみることにした。
店の前まで行くと、店の前が少し騒がしい。
どうしたんだろう?と思って見てみると、魔理沙と…知らない少年がもめていて、それを森近さんが仲裁していた。
近づくと少しずつ声が聞こえてきた。

「旦那さんがどんだけ悲しんでると思ってるんだ!」
「し、知らねーよ!私はもう縁を切ったはずだぜ!」
「二人ともとりあえず落ち着いて。…ほら、落ち着こう」

…何をもめているんだろう?あ、森近さんがこっちに来た。

「良也くん、この二人を止めるのを手伝ってくれ。事情は後で話す」
「えーっと…わかりました」

二人は少しは落ち着いたみたいだが、まだ睨み合っている。

「えーっと…まずは事情を教えてください。僕は何もわからないので」
いきなり森近さんに止めるのを手伝うように頼まれてただけで、事情が全く分からない。

「旦那さんが!」
「いや、私はもう実家とは縁を切ったはずだぜ!」

二人はまた喧嘩を始めた。すると、森近さんが呆れた表情で僕のほうを向いた。

「…僕が話そう。魔理沙の実家が道具屋というのは知っているかな?」

もちろん知っている。『霧雨道具店』はたまに行く。でも魔理沙は確か…

「ええ、知ってますよ。でも魔理沙は勘当されているんじゃ…」
「そこまで知っているなら話が早い。実はあの少年は霧雨道具店で修行しているらしいんだ」

へー。そういえば森近さんも昔霧雨道具店で修行していたって言ってたな。

「じゃあ森近さんの後輩ですね」
「…まあ一応そうなるかな。それで今回の原因は彼がいきなり香霖堂に来て、親父さんに頼まれてもいないのに
 魔理沙に"親父さんに謝って、実家に戻ってこい"と言ったんだ」

…何で?勝手に?

「何故、という顔をしてるね。僕もそう思ったよ。だがどうやら彼いわく、霧雨の親父さんは魔理沙に
 帰ってきてほしいと思っているみたいなんだ」

え?霧雨の親父さんが魔理沙を勘当したんだよね。

「彼は店に住み込みで働いているらしいんだけど、親父さんが寝言で"魔理沙、追い出して悪かった。
 帰ってきてくれ"と言っているのを聞いてしまったらしい。さらに親父さんが昔の魔理沙の写真が入っている
 アルバムを見て、泣いているところを見かけたらしい。普段の親父さんからは想像できないけどね」

確かに霧雨の親父さんはいかにも「職人」って感じの人だからな…。

「それで、この少年が親父さんに何も言わず、勝手に魔理沙を連れ戻しに来たらしい。
 店にとってはまったくいい迷惑だよ…」

森近さんは頭を抱える。それにしても普通の人間の子供がここまでよく来たな…。
運が悪ければ妖怪に襲われていたかもしれないのに。

「森近さんは魔理沙は親父さんに会ったほうがいいと思いますか?」

森近さんの意見を聞いてみたい。

「僕は今は会わないほうがいいと思う。今会ってもどうせ魔理沙の事だ。親父さんと素直に話ができるはずない。
 こういうのは魔理沙が自分自身で親という存在の大切さに気付いたときじゃないと意味が無いんだよ。」

――森近さんが力強い目で語る。でも森近さんも本当は魔理沙と親父さんが仲良くなってほしいと思ってるんだろうなあ。
あ、そういえば。

「ところで森近さんの親ってどこにいるんですか?」
「え?」

よく考えると森近さんも謎が多いもんな…。絶対見た目の年齢より上だと思うけど。

「僕の親か…。気の遠くなるほど昔の話だね。そうだね…あれはまだ幻想郷と外の世界が「そんなにしつこいようなら
 火加減くらいは選ばせてやるぜ!」…すまない、この話はまた今度にしよう。」
「…はい。」

話しの続きがとても気になったが今はそれどころではない。魔理沙はすでにミニ八卦炉を構えている。
もしも魔理沙が普通の人間の少年(しかも実家の店の関係者)に弾幕を撃ってもし死にでもしてしまったら…
考えるだけでも末恐ろしい。それこそ絶対に和解なんてできなくなる。
普段から妖怪や妖精や霊夢(独立した種族だと思いたい)と遊んでいるから
感覚が麻痺してしまっているかもしれない。同じく森近さんもみるみる顔が青ざめてく。

「くっ!このままでは間に合わない…。良也くん!君が少年の盾になってくれ。それしか方法は無い!」
「無茶言わないでくださいよ!森近さんだって半人半妖なんだから簡単には死なないでしょう!」
「ぐっ、僕は鍛えていないし、半分は人間だ。君は蓬莱人じゃないか!」
「僕だって鍛えてないですよ!…まあ蓬莱人ですけど、痛いのはイヤです!」

大人の男二人が格好悪く言い争っているうちに、準備が終わってしまったらしい。

「黒焦げになって後悔しな「おい、竜!どこに行ってたんだ!探したぞ!」…この声は!」

魔理沙が今度こそ本当に撃とうとした時急に聞き覚えのあるおじさんの声がした。
振り返ると、霧雨の親父さんが少年(竜という名前らしい)を保護していた。

「どうしてこんなところまで来たんだ!…霖之助、迷惑をかけたな。良也くんも。」
「い、いえ…。」
「は、はい…。」

森近さんは少し戸惑っている。何故なら霧雨の親父さんはそこに魔理沙がいることに気付いていないからだ。

「旦那さん!俺は旦那さんと娘さんに仲直りしてほしかったんだ!!」

竜くんは旦那さんに訴えかける。魔理沙はちょうど親父さんの真後ろにいるため、親父さんは魔理沙の存在に全く気付いていない。

「…俺だってあの時は感情だけで動いてしまって魔理沙には悪いことをしたと思ってるさ…。俺ももう若くは無い。
いつ死ぬかもわからねぇし、魔理沙には戻ってきてほしいと思ってるんだけどな…。魔理沙は聞く耳を持ってくれないからな…」
「親父…」
「…ん?どこかで聞いたことある声だな…。ま、まさか…俺の後ろにいるのは…」

親父さんが振り向いた。そこには縁が切れた自分の娘がいたので親父さんはとても驚いていた。

「ま…魔理沙…。…そうか、霖之助が魔理沙は香霖堂によく来るって言っていたな…」
「お、親父…」

二人とも何を話せばいいのかわからず、気まずい沈黙が続いている。僕もさっきからずっと見てるだけだ…。

「旦那さん!俺、娘さんに話したんですよ!旦那さんが寝言で娘さんに帰ってきてほしいって言っていることと、
 娘さんの写真を見て泣いていることと…」

竜くんが大胆なカミングアウトをする。すると見る見るうちに親父さんの顔が赤くなっていく。

「バ、バカかお前は!それを本人の前で言うんじゃねぇ!」

親父さんが竜くんの頭を叩いた。なんかやっぱりこうして見るとやっぱり魔理沙の父親なんだなあと感じる。
あれ?魔理沙まで顔が赤くなってる…。

「お、親父…」
「ま、魔理沙…。…お、お前は当の昔に勘当したはずだ!!」
「…えっ」
「いまさら店に戻ってこようなんて、そんな虫のいいことを!ふざけるな!!」

これには霖之助さん唖然。竜くんも僕も唖然。

「…あ、ああ!私も親父とは口も利きたくないぜ!良也、香霖、じゃあな!!」

そう言って魔理沙は何処かへ飛んで行ってしまった。
場には重い沈黙が流れる。

「ハァ…。」

親父さんが大きく項垂れる。霖之助さんも竜くんもがくっと落ち込む。
魔理沙の、不器用なところも素直になれないところも父親からの遺伝なんだな…と思った。

「…霖之助、良也くん。今日は迷惑をかけたな。じゃあな…。」
「え、ええ…親父さんもお元気で。」
「さ、さよなら。」

親父さんは背中に哀愁を漂わせながら竜くんを連れて帰って行った。なんとも微妙な感じでこの小さな騒動は幕を閉じたのだった…。





























「森近さん、ところで今回の話、僕の存在って必要ありましたかね?」
「…まあ仲裁を手伝ってくれたのには感謝しないとね」

……なんだかなぁ…。




あとがキングドラ

ここまで読んでくれてありがとうございました。感謝します。oyz
「霧雨の親父さん」は公式設定上存在しますが、他の人の会話の中だけでの登場で、
本人の登場はいまだにありません。(個人的には書籍とかでいいので出てきてほしい←)
霧雨の親父さんの性格はやっぱり魔理沙と似ているんじゃないかと思ったので、こんな性格になりました。
「竜くん」は完全にオリキャラです。"霖之助が霧雨店で修行していた"というのは公式設定なので、
他の人も修行しているんじゃないかな…と思った次第ですorz
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