ヘルシング邸の一室に、数十名の傭兵たちがあつまっていた。彼らはワイルドギースと呼ばれる傭兵集団だ。彼らの隊長であるヒップ・ベルナドットは、なんだかなぁといった様子で頬をかいていた。

「おいおい、俺たちはなんのためにここに呼ばれたんだ?」

傭兵の一人が、声を上げた。それに応えるようにインテグラが良也とセラスを伴い現れた。
手っ取り早く、インテグラが仕事内容を説明するが、あまりに荒唐無稽な話を信じるような傭兵たちではない。

「吸血鬼ならそこにいるけど


そう言って、良也がセラスを指さすと、傭兵たちが笑いだした。

「信じられてないみたいなんですけど......... マスターを連れてきたほうがよかったんじゃ」
「あいつの場合、こいつらを皆殺しにしかねない」

 セラスに返されたインテグラの言葉に良也は、うんうんと頷いた。色々と心当たりが多すぎたのだ。

「証拠を見せてやれ」

インテグラがそう言うと、ベルナドットがこう言ってセラスににじり寄る。

「こんな嬢ちゃんが吸血鬼なら俺は、フランケンシュタインだっての」
「ていっ!」

 そんなベルナドットにセラスは一気に接近して、でこピンを食らわせた。でこピンと言っても、そこは化け物クオリティ。一発で人ひとりが吹っ飛ぶほどの威力だ。

(セラスのやつ容赦ないな……)

 思わず顔を引きつらせながら、良也はそう思った。血をダラダラと流しながらベルナドットはインテグラとの会話を再開する。今までの話が本当だと理解したであろうベルナドットと傭兵たちの顔が急に恐怖の混じったものとなった。

 アーカードが壁からニョキッと出てきたのだ。

(ああ… そりゃあびびるよね。魔王みたいな男が出てきたら……)

「申し訳ありません。止めたのですが」

 ウォルターが申し訳なさそうに扉から入ってきた。それに対してアーカードはこう返す。

「私の寝床を守る連中だ。私の目で見ておかなければな」
「だからってあの登場の仕方はないんじゃ」

 良也はぼそっとつぶやくが、完璧にスルーされた。それに対して若干、苦笑していたウォルターが顔を引き締めて何かをインテグラに差し出す。

「お嬢様、こんなものが送られてきました」

 差し出されたのは、一通の手紙。送り主は……

「ヴァチカン特務局第13課、イスカリオテ機関だと!?」

 呟かれた名に、アーカードは、ニヤリと笑みを浮かべ、アンデルセン戦ったことのある良也とセラスは、うげえ!っと顔をしかめた。












「面倒なことになりましたねぇ……


ネロを撫でながら発せられた良也の苦笑交じりの言葉に、ウォルターは頷いた。

「そうだな。まさか、お前を連れてくることを条件に情報の開示をするとは」
「まあ、得体の知れない相手の情報を少しでも集めておきたいんでしょうね」

 良也は内心、また痛い目にあうことをなんとなく予想できたので乾いた笑いをするしかない。そんな良也にウォルターはこういった。

「そうそう、いい知らせだ。届いたぞ、注文の品が。改造に必要な道具も揃えてある」
「本当ですか!! じゃ早速改造してみます。ジャッカルの図面って、どこにありますか?拳銃は、あれを参考にしたいんですが」
「それは私の部屋にある。改造でわからんことがあったら聞け」

 良也は、元気よく頷き走って行った。やはり、男の浪漫たっぷりな武器に早く触れたいのだろう。その良也の後ろを、トコトコとネロが付いていく。何だかその様子がほのぼのとしていて、思わずウォルターはクスリ、と微笑んだ。




三日後

「ふう、とりあえず改造は終了かな? にしても、こんな急ピッチで作業する羽目になるとは…………」

良也は、一息ついてそう言った。急ピッチで製作を進めたのは理由がある。イスカリオテからの知らせが届いたから。大英博物館にてヘルシング邸を襲撃した組織ミレニアムについての情報交換。そして、その条件として良也の同行が提示されていたからだ。

 良也が、この世界に来た日に起きた対立があったばかりなのに、この誘いは途轍もなく胡散臭い。しかし、情報が足りない現状としてこの誘いに乗らない訳にもいかず、良也もついていくことになったのだ。荒事になる可能性もあるので武器をそろえる必要があった。

「スペルカードの新作もあるし、アーカードもいるから大丈夫だとは思うけどね……」

 しかし、万が一という可能性があるので良也はため息を吐いた。

「疲れたし、明日に備えて寝よう…………」





 良也は全身の毛が総毛立つような感覚に、目をぱっと覚ますと、本能に従い横に跳んだ。直後、轟音が鳴り響き良也の寝ていたベッドが真っ二つになる。

「ほう? これを躱すとはな」
「アーカード!? なにしてんの!!?」
「大したことではない。お前が起きてくるのが遅いから起こしに来ただけだ」
「いやいやいやいや。なんで起床と同時に永遠の眠りにつかせるようなことするの?」

 良也の至極まっとうな抗議に対して、アーカードはしれっとこう答える。

「そっちのほうが面白そうだからに決まってるだろう」
「おっ、お前はぁ!! 何処ぞのキャプテンかなんかかああああああああ!!!!」

 ブルブル震えながら良也は、思わず絶叫。剣を引き抜き、斬りかかる。が、ジャッカルであっさりと沈められた。なんというか、いつもどうりの光景である。









あとがき

安定の良也不憫落ち。日常(?)のギャグパートはこうじゃなきゃいけない気がします。
しかし、時々読み返すと自分の作品の文章が見づらいことがわかります。いかんせん、初めて文章なぞを書いて、それを投稿したので最初の方のレイアウトもひどいものでした。日々精進したいと思います。


今回良也が改造した銃の性能 ただしネーミングセンスは中二病である。

デザートイーグル ×2 名前 イザナギ&イザナミ
ジャッカルの図面を元に改造され、ほ法儀済み50AE弾及び法儀済み50AE改造弾を使用可能にしたもの。威力はジャッカルに劣るが、連射速度はジャッカルよりも上。名前は日本神話より引用。

水平二連式散弾銃 名前 カグツチ
本来片方ずつ銃口から弾丸を射出し、に連続で撃つものを、二つの銃口から同時に弾丸を撃てるようにしたもの。弾は法儀済みのスラッグと散弾、どちらも撃てる。名前は日本神話より引用。正直な話をすると、挽肉製造機って名前にするかどうか迷った。



他の銃火器は改造されていません。理由は、襲撃から一週間後にイスカリオテとの対談があるのに、良也の技術力でそんなに早く改造できるはずがないからです。

これより先はフザケまくりのおまけの文章タイム
注意!! 
若干原作のカバー裏のノリ、及び、まだこのシリーズに登場してない原作キャラたちが出てきたりします。グダグダ。次の次の話ぐらいからシリアスになるので、息抜きに書いてしまいました。反省も後悔もしていません。

題名 良也はミレニアムにオタク文化を持ち込んでしまいました。



「諸君、私は二次元が好きだ。諸君、私は二次元が大好きだ


(どうしてこうなった……)

 内心冷や汗をだらだら流しながら、良也は目の前で大演説をしている少佐とその演説に聞き入っている兵士たちを見つめていた。

 良也がこの世界に来たとき運が悪くミレニアムの基地に飛んでしまい、捕らえられた。

それから、実験に使われたりなんか色々ひどい目にあったりしていたのだが、ある日良也が異空間に保存しておいたラノベを読んでいると、シュレディンガーが興味を持ったことから一気にオタク文化がミレニアムに浸透してしまったのだ。

「漫画が好きだ。ラノベが好きだ。ゲームが好きだ。アニメが好きだ。オリジナル小説が好きだ。二次創作作品が好きだ。三次創作作品が好きだ。同人漫画が好きだ。同人小説が好きだ!!」

 少佐の演説は益々熱が入っていく。兵士たちは少佐の演説に心打たれている。それと対比するように良也の額からは、冷や汗が滝のように流れた。ちなみに良也は、ミレニアムにオタク文化を持ち込んだ恩人として解放されている。

「日本で 米国で 英国で イタリアで ドイツで フランスで カナダで ロシアで
中国で 台湾で この地上に存在するありとあらゆる二次元が大好きだ!!!」

(なんかお腹痛くなってきた。少佐やめてホント)

「書店に並べられた、漫画の新刊コーナーに並ぶ作品たちを、財力にものを言わせて買い漁るのが好きだ! アニメで漫画になかったオリジナル展開が、予想以上に素晴らしかった時など心が躍る!!」

(色々と同意できるところがあるけれども! お願いだから街で千人も並べて演説するのはやめてくださいお願いします!!)

「小説作家たちの織り成す文章が、本となり出版されるのが好きだ。悲鳴をあげて、スランプをぬけだそうとする作家たちを、周囲が必死にサポートする関係を見たときなど、胸を打ち抜かれたような気持ちだった…… 

コミックマーケットにて、同人サークルが同人誌を所狭しとならべるのが好きだ。恐慌状態に陥った迷子が、涙目になりながらも必死に目的の同人誌を探し続けている様など感動すら覚える!!」

(僕はコミケ行ったことないからよくわからないなあ…… 胃が痛い)

「二次元に興味のないやつを我々と同じ場所まで引きずり込むとき等もうたまらない。
古本屋でまだ見ぬ良作たちが、私の伸ばした手の平とともに、次々と発掘され買い物カゴに詰め込まれていくのも最高だ。

初めてネット小説を書く新参者が、酷評にさらされながらも立ち上り、新たなネタを用いて良い作品を生み出した時など絶頂すら覚える!!」

(少佐……お願いですからやめてください)

 良也の顔色が本格的に悪くなりだしたのもお構いなしに少佐は演説を続ける。

「コミケの人並みに滅茶苦茶にされるのが好きだ。必死に探し、手に入れるはずだった作品が目の前で買われ、売り切れていくさまは、とてもとても悲しいものだ。

本の物量に押しつぶされて自滅しかけるのが好きだ。大好きだった本が知り合いに借りパクされるのは屈辱の極みだ!!」

(パチュリーも今の少佐みたいな感じのことをおもってるのかなぁ)

 少佐と自分の師を重ね合わせて微妙な気分になっている良也を置き去りにして演説はついにクライマックスへ……

「諸君 私は地獄のような二次元を望んでいる。
諸君 私に付き従う大隊戦友諸君。君たちは一体何を望んでいる?
更なる二次元を望むか? 情け容赦ない二次元を望むか?
鉄風雷火のごとく堕落へと誘う
三千世界の鴉を堕とす 嵐のような二次元を望むか?」

『二次元!! 二次元!! 二次元!!』

「よろしいならば二次元だ」

(あ、もう無理)

良也ここで倒れた。もはや精神の限界に達していたようだ。そりゃあ、街でこんな演説をしているやつの近くにいて、精神的に堪えないはずがない。

オマケの次回予告
良也の胃の霊圧が消えた!? 理由はあるし自業自得な暴力がバレンタイン兄弟を襲う!! おまけは不定期ですが、次回もお楽しみに。



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