土樹良也と異世界の吸血鬼 プロローグ


注意
この作品はヘルシングと奇縁譚のクロスオーバー作品です。若干グロい描写があるかもしれないのでご注意ください。


「やっと完成したか」
良也は額の汗を拭いながら、ため息をはく。
彼の目の前には、転移魔法の魔法陣が描かれている。これを幻想郷の要所に描くことで、要所と要所の移動を楽にするためのものである。
良也は、移動中に妖怪やら妖精やらに襲われることが多いのでこれを作ることにしたのだ。
「さて、早速使うとしよう」
良也はそういうと、魔法陣に霊力を流し込んで魔法を発動さてたのだが……
「ポタリ」
という音がした。良也は恐る恐るその方向を見る。そこには、鳥の糞が魔法陣の上に落ちていたのだ。
Q 繊細な転移魔法の陣の一部が消えたらどうなると思いますか?
A どっか変な場所にとびます!そんな自問自答が、良也の中で走馬灯のように駆け巡った。
良也は霊力を流し込むのをやめようとしたが、時すでに遅し。良也は光に呑み込まれその場から姿を消した。



ベイドリック

良也が目を開いた。辺りは死体が転がり地獄のようなさまとなっている。
その中心で神父服を着た男、アンデルセンと二人の護衛を引き連れた女性、インテグラが睨み合っていた。英語を喋っているところを見ると、どうやらここは英国か米国のあたりのようだ。
「我々が貴様ら汚らわしき異教徒どもに引くとでも思うか!!!」
アンデルセンが銃剣でインテグラの護衛を切り捨てようとしているのを見た良也は、状況がわからなかったが、それを止めるために大量の霊弾を撃った。
アンデルセンは予想外の攻撃を受けたので吹き飛んで行く。
「そこの人、なんかよくわかんないけど逃げろ!!」
良也はそう英語で叫ぶと、起き上がろうとしているアンデルセンを霊力で強化した足で窓の外に蹴り飛ばした。
しかし、アンデルセンは聖書を空中で開くと、その姿を消した。そして、次の瞬間にはアンデルセンが良也の背後に出現する。
良也は迎撃しようとするが、アンデルセンの銃剣が心臓に突き立てられた。

「ずいぶん変わった力を使うじゃないか小僧。なかなか勇敢だったが弱い!弱すぎるゥ!! ゲァッハハハハハ!!!」

アンデルセンは狂人の笑い声を上げた。
呆然と見ていたインテグラたちだったが、正気を取り戻すと、銃弾の雨をアンデルセンに浴びせかけた。アンデルセンはそれでも止まらなかったが、後方からセラスのライフルの弾を受けてよろめく。
「インテグラ様たちから離れろ、この化け物!!」
「お前に勝ち目はないぞ、アンデルセン神父」
セラスとインテグラの言葉にアンデルセンは面白そうにこう言った。
「お前らは今ァ、ここで死ぬのだ」
だが、インテグラは嘲笑を含んだ声でこう言う。
「ならば、早くすることだ。くびり殺したはずの化け物が蘇る前に……!」
「何だと!!」


コウモリが舞い、何処からともなく声が響く。
「血を飲まなかったのかこのb「イタタタタ、心臓に銃剣を刺すとか…… 僕じゃなかったらしんでたな……」……は?」
吸血鬼アーカードの声を遮るようなタイミングで、素っ頓狂な声が響いた。その場に居た全員が驚き、声の方を向く。
「あっ、銃剣が上手く抜けない。ちょっと、そこの吸血鬼の女の子!! これ抜いて、本当に痛い……」
「えっっと…わかりました?」
良也の言葉に、セラスは、疑問形で答えたが良也に刺さった銃剣を抜いた。
「馬鹿な、貴様からは化け物の気配がしなかったのになぜ生きている。……まさか我々バチカンの技術が、漏洩したとでも言うのか?」
アンデルセンはそう呟き、良也に大量の銃剣を放つ。それは、起き上がった良也に全て命中するが、良也は顔を顰めながら、何とか立ち上がった。
それを見たアンデルセンはため息をはく。

「どうやら今の装備では、殺しきれぬようだ。次は、殺す、必ず殺す」

聖書のページが宙を舞い、アンデルセンの姿を包み隠すと、次の瞬間には、そこに彼の姿はなかった。
良也はそれを見ると、自分に刺さった銃剣を異空間に収納した。理由は、なんか強い力が銃剣に宿っていたからである。
そんな良也に、銃をつきつけながらインテグラは声をかけた。
「お前は、何者だ。いったい何故ここにいる?」
「なぜって、転移魔法使おうとしたら、魔法陣に鳥の糞が落ちて…… ようは事故だ」
そういうと、良也はバタンとぶっ倒れた。先ほどの戦闘で、血を失い過ぎたので気絶したのだ。
「おい!! ダメだな気絶している。アーカード、出鼻くじかれて出るに出られなかったんだろうが、こいつを屋敷に運べ。仮にも私の部下の命の恩人だ」




ヘルシング家

「知らない天井だ」
「起きたか小僧。どんな気分だ」
「貧血気味でクラクラする」
アーカードの言葉に良也はそう返した。

良也が目を覚ましたと聞いたインテグラとセラス、そしてウォルターが集まったところで、互いの自己紹介と、ことの経緯、良也が過ごした幻想郷での日々などを話した。そして良也は、紫が出現しないことと、自分の世界が周囲の世界に、違和感を感じることから、ここは異世界だと断定した。
「うわー、魔法使いに妖怪、不老不死さらに異世界…… なんか最近私の常識がどんどん崩れて行きます」
セラスは、呆然としながらそう言った。しかし、彼女らはその証拠を見せられた。
良也が持つタッチパネルの携帯電話、そして音楽プレイヤーなどなど良也が異空間に収納しているものは、今の技術で再現できないようなものばかりだった。
「まったく、お前のような驚くべき人間がいるとは!! この世界は、まだまだ驚きに満ちている」
アーカードは嬉しそうに、楽しそうに笑いながらそう言った。そんな、アーカードを横目に見ながら、インテグラはこう切り出した。
「さっきの話を聞く限り、帰る方法は分からないんだろう? それまで此処で、働く気はないか。衣食住、そして給料は出してやろう」
「いいですけど…… あんなとんでもない奴と戦うとかは勘弁してくださいよ」
良也の切り返しにインテグラはむう、と唸った。バリバリ戦わせる気だったのだ。そんな、インテグラをフォローするために、ウォルターはこう提案した。
「なら、我々に、魔法についてご教授願えますか? そうすれば、戦力の向上が見込めます故」
「まあ、こんな魔法使い弟子見習いで構わないのなら」


こうして、良也はヘルシング家に雇用されることとなった。






あとがき
学生生活が始まって早々に、留年の危機に陥っているねむいひまじんです。100点中60点が赤点とかマジで鬼畜です。
さて、五周年記念のリクエストにヘルシングとのクロスオーバーを追加しようと思ったら、これ以上追加できないと出たので自分で書いて見ました。
これから、良也は成長するかもしれないし、このままの実力で頑張っていくかもしれません。後々、良也がミレニアムに、オタク文化を持ち込む話をこれとは別に書くのも面白そうです。
それでは、久櫛縁様の次回作を楽しみに待っております。



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