土樹良也の帰還 外界編



「うん……帰っていい?」
「ダメに決まってるでしょう」
良也と紫は、良也の実家の前に立っている。良也は、またぶっ飛ばされるんだろうなぁ、なんて思いながらも最後の悪あがきをするが紫に一発で沈められる。
しかし、良也も最初は普通に顔をだすつもりだったのだが……
「いやいや、此処に僕の外界の友人の気配がほぼ全員分するんだけど!!普通こういうのって何回かに分けて全員に顔出すもんだろ!?何で一回!?いじめか!!」
「運が無かったわね…… 腹くくりなさいな」
こういった理由でヘタレているのである。
家の中からは、人外剣術を操る高町家の面々、さざなみ寮の面々、月村家の面々、高宮家やクリステラ家の面々、良也のもと教え子達のうち特に親しかった面々、そして良也の家族。……なんか無駄に豪華なメンバーである。
しかし、良也が尻込みしていると急に玄関の扉が開いた。
「え…… お兄ちゃん?」
「ハハハ…久しぶり玲於奈」
感動の再開にしては、いささか緊張感にかける間の抜けた再開だった。






良也は、再開を果たした面々にこれまでにあった事を包み隠さず話した。自身の消滅、記憶を消した理由など様々だ。
「なるほど。前に酒を飲んだ時何か隠していると思ったが、そういうことだったとはのぅ……」
重たい沈黙の中で灯也がそう口を開いた。良也は、それにこうかえす。
「まっ、そういうこと。僕、シリアスなのは嫌いだからね」
「……私とは、思いっきりシリアスな展開をくりひろげてたくせに」
「紫!? こういう時に揚げ足とるなよ!!?」
紫が途中で口を挟んだので思わずツッコミを入れた良也。しかし、紫は止まらない。
「しかも、帰って来たと思ったら人目の多い場所であんなはずかし〜いことをするなんて」
この言葉を聞いた周りの面々は、何を想像したのか顔を赤くしたり、思わず吹き出したりと、様々なリアクションをした。さっきまでの空気が霧散したのはいいことだが、完全に紫のペースだ。良也の経験上、こういう時の紫は良也をからかい倒すためにわざと妙な表現をする。
しかし、良也も学習している。良也はその言葉に焦るでもなく(むしろ冷静になったともいう)、紫の頬に手を添えてこう言った。
「確かにあの時の紫は、可愛かったな。顔を真っ赤にして、僕にキスをし返してきたんだから。こんな風に」
「ちょっ!! ムグっ///」
良也は、一気に紫にキスをした。しかも、先日の時と同じディープなやつをだ。凍りつく空気、止まった人々、まるでD○O様の ザ・ワー○ドだ。
「りょ、良也!! なにするにょ!!」
良也は、舌噛んだな紫、などと思いながらこう言った。
「何って、キスでございますよ?」
良也はニヤリと笑いながら思う、 攻勢に出てる時は強いのに攻勢に出られるとほんとに弱いな ……自分も人の事を言えないが、と。
「良也!? お前、そいつの事を天敵と言っておったじゃろうが!! それなのに何!? ワシはそいつのこと苦手なのに〜!!」
灯也は泣きそうになりながら叫んだ。言ってることがとても情けない。
しかし、灯也の言葉をきっかけに固まっていた人々が動き出した。




まあ色々あった。あの後、いろいろなものが飛び交う混沌とした状態となったのだ。そのようになったのは、ひとえに彼のフラグ建築能力の高さ故だろう。
家族との感動的な再会(過激ともいう)を果たした良也は、紫と酒を飲むために、あるBARにいた。
「しかし、あなたの知り合いは、とんでもないのが多いわね。どうなってるの?」
「僕に言われてもねえ…… まあ、退屈はしないよ。マスター、こいつにカリフォルニアレモネードを」
良也はの注文を聞いた髭の似合う初老のマスターは、静かにカクテルを作りはじめた。
「良也…… あなたも粋なことをするわね」
紫は若干顔を赤くしながらそう言った。
突然だが、花言葉があるように酒言葉というものがある。カリフォルニアレモネードが示すのは、永遠の感謝。良也は、それを知っていたのでそれを注文したのだ。良也は照れ臭そうにこう言った。
「らしくなかったかな? そうそう、大事な話があるんだよね」
「何? もったいぶらずに早く言ったら」
紫は少し赤みが抜けた顔でそう聞き返す。



「僕と一緒に永遠の時を生きてくれない?」

「ーーーーーーーーーーーーはい」


こうして、一つの世界の主とスキマ妖怪が結ばれた。彼らは、永遠の時を共に過ごすのだろう。変わらず、ただただ一緒に……



あとがき
ついに、消滅シリーズが完結しました。私の拙い文を読んでいただきありがとうございました。紫と良也以外のキャラをいかせなかったのが残念でした。
個別ルート雛編はとても面白かったので次の更新を楽しみにしております。
六月二十三日



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