土樹良也の帰還


「……ん? んんんんんん????? おろ!? 僕は消滅したはずなのに、何で意識があるんだ?」
良也はどこか分からないが、森の中にいた。良也は、頭を抱えて唸り出した。
「あんなにカッコ良く消えたのに、生きてるとかとんでもなく情けないなー……。いやっ生きてるのはいいことなんだけど、あんな事しちゃったからなあ」
良也は、紫にしてしまったことをひどく後悔していた。
元から彼は、優しい性格だ。紫に良也が、自分についての記憶や記録を世界から消してほしいと頼んだのも、誰にも自分のことで泣いてほしくなかったからである。
あの紫を最後に泣かせてしまったのも、良也に重くのしかかる。
「うううぅぅ、取り敢えず現状確認するか……。」
良也はそう言って森の外へ歩きはじめた。今どこにいるかわからないため、迂闊に空を飛べないのだ。


森を出ると、道路や家がちらほら見えた。どうやら、ここは日本のどこかのようだ。
さっきから、歩いている間に良也は幾つかの事に気がついた。自分の世界をどこまでも広げられること、自分の世界の外の気温や時間の操作などもできるようになっていたこと、である。この他にも、世界から霊力を取り込んだりもできるようになった。
どうやら、消滅した後の良也をこの世界が取り込んだのち、再構築したようだ。今の良也は人間というよりも、チルノなどの妖精に近い存在である。
例えばチルノは氷の妖精なので、氷を操ることができる。
良也は世界の妖精……のようなものになったので世界を操れる。ようは、良也の今まで出来たことと+αを世界全体レベルでできるようになったのだ。
良也は、近くにあったかき氷の店に入った。そこで、良也はカレンダーを見て少しおどろいた。そこに記されていた年が、良也が消えた時より五年も進んでいたのだ。
「五年か……、随分と時間が経ったもんだなあ」
と、良也がぼやいていると店にいたおじいさんが良也にかき氷をおごってくれた。そんな事から良也は、自分が生きている事や世界のすばらしさを再確認した。


良也はかき氷をおごってくれたおじいさんにお礼をいうと、店を出て幻想郷の森に瞬間移動した。もちろん、誰にも見られていない。
「さて、これからどうするかな」
良也はここまで来て、紫と会うのを躊躇っている。良也が紫にかけた術は、強力だが弱点があったのだ。それは、消された記憶に関する情報を見聞きしただけで、解けてしまうというものだ。その弱点を補うために、紫に世界から良也に関する記憶や記録を消させたのだ。
しかし、良也はここに来た。紫の庭とも言える幻想郷に。
「良也、久しぶりね」
怖気が走るような、冷え切った声が突然背後から聞こえた。良也は、振り返ろうとしたが、
「このっ、大馬鹿野郎!!」
紫の全身全霊の拳が彼の顔面に叩きこまれた。妖怪の腕力で殴られたので、良也は数百メートルぶっ飛びようやく止まった。
「 っっっつう! あの術を解いたのかスキマ?」
「ええそうよ。あなたの稚拙な術なんて二年前に解いてやったわ」
隙間から出てきた紫はそう言った。
稚拙とか言っときながら解くのに、三年かかってんじゃん! と良也は思ったが流石に口には出さない。いくらなんでも、そのくらいの空気は読めるのだ。
「あなたとは、もう会えないと思ってたのにのこのこ帰ってくるなんて、なに考えてるのかしら? 私がどんな気持ちだったか!!」
再び紫が拳をあげたので、良也はきつく目をとじた。が、衝撃がいつまで経ってもやってこない。彼が目を開けると、そこには紫が自分に手を差し伸べていた。
「お帰りなさい、良也」
その言葉に良也は、嬉しくて泣きそうになりながら
「ただいま、紫」
と、答えた。
「あら、あなたに名前を呼ばれるのは久しぶりね。なんかキモイわ」
「ひどくないか、お前!!」
「ひどいのはあなたよ、良也。さっきあなたの記憶をあなたの知人、友人、家族すべてに返したわ。もちろん、あなたが私に記憶を消させたことは幻想郷の面々には伝えておいた。みんな、自分が使える最高クラスのスペルカードを持ってきてるから、軽く三桁は死ぬことを覚悟しなさい?」
紫の言葉に顔を青くした良也は、マジでと聞いたが紫はマジよ、と答えたので完璧に固まってしまった。
遠くから沢山の人影と、大量の霊弾が見えた……


数時間後
「いってててて……。あいつら殺るだけ殺ったら宴会の準備とは。本当に変わってないな」
幻想郷の面々は、泣きながら、激しく怒りながら良也をぶちのめしたのだ。そして、宴会の準備が行われている。
「あれは、みんながあなたのことを大切にしているからこその行動よ」
「わかってるよ。まったく、だからってあんなにすることはないだろうに」
良也はそうぼやきながら紫にそう返した。今回の宴会の主役は、一応良也なのでのんびりと準備を眺めているのだ。
「あなたは今回自分がしたことをされたら、どうするの」
「もちろん、そいつの両足を叩き折って正座させて丸一日説教するけど?」
「まったく、それならこれからは、あんな事しないようにしなさい」
良也の予想斜め上の解答に、顔を引きつらせながら紫はそう言った。
それに良也は、こう返す。
「そうする。だけどありがとな、紫。お前にも感謝している。本当にありがとう」
「なによ……まったく、そんな事をいう暇があったら何か行動で示しなさいな」
紫は、照れ隠しでそう言ったが良也は、次の瞬間、本当にとんでもない行動に出た。
良也は、紫の頬を両手で挟むと、自分の唇を紫の唇に重ねた。そして、舌を絡ませて長い間キスを続けた。紫は、完全にフリーズしていた。
良也が唇を離すと、唾液で銀のアーチが紫との間に出来た。
「言葉通り行動で示したぞ、紫」
良也は、顔を赤くしながらそういった。だが、紫はそれ以上に顔を赤くして完全に固まっている。
「なるほど……。いつも責める側だから責められるのに慣れてないのか」
良也は、楽しそうにいったが紫に反撃された。
先ほどよりも長くキスをした。さっきと違うのはお互いに舌を絡ませていること。
「ぷはぁ!! やられっぱなしは我慢ならないわ。だからこれでおあいこよ」
紫は、それきり黙り込んだ。良也も、何も喋らない。
紫は良也のことが、良也は紫のことが好きだったのだ。二人はこの瞬間ようやくその事実をしった。
しかし、良也に好意を持つ人物はたくさんいるのだ。そんな人物達がいるなかで二人は、キスをしていた。当然この後、弾幕ごっこに発展する大騒ぎになったのはいうまでもない。


あとがき
ねむいひまじんです。今回は、シリアスな感じなく終わりました。東方の二次創作の主人公の中では良也は自分の中でダントツ一位の人気です。この作品をかけて良かったです。しかし、今回良也のヘタレな感じがあまりだせなかったのが少し残念でした。



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