!!警告!!
第二百六話のIf。ヤンデレもこたん。難易度ルナティック。
バイオレンスなのが苦手な人は回れ右。












 


「だからさ。お前も、いきなり姿を消したりすんなよ」
「はいはい。いなくなりはしない。でも、もう少ししたら外の世界で職に就くから、こっちには今までのように来れなくなるな」
「そうか・・・」

外の世界の生活にあきたりしなければ、こっちに住むことはないだろう。
妹紅は少し考えて心配そうな感じで言葉を紡いだ。

「これは先達の老婆心なんだが・・・お前はもう人間とは呼べない存在だ。いつまでもその姿のまま外の世界では住めないだろう?生活範囲を絞ると10年、20年で化け物扱いされるぞ。その辺はどうするつもりだ?」
「それは永琳さんの特性年齢詐称薬があるから大丈夫」
「・・・家族に先立たれたら一人だぞ?」
「看取れるからいいと思う。親より先に死にたくはないしね。この体にならなかったら、こっちで流れ弾にあたって死んでいたし・・・」
「じゃあ、その後の一人で過ごす時間はどうする?」
「外の世界にはけっこう娯楽があるしね。飽きるまで遊んでみるさ」

今の時点で積んであるエロゲーと未読のラノベがあるんだ。年をとってもなくなることはないだろう。
それだけじゃなくても人生楽しもうと思えばけっこう楽しめることはある。

「・・・・・・・そうか」

そんな僕を見て妹紅は寂しそうにつまみに箸を伸ばす。
妹紅は矢継ぎ早の質問の後、黙ってつまみを食べている。気まずい沈黙じゃないから落ち着く。
たまには静かな宴会もいいかもしれない。こっちの連中と宴会すると騒がしすぎるし。主に弾幕ごっこが。


しばらくして重箱のつまみがなくなった。酒もつまみもなくなったしそろそろ帰ろう。
そう考えて、僕が重箱を片付けようと手を伸ばしたら妹紅が口を開いた。

「酒もつまみもなくなったな。家に酒はないし・・・。久しぶりに煙草でも吸うか。良也はいるか?」
「吸えないわけじゃないけど、遠慮しとくよ」

僕は煙草が嫌いじゃないけど、お金がかかるから吸ってない。それよりも酒に使う。
煙草は大学で友達と休憩時間を潰すときに時々付き合って吸うくらいだ。

「・・・・・・・・そうか。あと、慧音には内緒だ。吸っていところ見ると、やめろやめろ、うるさっくってな」
「わかった」

確かに慧音さんはそこら辺が堅そうだ。子供に悪影響がでるとかなんとかいいそうだし。
帰ろうかと思ったけど、もうしばらく付き合うか。愚痴と酒は煙草はセットみたいなものだ。
妹紅が煙草をとりに行くのを見ながら、僕は重箱を片付け始めた。





重箱はすぐに片付いた。帰るときに持っていくため、風呂敷に包んで玄関の側に置いておく。
妹紅は部屋に置いてある小さな棚から、小さな木箱と陶器でできた灰皿を持ってきた。
なれた手つきで煙草を取り出してくわえて指で火をつけた。妹紅は深く息を吸い紫煙を肺に入れる。
そして軽い溜息と共に紫煙を吐き出した。外の煙草はけっこう嫌な匂いがするが、この煙草はそうでもなかった。ハーブティーみたいな匂いがしてけっこう落ち着く。僕がそんなことを考えているうちに、妹紅は煙草を一本吸い終わって、新しい煙草に火をつけていた。


妹紅は新しく火をつけた煙草で一息ついたあと、僕に話しかけた。

「良也、お前は食べたいという感覚を覚えているか?」
「・・・?覚えているけど」

愚痴かと思ったけど、変わった質問だった。これはたぶん、説教だな。長いんだよなぁ。はぁ。

「眠たいと思うことは?」
「夜になれば普通に。時々夜更かしはするけど」

妹紅の手に持っている煙草の紫煙がゆらゆらと揺れている。僕はそれがなんとなく面白くて眺めていた。

「性欲は?神社に泊まっているけど、巫女とシたのか?」
「ぶっ・・・。そんなことをしたら夢想封印だって」

なんか変な話題になった。僕は煙草から妹紅へ視線をもどす。

「・・・・・・もしかして男色の気でもあるのか?」

いきなりなにを言い出すんだ!この焼鳥!!つい、そう言いそうになったが、質問している妹紅は真剣な表情をしている。僕は空気を読んで真面目に答える。

「健全な性欲はある。さっきからなんだ?変な質問して?」
「なに能天気なお前に先達からの説教だよ。私たちは蓬莱人だ。死なない。例え生きていくための欲求を満たさなくても、な。食欲、睡眠欲、性欲を満たさなくてもいいさ。100年くらいそれなしで暮らしたこともある。どうせ死なないし。そうするとなにも感じ無くなるんだよ。飯を喰っても、寝ても、酒を呑んでも、な。それは生きていると言えるのか?死んでいないだけで、生きている実感がまるでない」

説教かと思ったけどやっぱり愚痴か。ずいぶん前、湖のほとりで呑んだときもちらっと聞いた。
悩みすぎだろう。もっと肩の力を抜けばいいのに。このあとは妹紅の苦労話百選だろうな。
僕は黙って話をきくことにした。変に刺激するとさらに長くなる。

「だから私に生の実感を与えてくれるのは、輝夜との殺し合いの時だけだ。・・・アレはいい。
殺ろす感覚も。殺される感覚も。あの時にだけ私は生きていると感じられる。だからこそ、輝夜に居なくなられてはこまる。この体にしたのは輝夜だが、生の実感を与えてくれるのも輝夜だ。恨みしかないわかないが、感情とは別のところで私に輝夜は必要なんだよ。それに輝夜には側にいてくれる薬師がいる。アイツは孤独ではない。それが・・・」

なんかバイオレンスな話になった。あの、妹紅さん?なんか目が座っているんですけど。
妹紅は煙草を灰皿に投げやりに置いた。それを合図に小屋全体の気温が上がってきている。
ヤバい。ヤバい。ヤバイ。僕は妹紅の言葉を遮って慌てて口を開く。

「いやいやいや。もっと他に楽しいことさがそうよ。そして落ち着け!!」
「・・・・・・・私は冷静だ。だが、良也の言うことも一理あるな。いいことを思いついた」

ふぅ。周りの気温が下がってくれた。まだ目が座っているが落ち着いてはくれたようだ。
生き返るけど無意味に死にたいわけじゃない。いや意味があっても死にたくないが。

「ちょうどいいのが、目の前にいる」

あの、妹紅さん。さっきよりも目が座っているんですが。何を考えていらっしゃるのですか?
プレッシャーが半端ないのですけど!!よし、逃げよう。質の悪い酔っ払いに絡まれたくない。

「えっと、妹紅。酒もなくなったしつまみもなくなったから僕は帰るよ。重箱は慧音さんに返しておいてくれ。じゃあな」

早口に言って振り向いて急ぎ足で出口まで行き、戸に手をかける。だが、そこで僕はがっしり肩をつかまれた。・・・あれー、筋力を霊力で水増しても全身が動かない。

「どこに行くんだ?良也。人の話は最後まで聞け、と慧音に教わらなかったのか?」

ひぃぃ。怖くて振り向けない。
だが無理やり前を向かされた。そこには燃えるような熱い目で僕を見つめいる妹紅。
そういえばロマンチックだろうが、実際はちがう。これはスイッチが入った核ロケットだ。
つかまれている肩が熱いんですけど!とゆーか、燃えてる。服、燃えてる!!

「落ち着けって、妹紅。僕は輝夜ほど強くないって。弾幕ごっこじゃ相手にならない」
「それは知っているさ」

上着に這うように火が走っている。
肩をつかまれてずるずると引っ張られて、板間に無造作に放り投げられた。
そして妹紅は僕に抵抗させることなく馬乗りになる。その間に着ている上着がすべて燃え尽きた。

「あの妹紅さん。僕になにをするつもりでしょう」
「私の生の実感に付き合ってほしいだけさ。やっぱり殺されるのは面白くなくてな?たまには一方的に殺すのもいいかと思ったんだ」

いやいやいやいや。
そんなじっくりたっぷり殺されたくない。僕は妹紅に文句をいう。

「そんなことをしたら僕は二度とここにこなくなるぞ?とゆーか、外の世界に消えていなくなるぞ?」
「・・・・・・・」

僕の発言に妹紅はうつむいた。前髪が顔にかかって表情が見えないが、拘束が少しゆるまった。
よし、このまま逃げようと思って力をいれたら・・・

「嫌だ」

昏い怨嗟が聞えた。
緩んでいたのは締め付ける前の予備動作だったらしい。拘束がさらに強くなった。動けない。
肺の空気が絞られて声が出ない。顔を上げた妹紅は無表情だった。目が深く黒く淀んでいる。

目の焦点があっていない。感情が抜け落ちたような無表情。

妹紅はここではないどこか見て、乾いた笑みを浮かべながら怨嗟を続ける。

「一人は寂しい。孤独は人を狂わせる。一人で過ごす夜は永い。輝夜にはあの薬師がいるが私にはいない。輝夜は孤独に狂わされることなく。それがたまらなく嫌だ。私にいてもいいだろう?絶対に死なない傍にいてくれる存在。それを求めて何が悪い。   一人は寂しい。孤独は・・・・」

うわ言のように同じ怨嗟を繰り返す。
・・・・終わった。僕は核ロケットから逃げている途中で核地雷を踏んだようだ。
なんとか気力を絞って妹紅を説得するための言葉を吐き出す。

「落ち着け、妹紅。ちゃんと定期的にここにくるからさ。さっきのは気の迷いで、ひどいことを言っただけだって、話し合おう」

だけどその言葉は届かなかった。
乾いた笑みを浮かべたまま妹紅は、僕の肌の下腹部から胸にかけてゆっくりと指を這わす。

鈍い痛みが走った。

指の通った後を見ると火傷しているみたいだ。それを見て目を細め凄艶な笑みを浮かべている。
妹紅は僕の顔を愛惜しむようになでながら、そのまま倒れるように覆いかぶさってきた。

「りょうや・・・・・・」

耳元で僕の名前を昏く甘く囁く。
そうして妹紅は腕や腹や胸をふとももや足の裏まで縦横無尽に皮膚を焦がした。
その度に僕はくぐもった悲鳴をあげる。しかもかるい火傷なら勝手に治るため、同じところを何度も何度の焦がされる。特にへその上のあたりを。もう熱いという感覚もない。ただ肌が焦がされるさまを見せつけられるだけだ。

僕はやめてほしいくて、助けて欲しくて、すがるように妹紅を見る。
だけど目が合った妹紅は淀んでいた目をぎらつかせながら恐ろしいことを言った。

「うん、興が乗ってきた」

そうして手刀を僕の腹めがけて振りかざした。

「げふっ」

肺の空気を強制的に吐出させられた。
腹には燃やされるのと違う熱い感触。腹を見てみると腕が生えていた。
妹紅が手を引き抜いて腹から血が流れる。同時に激しい痛みが伴った。
痛いいたいイタイイタイイタイイタイイタイイタイ。妹紅は手についた血を恍惚とした表情で舐めとる。
だけどそれだけで満足せずに何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、しつこいくらいに繰り返して腹のあたりを繰り返して手刀で射ぬく。
そのたびに血が舞い妹紅の上着を、白髪を、肌を赤く染める。僕は痛みで声もあげれない。
その様子を妹紅は満足気に眺めながら、さらに深く手刀を腹に沈ませて哂いながら言う。

「蓬莱人の肝はどんな味かな?」

僕はあまりの痛みに妹紅が何をいっているか理解出来ない。
そして妹紅に文字どうり腹の中を手でかき回しだした。
僕は痛みとおぞましさに耐えきれず意識を失いそうになる。








意識を失う前の霞んだ視界にうつったのは、灰皿に残った紫煙だった。












あとがき

ヤンデレもこたん。
・・・やりすぎちゃった。てへ☆
今は夏なので怪談ということで一つ。
ヤンデレって描くの難しい。
とゆーか、これってヤンヤン。

それでは、また。
ネコのへそ。


初稿  2010/07/27
改訂  2010/08/26










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