東方紅鏡曲(こうきょうきょく)


             -第1章- 目覚めし少女はなおも幻想を見る



















「んっ・・・・。」

どれくらい寝ていたのだろう?気づけば私は見たこともないベッドの上で寝ていた。

「ん〜ここはどこ?確か私は変なスキマに飲み込まれて・・・・え〜と・・・・」

周りを見渡すとどうやらここはかなりのお金持ちの人の家らしい。ベッドも豪華だし、
ただ一つ気になるのは部屋中が全部真っ赤なことくらい。

「えっと〜赤いものが好きなのかな?でも全部真っ赤というのはあまり趣味がいいとは言えないような・・・」
「失礼な方ですね。それとお嬢様が好きなのは赤い物ではなく紅い者です。」

どこから現れたのか声のするほうを向くとメイド服をきた女の人が立っていた。

「どうやら気づいたようですね。もぅ、いきなりうちの館の中で寝ているからびっくりしましたよ。」
「えっと・・・・もしかしてあなたがここに私をつれてきたの?」
「さっきも言いましたが私は館の中で寝ているあなたを見つけただけですわ。運んだのはここの門番ですし。
むしろあなたは何故この紅魔館で眠っていたのでしょうか?」
「えっ・・・・ここは紅魔館っていうの?私は確か近所にある廃墟で遊んでいて・・・・」

だんだんと記憶が戻ってくる。そうだ、確か私が遊んでいるといきなり声がして凄い数の目に見られて
スキマとかいうわけのわからないものに吸い込まれて・・・・って夢・・・だったのかな?

「はぁ・・・・・まぁ何があったのかは知りませんが、とりあえず目が覚めたのでしたら私に
ついてきていただけますか?お嬢様に目が覚めたらつれてこいと言われておりますので。」

まぁあれが夢だろうとどうだろうと気絶してたのを助けてもらったみたいだしお礼くらいはしておかないと
いけないな〜。

「わかりました。え〜っと・・・・」
「咲夜・・・十六夜咲夜です。あなたのお名前も聞いてよろしいかしら?」
「あっはい、私は紅野鏡子といいます。ところで咲夜さん、お嬢様ってどんな方なんですか?」
「そうですね〜わかりやすく言って吸血鬼です。」

えっと・・・・・・ちょっと痛い人なのかな(汗
まぁそんなことは別にいっか。

とりあえず部屋を出てしばらく咲夜さんについてゆく。







「お嬢様、例の方がお目覚めになったのでつれてまいりました。」
「おっやっと目が覚めたのね。」

・・・・・これがお嬢様・・・・?

「かっかわいい〜!!」

お嬢様とか大層な名前で呼ばれてたからどんな凄い人が出てくるのかと思ってたけど、お人形のような
かわいらしい幼女であった。確かに吸血鬼みたいな羽が生えているけどまぁメイドさんが
いるくらいだし気にする必要はないかな?

あまりのかわいさに私がほっぺをつついたり抱っこしたりしていると、ふと幼女が震えだす。

「フフ・・・フフフフフ・・・・咲夜?この女に私が誰だかちゃんと教えたのかしら・・・・・?」
「えぇもちろんですわ。」
「そう・・・・・それじゃあ何故この女はこうも私を恐れずに抱きついてくるのかしら・・・・・」
「さぁ何故でしょうか?」

子ども扱いしたことに怒っているのかな?

「そんなに怒ってちゃ可愛いお顔が台無しよ〜あなたのお名前はなあに〜?」

幼女が一層震えだし・・・・・ってあら?何やら幼女の右手にカードのようなものが・・・・光ってる?

「フフフフフフフ・・・・・私の名前はレミリア・スカーレット、ここ紅魔館の主であり誇り高き吸血鬼よ。」
「そう〜レミリアちゃんって言うの♪よっぽど吸血鬼ごっこがしたいのね。私は紅野鏡子、鏡子お姉ちゃん
って呼んでね。」

ブチッっと何かが切れるような音がした・・・・・ような気が?

「そう・・・・残念ね鏡子・・・あなたは私を怒らせすぎたわ。起きて早々で悪いのだけれども深い眠りに
ついてもらうことにするわ。」

持ってたカードが更に激しく光りだす。私はなぜか本能的に離れた方がいい気がしてレミリアから急いで離れた。
っと同時にカードが大きな槍状になってゆく。

「・・・・・ふぇ!?」

えっ!?何これ、まだ夢!?
幼女の右手には全くふさわしくないほどの大きな槍がこちらに向けられる。
手品?まさかこっちに投げたりしないよね(汗

『神槍「スピア・ザ・グングニル」』
「嘘〜!?」

願いもむなしく槍は私に向かって高速で投げられた。当たれば確実に私は死ぬだろう。









だがその時私は本能的に身を守ろうとした。そう、あの鏡の力で・・・・








カーンと音がしたかと思うと私に向かっていた槍は来た方向とは逆の方向、即ちレミリアの方向に
飛んでいった。

「何!?」

レミリアが言うが早いか槍は彼女に直撃した。

「お嬢様!?」

咲夜さんがレミリアの元へ向かう。
っていうかあんな大きな槍が当たっちゃったけど、もしかして死んじゃったんじゃ・・・・・

「大丈夫ですか?お嬢様・・・・」
「フフフ・・・ハハハハハハハ・・・」

突然レミリアが笑い出す。
ほとんど怪我もしていないみたいだしどうなってるの?

「この子を送ってきたのはお前だろ?隠れてないで出てきな・・・・・・・・・・紫!!」
『あら、気づいていたのね?』

どこかで聞いたことのある声がしたと思うと、これまたどこかで見たことのある無数の目のような
ものが私を見てきた。
ただ前見たときと違ったのは、中から傘をもった女の人が出てきたことだった。





                      つづく








あとがき

はぃ、というわけで第一章を書かせていただきました。
さて物語の最後に傘を持った謎の人物が登場するわけですが、まぁ名前も出ていますし全く謎では
ありませんねw
次章ではこの謎っぽい人物がどう活躍するのか、乞うご期待です。
それではまた次章でお会いしましょうm(_ _)mペコリ



戻る?