※注意 この作品を読まれる前に。

この作品は作者が初めて書いた二次SSです。以前別の個人サイト様に上げていた物に加筆改訂及び構成変更等を加えた物を此方で投稿する事にいたしました。

魔法少女リリカルなのはシリーズの二次となっておりますがオリ主物です。使用するメイン時間軸は原作A's終了の半年後です。
また、ファイナルファンタジーシリーズのネタを素材引用という形で使っています。
(クロスオーバーとまではいきません。基本的にリリカルなのはの世界観です。)

それでも読んでいただけるなら幸いです。







――プロローグ――

              新暦75年5月

 機動六課車両出入り口から黒い車がゆっくりと、ミッドチルダ6番ポートに向けて走り出す。

 速度が上がって来るにつれてオートモービルは高速ドライブ仕様に車体の空力特性を自動で可変させていく。目的地に向かうためにフリーウェイを使用するようである。

 車内には、時空管理局陸士隊用制服を着た二人の女性が三点式シートベルトをつけ乗り込んでいる。

 運転席には金色長髪ストレート、助手席には茶髪のショートヘアで髪の左側に赤いバッテンのリボンを付けた人物だ。
 フリーウェイに入った所で助手席の女性が、申し訳なさそうに運転席の女性に言う。

「悪いなフェイトちゃん、6番ポートにまで送ってもろて」

「いいよ、はやて、私も港湾地区捜査部に用事があったから」

 運転席のフェイトは、どうということは無いと返している。はやてはフェイトの方に顔を向けたままで追加の用件を切り出した。

「後な〜マリエルさんからさっき連絡あってね。クラナガンの技術センターにも寄ってほしいのやけど」

(技術センター?)

 フェイトは疑問に思う。バックミラーに写るフェイトの紅い瞳が、助手席のはやての方に向けられる。
 はやては自分の指を頬にあて、少女時代の面影を残す表情を作ってフェイトの疑問に答えた。

「ンー何でもな? シャーリーが初めて一から作製を手がけたインテリジェントデバイスが、本局からセンターに届いたらしくてさマリエルさんも忙しくて持って来れないんよ。それとな〜」

 インテリジェントデバイス。

 フェイトはこの言葉で八神はやての言いたいことを理解した。インテリジェントデバイスはかなりデリケートな品物で、通常の宅配手段はとれない。
 デバイスマイスター有資格者か高いランクの魔導師がいなければ運搬ができないし、なによりシャーリーが早く手元に欲しいであろうと言うことが。

「そっか。わかったよはやて、そのデバイスもついでに取ってきて欲しいんだね?」 

「うん、たのめる?」

 上目使いではやてはフェイトを見る。フェイトは苦笑しつつも了承の意を伝える。

「了解です。八神はやて部隊長殿」








 道中、聖王教会のカリム・グラシアさんの話をしながらはやてを6番ポートまで送り、私は技術センターに向かった。
 現地でマリエル技官に面会を求めたが本当に忙しいらしく、デバイスを受け取るだけになった。


 バルディッシュに対ショック浮遊魔法を掛けてもらい、本来の目的である港湾地区捜査部に向けて車を走らせながら、独り言のようにつぶやいていた。

「まさか。シャーリーがこのデバイスを担当していたなんてね……」

 このつぶやきに待機状態のバルディッシュが珍しく声を出した。

【Sir?】

 愛機の問いかけに相槌をうった私は、当時の事を思い出しながら声をだす。

「うん、あれからもう……9年もたつんだよね……」



 フェイトの運転する車の助手席には、魔力光に包まれた休止状態のデバイスケースがふよふよと浮いており、名称が刻印されていた。


『StRD-AD-HWS twinpeaks』


 フリーウェイを黒のオートモービルが、クラナガンの街並みに溶け込む様に走り抜けていった。







 








 次元の海。第八番艦アースラ担当区域。

 ズズーンと激しい音がした。それと共にアラートの文字が一斉に写し出される。

 アースラ内部では音の原因を調査中だった。次元の海を航海中に生じた地鳴りのような音である、普通ならありえない現象だ。

「今の衝撃波の発生源は何処だ?」

 黒いバリアジャケットを着込んだ黒髪の少年が叫ぶ。

「判明しました! 発生源は管理外世界7番。エルヌアークからです」

 女性オペレーターが答え更にアースラの現状も知らせる、幸い艦自体に被害は無いようだ。

 少年の立つエリアの真下にいる女性がさらに発言を続ける。

「うーんと、管理外世界の7番か……お? あったあった、クロノ君エルヌアークのデータ出すよ、因みに今のは中規模の次元震だね」

 クロノと呼ばれた少年は女性に対し。

「ありがとう、エイミィ」

 軽く礼を言い、出されたデータ見つめる。アレックスの声が艦内に響く。

「エルヌアークにサーチャーを送りました! 5秒で映像来ます!」

 クロノはデーターを参照しながら映像が出るのを待つ。

 管理外世界エルヌアーク、文明LVゼロ、魔法文明無し。管理局黎明期の時より変わらないこのデータではあるがクロノは映像が出て思わず叫んでしまった。

「なんだ! あれは……」

 映像には、管理外世界97番で見られる三角錐の物体『ピラミッド』に酷似している建造物が誕生していた。


       

  
 ――プロローグEND――



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