「ん、んんん〜〜〜」 気だるい体に鞭を打つようにして起き上がってみれば、これまたもう見慣れてしまった光景が目の前に広がっている。 この光景を見る限りまだ朝の五時半くらいといったところだろうか、この一週間でようやく生活ペースを確保したわけであるが、やっぱりこの時間に起きるのはしんどいね。 さて、住めば都のとは言ったものだが、こうして一週間この神社で過ごしているとなんというか体が本格的に鈍ってしまう気がしてならない。 なにせ、この神社にいて思ったことといえば、巫女が仕事しない、食材があまりにもない、自給自足もしてない、お賽銭が入らないという愚痴を聞くのも飽きたなっというところだ。 まぁ、この一週間で見事、料理係へと就任することになった俺の朝はこんなに早いわけだ。 さてと、飯の準備でもするとしますか! しかし、色々と工夫してみてもこれ以上のものは作れなさそうだ。 「おはよ。あら、またおにぎりと味噌汁?」 「そうだよ、それより許斐はどうした?」 「まだ寝てたるわ。いただきま〜す」 軽く会釈してから飯を食べ始める霊夢。その寝癖は直したほうが良いと思うぞ、あと服が少し乱れてるし。 なんというか今まで許斐の件もあって女性には慣れていると思っていたが、あまりそういうわけでもないわけで、なんかある意味で嬉しいね。 あと、朝食本当にがんばってるんだぞ俺。 まぁ、生活能力が今のところゼロにしか見えない霊夢にその頑張りが理解できるかどうかはわからないがね。 それにしても許斐はまだ寝てるのか? と、襖が開く音。 「おはう〜…………」 「おはようって、何だその格好」 はて、いつからここの巫女は二人になった? しかし、なんというか腋の露出が激しすぎる巫女服だが、下がスカートじゃなく袴であることは褒めてあげよう。 「みこふくだけどぉ」 「まぁいい、まず飯を食べろ」 「ふぁ〜い」 ごはんを手渡して、のんびりと朝食を過ごす。 毎日毎日朝はこういう感じで飯を食べて、昼から夕方にかけては縁側でのんびりしながら時々頼まれて掃き掃除とかするのが日常、この頃はご飯を作ることが楽しくてしょうがないのだがちょっと問題が起きている。 それは……… 「今圧倒的に食材が不足しているわけで、霊夢どこかで手に入らないのか?」 そう、この二人思った以上に食うわけでもうほとんど飯の材料が残っていない状況なのだ。 現在どうにかこうにか工夫しているがもう限界というか、本当に食材が残ってない。 そこで、どこかから調達しなくちゃいけないわけだが、俺は幻想郷に関して知っていることなど何もないわけだ。許斐も同じくである。 まぁ、霊夢が知らないということはないだろうが、さすがに今日まで置かれてた食材全てを自給自足しているわけはないだろうしな。 「う〜ん、人里に行けば売ってるんじゃないかしら」 「なんだ、その希望系な言い方は、まるでその人里にあまり行ったことがないような言い方だな」 「そうよ」 なるほど、どうやら俺は許斐のような女二人と生活していたらしい、全然活動しないよなこの二人。 「ケイちゃんおかわり」 「それくらい自分でしろ。まぁ、霊夢がこの神社からあまり外に出ないのはわかったが、その人里に行かないと食材が手に入らないわけだ」 「まぁ、そうなるわね。なんでこういうときに限って二週間も実験で出てこないのかしら」 なんか愚痴を言っているようだが気にすることもあるまい、それよりも今は明日の食事のための食材を手に入れることのほうが大事だ。 俺は別に食わなくたってしにはしないが、何時かの朝に二人が餓死してたりしたら目覚めが悪すぎるし、そんなことは断じてあってはならないと思うわけよ。 「それじゃ今日は人里に行こうぜ」 「別に良いわよ、お金はギリギリあると思うから」 そのギリギリを出来る限り避けていただきたいですね。さすがにここは幻想郷だから許斐のお金だって使えないし、俺の金だって使えん。 まぁ、もしも幻想郷で使われてる貨幣紙幣が外の世界と同じなら別にかまわないんだが、そんなことあるわけないだろうしな。 「でも、あんたら空飛べるの?」 「へ?」 「神社から人里って結構遠いわよ」 「あーーーーーー」 やばい、そのことを忘れてた。 いや、俺は別にかまわないんだよ、飛べるからさ。 しかし、ここに一名、飛ぶとか出来そうにないのがいるのが問題だ。 「飛ぶってどういう意味? 霊ちゃん?」 「だから霊ちゃんはって、もう一週間近く呼ばれてるから良いわ」 「それで、飛ぶって………」 「文字通りの意味よ。ほらこうやって」 そう言って静かに地面を蹴る霊夢。室内で空中浮遊を始めやがった。 許斐を見れば、うわ〜、始めてみる夢の光景に目をピカピカ光らせてやがる。子供っぽい大人だと思ってはいたがこれほどとはね。 「すごいすごい、どうやったのどうやったのどうやったの!」 「あ〜、スカート引っ張るな。ずり落ちちゃうでしょ」 「あ、ごめん」 「圭介さん、なぜ悔しそうな顔してるのかしら」 おっと、悔しいなんてとんでもないです。 ただ、許斐がもう少し暴れれば、そのチラリズムが、いえ何でもありません。 「ケイちゃん、えっちぃよ」 「許斐はまずスカートから手を離すように」 「あ、ごめん」 空中浮遊をやめた霊夢はそのまま俺達二人に対して空を飛ぶことに関しての説明を始めてきた。 まぁ、本人がそういう説明とかを省略したいような人間であるので、そのなんでしょうね。説明というにはかなり大雑把な一言を言っただけだ。 「自分は飛べると思えば良いわ」 「なんてアバウトな」 「飛べると思えば大丈夫なのかね」 許斐は真面目に信じているようだが、本当にこれで飛べるのだろうか? 俺は飛べるようになるまで二年くらいがんばったっていうのによ。 食器を片付けてから境内に出て飛ぶ練習を開始する。 ちなみに俺は少しばかり許斐の練習する光景を眺めることにする。 なぜって、そりゃ少しばかり優越感を得るためにですね。何回も失敗する許斐のことを笑って、ならやってみろって言われたら軽々とやって見せて驚かせてやろうって考えてるわけだよ。 グフフフフ、今回こそ下克上だぜ。 「それじゃやってみて頂戴。まぁ、二人とも普通の人間だから飛べる可能性は低いと思うけどね」 おっと、それを聞いたらますます優越感に浸れる気がしてきたぞ。 なにせ俺はある意味で普通の人間じゃないわけで、許斐は普通の人間まず空など飛べない。 そして俺は飛べる=下克上達成! 久しぶりに勝利の方程式が見えてきたぞ! 「まずは許斐からやってみたらどうだ? レディーファーストだ」 最初に許斐にやらせるためにあえてそんなことを言う俺。 久々に許斐のことを大きな声で笑ってやるぜ。しかし、なぜに未だに巫女服を着用しているのでしょうか? 「う〜ん、難しそうだけど。それじゃ、私は飛べる、私は飛べる」 自己暗示か? しかし無駄なものは無駄なのだよ。 君は人間なのだから! おっ、なんかかっこいいぞこの台詞! 爪先で立つようにかかとを上げる運動を繰り返しているが、そんなことが意味のある行動のわけがない! 「それじゃ、やっ!」 大きく地面を蹴って空へとジャンプ、そうジャンプだよ。 あれは飛ぶんじゃなくてジャンプって言うんだよ。どうせ直ぐに両足が地面に触れて…………… 「あははははは、霊ちゃんこれでいいの?」 「そう、そんな感じよ」 「………………」 今はそのなんだ、許斐が頭上高く飛んでいることとか、俺の下克上が成されることがないとか、一人変な勝利を確信していたとかそんなことどうでも良いんだよ。 俺が言いたいことはだね。 「なんで褌?」 「女、なのに褌ってなにか萌えるものがあると思うのよ」 「褌の女に魅力を感じる男ってこの世にいるのか?」 「そこはほらニーズ次第ってことで」 「まぁ、別に良いんじゃない?」 腋の露出がすごいおかしな巫女服を着ている奴が言っても説得力ねえんだけどね。 いやいや、すいませんでした。読心術ですねわかります、わかりましたからその切れ味が良さそうな御札を今すぐしまってもらえませんでしょうか? その後、俺は霊夢に軽々と空を飛べるということを証明させた後、許斐の格好を来た当初の外の世界の格好にしてから神社を飛び出すことにした。 しかし、やっぱり女性に褌は合わないな。 もしかして好きな奴いる? あとがき 第2話はどうでしたでしょうか?メリィー&ジェムです。ここまで読んでいただきありがとう御座います。 なんというか、変な話ですね。自分で書いて自分で読んでて変な話だとおもう。 次はどうなるのかな、わからないけど続き書こうと思います。誤字報告や感想もらえると嬉しいです。 |
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