幻想郷には、人と異なるモノが数え切れぬ程に棲んでいる。
妖怪、妖精、亡霊、はたまた吸血鬼。
人の姿でありながら不老不死のモノもいるし、半獣半人だっている。
それらは、ごくごく普通の人間には恐れられ、基本的には敬遠される存在である。
そんな中、1000年の昔から人々と仲が良く、そして慕われる青年の姿をしたものがいた。

・・・その名は、土樹良也。
永遠の寿命を誇り、外界と幻想郷を行き来出来る以外は普通の青年である。

【寝ぼけて思いついた〜なんぞ適当なタイトルですみませんです〜】

「おはよう良也。朝ごはんは何かしら?」
「・・・朝一番からご飯のことを気にするなって」
「あら、何か問題でもあるの?」

ふわぁ、と大欠伸をしながら、良也の住む白玉楼の主は良也に近づく。
亡霊の姫とは彼女を指した言葉らしいが、良也にはそうは思えない。
この数百年を共に過ごしたがゆえに、そう言い切れた。

「大体、幽々子は食べすぎなんだ。絶対に太ってるぞ」
「あら・・・女性に体重の話をするなと少し前にも言ったわよね?」

とんでもない重圧を発しながら、幽々子は良也を叩く。
ぺちん、と音は軽いが、ダメージはなかなかのものである。

「・・殴ったな」
「少し叩いただけよ。殴るってのは、もっと派手で痛いわよ」
「もう飯を作らないからなー」
「・・・・・・」

良也が朝食を作る手を止めると、即座に幽々子が良也の顔を見つめだす。

「良也、貴方私が飢餓に苦しんでもいいって言うの?」
「幽霊とかって別に何も食べなくてもいいって言ってたような」
「それはそれ、これはこれよ。それとも何、私が飢餓に苦しむ姿を見て喜ぶほどのサディストだったのかしら?」
「妖夢が帰ってくるまで待てばいいじゃないか。うん、そうだ。それがいい」

白玉楼のもう一人の住人は、現在は冥界の閻魔、四季映姫のところにいる。
数日で帰るだろうと、良也は小町に聞いていた。

「じゃあ僕は紅魔館に行ってくるから」
「ダメよ。私を満足させないと、ここから出さないんだから」
「・・・ぇー」
「きちんとご褒美はあげるわよ?」
「ご褒美ったって、ロクなもんじゃあないんだろ・・・」

仕方ないから、と再び朝食を作り出す良也。
そして、その姿を満足そうに眺める幽々子。
毎日のように繰り返されるやり取りが、何百年繰り返されただろうか。
そして、これから先、どれだけ同じように繰り返されるのだろうか。
出会った頃の三人ではない。
幾多の異変を超え、別れ、再会し、共に生きる家族だからこそ。

幽々子は、悪戯気に微笑むと、良也の頬にひとつだけキスをする。
驚いたような、あきれた様な顔をする青年に、幽々子はとびきりの笑顔を見せた。



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