「あ、りょーやー」

「…おー、フくぺっ!」

パチュリーの図書館で魔法の修練(とは言っても、適当な本を借りて読んでいるだけだ。大体何が書いてあるんだか分からない)をしていたところ、僕を見たフランが飛び付いてきた。

…以前に比べれば大分手加減ができているのだろうが、未だに痛い。出来れば飛び付くのではなく、普通に歩いてきてほしいものだ。

とは言え、嬉しそうに抱きついてくるフランに僕がそんなことを言えるはずもなく。

「…おー、フラン。元気してたか?」

「うん、元気だよ」

とまあ、こんな感じで、奇声その他を無かったことにするのである。

「そういえば、こないだパチュリーと人里で会ったんだけどさ」

「え、パチュリーって紅魔館から出るの?」

「いやいや、宴会にはたまに行ってるし、まったくって訳じゃないだろ。…けどまあ、珍しいこともあるんだなぁって」

「最近居ないことが増えたんだよねー」

「魔理沙やアリス達と飲んでるらしいぞ」

「へー」

因みに、今日はその飲み会の日なので、パチュリーはいない。流石に目の前でこんな話はしないので、当たり前の話ではあるのだが。

話を聞いてクスクスと笑っていた小悪魔さんがにも話を振ってみたところ「運動不足の解消になると思います」と言っていたが、飛んでいくのだから解消はしないのではなかろうか。

「ちょくちょく弾幕ごっこになったりもするらしいけどね」

「良也は参加しないの?」

「…飲み会に?弾幕ごっこに?」

「どっちも」

「飲み会の方はレベルが違いすぎて場違い感が漂うし、弾幕ごっこも同じ様にレベルが違いすぎるんだ。直ぐに負ける」

「そっか。良也だもんね」

ざっくりきた。

「……あっ、良也いいところたくさんあるよ!お菓子美味しいし、優しいし!」

「あ、もうこんなにおそいじかんだ。そろそろかえらないと」

「あのえっと、ごめんなさい!良也だもんねとか言っちゃって」

「じゃあふらん、またこんどねー」

「良也!良也ーっ!」



後日紅魔館を訪れた際にフランに涙ながらに謝られ、フランを泣かせた咎でレミリアと咲夜さんに弾幕ごっこ(という名の処刑)をされた。
ナイフや槍が刺さってとても痛かったが、僕のその姿を見たフランが本当に泣き始めたので中止になった。

そしてその日から、フランが僕に飛び付いてくる勢いが元に戻った。

《(食らう方が)捨て身タックル》 完



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