「妬ましい」 「いや、困るんですけど。いきなりそんな事言われても困るんですけど」 「外の世界とも違う世界から来るなんて、妬ましい。あなたが着流し着ているのも、妬ましい。木刀腰にさしているのすら、妬ましい」 「招待されたんですけど。てか、何この子。いきなり突っかかってくるんですけど。言いがかりなんですけど」 「あなたの目が生きながら腐りきって死んでいるのは、妬ましい」 「喧嘩売っているよね。これ絶対喧嘩売っているよね」 「あなたの髪が銀色で、縮れている。妬ましい」 「うるせーよ! テメーの下半身にも金色の縮れたモン一本位あるだろーがぁぁぁ!」 はい、下ネタ。 「止め止め。パルスィ、お前もわざわざ地上に出てまで知らない人に突っかかるなよ。 ああ、こいつこういう奴なんで。気にしないで下さい。ちゃんと言っておきますんで」 と、仲裁。 「おいおい銀さん。いきなり女の子に怒るって何があったんだよ」 と、キョンシーポーズのサングラスがやってきた。 「え、妬ましくない? この人間の黒いメガネも、そのポーズも……」 ……なんかみるみる顔が青くなっているんだけど。 「ダメだ。妬ましくない。 ここにいることも、この世に存在していることも、何もかも……。 妬ましくない……」 「え、半泣きになっているんだけど? 俺、何か悪いことした?」 凄いぞ、あのパルスィに妬ましい感情を出させないなんて。 長谷川泰三ことまるでダメなオッサン、どんなレベルでダメなんだよ!? 「銀ちゃん! か弱いレディを泣かせるなんて、最低アル」 「そうですよ。いい大人がなにやってるんですか」 「俺悪くないからね! マダオ見たとたん泣いたからね! つーか、幻想郷とか言うトコに着いたとたん妬ましいっていわれるの、おかしくね?!」 そこはホントすいません……。 多分、知らない人が大勢宴会に来るって聞いて、張り切って(?)いたんだと思います。 「オイオイ、それにしても、あの穴の向こうがこーなっているとはな。ちゃんとした神社があるじゃねーか。ここで宴会ってバチ当たるんじゃねーの?」 「ああ、みんな結構宴会やって騒いでるんで大丈夫です。それでかぶき町の人たちも、もうすぐ来るんですよね」 「もう来るぜ。酒持ってな」 そう、この博霊神社にあの町の人々がやってくることになった。 ここまで大勢で外部の世界の人間が入って来ることは、間違いなく初めてだ。 スキマが「敬意を表して」と言うことらしい。 なんでここまで主義を曲げるのか、考えるのはきっと無駄だろう。 「はーい、お兄さん方−。ウエルカムドリンクだよー」 と、何やらお盆を手にしたウサミミ少女が黒い制服の一団に声をかけていた。 「んじゃ、まずテメーが飲みな」 と、見た目若い男が返した。あの人、僕を爆殺したバズーカ狂じゃん 。 「いやいや、ウエルカムドリンクだから。お兄さんが飲んでくれないと」 「テメーは地獄へウエルカムされてーみてーだな」 「ちょ……私が悪かったって! なんで唐辛子エキス入りってわかったの?」 「やっぱりねぃ。土方さん、ウエルカムドリンクらしーですぜ。まずぐっといって下さいや」 「一部始終見てたぞ! ゴラァァァ!!」 と、タバコをふかす男が返す。 「大体なんだそれは! マヨネーズが足りねーだろーがァァァァアアア!!!」 そう言う問題?! コップにマヨネーズ大量投入してるよ……。 「ええええ? マヨネーズがあふれちゃってるよ! もうこっちの方が体に悪いよ!! 何してんの?!」 「それはこっちのセリフだ! 歯磨きにすら使える奇跡の食品をなんだと思ってやがる!!」 「……いい医者なら紹介するよ」 と、ドン引くてゐ。 ちなみにバズーカ狂が沖田総吾、マヨラーが土方十四郎という名前だとか。 「おや、ここにいたかい」 と大柄なオカマが酒瓶持ってやってきていた。 「あんた、もしかして早苗が迷惑かけた人かい? きつく言っておいたから、勘弁してもらえないか?」 「また派手だねー。私たちがいた所じゃアンタみたいな人いなかったのもあって、教育が行き届いて無かったんだよ。私たちに免じて許してもらえないかな? ほら、早苗も」 「はい。すいませんでした……」 ちなみに、奉っている二柱の神から結構怒られたらしい。 「いや、いいさ。私も大人気なかった所もあったしね。店で一番いい酒持ってきた。これで手打ちってことにしてほしいんだけど」 「こりゃ、ずいぶんといい酒じゃないかな。なんだったら私たちと一緒に飲まない?」 「神にいい酒を捧げたってことだしね。それに酌み交わしてこそ、だろう」 「それもそうだね。お邪魔するよ」 「では、私たちからのお酒を用意しますね! 西郷特盛様、少々お待ちを」 「寺の和尚に酒はまずかったかいの?」 と、七三分けのヤクザ。 「いいえ。般若湯ならば戒律に反しません。黒駒勝男さん、先日の件は私に非がありました。まずは布施として受け取りましょう」 「布施っちゅーか、これで矛を収めてほしいんやがな」 「そしてお互い、般若湯をもって知恵を磨き合いましょう。いかがでしょうか?」 と白蓮さん。 「聖がそう言うのです。ここはご一緒に」 「聖となんであれ互角に闘ったって人、あんただろ。話聞きたいし」 「姐さんとスペルなしでやり合うなんて、想像できないよ。一体どうやったの?」 「どんな奴かと思ったら、普通の兄さんじゃん」 「それに空飛ぶ船が沢山あるんだって? 聞きたいんだけど!」 「ふむ、何番勝負まで耐えれるかのう」 と、命蓮寺の面々。 「こないに嬢ちゃんたちにせがまれちゃしゃーないわな。ほな、知恵授けてもらおうかの」 「これは……初めてみる刀だな。素晴らしい」 「そりゃそうよ。天界のお宝よ。そっちの世界にだってこんなの無いでしょう」 「こんな風に実態が掴めないものは初めてだ。一体どのようにして作り上げたか、素材はなんなのか、見当もつかない。知っていることがあれば教えてもらえないか?」 緋想の剣を興味深げ見つめ、天子に質問を投げかける鍛冶屋の女性。 鉄子という名前なんだとか。 あれやこれや自慢げに話す天子。 空気読んでいるのか、衣玖さんは黙ってその様子を見ていたけど、苦そうな顔をしていた。 「アリス、アリス。この人だよ! 完全に自律行動してる人形っていうか、ロボット!」 「まさか……、私の目標がこんな形で本当に実現してるなんて!」 と興奮気味の二人を前にしてるのが、和風メイドロボのたまさん。 「正確には芙蓉 伊-零號試作型です。詳しい機構は源外様にお聞きになるとよろしいかと」 「おう、こないだの嬢ちゃんに、ダチか? 無骨なモン作るのが俺の主義だが、それでいいんなら、教えてやるぜ」 と、ゴーグルの爺さん。平賀源外というんだとか。 「動力に制御機構、人工知能プログラム。外の世界でもここまでのはない! 教えて、全部教えて!!」 「私の専門は魔法だけど。機能を魔法に置き換えれば使えるかもしれない。是非とも教えて!」 ただ口からオイルまみれのアレとしか言えないものを出すのは、頼むから再現するの止めてよな。 トラウマで食えなくなったんだから。 「一応、ご禁制だからな。気をつけろよ」 ……聞かなかったことにしよう。 「女所帯であんただけ男ってかい。大変だなオイ。んん、声小せーな……ああ楽しくやってるってか」 何やら雲山と話しているちょび髭のオッサン。 「俺か? あの神楽ってのが娘だよ。 かーちゃん亡くしちまって、兄貴がロクデナシだってのにちゃんと成長してくれたよ。 久しぶりに顔見に来たら訳わかんねー事になっちまったけどな。なんで俺だけ三人がかりで襲ってくるんだっての」 天子と幽香さんと勇義さんと真っ向からやり合って、一歩も引かないって、どれだけ強いんだよ。 この人、星海坊主さんは伝説のえいりあんバスターと言われてるらしく、宇宙最強とまで言われてるとか。 「ま、似たよーな頭のおっさん同士、飲むとするか」 雲山はうなずいて、応じてた。 大人たちは上手くやっているな。 と思っていたら。 「あなたは一体何を考えているのですか!!!」 そう映季の声が響いた。 正面に正座させられているのは……、ああこの人だよな。 ホント、やっちゃって下さい。 「あなたは治安を維持する職務を持ち、かつそれを統率する立場では無いですか! それで有りながら、つきまといを続けるとは!! 不届きにも程があります!! どう弁解する気ですか!!!!」 「はい、なんだかムラムラします」 「いい加減なさい!!!!!」 思いっきり雷とスペルが落ちた。 ついでに地獄落ちてくれ。僕も無駄に巻き込まれたし。 でも、近藤勲、懲りるかなぁ。 「あんな小さな子に折檻されるなんて。クソゴリラはこのままくたばってくれないかしらね」 と、笑顔がかわいい和服姿の女の子がいた。 すると僕に気付いたようだ。 「あら、良也さんでしたっけ。先日はすいませんでした。てっきりあのゴミクズストーカーの仲間かと思ってしまって」 「いやまあ、いいんですけど」 良くないけど。全く良くないけど、ここは抑えよう。 確か志村妙って名前だったな。普通にしていれば、感じの良い人だな。本当に。 「あのゴリラに説教しているの、信じられないかもですけど実は本物の閻魔でして。さすがに反省するんじゃ無いかと」 「なら助かるんですけど……。そうそう、料理作ってきたんです。お一ついかが?」 「あ、いただきま……す……?」 差し出された重箱、そこに敷き詰められたのは、……炭? 「ええと、すいません。何分そちらと違う世界の人間なんで……。なんていう料理ですか?」 てか、食えるの? 「そちらと違うのかしら? 卵焼きですよ?」 「全部……?」 「卵焼きですよ?」 ……笑顔が怖いよ! 「…………せっかく何でひとついただきますね」 パク、と一口。 蓬莱の薬を飲んで本当に良かったと思った。 すると。 「失礼だろうそんな顔して食べちゃ。おいしくいただかないとな」 と、ゴリラが顔を出してきた。 「全く反省してねーじゃねーかぁぁぁぁ!!!」 「これだけ言ってもまだ分かりませんか!!!」 ダブルで折檻を食らっているのを横目に、僕は逃げ出した。 「う〜ら〜めし……ひ、ぃぃぃぃぃ……」 なんか、声にもならない悲鳴が聞こえた。 「ああ、土樹さんじゃないですか」 この声は……! 「先日はすいませんでした。元気が出すぎると空を飛んじゃう方だとは知らなかったので」 緑色の、化け物がそこにいた。 屁怒絽という名の、凶悪な外見そのものの存在がそこにはいた。 来てたのかよ………! ダメだ、怖すぎる!! 「ところでこの辺りに、お医者さんいらっしゃらないですかね? この子引きつけを起こしたみたいなんです」 と、抱えていたのは小傘。 驚かそうとしたのが、よりによってこの化け物。 相変わらず、間の悪いことで……。 「ああ大丈夫です。そいつたまにそうなるんで。木陰にでも寝かしておいて下さい。 それで問題無いです」 「そうですか。では、そこの木の下で看病していますね」 止めた方が……、と言うより早く化け物は去って行った。 小傘、グットラック。 多分精神崩壊する。後で、永遠亭に運ぼう。 「異変解決状態の霊夢と引き分けたのはあなたかしら」 と、幽々子が銀時さんに話しかけていた。 「いや、その前にさ。それ何? いやマジで」 「あら、人魂だけど」 「おかしいよね! そんなもの浮かんでいるっておかしいよね!!」 「だって私、死んでいるんですもの。そりゃ私の周りに浮かんじゃうわよ」 「あり得ないからね! 死んでいる奴が昼間っから出歩くって、おかしいからね!! いやいやいや、ウソだよね!!! ウソ言っているんだよね!!!!」 「本当よ。……呪い殺してあげようかしら?」 「ちょっとォォォォォォォォォ!!!!!!」 「私、『死を操る程度の能力』持っているの。静かにしないと……」 「マジ無理ィィィィ!!!! 助けてェェェェェェ!!!!!!!」 半泣きのガチの叫びだった。 「幽々子様、おふさげが過ぎますよ」 と妖夢が間に入ったけど。 「何その、人魂ァァァァァ!!!!!」 妖夢の人魂を見て、さらに叫びが轟いた。 そんなに、怖いかなぁ。 「あ、良也」 と、こころが僕を呼び止めた。 あれ? 「お面どうした?」 被ってない。代わりにメガネ? 「これ、新しい感情。その名もツッコミ。なんでやねん」 「いや、こっちがなんでや「なんだその気の抜けたツッコミはぁぁぁぁ!!!!」よ」 はい、召喚しちゃったよツッコミマエストロを。 「もっと声張って、タイミング図れェェェェ!!! 関西の人に申し訳立たないだろうがァァァァ!!!! つーか、それ完全に僕だよね! 僕のマネだよね!! ツッコミだからってメガネかけるの、おかしいだろォォォォオオオ!!!!」 ちなみに、あの万事屋の一員で放送禁止用語アイドルの親衛隊長でもあるこの人、志村新八という名前なんだとか。 映季と共にゴリラに制裁を加えている子の弟でもある。 あ、こころ困惑の面だ。 と、なんかひらめいた時の面に変わった。 そして、また別な面に変えた。 「そのツッコミになんでやねーん!!」 「その前に、何そのお面はぁぁぁぁああ!!!!!」 うん、希望の面はね……。 「ツッコミという新たなる感情を極める! その疑問に対してなんでやねーん!!」 ハリセンの代わりに武器として使っている扇子でどついた。 「それツッコミぃぃぃぃぃぃ?!!!」 と、どつかれ飛んでいった。 やれやれ、と思っていると。 極太レーザーが飛んできた。 「ぬおおぉぉぉ?!!」 危な! これ、魔理沙だよな! 「弾幕ごっこでもやってんのか?」 と思ってたら。 「ばっちこーいアルネ!」 「よーし、とっておきのを見せてやるぜ!!」 スペルカードを取り出す魔理沙と、バットのように傘を持つ神楽って子。 ちなみにこの子、万事屋の一員なんだとか。 「何してんの! 二人共!」 「見ての通りだぜ。弾幕野球だ」 「そうアル。こんぐらいなら打ち返してみせるアルヨ」 「と言っても、今のはファールだな」 「わかってるアル。今度こそホームランやってやるネ」 「迷惑だから止めろって!」 何考えてるの、本当に何考えてるの、この子たち!! 「『魔砲 ファイナルスパーク』」 無視された! 発射されたレーザー、それを傘でヒット! だが、威力がありすぎてなかなか弾き返せない! 「ふごごご!」 そして耐える! いや、これ凄くない? 「ふんがぁ!!」 で、僕の方に来た! 「うああああああ!!!」 「ファールだな」 「次来るアルネ。まだアウトじゃないアルヨ」 迷惑。後、僕を心配しろ。 「ったく、宴会で殺す気か」 アル中以外で死にたくないぞ。 アル中でもゴメンだけど。 「わん」 「うわ、あぶな!」 今、後ろから頭に噛みつく気だったろ! 「こら定春、神楽さんに怒られますよ」 と、さとりさん。 見ると地霊殿のメンバーが、白い巨大な犬と一緒にいた。 定春という、あの万事屋の飼い犬だそうだ。 信じられないが、これでも神様の一種だとかなんとか。 お燐が傍らに、お空がその背に乗っている。 「大丈夫ですか? 結構頭に噛みつくイメージしかないんですけど」 「ええ。ちゃんと意志を疎通すれば問題ないですよ。そうでしょう、二人共」 「ふかふかだー」 「お兄さんが変なこと考えてるからじゃない?」 変な事って……ないぞ。うん、胸張っては言えないけど、ないぞ。 「そういや、定春の考えてることも分かるんですか?」 「そうですよ。彼なりに色々考えてますね。 え、なになに。『このクロス小説書いてる奴、銀魂全て立ち読みなのはどうかと思う』ですって。 良也さん、どういう事か、わかりますか?」 聞いてはいけないことを聞いた気がするのは気のせいか? 「ん? 『東方と名がついたゲームを一切やった事がないのは、さらにどうかと思う』。 どういうことかしら?」 ちょっと待てぇぇぇぇぇえええええ!!! さらにとんでもないカミングアウト、さらっと出てきたのは気のせいか?! 「「「「あ、やっぱり! この人だよこの人!」」」」 と、声が四重になって聞こえて来た。 フランが四人、走ってきた。 手には……例のコケシ。もう、見ないでおこう。 「え、何この子たち。四人いるんですけど。同じ顔が四っつあるんですけど」 それで向かう先には銀時さんがいた。四方を囲むフラン。 「あの、何この状況」 「「「「ぎゅっとして、思い切り」」」」 「てかなんで電動コケシ持ってるの? 勘違いしてない? ねえ、何か間違ってない?」 「「「「どかーん!!!」」」」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 はるか上空に打ち上げられた!! 「おい、フラン! 一体なにしてんの?!」 「「「「あ、良也! この人凄いよ! だって、『目』がうっすらとしかないの! だから、私が思いっきりやっても壊れない! それで思いっきりやってみたの!!」」」」 確かに、そう言う現象を起こしかねない人だけど。 「だからってやって良いことじゃないだろ。さすがにレミリアだって」 「あら、汚い花火ね」 うん、怒んないよね。 「それでしたら、この赤ワインが合うのではないかと」 咲夜さん、そう言う問題? 「フランが能力使った結果が、打ち上げ花火というのも興味深いわね」 「気が全く減りません。本当に何ともないようですね」 「んなワケねーだろーがぁぁぁぁ!! 銀さんの扱いひどくねぇぇぇ?!!!」 と、ツッコミながら落ちてきた。 その後「殺す気ですか、コノヤロー!」と言っていた。 何ともない気がするのは、気のせいだろうか……? その後。 「ムラムラ…………あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」 との声も聞こえてきた。見ると、はるか上空へ打ち上げられていた。 お星様にでもなって欲しいと思う。 二つ大きな音が轟いた。 これは……輝夜のスペルとバズーカの発射音だな。 また喧嘩始めたか……。 しかも同時に……あれ。 弾幕の向こうから、刀を振り回し突き進んで来る。 「何しやがんだぁぁぁぁ!! 沖田の野郎にそそのかれやがってぇぇぇ!!」 との黒い制服のマヨラーの声。 バズーカの爆炎から、炎をまとう人影。 「爆弾か! 輝夜の毒牙にかかりやがって!」 妹紅だ。 マヨラーに弾幕、妹紅にバズーカを発射したのか。 標的交換かよ……。また変な所で仲良く……。 「おい。テメー」 「ああ。わかってる」 「「まとめてぶっつぶす!!」」 怒りのボルテージを上げたところだった。 妹紅にかんしては本当に凄い熱量の炎が上がっている。 もっと遠くへ逃げようとした時だった。 「さていい頃間だねぃ」 「そうね。火事よー」 「火消しの前で燃えるなぁぁぁああああ!!!」 と火消しの辰巳さんが放水。すると変な音が鳴った。 その直後、もの凄い爆発が起きたのだった。 「す、水蒸気爆発か……」 これ、妹紅はともかく土方さんは死んだんじゃ……。 「沖田ァァァァアア!!!」 「輝夜ぁぁぁぁぁぁ!!!」 普通に向かっていく二人だった。 だからなんで蓬莱人並みに丈夫なんだよ。 「太子様、いかがでしょう。この者たちは」 「素晴らしい。私をもってしても欲を読めません。あの銀時という人間も仙道にふさわしいですが、才能はそれ以上です」 と、目の前にはどこかで見たメガネとサングラスが座布団の上に置かれていて。 「それ、メガネなんですけどォォォォォォ!!!」 「それ、サングラスなんですけどォォォォォォ!!!」 そして持ち主の新八君とマダオのツッコミが入った。 ……なにこの状況。 「私を目の前にして一切の感情を抱くことなく、ただ存在していることに満足している。これは仙道の境地と言えます。 全く別の世界にこのような人物がいるとは、驚きです」 「メガネだからね! それメガネだからね!! 感情もクソもねーよ!! メガネとサングラス奪ったと思ったら何してんだよぉぉぉぉ!!! そっちが本体とでも言う気かぁぁぁ!! あんたらもぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!! あと、あのお面あんただよね!!!」 「つーか、お宅んとこのキョンシーに噛まれて未だにキョンシーなんですけど!! どーやってもこの体勢だからケツ拭くのも、小便するのも大変なんですけど!!! 早く何とかして欲しいんですけど!!!!」 だからどんな状況これ。 「あ、マダキ。伏せ」 「また体が勝手にぃぃ! ってこれ腕立て伏せの姿勢!!」 「あら芳香ちゃん。頭の代わりに人生が腐っているキョンシーを飼い慣らしたのね」 「だからなんで一目で俺の人生当てるんだぁぁ!! 早く治してほしいんですけど!!」 すると、道教のメンバーからは明らかに浮いている白髪で薄めのサングラスかけた人物が、盃を手にしながら言った。この人、松平片栗虎だったか。 「キャバクラでうるさくしてんじゃねーよ。3数える前に静かにしろよ。いーち」 バアンと発射。 「「だから2と3はぁぁぁ!!? その前に何であんたそこにいるのォォォォォ?!!!」」 「キャバクラ遊びは紳士のたしなみだ。うるさくすんじゃねーよ。ねーちゃん、ボトル追加。銘柄はなんでもいいや」 と、屠自子さんに言った。 「どうしてこうなったのかしら……」 同感だけどさ。キャバクラって。一体何がどうしたのこれ……。 関わらないように距離を取ろうとすると、また変なものがいた。 「桂じゃない! キャプテンカツーラだ!」 “エリザベスじゃない! クイーンエメラベスだ!” 某有名宇宙SFの主人公キャラ二人のコスプレをしたそんな桂小太郎とエリザベスの前に、天狗の二人がいた。 「ちょっと文……」 「あやや……。どうしたものでしょうか……?」 ほっとこ…………。 “ねえねえ、土樹君” と、アフロヘアで顔の下半分マスクで隠した、黒い制服の男がスケッチブックに文字書いて見せてきた。 ええと、斉藤終だっけ。この人。 筆談って、しゃべれないのかな? 「何でしょうか? 困ったことでも?」 “Z――――――――” 寝てるーーーー!!! 何したいの? 本当に何したいの?! 「あなたの美しい金の髪。まるで彗星の軌跡の……」 「なんだいその箸の使い方、しっかりしな」 ホストの手からボギっと響いた。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 【男は、カミュと共に飲み込まないといけない事がある。そう、ここはバーへと……】 「変な事ほざいてないで、とっとと酒飲みな!」 「やばいんですけど! 吹き出してきそうなんですけど!」 「だらしないねぇ。大体カミュって要は酒だろう」 「ハードボイルドに言うとそうな……ヤバイヤバイヤバイ!」 「しょうがない。あっちでやってきな!」 「ヤバあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 と岡っ引きを茂みに投げ捨てる勇儀さん。 と、叫びが二重に響いた。 ホストが本城狂死郎、岡っ引きが小銭形小平次らしい。 なんだかなぁ。 「がーはっはっはっ!! ここに着くなりモテモテとは、男冥利につきるのぉ!!」 と、笑い声がして来た。 すると丸いサングラスの男に、首筋にリグルと蟲たち。 「食べ応えあるなぁ」 アフロヘアのようにルーミア。 「うーん、何も考えてない馬鹿という感じがなんとも」 でもって咲夜さんが大量に献血させていた。 「これで八リットル。あと二リットルお願い致します」 って、おい! 「坂本辰馬さんでしたっけ? いい加減出血多量で死にますよ!」 頭と首と腕から滝のように血が流れてるぞ! ヤバイっての!! 「血ぃ? 今朝ミートソース食ったきに。それが洩れてるだけだがよ」 あんた自身がミートソースになろうとしてるよ! すると横から笠を被った女の人。陸奥って名前だっけ。 「こんくらいで死ぬ人間じゃないきに。ほっとくのがいいぜよ」 と言った。 ……そういや、この坂本って人が運転ミスって飛空挺を墜落させたんだったよな。 何か楽しそうだし、この人は放置で。 後で見てみると、レミリアがいて、 「ここまでの生命力は素晴らしいわね。外の世界の漫画で見たブラッディサーバーをコイツで実現できないかしら」 と言っていた。 そんな彼岸島はやめい! 「公衆の面前でやれるかぁぁぁぁぁ!!!」 そう前髪で目元が隠れている、忍者らしい服装の男が叫んだ。 服部全蔵だっけ。 「あら、そう? 鈴仙。診察台に取り押さえなさい」 「あの…、それはどうかと」 と、永琳さんと鈴仙。 「あら反抗とは珍しいわね」 「お待ち下さい。彼は私との和睦を申し立てに来たのに、取り押さえるのは問題では?」 「それはそうよ。月にも幻想郷にもない、おそらくあの世界特有の奇病に冒されているのよ。難治性のものらしいし、診ておくべきだわ。 ぢ、だなんて聞いた事も無い。一体どんな文字がお尻に書かれているのかしら」 「ツッコミどころしかないんですけどォォォォォ!!!!!」 うん、全く。 幻想郷にないんじゃなくて、あなたに見せる勇者がいないだけです。 でもって、発音似てるけど、ひらがなが違います。 あと、宴会場で人の尻丸出しにさせる気ですか? それに鈴仙さ、聞いた事も無い病気の薬を、全蔵さんに使ったことになるよね? 不意に納豆の匂いがしてきた。 「全蔵、覚悟!」 あの銀時さんのストーカー、猿飛あやめだ。 「うお! 猿飛ィィィ! 何のつもりだぁぁぁ!!!」 「薬くれるっていうの。それで銀さんに……いやん」 「買収されてるんですけどコイツゥゥゥ!!!」 こうしてクナイと納豆と座薬による、弾幕(?)ごっこが繰り広げられたのだった。 「最強のあたいが……」 「エリートの前に最強なぞありませんよ」 とチルノと白い制服の男。 ……あの佐々木異三郎って人、シャレにならない感じなんだよな……。 止めるか。 「あのー、今宴会ですし、コイツの言っていることにそんなに反応なさらないでも……」 「心配なさらないで下さい。私エリートですから、一々本気にはしませんよ。ただ、すでに渡しただけです」 するとチルノのポケットからピピピと電子音がした。 いつの間に。 携帯電話を素早く仕込む程度の能力持っているんですか、あなたは。 「んー?」 と携帯を取り出すチルノ。 「あ、コイツに携帯渡しても……」 ビシ、っと蛙へのイタズラの要領で携帯が氷り漬けになった。 そりゃこうなるわな。 「大丈夫です。お友達に渡しています」 「ねえねえチルノちゃん。何か文章がどんどん来るよ」 大ちゃんにも渡したか。 つーか、幻想郷で携帯通じるって、機材持ち込んでるの? 「エリートに抜かりはないと言う事です」 あの、大ちゃんが持ってたのも氷漬けになってますが。 「あんぱん」 「君、ちょっといいかい?」 「あんぱん」 「そのように貪り食うということはそれには中毒性があると思われる。今すぐ離すべきだ」 「あんぱん」 「すでに正気ではないか……」 と、黒い制服の男と里の守護者。 さて、説明するか。 「慧音さん、ちょっといいですか」 「良也君? どうしたのだ?」 「この人、犯罪者への監視が仕事らしいんですが、そうなるとその辺の店でも売っているこのあんぱんってのしか食べなくなるみたいなんです」 「む?」 「願掛けみたいでして。もう半年あんぱんしか食べてないらしいです。それでああなっちゃったみたいで」 「ということは半分以上自滅ではないか! そのような不摂生、指導しよう!!」 「いや、あの……」 それ以上の不摂生のマヨラーがこの人の上司です。 そしてその事を伝えられず、あんぱんが飛び交うカオスな弾幕ごっこみたいなことになってしまった。 「あんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱん」 山崎退という名前には似合わない一歩も引かない身のこなしであんぱんを投げて応戦する様は、あきれるしかなかった。 「全く騒がしいでりんすな」 とキセルの煙と廓言葉。 地下の自警団の月詠さんだ。 「もう騒がしいとかそんなレベルじゃないですけどね」 何気に死にかけてます。 「吉原と同じでりんす。浮かれ浮かれ行くが宴じゃ。ぬしも今ひととき、飲み騒ぐがいいでりんしょう」 まあ確かに。と、ちょうど一升瓶。 「じゃあ、まず僕のからの一杯、受けてくれませんか?」 「い、いや。わっちは……」 「あれ、お酒もしかしてダメなんですか?」 「……そうでりんすな、一杯くださりんす」 「まあ、おちょこ一杯だけで」 くい、と飲み干した。 輝夜とは違う雰囲気を醸し出てくる。 「ヒック……うい〜ヒック……」 おや、様子が……。 「お兄ちゃん! 飲ませちゃった?!!」 すると横から声が飛んできた。 「晴太君だっけ。もしかしてマズかった?」 「マズイなんてもんじゃ……」 「うい〜……オラァァァァ!! 酒もってこいぃぃぃ! 花魁どこだぁぁぁ?」 「え、月詠さん?!」 「月詠姉、凄まじい酒乱なんだよ! おちょこ一杯で酔っ払うくせに、そこからテキーラ一本開けても平然としてるし!」 どんな体質? 「酒ぇぇええ!!」 すると素早く僕の手から一升瓶をひったくり、一気飲み。 ……うわあ……。 「お兄ちゃん、逃げて! おいらが何とか抑えるから! 大丈夫、慣れてる!」 次の瞬間、クナイが山ほど飛んできた。 「酌もしねーで逃げる相談か、ゴルァァァ!!」 結局、二人してダメージを負ったのだった。 「うう……母ちゃん、死神が、死神が見えるよ……」 「確かにあたいは死神だけどさ。良也も大丈夫かい」 そこにいたのは小町。 意外っちゃ意外なことに、晴太君を介抱していた。 僕も助けてと言おうとした時だった。 大きな、大きな影が覗き込んでくる。 それは緑色で。 「大丈夫ですか? またしても怪我してるじゃないですか」 怖かった。 ……危うくチビリそうになったぞ。 屁怒絽さん、いきなり出てこないで……。 「あの僕は大丈夫なんで、傷すぐ治る体質ですんで、はい」 全力で体を再生させる。これやらないと小傘と一緒に地獄行きだ。 「おや、本当だ。でも無理しないで下さいね。傷薬は沢山用意してますから」 と木陰の方へ向かって行った。 「大丈夫かい? あっち見てみなよ」 そこには、小傘だけじゃなく三妖精を筆頭に、数多くの妖精や妖怪が寝込んでいた。 「あー……、もしかして顔向けただけで」 この惨状か……。 「うん。このままじゃあたいの目の前で仕事できてしまいそうだし」 「僕も手伝うか……?」 「いやいいよ。楽しんでな。あたいはやっこサンを手伝うよ。顔怖いのを除けばあんないいやついないしね。あと、目的が分からない奴も手伝っているし」 「そういや、幽香さんもか」 理由がわからん。 笑顔で甲斐甲斐しく介抱しつつ、うふふ苛めたいわぁ、とか言っていた。 「ま、まあいいんじゃ。って小傘、痙攣してない?」 「あ! 顔見ちゃったか。ほらしっかりしな!」 慌ててチルノから氷を調達する、小町。 つーか、メドゥーサかよ。 「ん? ってヤバ!!」 魔理沙のマスタースパークだかファイナルスパークだかがこっち来た! 狙ったかのように、僕の方へ! まだ野球やってたのかよ!! 逃げる間もなくぶっ飛ばされる。 もういや。 下で、手を伸ばす人影があった。 受け止めてくれ「僕に触るな!」なかった。 ぶん投げられる僕。威力増して地面に衝突。 だから僕は何か悪いことやった? 「申し訳ない。どうしても男の人に触れると投げ飛ばしてしまうんだ」 とその人。 風貌は黒髪ツインテールにきれいな和服、特徴なのは左目に花の眼帯。 全体的にとてもかわいらしい女の子。 誰、この人。 「宴会には女の子が多いと聞いた。だから女の子の格好で来たんだ」 ……眼帯……。よく見たら帯刀してるし。 まさか。 「柳生九兵衛さん? この間妖夢と闘っていた」 「そうだ。あのときのダンコンついてるような大きいダイコンは僕が賜った」 だからなんでそれにこだわるんですか。 って、実は女の子という認識でいいんですよね。 「それで隣の人は……」 「あーら、良也だっけ? 元気ぃ?」 バスタオル一枚体に蒔き、エアマット小脇に抱えた、金髪ロングの……男。 「東条歩さんですよね……」 うん、この人の女の子の知識、偏りまくり。 「映季―! ゴメン。なんか変態いるんだけど」 「こやつの指導でかかりきりでしたが、やはり指導せねばなりません! あなたはそう、少し行動がおかしすぎる!!」 映季、お疲れ。 「ねえねえ」 何やら背後から声。 後ろを振り向いても誰もいない。 って、こら。 「こいしだろ! なんで頭の上にいるんだよ!」 「んー? 良也?」 と降りてきたこいし。手にはドラゴンボールの単行本。 巻数的には……ナメック星くらいか。 「なんとなく?」 「全く……」 いつものことだけどなあ。 漫画に悪い影響貰うなよ……。 すると足下からバキという音。 見ると、……遺影? で、ズンと頭から衝撃が! 「またずいぶんと乗りやすい頭でやんす」 この重さ! 金棒担いでるな! 「外道丸さんでしょ! 首に凄い負担掛かっているんですけど!」 遺影に目をやった瞬間に乗られた! 身の丈ほどの金棒を背にした人影が降りてきた。 「なんで乗るんですか! こいしじゃあるまいし!」 「あ、首はまっすぐ伸ばした方がいいでやんす」 「乗りやすい頭アルネ。でも銀ちゃんほどじゃないアル」 ズガ! と遠慮無い威力が! 神楽って子だよな! 「だからなんで! って銀時さんの頭にも乗ったの?」 「やたらと乗りやすかったネ。あ、ヤバイアル」 ヤバイってなんだよ……。ぐあ! 「うん、乗りやすい。思った通り」 「ちょ……死ぬ、死ぬって!」 上から、ドーナツを差し出された。 「あげる。これで大丈夫」 「んな訳あるか! 今井信女さんでしょ!」 大きい子は乗らないで! やっぱりこいし並みに行動読めないよ、この人! 「乗るんじゃないアル! 私がまだ乗るネ!」 「結野様にも乗っていただきたいでやんす」 「だからなんで乗ろうとするの!」 「かわいそう。はい、ドーナツ」 「どう言う意味?!」 「はい、ハートの弾幕」 「こいし! いきなり何するの!」 「んー? なんでだろ?」 「おい!」 すると。 「あれ。実際乗りやすいな」 「ぐあ! 魔理沙かよ!!」 なんで次々乗ろうとするんだよ! 「おや、本当だ」 「この酒臭さ! 萃香かい!!」 鬼は乗らないで! 首が! 首がぁぁ!! 「えー、私だって乗る!!!」 「フラン!? 待って……ぐああああああああ!!」 力加減できない吸血鬼はもっとダメ! 「酷い目にあった……」 軽く死んだよ……。首と頭へのダメージが半端なかった。 「本当。酷い状況ね」 と、霊夢。 手にはスペルカード。 「『夢想封印』」 弾幕が会場全体を襲う! 一体なんで?! 「乾杯まだでしょ!」 今更それ言う?!! 「てか、お前だよね」 青筋立てながら、銀時さん。 「え?」 「かぶき町への穴開けたのこの銀さんだけどさ、無差別に弾幕蒔きまくって破壊の限りを尽くしたよね。これって騒動つーか、異変巻き起こしたよね。悪いの結局お前だよね」 「だって仕方ないじゃない! あんな嫌な気持ちにさせるやつばっかなのよ! 実際、私のスペルあんたに破壊されたし! 私の勘がやれって言うのよ!!」 「結局テメーの思い込みじゃねーかァァァァ!!!」 その思い込みというか勘で全てが解決してきたからなぁ。 「考えてみればワシに謝罪の一言さえないやないかい! ワシんとこメチャクチャにしてくさってぇぇぇ!!」 「将軍が復興費用出してくれたから良いようなモンを! 店を再開させるのに苦労したんだっつーの!」 「無意味に般若湯とこぼしました。主張を暴力で押し通そうとする、人間とは大変愚かなものである!」 「せっかくの貴重な酒がこぼれた。ちゃんと萃めたが。霊夢、もういっちょ弾幕格闘ごっこやろうかい?」 「妖夢がせっかく裁いてくれたごちそうが地面に落ちる所だったわ」 「そうアル! 私が密かに栽培してた水耕栽培ブルトン、オメーにダメにされっちゃったネ! 損害賠償請求するアル!!」 「銀さん、それに皆さん、落ち着いて! あと神楽ちゃん、暗黒世界の災厄栽培しちゃダメ!」 と新八君。 宴会の肴入ったタッパー抱えながら。 「なにそれ」 指さしつつ、霊夢。 「冷凍しといて、後でチンすれば食え「貧乏くさい」うるせーよ! 脇の下貧ぼっちゃまのテメーが言うなぁぁぁああああああああ!!! 布代ケチって脇の下出してるテメーが言うなぁぁぁああああああ!!!!」 ま、また一騒動起きかねんぞ……。 基本ここにいるメンツ、沸点低いし。 このままじゃ、僕多分また死ぬ! 何かないか……、そうだ。 「みんなちょっと! 将軍様から海産物の差し入れありませんでした?」 言葉を荒げていた面々が、ピタリ止まった。 よし、幻想郷だけじゃなく、かぶき町でもめったに食えない様なものだろう。 「きっとすごい豪華ですよ。だから落ち着いて」 「ええ。とっても豪華よ。豪華」 スキマが凄い胡散臭く、呟いてきた……。 「オラヨ。持ッテキタゼ」 すると顔がやたら濃いネコミミの女。キャサリンとか言ったけか。 台車に舟盛りを乗せて来……ちょっと待てぇぇぇぇぇええええ! 「将ぉぉぉぉぉぉぉ軍んんんんんんん!!!」 新鮮な海産物を周囲に添えて、白目向いて気絶した将軍の男体盛り?! 誰だよ! こんな事したの?! 「紫様、盛りつけはこれでよろしかったでしょうか?」 「ええ、とてもいいわよ」 藍さんかよ! でもってスキマ、やっぱり貴様か! 「じゅる……」 と橙。 「おいしそう」 猫だしな。 「将軍……」 「止めろおおおおおおお!」 「ええ、とってもおいしそうな将軍様」 「スキマ! お前もだよ!! 二重の意味で食うなよ!!!」 ふわり黒い球もやってきた。 「ルーミア! お前は坂本さんの頭囓ってろ! この人はダメ!!」 ああもう! 何気に人食い多いんだよな!! 「アレハ小サインダケドナ。オイシソウナモンダゼ」 キャサリンさんも黙って! 「てかさ」 見ると、木刀が高く掲げられてた。ハンマーと短刀と金剛杵と傘、ついでに払い棒も。 「「「「「食えるかァァァァァァァァ!!!」」」」 ですよねー、って武器を一気に振り下ろした!? 将軍がぶっ飛んだよ! 「って、将ォォォォ軍ンンンンン!!!!!!」 「せっかくの刺身、食う気なくすじゃねーかぁぁぁぁぁ!!」 「何考えてんだい!!」 「ワシを舐めとんのかい!」 「いかに妖怪といえども堪忍なりません!」 「将軍のおいなりさん、食いモンじゃねーアル!! テメー、変態仮面にしてやろーかァァァ?」 「紫、あんたね……」 怒りに震える五人。 「私はいいんだが。いい肴だ」 「ねえ。いろんな意味でおいしそう」 いや、もう黙って。 「つーか、将軍はぁぁぁ?!!」 すると、落下してきた将軍を霊夢がキャッチ。 将軍の頭をスキマに向けつつ。 「食欲なくすような事するんじゃないわよ! 『将軍 怒りの夢想封印』」 いつも以上の弾幕が将軍の頭から発射される! って、何そのスペル? 「気付いたようね。将軍が弾幕の威力を触媒させるのを」 「そして何らかの方法で食べれば力がつく事を」 「それにね、将軍はとってもおいしいの」 とスキマとその友人二人。 や、厄介なことに……。 ていうかさ、将軍にそんな効果あるの? 「なんとしても将軍は貰う。よし勇義! 合体スペルだ」 「まかせときな!」 すると、勇義さんの杯に萃香の瓢箪から酒を注いだ。 で、飲むのは……月詠さん??! 「『月詠 燃料補給』」 「うおおおおおお!!! よこせぇぇ! 将軍よこせぇぇぇえ!!」 「ただ単に酒飲ませただけじゃねーかぁぁぁぁぁ!!」 スペルでも何でも無い!! でも速い! クナイ多い! 霊夢と互角!! 「たたみかけるべきね、妖夢。お二人と合体スペルよ!」 「参ります! 『無双 人斬りの超級武神波斬』」 妖夢と九兵衛さんと信女さんが刀を四方に振り回す!! 侍とヤクザとオカマが対するも、劣勢! 「九兵衛さんに信女さん! あんたらこっちの陣営だろーが! 何やってんだぁぁぁぁ!!!! 将軍を守れぇぇぇぇ!!!!!」 「オイ、ズラァ! ちょっと来い!」 「ズラじゃない、キャプテンカツーラだ! では行くぞ『革命 爆風テロリズム』」 突如発生した旋風。中にあるのは……爆弾とプラカード?! でもって旋風の発生源……おい新聞記者。 “煙がないなら火をたけばいい” 「事件がないなら作ればいい。確かにその通りではあります!」 「文、それ、マッチポンプ」 何ダメなコラボかましてんだよ! 「あーあ。せっかくの海産物が」 「全く。まずはあの人間を支援してやろうか」 「確かに我慢なりません! では最近開発したスペル行きます! 『祝福 神々の気まぐれ』」 「うおおお! 力がみなぎってきたよ! 性別を超越したオカマの力を見せてくれる!!」 ただでさえ大きな体のオカマが一回り大きくなった。 僕にも欲しいよ、そんな支援。 「本当は先生にと作ったのですが」 「何分、良也じゃ虚弱なんだ」 「多分、爆発するからねぇ。アレが」 アレって何! 「私からも支援いたします『超人 土樹良也』」 え、まさか白蓮さんから?! 「なんじゃあ! 力が湧いてくるわ! この三の怒り、七にしてやらぁぁぁぁ!!!」 ……なんでヤクザ。 「申し訳ありません。虚弱な人間である、良也さんに使いますと、爆発してしまいそうなので」 「アレが?」 「はい」 アレってだから何!? せめて、名前変えて下さい。期待したじゃないですか……。 「ってオイイイイィィィ!! 何しやがんだよアンタァァァァ!!! 将軍置いていけぇぇぇ!!」 「あ、こら! 魔理沙!」 「将軍はいただいた! 私のモンだぜ!!」 ああもう。余計な事を……。 「いくぜ! 『将軍 江戸の大彗星』」 またしても将軍頭からスペルが発射される! どうなってんの? 「私の出番アル。右手にホスト。左手に岡っ引き。『神楽 邪法暗黒星雲』」 すると、手にした二人の男を振り回し、魔理沙のスペルをホームラン!! てか、何その全く関係ない中二ネーミング。 「あ、しまっ……」 「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」」 男たちの悲鳴と供に、盛大にスペルは飛んでいき、魔理沙は将軍を捨てて避ける。 「今です。宝貝である将軍を手中にせねばなりません。準備はよろしいですか?」 「はい! 太子様!」 「いつでも行けます」 「ちゃんと鎮座してるわ」 「では他の者の動きを止めます。『仙道 仙人乱舞』」 座布団に鎮座していたサングラスとメガネが縦横無尽に動き回って体当たりを仕掛けてきた! 「だからメガネ返せぇぇぇぇ!!!!!」 「サングラス返せぇぇぇぇ!!!!!」 だからなんなの、そのサングラスとメガネは。 「あの将軍、やはり凄い気です」 「あんなマジックアイテムそうないわ。それも生きているなんて。レミィ、わかる?」 「この間はわからなかったけど、わかるわ。入手すべきね。咲夜行けるわね」 「はい。それでは行きます『坂本 ブラッドマシンガン』」 「血液の弾丸か! こりゃーワシの船に載せたいのー!」 「おまんの血液は無限に出るんか……」 坂本さんのブラッドサーバーから血液発射? おい、もう樽の中に坂本さんを入れてるよ! 「だからなんで襲ってくるんだよ! いい加減にしろっつーの! 雲山だっけか? まず、俺が突っ込む!」 「雲山、仲良くなったと言う人に合わせるよ!」 「だってあなた強いじゃない。うふふふふふ。お寺の妖怪と共闘かしら」 将軍をめぐって弾幕が飛び交う中、それ以外の闘いも起こっていた。 「寂しいあなたたちの頭にお花を咲かせてあげるわ『将軍 歌舞伎大開花』」 いつの間にか片手には将軍が! 例によって将軍の頭からいつも以上の凶悪な弾幕が襲ってくる! 「いいか、オッサンの頭は寂しいんじゃない。社会の荒波にもまれて磨かれたんだぁぁぁ!!!!」 傘の仕込み銃で的確に射撃! 正面の弾幕を最小限こじ開けた! 「オッサンの拳を見せてみろぉぉぉ!!」 「雲山!」 わずかな隙間から拳を滑り込めせ将軍を狙う! 「やっぱりやるわね……。と、何かしら」 将軍のパンツからピピピと音がした。 「将軍に無礼を働くとは何事ですか」 背後から異三郎さんの斬撃、傘で防ぐも将軍を手放した。 「あら、しまったわ」 その前に、将軍のパンツにさえも携帯電話仕込むって、アンタこそ何事だよ。 地面に落ちた将軍。 その顔面に。 「『将軍 に向かってスパーキーング!』」 本当に何やってんの、この人! そのあんぱんがぶつかった衝撃で将軍が吹っ飛んでいく。 「いい加減に正気になりたまえ!」 そして慧音さんに頭突き食らっていた。 するとその上を光の刃が周囲をなぎ払った。 「緋想の剣、まさかまさかのパワーアップじゃない。振るだけでこんな面白いが出るなんて」 「思ったよりいい研ぎが出来た。特殊な宝物で緊張したが」 「宝物に何をしでかしたのですか……」 ああでも、周囲に暴れん坊たちがいなくなった。 今のうちに……う、おい。 「それ単なる悪ふざけだろォォォォ!!」 顔面が、顔面が、たまさんの顔面が飛んできた! 「のびーるネック。まあろくろ首だね」 「夏場には良いかもしれないわね」 「銀の字ビビらすにはよさそうだな」 「家賃請求の際、金の玉取るより、肝の玉を取った方が良いかもしれません」 この河童に人形遣いに、技術者! 「「「「ぎゅっとして、すっごく思い切り、どかーん!!!!」」」」 「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」」 たまさんの首を交差するように、水平にゴリラとバスタオルの変態が飛んできた! だからなんでフランの能力で壊れないでロケット発射になっちゃうんだよ! 「逃げるんじゃねェぞォォォ! この腐れ変態どもがぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「何も知らぬ吸血鬼に逃走の手助けをさせるとは! 恥を知りなさい!!」 と走って行く閻魔と長刀持ってる娘。 フランは壊れないから能力使ってる気が。 「「「『座薬 連続誘導ボラギノール』」」」 兎と薬師と女忍者が巨大な座薬を投げてくる! 「待てェェェェ!!! そんなにでかくて大量の座薬いらねぇだろォォォォ!!!! 俺にまた露理絵使わせる気かぁぁぁぁ!!!!!」 忍者がもの凄い速度で迫り来る座薬から逃げていった。 あ、ひとつ将軍の尻に刺さった! 「あたいの攻撃受けてみろー!」 でもって、チルノ、それにキック! さらに入った!! 「ちゃんとぶっさすべきでやんす」 金棒でホームラン! デカイのがパンツ越しに完全に入った! 「テメーら将ちゃんに何しやがんだ。いい加減にしろ。食らえや。 『松平 当方腐敗マスターキャバクラ』」 なんか言いながら拳銃四方八方にブッパしてくるよ! てかそれ「それ単なるあんたの自己紹介だろォォォォ!!」だよな……。 か、カオス過ぎるぞ……。 かぶき町と幻想郷の面々がよく分からないコラボをかましまくる。 「平和だねー」 「あたいも酒飲んで寝てしまいたいよ」 「Z―――――」 兎と死神とアフロの男が現実逃避してる……。 よく見たらこいしが、アフロヘアに指で突っついている。 あそこに逃げ「「じゃあ行くよ! “放送コードがなんぼのもんじゃい”」」なにが起きた! 「うおおおおおお!! カバーキタァァァァァァァァァァァァアアアアア!!!!!!」 見るとミスティアと響子、プリズムリバー三姉妹、雷鼓さんに九十九姉妹、それにメガネをかけたこころ。 それに一人興奮する新八君。 なんでこんな状況でカオスを悪化させる行為を!! 「「(ピーーーーーーーーーー)」」 ああもう、聞き苦しい歌詞だよ! 昏倒している将軍。 そこに紅白がいた。 「全く。こんな所で」 霊夢。よかった。さすがに巫女としての良心があったか。 「はい、依頼よ。アンタが収集しなさいよ。万事屋として」 すると、将軍を放り投げた。 将軍を銀髪の死んだ目の男が受け取る。 「受け賜ったぜ、コノヤロー」 そして将軍を不思議な感じで持ち、構えた。 「いい加減にしやがれってんだァァァ!!! 『将軍 オーガのヌンチャク』」 それ、どっかで見たぞ! ジャンプ以外で! 銀時さんは自分自身をまるで包むかのように将軍を振り回し、好き勝手暴れる連中に切り込む!! 「つーか、アンタ。将軍をなんだと思ってんだァァァァァァァアアアアアアア!!!!!」 結局カオスを促進させてるじゃん! 「わん」 「発射!」 定春に乗ったお空がぶっ放すし! 「皆さん! 宴会で騒ぐのはマナー違反ですよ!」 緑の化け物が爆走するし! 「ブスさんこちら♪」 「クソマヨラ♪」 「テメーはぁぁぁぁ!!」 「いい加減ぶっつぶす!!」 土方さんと妹紅は一向にブチ切れてるし! 「だから燃えるなァァァァァァァァァ!!!」 はい、放水!! この量、わざわざ井戸からポンプで引いているな。なんでこんなん用意して……。 て、事は。 ドゴォォォォォオオオオオ!!!! はい、大爆発! もういや。 「あ。今の爆発で……。先生すいません」 「これは……。私とした事が。良也さん、申し訳ありません」 東風谷と白蓮さんが同時に、僕に謝罪してきた。 「西郷さんに向けていた強化が、先生に向いてしまいました」 「黒駒さんに向けていた支援が、良也さんに向かっています」 「それって……」 さっき爆発なんとかって。 「それでアレが」 「その……爆発してしまいます」 股間が……。 ちょ、ちょっと!アレってアレ? 玉? 「全く、バカばっかりだね」 「私の予想を超えてマッチしてくれました。最後の爆発は予想外でしたけど。 パラレルワールドである個別ルートにおけるイチャラブぶりに対しての嫉妬心がここで大爆発を起こしたようね。本編のやられっぷりのままだったら、こんなことなかったでしょうに」 お登世というスナックのママの声と胡散臭い声が聞こえた。 イチャラブって。幻想郷はもっと僕に優しくしてほしいんだけど。 「で、あんただろ。この騒動全部やらかしたの」 「さて、どうかしら」 「まあいいさ。どうせこっちもそっちも、無駄なエネルギーため込んでやり場のない奴らばっかだったんだろ。 いい気晴らしさ」 「いい気晴らしじゃねーよ。コノヤロー」 「いい迷惑よ。本当に」 「つーかうるさくて凶暴で、どっか優しくてなんでもありって、つくづくどっかと同じじゃねーか」 「そうね。どこかと同じ。紫、酒。ちょっとは酌しなさい」 そんな侍と巫女の声も聞こえてきた。 足音が聞こえてくる。助けてくれると思いきや。 「爆発した。なんだか妬ましい」 との声の主だった。 色々もういや。 寝ます……。 むしろ、ちょっと死んでます……。 「良也さん、良也さん。大丈夫ですか?」 目を覚ますと、そこには緑の怖い顔。 こ、こうなるだろうから目を覚ましたくなかったんだよ……。 大丈夫です、と言い周囲を見渡す。 さっきのカオスっぷりが、ない。 何より将軍が、良きに計らえ、みたいな感じで座っている。 そのオーラからか、余計なちょっかいもなく平和に飲んでいる。 そのまま和やかに、宴会が進んでいった。 「いやあのさ、金の玉が見えてんですけど」 「良也さん、何度目よ」 「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおお?!!?」 「酷い目にあったぞ、オイ。股間が爆発したっつーから、何も言わねーけどよ」 「ホント。まあ神社が壊れてないからいいけど」 「あのメチャクチャな状況を収めたのは、アンタの股間の大爆発だった。バカ共の頭を冷やすにはもってこいだったよ。礼を言っとく」 「ええ、気持ちいい爆発だったわ。またやってちょうだい」 「余からも礼を言う。よくやってくれた」 「凄い複雑なんだけど。でもまあ、これでお別れですか」 「そうね。本当は交わらない世界同士。これで会うのはおしまい」 「でも、初めて見る人たちなのにどこか懐かしくて、楽しかったです」 「あの俺、キョンシーのままなんですけど」 「今度は思いっきりホームラン打ってやるネ」 「スペルのパワーを上げとくぜ」 「そうかい。またな」 「そうね。またね」 「あの俺、キョンシーのままなんですけどォォォォオオオ!!」 こうして彼らは自分たちの世界へ帰って行った。 「いや、だから俺、キョンシーのままなんですけどォォォォォォォオオオオオオ!!!!」 「あー、疲れたな」 自宅に戻り、呟いた。 ここ最近、どれだけ死んだだろうか……。 スペルと爆発に巻き込まれまくって、レーザーで焼かれ、飛空挺に押しつぶされて、しまいには爆発した。 そんな異変が普通の侍たちの世界。 非常識と困難を強烈な意志で乗り越えていく、妖怪たち並みかそれ以上に好き勝手に生きていく人間たち。 変な人間も宇宙人もトラブルも抱えて、なんでも受け入れてしまう、どこかの郷みたいな街。 「酷い目にあったけど、なんだかもう懐かしいな」 ピシッ ……目の前の空間に、ヒビが独りでに入った。 これはスキマの仕業じゃない。 「銀ちゃん、それ何アルカ?」 聞いた事のある、エセ中国人みたいな口調が聞こえて来た。 「なんか道端に落ちてたぞ、これ。なんだこのハンマー。空間にヒビ入れたぞ、オイ」 やる気のない声も。 「何拾ってきたんですか。つーか、まだ懲りてないんですか」 ツッコミも。 バキッ 「あ、なんか開いた」 ……これ以上ない位死んだ眼が、空間に壁を壊したように開いた穴から見えた。 「もう勘弁してェェェエエエエエエ!」 あんたらをこっちの世界で受け止めきれないから! 幻想郷でギリなんだから!! 「こっち来ないでぇぇぇぇええええ!!」 二つの世界に僕の叫びが響いたのだった。 |
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