「これでどうだ! 『スパースコープ3D』」
なんか、砲撃された!
 いやもう、この世界じゃいつものことだけど。

「って、にとり?」
空間が少し不自然に歪んでいる。
あれはにとりの発明のやつじゃ。
「ありゃ? 隠れながらは当てにくいか」
「誤爆されたよ! もう慣れたけど!
で、何と闘っているんだよ」
「技術者として、絶対に負けられない闘いだよ!」

 ズウン、と地響き。それが何回も続く。
「おう、嬢ちゃん! 隠れてちゃ勝てねーぞ!」
無骨なロボットたちの軍団。その前には、ゴーグルをかけた爺さんがいた。
「ドカンと一発やんなら、こーだろーが!!」
ロボットたちが一斉に巨大な大砲を構える。
「発射ぁ!」

にとりは空中へ逃げ、
「ドカンと一発なら、こっちだって!!」
リュックより大量の爆弾を投下してきた。
 哀れな犠牲者が僕なのは言うまでも無い。




「こんなんばっかだ……」
呪われてるのか……。

吹き飛ばされ仰向けに倒れ込む僕。
「知らない空だ」
そんな名台詞を改変した事をほざいてると。

空が黒くなった。
いや、さっきのロボットが落ちてきた。
「うわ!」
え、一体何が?
何百キロもあるだろこれ!

「いい加減にしろっつーの!! 娘の顔見に来たら、なんでこーなるるんだぁぁぁああああああ!!!」
と、傘を手に口ひげとマントが特徴的な、50過ぎくらいのオッサンが叫んでいた。
降って来たのは、ドリル状になった石。
それを防ぐために、無造作にロボットを片手でつかみ上げ、防御。
ついでに石が降って来た方向へ、ぶん上げた。

「ちょ、あなた何者よ! 力強すぎだし、私のスペル全然もろともしないし!! 緋想の剣使う暇も無いじゃない!!」
「うるせーよ! いきなり襲いかかってきたテメーが悪いんだろーがぁぁぁ!!」
 ………要するに天子がいきなりこのオッサンにケンカをふっかけたけど、オッサンが予想以上に強すぎた、と。
自業自得だ。ほっとこ。




 どん、と背中に何か当たった。
後ろを見ると、兎の耳が見えた。
って、ことは。

「鈴仙?」
「………あなたに関わっている暇は無いの。能力がここまで効きにくいなんて……」
と、飛んできたのはクナイだった。
そして、……納豆?

「覚悟しなさい。全蔵の敵を取らせて貰うわ!」
あの、銀髪の男のめんどくさいストーカーだった。
「あんなのは、想定外よ。申し訳なく思ってるわ。あの薬があんな事になるなんて」
薬?
何か、あったのか。まさか。

「あなたの薬のせいで全蔵は全蔵は……」
続いて、この二人に向かってクナイが新たに飛んできた。
「何誤解されるよーなことほざいてんだ、猿飛ィィィ!!」
そう叫ぶ、忍者らしい忍者服の前髪で目が隠れている男がいた。
「だって、今薬のせいでイボ痔から出血しまくって露理絵を尻にあててるじゃない!」
露理絵って、あのロリエ?

「言うなっつーの!! あと、出血は服部家秘伝の薬で止めました!
あと、あんた、あんな馬鹿でかい座薬、尻に入るかっつーの!!」
……痔で、永遠亭の診察受ける人いなさそうだしな……。
月人に痔ってなさそうだし。




 座薬型弾幕とクナイと納豆が乱れ飛ぶ現場から足早に立ち去る僕。
すると声。
「良也! ここは……なんだかよくわからん事になってるぜ! 逃げた方がいい!!」
魔理沙だ。

「わかってるけど! 次から次へ乱闘が始まってるから、どこに逃げれって……」
「訳分からない奴が、つきまとってきているんだ。良也は早く……くそ、もう来た」
飛んできたのは……あんぱん?
「あんぱん型弾幕じゃなくて、本物?」

すると。
「どっかの兄ちゃんに向かってスパーキーング!!」
「ぶっ!」
何この人?!!
顔面に向かってあんぱん投げてきた!?
「な、訳がわからないだろ」
「予想をはるか斜め上だよ……。ちょっとあんた何を……」
「あんぱん」
「え、ちょ」
「あんぱん」
「あの」
「あんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱん」
話にならない!




「私が抑える! 早く逃げろ!」
と、魔理沙。
情けないけど、言葉に甘えます。

 向こうから、「もう一人来たんですけどぉぉぉぉ!」と叫ぶ声が聞こえた。
あの傘を持ったオッサンがまた別の傘を持った人に襲われてた。
幽香さんだよ。

「横取りするんじゃ無いわよ!」
「苦戦してるじゃない。私が相手よ」
「だからなんで喧嘩売って来るんだよ! おかしいだろォォォ!」
 そう言いつつ、二人から降り注ぐ弾幕にちゃんと対応してた。
的確に避け、傘で防御し、その辺の石や残骸を投げつけている。
 一体、何者だよ。




 バリン。
皿が割れる様な音がした。
こんな時に皿が割れるって、まさか。


「ただの鈍器を手にしただけで、ここまでとは!
だが、皿を割る儀式によりパワーアップした物部の秘術と道教の融合を受けてみよ!!」
布都さんだよ。
相手はハンマーを手に額にバンドを巻いた女の人だった。
「これはどんななまくらだって名刀に変えてきた物だ!
私の心も体も、名刀のように折れはしない!!」
と真っ向から向かって行った。




かと思うと。
「あややや。私が振り切れないとは。とんでもないお方ですね」
“まだ話は終わってねーぞぉぉぉ!”
「とんでもないお方じゃない! 桂だ!!」
記者とテロリストがこっちにやってきた。

不意に建物が崩れる音がした。
「ご飯と言ったら卵かけご飯アルネ!」
「それには同意だぁぁぁ!!」
萃香と神楽って子もだよ!
意見が同じになってるし、ただ暴れたいだけか?

 続いて爆破音。
「土方さん、早くくたばってくださいや」
「総悟ォォォ! いい加減にしろ!」
仲間割れのシンセングミ!?

「このクソゴリラァァァ!! まだ懲りねーのかぁぁぁぁ!!!!!」
「お妙さんんんんん! 俺大怪我なんですけど! ちょっとは看病して欲しいんですけど!!」
……もう復活してるよ、あのゴリラ……。

すると、威勢の良い声。
「腕が鳴るねぇ!」
「さらにもう一人ィィィ? どーなってんだよ!!」
なんで勇義さん?
「あー、なんでまた邪魔が入るのよ!」
「乱入なら、地獄に送り返しますわよ?」
「やってみるが良いさ! 鬼が獲物を奪うのは当然だ!!」
「つーか、なんで俺にばっか襲いかかってくるんだよぉぉぉぉぉ!
やってられるかァァァァアアア!!」
そう言いつつも、3人を相手に闘い続けた。
本当に、何者だよ………。




 色々本当に、どーなってるんだ……。
なんで、幻想郷からこんなにもトップランカーの面々が一斉に現れて、喧嘩うっているんだ……。
しかも、それに普通に対応してるし。

 妖夢とあの剣士は相変わらずダンコ「九兵衛さんんんんん? だからなんでそんなにバベルの塔に執着するんですか、あんたはァァァァ?!」ン言ってるし。

東風谷とオカマ「サイヤ人と巨神兵の闘いでしかないんですけど!! どっちもそれただの迷惑!!」でしかない。

聖さんとヤク「説法、説得って、まずアンタが手ぇ出してどうするんだぁぁぁああ!!」だよ。

お空と渋い「無茶苦茶だよあんたそれぇぇぇえええええ!!!」し。

藍さんと白「そのシッポに一体何個仕込んでるんですか! つーか、あんた友達いないだけだろ!」だ。

こいしと「なんとなくじゃねーよ! どっから出した、そのバラぁぁぁあああ!!? 触ると痛いんですけどぉぉぉぉ!!」よ。

にとり「つーか、懐かしいな、それ!!!!」。

鈴仙「バラ蒔くなぁぁぁ!! そんな形のモン、バラ蒔くなぁあああ!!」ろ。

魔「止めろぉぉぉおおお!! そんな食いモン粗末にする行為、PTAに怒られるわぁぁぁぁ!! これ以上、銀魂にトラブル被せるなぁぁああ!!!」な。

「皿割る儀式って何それぇぇぇええええええ!!!」だ。
えーと。

「攘夷志士に攻撃されながら、写真撮るって、余裕だなオイ!
同じ意見で何で喧嘩してるの?! つーか、暴れたいだけだろそれ!!」
この人、
「あんたらこんな時に何仲間割れしてんだぁぁぁあああ!! それでも警察かぁぁぁ!! この事態収めろぉぉぉぉ!!」
ツッコミが、
「姉上ぇぇぇえええ!! ゴリラぶっ叩いて、傷口に塩塗り込むって、それかちかち山! ただの拷問!! いや、それ当然な事ですけど!!」
早すぎ。
「星海坊主さんんんんん! 親子そろって、周囲の迷惑考えてないだろぉぉぉぉおおお!!」
って、僕のツッコミ遮る途中から出てきたこの人、放送禁止用語連発アイドルの親衛隊長だよな。




「つーか。あんた」
「え、僕?」
「なんだそのぬるいツッコミはァァァ!!
声を張れェェェ!
タイミング逃すなァァァァ!!
命をかけろォォォォォォォォ!!!!」
 こういう人じゃ無いと、生きてけないんだろうな……。
見た目、地味そうで、ポジション僕と似てそうなのに。




「まだ話は終わっとらん!
覚悟しなんし!!」
「全く、しぶといにも程があるわね」
「すいません。お嬢様。もう少々お待ち下さい」
吸血鬼とメイドと花魁がこの混乱に来た。

「月詠さん? てか、なんでメイドと闘っているんですか!!? つーか、なんのこの人たち!!
大乱闘だよ! 個性無駄に強いスマッシュブラザーズかよ!!」

そんなツッコミをよそに、レリミア。
「あら、良也。どうしたのこの大騒ぎ?」
「よく分からないんだけど……、幻想郷からみんなやってきて、この街の人たちに喧嘩売ってる。正直霊夢どうこうという状況じゃ無い」
「ふうん。ちょうどいいんじゃないかしら」
なんか、レリミアの声がこの大戦争の中、不自然なほどにはっきり聞こえて来た。

「いいかしら?
あちらとこちら、この街と幻想郷の大規模弾幕格闘ごっこ。
一対一なんてつまらないこと止めて、一気に殲滅しあいましょ?
余計な邪魔が入らないうちに!」
 なんか、全員手を止めてその声を聞いていた。
いいだろう、いいわね、上等アル、かかってきな、それもそうだ、始末します、斬る、あんぱん、覚悟しなんし、ムラムラします。
そんな声が聞こえてきた。

「それじゃこれが号砲代わり!! 『紅符 スカーレットマイスタ』」
 時計回りに拡散される弾幕。
それをかいくぐりつつ、ナイフにクナイ、ハートや座薬やら銃弾と核融合、爆弾と砲撃が飛び交い、刀に短刀と長刀、拳にハンマーや金剛杵それに傘から出せる音は出しまくる!

「収集つかねーよオイイイイイイイイ!!!
あと姉上がゴリラに拷問するのと沖田さんが土方さんにバズーカ撃つの変わってないし!!」
そして、だれが聞くでも無いツッコミが響いた。




「あれ?」
「ん?」
少年と同時に空を見上げる。急に暗くなった。
空から声がした。
「がーはっはっはっは!
何か操縦が効かんきに、その辺に不時着するき! 堪忍しとーせー!!」

……巨大な船が、墜落して来た。
「坂本さんんんんんん!! よりによってここに落ちるのかよぉぉぉぉ!!!」







もの凄い轟音がした。
街は大分崩壊している。

 でも、みんな瓦礫の上で普通に乱闘を続けていた。
新たに飛び跳ねる芳香やチルノに氷弾ぶつけられるマダオ、新たにやってきたのか岡っ引き風の人に、ホスト風の人が見えた。

土埃舞う中みんなに振り回され武器にされたり、弾幕防ぐ盾にされるもっさりパンツ一枚のちょんまげの人も。
ツッコミの少年は「将軍んんんんん!!!」と叫んでいたけど、どういう事だろう?

 僕のダメージは重い。
ああ、こりゃ死ぬな。
段々と意識を失っていった。



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