……………。 ……………、見失った………。 霊夢いない。 「ヤバイ……」 街の規模は幻想郷の人里どころの話じゃない。 東京をより一層混沌にさせた感じだ。 とにかくゴチャゴチャで、なんだか訳のわからない物が大量にあったり、生えたりしている。 江戸城のような立派な日本風の城に時代劇に出てきそうな城下町、近未来的なタワー、それに世界樹的な巨大樹木まで普通に生えている。 一体どこに……? 「ちょっとぉぉぉおおお! 何この娘ぉぉおおおお!!」 「あなたが親玉でしょ! 覚悟しなさい!!」 「親玉じゃねーよ! 銀魂だよ!! 持ってんのは股間の玉だけだよ!!」 いたよ。 天然パーマ気味の銀色の髪の男を追っていた。腰に木刀、右肩を出した白い着流しに、下に来た黒いシャツが特徴的だった。 弾幕を撃ちまくり、空から爆撃している。 「霊夢! 止めろよ!」 「コイツを仕留めればこの異変は終わるわ! 良也さんも協力して! すばしっこいのよ!」 「って、なんでこの人を親玉ってわかるんだ?」 てか、男の大人の人だぞ。いつもとパターンが全く違うし。 「勘よ!」 「根拠それだけ!?」 「異変じゃなくて、変なのはお前の頭だよ! コノヤロー! 空飛びながら、エネルギー弾撃つって、どこのサイヤ人だぁあぁあああ!!」 「霊夢、さすがに無理があるだろ! いつもはもっと後にそう言うのいるし!」 「つーか、何? あんたも!! 何の違和感もなく空飛んでいるんですけど! こんなところで男子の夢叶えられちゃたまんないんだよぉぉぉおお!」 「あ、いや。魔法使い(見習い)なんで……」 「え、何? そういう店行かなければ空飛べるつーの?」 その魔法使い違う! いや、今は二人を止めないと。 「二人共、まず落ち着いて! 落ち着いて平和的に解決しよう!」 「あ、玉あった」 と銀髪の男は懐からバラバラ巻き始めた。 と、急旋回して拾い始める霊夢。 ……パチンコ玉じゃん。 これ、持ち出し禁止じゃ。 「良いんだよ。銀さんだから! 銀色の神様がゆるしてくれんだよ!」 と、スクーターにまたがり一気に爆走した。 ……今、確実に「ピオリム」ってつぶやいたよ。あの人。 「おいおい。なんだっつーんだよ。 いきなり襲われる覚えはねえっつーの。近頃のガキはタチの悪いアマントみてーだっての、マジだな。オイ」 と銀髪の男。 「いや、説明するだけしますんで……」 と、僕。 男のその眼差しはまっすぐでかつ、これ以上無いくらい目が死んでた。 ……やる気のない時の霊夢どころの話じゃないぞ、これ。 ダメダメな感じしかしないぞ、この人。 そんな男をなんとか引き留め、追いついた僕。 霊夢は、そのうち来るだろう。神がかった勘で。 …アマントってなんだ? まあいい。 「ええと…。僕とあの巫女は幻想郷というこことは全く別な世界から来ていまして」 「なんだよ。マジでアマントかよ。別な星から来たばっかつー事か」 「アマント??」 「おいおい。宇宙からやってきたんだろ。 ゲンソーなんとかって星から。テメーみてーなのが20年くらい前に地球にやってきて、なんやかんや戦争やってたろ。それに負けちまって、今じゃ地球はこの有様だ。テメーら狙う攘夷志士の連中もいるんだから、気をつけろよ」 ……、つまりアマントって。 「宇宙人?」 「天に人で天人(アマント)だ。知らねーのかよ」 本当に全く違う世界に来たようだぞ……。 天子みたいな天人とは全く別ってことか。 「んで? 何よあいつ。銀さんを迷いなくロックオンしてきたんですけど。 舞空術使ってかつ連続エネルギー撃ってくるってどこのZ戦士だっつーんだよ」 それでなんで、ドラゴンボール知ってんの? ピオリム知っているならドラクエまでやってるぞ、この人。 「ちょっと、何よコレ! ただの鉄の玉じゃない!」 そう両手に持てるだけ山盛りにパチンコ玉を持った霊夢が飛んできた。 「いやそれは銀色の魂がこもった、交換所という神殿で宝物と引き替えに出来る、銀魂という物でね。 人々がいかに多く手にする事が出来るか、切磋琢磨してる一品なんですよ、これが」 メチャクチャな嘘ついてません? 「てか霊夢ならそれが単なる鉄の玉ってわかりますよ」 「こんな物をバラ巻かれたら、拾うじゃないの! 何の価値もないってわかっていても!」 「霊夢、お前はカラスか!」 パチンコ玉がお賽銭に見えたにしてもね! 「んで、なんなのあんたら」 「えーと、ですから……」 「……やっぱり、今やるべきね……」 ……今、やると打ち込んで、殺ると変換するような声が聞こえてきた。 「いや、おかしいからね。 パチンコ玉にそんな価値がないってのは誰でも知っているからね。 つーか、両手いっぱい大切そうに抱える時点でおかしいからね」 ちょっと待て、スペルカードを取り出して、しかも力を急激に込めだしている。 「れ、霊夢!! 何でそんなに怒って……」 この雰囲気、相当イラついてる!! 「このかぶき町じゃ、このくらいじゃ冗談にもならないんであってね」 「お前らしくないぞ! 一体どうしたっていうんだ?! って、それ僕も巻き込むつもり?」 「食らいなさい。『夢想封印』」 「うあああああああああああ!」 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!」 そんな悲鳴が二つ、こだました。 僕まで巻き込みやがって。今度夕飯作る時、こっそり魔理沙のキノコで出汁とってやるぞ。 最も、弾幕の大半はあの銀髪の男に命中していた。 僕でさえ、かなりダメージを負っていたのだから、あの人は重傷で病院送りになっているかもしれないな。 それにしても、さっきから霊夢、妙にイラついてる感じがする。 この変な世界に来ているから? それになんでいきなりあの人を襲った? それがわかるのはもう少し後になってからだった。 あと、あの人の名前も。 |
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