博麗霊夢は基本的にめんどくさがりやな性格である。 それ故に今日は午前からやってくると言っていた外来人――土樹良也に掃除を任せちゃおうかなぁと思っていたりもする。 とは言え、彼には里でお菓子売りの仕事をやっているから成功した試しはない。 それに良也自身もそこまでは甘くはないし。 そんな訳で今日も掃除をしっかりと終え、ゆっくりと縁側にて煎餅を食べながらお茶を飲んで一服している所であった。 暫くすると、境内の方から足音が聞こえてきた。 良也がやってきたのだろう。 魔理沙ならば直接こちらに空からやってくるし、他のメンバーも大抵は空から直接やってくる。 萃香は天界に行って飲んでくるとか言ってた気がするので違うだろう。 とここで霊夢の思考が参拝客、と出てこない辺り色々と駄目かもしれないが。 足音がこちらに近づいてくる。 大抵、良也は神社にやってきたらまず霊夢に挨拶をしてから動くのが通例になっていた。 もちろんお土産を渡すと言う目的もあるのだろうが。 勿論今回だってお土産を頼んでいる。 前に食べたお饅頭である。 幻想郷では見る事はないお菓子――少数だが人里にも外の世界のお菓子を出す店がある――よりも見慣れたお菓子の方が好きなのだ。 しかし味はモノによっては良也が外から持ってきてくれる奴の方が美味しい場合があるのだ。 お饅頭がその例である。 それを持ってきてくれる良也にちょっとだけ感謝して、お茶でも容易しようと良也専用の湯呑みを台所から持ってきた所でやってきたようなので挨拶しようと口を開いて。 「いらっしゃい、良也さ……ん……?」 「3日ぶりね霊夢。 頼まれてたお饅頭持って来たわよ」 何故か口ごもる事になってしまった。 霊夢はまず眼を閉じた。 一度情報を遮断して改めて目の前の現実を見る為である。 覚悟を決めて目を開けるとそこにいたのは女性であった。 くせっけのない腰辺りまで伸びた綺麗な黒髪。 自分の周りにいるメンバーよりは高めの身長。 外の服だと思われる白い服に少し長めのスカート。 顔を見る。 胸元を見る。 服装も上から下まで確認する。 ぶっちゃけ言うとそこにいたのは美人さんであった。 霊夢もびっくりする程の美人さんであった。 しかし困った。 霊夢の知り合いにこんな人物はいない。 先程だってここに来るのは良也だと思っていたのだから、この美人さんの登場はさすがの霊夢も予想外である。 「えっ……はっ?」 「ん? どうしたの霊夢。 ほら頼まれてたお饅頭よ」 「あ、ありがとう……」 言葉に困る霊夢を尻目に美人さん(仮名)は霊夢の手にお饅頭が入った包みを渡してくる。 手元の包みを見れば栗屋と書かれている。 それは何処を見ても霊夢が好きなお饅頭が入った包みである。 さてそんなお饅頭を渡してくるこの美人さん(仮名)は一体誰なのだろうか? もしかして良也が誰かに頼んだろうか? しかし外の世界と幻想郷を行き来出来る人物など幻想郷には限られている。 良也を除けば何処ぞのスキマ妖怪ぐらいしかいないだろう。 だけどこの目の前の美人さん(仮名)は間違ってもスキマなんかじゃない。 絶対に違うと断言出来る。 では本気で誰なんだこの美人さん(仮名)は。 「さっそくで悪いけど成美さんに頼まれてるモノもあるから人里にお菓子売ってくるね。 お昼はそのまま人里で食べてくるから」 「あっ、うん……」 「今日は泊まっていくから晩御飯は私が作るわね」 「お、お願いね……」 「じゃあ行って来ます」 それだけ言うと美人さん(仮名)は空を飛んで人里の方へ向かって行った。 暫くの間、霊夢は呆けた状態であったがなんとか冷静になって考えていく。 霊夢の事を知っていていつものお饅頭を渡してきて成美さんに頼まれたモノを届けに行ってお菓子を売る外来人。 それはどう考えても一人の男性にしか直結しない。 つまり……。 「……良也さん=美人さん(仮名)?」 その考えに至った時、霊夢は珍しく大声で驚愕の叫び声をあげてしまうのであった。 ■□■□■ 「ほら、取ってらっしゃい」 霊夢の目には子供達相手に飴玉をばら撒いてる美人さんな良也(仮称)が写っている。 それは前に見せてもらった良也が群がってくる子供達にやっているいつもの行動だ。 それになんら可笑しい事はない。 やっているのが良也とは思えない美人さん(仮名)でなければの話だが。 子供達が飴玉に群がっている間に美人さんな良也(仮称)がやってきた事に気づいたのだろう。 里の人々が集まってきている。 どうやら里の人々には霊夢が知っている良也ではなく、あの美人さんな良也(仮称)がやってきている事になんら違和感を感じていないようだ。 美人さんな良也(仮称)がいつものようにお菓子を広げて売り始める。 可笑しい。 可笑しすぎる。 回りは霊夢が感じている違和感を何一つ感じていない。 よくよく見れば、先ほど買い物に来ていた里の守護者である彼女も何1つ違和感を感じていないようだ。 霊夢が可笑しいのか、回りが可笑しいのか。一体どうなってるんだ、と霊夢が考え始めた時、視線がちょうど買い物帰りだと思われる八雲藍に向いた。 そこで霊夢の脳裏に1つのひらめきが走った。 今まで勘が外れた事はよくあるが、当たった事も多数ある。 それに何より自分がこの勘は正しいと思っている。 そうだ。 これは異変だ。 そしてこの異変を起こせる人物などよく考えたら一人しかいないではないか。 「くくく……あのスキマめ……。 よくもやってくれたわね……」 考えが収束に至ると同時になんとも言えない怒りがこみ上げてくる。 同時に怒りで目が血走り始める霊夢。 これを見ていた周りの住人が怯えて去って行ったりするのだが霊夢は気にしている余裕などない。 何せ異変。 そう異変なのだ。 ならば博麗の巫女としてこの異変を解決しなければならないではないか。 そう判断すると、一度息を吐いて心を落ち着かせる。 とりあえず……。 「ちょっと話を聞かせてもらいましょうかああぁぁぁ!」 「ぬぁぁぁぁぁぁ!?」 まったくもって落ち着いてない様子で、全力疾走から霊夢は盛大なドロップキックを藍の背中に撃ち放ったのであった。 ■□■□■ 「いたた……幾らなんでも突然すぎないか霊夢」 「うるさいわね! さぁ、きりきり吐きなさい! 異変を起こすなんて、紫は何考えてるのよ!」 「な、何をとは……。 霊夢……一体何の話だ?」 霊夢の凄まじい剣幕に慌てふためく藍。 何せ霊夢が言う『異変』に何も心当たりがないのだ。 それに幻想郷に異変が起こっているのなら、自分の主が何か動いている筈だ。 普段はぐーたらで怠慢でどうしようもない適当で怪しさ満点な彼女だが、幻想郷に敵対するモノが現れるなら容赦はない。 自ら動く事はなくても調査に行っていたりするのだが。 しかし少なくとも家を出てきた時点ではぐーたら寝転がってる様子しか見られない。 霊夢の目は真剣そのものだ。 というか何か下手な事を言えば自分が食われかねないと思うぐらいに目がやばい。 ちょっと逝っちゃってる。 それと同時に天に向かってぶつぶつと呟き始める。 なんで良也さんを女にした、とかなんで私だけそのまんまなのよ、とか。 何を言ってるんだろうか? とりあえず藍はここ数日の事を思い出すが、やはり平穏そのもの。 数日前にたまたま会った魔理沙から珍しいキノコ――藍も知らない物――を自慢されたぐらいだ。 やはりと異変らしい事は何も起きてない。 少なくとも自分の周りでは。 「すまないが、本当に何の事か分からないのだが……」 ならば本気で分からないと言うしかあるまい。 すると何かぶつぶつと天に向かって何かを呟いていた霊夢がこっちをグワッと効果音がつきそうな勢いで振り向く。 ここが人里でなければ藍はヒィッと悲鳴をあげていただろう。 それぐらいに霊夢の目は怖い。 本当に怖い。 まるでライオンのようだ。 幻想郷にライオンがいるかは知らないが。 「なるほどね……藍に教えてないとするとやはり紫が主犯ね……。 ふふふ、どうしてくれようかしら……!」 ヒヒヒ、御仕置きよ御仕置きとか言い出し始めている霊夢がかなりやばい。 目だけじゃなくて精神的にもやばそうだ。 後、なんか全身からオーラが漂ってる。 真っ黒でドロドロしててこれもやばそうだ。 さっきから霊夢が異変と言っているが実は異変の原因って霊夢なんじゃないかって思えてくる藍。 しかも霊夢の標的は自分の主である紫らしい。 これは不味い。 今の霊夢を紫と会わせたら色々とやばそうだ。 具体的に言えば自分の主の命……は大丈夫そうか。 何せあの紫だし。 「分からないなら紫の所に連れて行ってもらいましょうか……!」 「れ、霊夢。 ま、まずは落ち着け。 分かった!分かったから! とりあえずそのスペルカードを仕舞え! 里の中で放つな!」 式として紫の所に連れて行くの拒否しようと思ったのだが、霊夢の手にはスペルカードが握られている。 勿論、基本的にスペルカードには殺せる程の殺傷能力はない。 が、それでも強力なモノになるとかなりやばいモノも存在する。 霊夢が今握ってるのも1つだろう。 何せこれからも黒いオーラが出てる。 そんなモノをこんな里中で放てば里もただじゃ済むまい。 勿論、藍もたたじゃ済まない。 「うるさいわね! 異変を解決する為の必要経費って奴を!」 「全然違う!」 そんな霊夢の言葉に更に焦りを感じる。 普段の霊夢ならここまで過激な事は言わない。 あの霊夢がこんな状態になる程の異変なのだろうか。しかし何度も思うが、そんな状態になれば紫も動いていておかしくはないのだが。 とりあえず藍は誤解か霊夢が言うように紫が主犯なのかは分からないが、霊夢を連れて行く事に決めた。 会えば少しは事態は進むだろう。 「まったく……紫様の所に連れて行けばいいんだな」 「ええ。 そうよ! 早くしなさい!」 ハリーハリーハリーハリー!と言わんばかりの霊夢。 更によく見れば、先ほど袖の中に戻した筈のスペルカードを握り締めてる。 もしかしてあった瞬間、ぶっぱ放つんじゃないんだろうか……。 冷や汗をかきながら屋敷に向かって飛び始める。 藍が願うのは紫の命の無事などではなく、屋敷が全壊しませんようにと祈るのであった。 「異変の主犯はぶっ飛ばさないとねぇ……!」 無理かもしれないが。 ■□■□■ 「紫いぃぃぃぃぃ!!! どーなってんのよおぉぉぉ!!!」 「れ、霊夢!? どうしたのよ、当然!?」 紫もさすがに霊夢の突然の襲撃には驚きを隠せないようであった。 最近の幻想郷は平和である。 地霊殿での事件が終わった後は特に何も事件が起きず平和である。 とりあえずまだUFOは来てないようだ。 そのせいなのか平和すぎてつまらないなぁ、と思っちゃったりするがあくまで思うだけだる。 そんな最中での霊夢による襲撃である。 しかもスペカ装備。 どう考えてもルナティックだ。 更に言えばラストワードも用意してそうな勢いである。 因みに藍は案内した時点で既に逃亡済みだ。 紫としても今の霊夢を相手にするにはちょっとばかり準備も心構えも出来ていない。 これが霊夢以外ならスキマを使って全力で逃げるのだが、今の霊夢相手じゃ逃げても何時までも追ってきそうである。 その結論に達した紫が思いついた最善の選択肢は霊夢との対話である。 決して霊夢は会話が出来ないバケモノなどではない。 対話すれば今回の襲撃のワケも分かる筈だ。 「落ち着いて霊夢。 一体どうしたってのよ……」 「ええい! しばらっくれる気!? なんで異変なんて起こしたのよ!」 「い、異変って何の話よ。 た、確かに最近暇だなーって思ったけどそんな事起こしてないわよ!」 「じゃあ、良也さんがなんで女になってるのよ!」 「へ?」 「へ? ってなんであんたが驚いてるのよ。 あんな事出来るのは境界弄れるあんたぐらいでしょ!」 霊夢の剣幕に驚いていた紫ではあるが、霊夢の「良也を女にした」という事に疑問符を浮かべる。 その自然な驚きに霊夢は一瞬、自分も驚くが演技と判断して更に言葉の剣幕で問い詰めていく。 しかし慌てていた紫は現在凄く困っていた。 理由は簡単である。 「あ、あんの霊夢」 「何よ」 「……『良也』って多分『良子』の事を言ってるんでしょうけど、彼女は最初から女よ」 「……はあぁぁぁぁぁぁ!?」 紫の諭すような言葉に驚きの声をあげる。 更に霊夢の視線が更に厳しくなった。 具体的にはこいつ何言ってんだ?って感じである。 何せ霊夢の記憶に『良子』なる人物はいない。 なるほど、良也が女だった場合そんな名前だったのかもしれない。 だが最初に妖夢と幽々子が連れてきたあの日から霊夢の記憶に写るのはお気楽で結構変わった外来人の良也だけである。 少なくともあんな美人な女性などではない。 断じてない。 「何言ってるのよ! 良也さんは男でしょ!」 「横から済まないが……」 「何よ!?」 「私の記憶が正しければ女性なのだが……」 「あんたもなの……?」 横から口を出してきた藍の言葉にがっくり項垂れる霊夢。 まさか。 そう、まさかの事態だ。 紫と藍までもがこの『異変』で認識と記憶が可笑しくなっているというのか。 改めて2人をきっつい目で見つめる霊夢。 それにビクリと反応して、ちょっと珍しく怯えた表情である。 暫く睨んでいるとふんと鳴らして霊夢は去っていた。 なんというか嵐である。 大嵐である。 とりあえず人的被害もなかったし、屋敷も無事だる。 何せ霊夢はラストワードなんて握ってたのだ。 放たれたら屋敷の半壊ぐらいは覚悟していた藍である。 しかし本当になんだったんだろうか。 紫が異変を起こした主犯という容疑からは多分、外れたと思うのだが霊夢はどんな異変を追っているというのか? 「……なんだったんでしょうね?」 「さぁ……?」 藍と紫。 2人は本当にさっぱりとした表情である。 多分、二人の頭の上にはさっぱりさっぱり言いながら扇子を握った妖精が現れているだろう。 霊夢は一体何を追っているのだろうか? 良子が関係しているのは間違いないが何が原因なのだろうか? しかしまぁ、彼女が何か巻き込まれるのは何時もの事だと二人は判断するとこの問題を全て霊夢に丸投げした。 二人共異変の事なんぞさっぱり分からないのだ。 何か知っているだろう霊夢に丸投げすればいいだろう。 まぁ、ほっとけばその内解決にするに違いない。 そう二人は楽観的な判断を下すととりあえず今日の晩御飯の準備をする事にしたのであった。 「因みに今日の晩御飯は?」 「守矢神社の巫女から聞いた『カレー』という食べ物です」 「へぇ。 よく材料があったわね」 「『るー』と言う奴は香霖堂に置いてありましたし、他の材料は里で買えましたので」 「あっ、中辛ね。 中途半端だけど私はこれが好きなのよね」 とりあえず八雲一家はわりと平和そうである。 ■□■□■ 「はぁ……」 結局、霊夢は異変の原因を探し当てる事は出来なかった。 夕飯までの時間があまりなかったのも原因だが。 とりあえず接触出来たチルノ達から話を聞いたが、やはり彼女達の誰もが良也を『良子』と認識しているようだ。 人間、妖怪、妖精。 特に妖怪はあのスキマまでもが『良子』と判断しているのだ。 勿論、接触出来ていない吸血鬼とか魔法使いとか神様とかは別なのかもしれないが、あの八雲紫が『良子』と認識していると自分だけが可笑しいのではないかと思えてくる。 「そんな訳ないじゃない……」 もう一度ため息を吐くと、博麗神社に降り立つ。 台所の方からはかなりいい匂いがしてくる。 彼女がやってきた時に言っていた通り晩御飯の準備をしてくれているようだ。 無理に飛び回ったせいで疲れた身体を引きずって部屋に入ると、既に幾つかの料理がテーブルに並んでいる。 「あっ、霊夢お帰りー。 良子ー、霊夢が帰ってきたよー」 「萃香……」 居候もどきである萃香が霊夢の顔を見ると、台所にいる『彼女』に声をかける。 それを見て、ああと心の中で項垂れる霊夢。 どうやら萃香もまた良也を『良子』と判断しているようだ。 スキマ妖怪も駄目、狐も駄目、鬼も駄目、獣人も駄目、妖精も駄目、人間も駄目。 ここまで駄目駄目だらけだとそろそろ心が折れそうである。 「お帰りなさい霊夢」 「た、ただいま……」 料理が出来た皿を持って『良子』がやってくる。 どう見たって美人だ、美人すぎる。 霊夢の中で、どうしてもこの美人さんが良也と結びつかない。 そしてだ。 何より最初に見た時に気づかなかったのだが、胸元が凄い。 はっきり言えば胸がでかい。 その大きさは美鈴や小町、紫、幽々子クラスだろう。 「これが格差社会……!」 自分の胸元を見て、再び『良子』の胸元を見てそう呟く。 意味を分かって言ってるのかは不明ではあるが。 決してない訳じゃない! 美乳なのよ! と心の中で呟くと出来るだけ平静を保とうとする。 間違いなく変な目で見られると判断したからだ。 実際、変に思ったのか『良子』が首を傾げている。 霊夢がなんでもないわ、と言うとそっか、とだけ言って特に追求する事なく台所に戻って出来たての料理を持ってくる。 どれもこれもが美味しそうな料理だ、匂いが食欲を掻き立てる。 何回か食べた事がある外の料理まであるのを見ると今日の材料費は『良子』持ちらしい。 良也が外の料理を作る時はそうだったので間違いないだろう。 「全員揃ったし食べましょうか」 「お酒も用意したよー」 とりあえず良也が『良子』である事以外はわりと普段通りの夕餉だったと記しておく。 ■□■□■ 「……」 結局、夕食を食べてそれぞれ風呂に入った後は特に何かをする事なく床についた。 普段通りの時間に霊夢は目を覚ますと昨日の事を思い出す。 良也が女になって『良子』になっていた事。 誰もが良也を『良子』と認識していた事。 紫すらもそう認識していた事。後、『良子』の胸が凄かった事。 最後は関係ないか。 朝起きれば何もかもが元通りになっている。 何処の三流小説だ、と良也なら言うだろう。 しかし霊夢としてはそう思わざるおえない。 が、現実は厳しいだろう。 台所の方から匂いがする事から『良子』が朝食も準備してくれてるのだろう。 この辺りは良也もやっていた事だ。 良也よりしっかりしてそうな『良子』が準備しないとは思えない。 「はぁ……」 『良子』が嫌い、という訳ではない。 確かに戸惑うが良也と行動原理が基本的に一緒なので一緒にいても不快感を感じない。 が、どうしても霊夢の心の奥底で良也の方がいいと感じているのも事実だ。 「おはよう良子さ――」 「おはよう霊夢。 とりあえず良子って誰?」 「!?」 ちょっと下を向きつつ入って挨拶をした瞬間、帰ってきた返事の声色と内容に慌てて顔をあげる。 そこにいたのは美人な『良子』ではなく、霊夢にとって何時も通りの良也がいた。 それを確認した霊夢は。 「どうしたんだ霊m――」 「良也さーん!」 「ってうわぁ!?」 特に考える事なく抱きつく事にした。 ■□■□■ と、とりあえず事件はひとまず解決したように見えたのだが、事件はこれで終わる事はなかった。 それはまた次回に。 『博麗霊夢の驚愕』 ひとまず閉幕 次回 『東風谷早苗の戸惑い』 あとがき 始めまして。 違う場所ならチラっと見た事があるかもしれませんが、多分初見ばかりな白亜です。 今回、東方奇縁譚の3次創作を書かせてもらいました。 時間かかりましたが楽しかったです。 一応続き物です。 それではまた次回に。 |
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