土樹良也と巨乳剣士 第一話 巨乳は突然現れる その日も僕は高宮さんの頼みでどこかの魔術師と戦っていた。 聞いた話では、高宮さんとパイプを持つ有力議員(内閣なんとか大臣とか言ってたっけ)が外国のテロ組織から魔術攻撃されているということだった。それで高宮さんの紹介で僕に護衛の白羽の矢が立ち、他の有力能力者と護衛をしていたら―― 「死ね! 極東の三流手品師が!!」 奇抜な服装(中東っぽい)を身にまとった黒人魔術師が霊弾を撃ってくる。だが幻想郷で撃たれる弾幕より数は少ないし、遅いし、弱い。僕は苦もなくそれを避ける。 まあ、このように移動中の路上で白昼堂々襲われたわけだ。 ここで力を使うのは気が引けたが、その議員さんに「証拠隠滅なんて簡単にできる。とにかく、倒してくれ!」と言われた。……政治家って怖いね、と思ったよ。あと、この人には投票しない、とも。 とにかく僕は他の魔術師たちと議員を載せた車を囲むように護りながら、目の前の敵を攻撃する。 「風符『シルフィウィンド』」 僕はスペルカードを懐から取り出し多数のカマイタチを作り出す。このスペルを始めて作った時には少ししかカマイタチを作れなかったが、今では数も多く、また制御もさらに良くなった。僕の師匠、パチュリーにも「見習い以上弟子未満には成長したわね。氷精と戦って勝率6割を超えるレベルかしら」とも言われた。 カマイタチの刃を丸め、当たっても切れることがないようにしてから僕はそれを放つ。強さは当たり所が悪くて骨折するレベル。まあ、向こうはテロ組織だし、殺さない程度に本気で行こう。 見えない弾幕を黒人魔術師は魔法壁で防ごうとするがかなり脆い。魔法癖は4、5発で砕け、後に続く僕の弾幕は奴の体にクリティカルヒットした。……まあ、顔面と股間をわざと外したのは武士の情けだ。 ンギャッ、と変な声を上げてガックリと膝を付き倒れる黒人魔術師。とりあえず眼前の敵が倒れたので僕は辺りを見渡す。どうやらほとんど決着がついたようだ。流石は有力議員お抱えの護衛の能力者、かなり強い。 「土樹、そっちは片付いたのか?」 護衛のリーダーの村田さんが話しかける。ちなみに霊力は陰陽連の菅野と同じぐらいだ。 「はい、なんとか倒しました。殺してはいませんけど」 「いや、それでいい。こっちも殺されちゃあ揉み消すのに時間がかかるからな」 やっぱ怖ぇよ、この業界! 他の護衛の人たちも手錠やら鎖やらでテロリストを拘束しようとしていた。さて、僕も倒した黒人魔術師を拘束しないとな、と思った―― そのとき、いきなり僕が倒した筈の男が立ち上がった。体はボロボロで左腕を抱えながらもそいつは叫びながら走り出す。もちろん、こっちに向かって。 「こうなりゃ、魔術師のプライドも捨ててやらぁー!!! これで吹っ飛べぇーー!!!」 マントをかなぐり捨て捨てた男の体に巻かれていたのは大量のC4、プラスチック爆弾だ。 「ヤバイッ――!!」 村田さんが焦る。なぜなら相手は物理的な攻撃に打って出たのだ。ここにいる全員、一応結界を張ることはできるが、あれだけの量のC4だと議員に被害が出るのは必至。 僕は走ってくる男を止めるべきか悩んだ。蓬莱人、不老不死の僕なら爆発しても平気だが、流石に幻想郷の外で、しかも多くの人が見ている(一般人はいないが)白昼に木っ端微塵になって死に、生き返るなんてことは―― 考えあぐねている僕に後ろから村田さんの大声が掛けられる。だが動けない。 男は僕の前、5mにまで近づいていた。その手には爆弾のものであろうリモコンが。 男はニヤリと笑い、そして―― 10m以上もの距離をバウンドなしで吹っ飛んだ。 「……え?」 そして目の前には袴を着、黒く長い髪をポニーテールに結び、右手に日本刀を提げた女性の後ろ姿があった。 「安心しろ、峰打ちだ。死にはせん」 力強く、凛としたその声。だが、僕はそれ以上に驚いた。 まず、彼女の霊力だ。 はっきり言って、計り知れない。彼女の霊力は僕が会った神、神奈子と諏訪子に匹敵、いやそれ以上もあると思う。あの男をいともたやすく吹っ飛ばしたのもその力が所以か。 次にその刀の先にぶら下がっているものだ。僕の記憶違いでなければ、あれは男が持っていたリモコン。彼女はあの長い刀で男の手の中からリモコンを奪い取り、さらに峰打ちで吹っ飛ばしたのだ。この一瞬の間に。 最後に驚いたのは、僕がさっきまで気づかなかったことだ。僕の能力は知覚してから多少強くなったし、他人を認知できる範囲も少しは広くなった。でも、彼女の気配は完全に無かった。僕の能力が効かないのか、それとも能力範囲外にいたのだろうか? 範囲外に居たなら、その分の移動距離もある。まさしく神速だ。 「あ……ありのまま今起こった事を話すぜ! 『俺は向かって来た爆弾男と対峙してたはずだが、いつの間にやら現れた女剣士が奴を吹っ飛ばしていた』な……何を言ってるのかわからねーと思うが、僕も何をしたのかわからなかった……。頭がどうにかなりそうだった……。スキマの能力とか、咲夜さんの能力とか、そんなチャチなもんじゃ断じてねぇ! もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……」 「どこぞのポル○レフだ、お前は」 「ネタが通じた!!?」 いろいろと驚愕する僕に彼女は振り返り言った。そして僕は見てしまった。 袴からはちきれんばかりの、小町や美鈴にも劣らない巨大な胸が。 そう、彼女は「巨乳剣士」だ。 「どうも。いただきます」 彼女は僕が差し出した湯呑を持ち、中のお茶を啜る。――何故か僕の家で。 「それで、何でいきなり現れたのですか? えーっと……」 「柳場楓。それが私の名前だ」 楓と名乗った彼女は茶菓子として出したまんじゅうを頬張る。 「んじゃ、楓さん。あなたはなぜここにいるのでせう?」 と言うのも、あの後彼女は現れたときと同じように一瞬にしてその場から消えた。ちなみにその後やってきた黒服の人たち(その人たちを見て僕は選挙に行く気が失せた)はテロリストたちを車に詰め込み、どこかへと連れ去って行った。 その後、取り調べやら何やらでいろいろ聞かれ(突進されたときに動けなかったことは怒られた)、勿論突然横槍を入れてきた彼女についても聞かれ、家に帰ってきたのは日付が変わった後だった。 何故か彼女が僕の部屋の漫画を読んでいたのだ。 楓さんは口の中のまんじゅうを飲み込み、 「お前に興味があるからだ、土樹良也」 よぅし、もう驚かないぞ。名前は俺の部屋に上がっていた時点で知ってるだろう。ここは冷静に……。 「それで、興味というのは? 僕はいたって平凡な人間ですが」 「平凡な人間がノーレッジの魔法を使うか? あれは四大元素の『風』を使った魔法だろ? あと、敬語は止めろ。私は敬語で話されるのが嫌いなんだ」 「確かに魔法は学んでます、じゃなくて学んでる……ってあれ? パチュリーのこと知ってるの?」 「お前は魔法の師匠を呼び捨てにするのか?」 「あ、いや……」 というか、あっちの知り合いはたいていタメ口だからなぁ……。 「それより、パチュリーと知り合いなのか?」 「ちょっとした知り合いだ」 そういえばレミリアたちは外の世界のヨーロッパ辺りから移ってきたって言ってたなぁ。もしかしてその時に会ってたのかもしれない。楓に対する疑問は募るばかりだ。 「それに、お前の心が読めない。こんな奴は初めてだ。結界を張ってるわけではなさそうだが?」 どうやら心も読めるらしい。しかも観察力や洞察力じゃなくて。 「ああ、それは僕の『自分だけの世界に引き篭もる程度』の能力のおかげだ」 僕は当たり前のように言ったつもりだったが、しばらく沈黙が続く。 「……自分で言ってて悲しくないのか?」 「もう慣れた」 「で、私がお前を読むことができないのはその変な名前の能力のせいか?」 変な名前って言われたよ。シクシク……。 「まあ、そういうこと。直接的な力にはあまり効かないけど、心を読まれることはない」 実際さとりさんには心を読まれないし。 「ふぅん。強いのか弱いのか分からん能力だな」 「鍛えれば強くなるとか言われたけど、現状弱いままです」 呆れた様子で楓は言う。そして彼女は腕を組んだ。強調される体の一部――。 「助平なことを考えてるだろ」 「え!? い、いや……」 「顔に出てた」 そんなにも顔に出やすいのか、僕は……。 「それで、楓は何なんだ? ただの人間じゃないだろ?」 僕は慌てて話を変える。 「うん? ああ、そうだな。何と言えばいいのか……」 楓は蔑むような目を僕に向けてからしばらく考え込む。そして―― 「私は――『神殺しの人造人間』、だな」 驚かないと言ったな。あれは嘘だ。 僕は椅子から転げ落ちた。 ※あとがき※ どうも、フィリと申します。 数日前にネットで見つけた奇縁譚。面白くて面白くて、一気に読み切ってしまいました。 と同時に、この三次創作小説を書いてみたい!! と思い、書いちゃいました(笑) この小説には俺のオリキャラが出てきます。最後の台詞からして、チートキャラですwww そして巨乳ですwwwww 詳しい説明は次回に紹介したいと思います。 さて、こんなグダグダな小説を書いてしまい申し訳ありませんでした。設定崩壊キャラ崩壊もしてるかもしれません。その点も、申し訳ありませんでした。 そして素晴らしい東方二次創作小説を書いてくださる久櫛縁さんに感謝を。 そしてこれからも面白い小説を書いてくださることを期待しています! |
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