この物語は、作者であるダークバスターの二次創作『東方空物語』のIF話です。
 よって、オリジナル設定&時間のすっ飛ばしあり。
 さらに、主人公のスペカネタバレもあり。ただし、詳しい解説はありませんので、ご了承ください。その辺は、本編(東方空物語)で説明します。(使用するか、現時点では未定ですが)
 さらにさらに、ここの話限定の設定(の予定)もあるので、本編と混ぜない様、ご注意をお願いします。















































 透き通るような、青い空。雲は殆ど無く、まさに晴天と言える。だが、外の世界では、紫外線の問題により、余り好かれていない天気とも言えなくもない。
 なお、紫外線は、生きている最中に浴びた量によって、歳を取るに連れて皮膚病を引き起こす原因となる。
 本来、紫外線はオゾン層と呼ばれる、地球を覆っている膜らしき存在によって、カットされていた。だが、人間の利益重視の行動によって、そのオゾン層が崩壊を始める。お陰で、場所によっては被害が酷い。具体的に上げると、日の光の下で遊ぶ事が出来ない子ども。紫外線が皮膚に触れれば、吸血鬼の様にとまではいかないが、皮膚が爛れる。しかも、自己治癒能力が無い故、すぐに病院に行かなければならないほど。この病名は、放射線皮膚障害と呼ばれるが、一般的に知られていないのが現状。外に出る際は、専用装備か、全身にクリームを塗らないと駄目である。
 だが、ここは幻想郷――忘れられたモノが、最後に行き着く場所にして、世界。さらに、ここで忘れられたモノは、本当に消えていく世界。しかし、どんな事でも、どんなモノでも受け入れる、酷くも優しくもある世界。
 現在、幻想郷の文化は、明治当初辺りのまま。オゾン層破壊の心配は、皆無といって良い。なので、紫外線による皮膚ガンなど、まずありえないと断言できる。
 そんな世界の人里で、八雲空こと俺は、団子屋の前に置いてある椅子に座って、お茶を一口。

「なぁ、空の旦那ぁ〜」

 と、お茶を含む時に、横に座っていた俺の知り合い――明津 誠(あつく まこと)こと、通称まこさんが声を掛けてくる。

「――っ、はぁ〜……何だ?」

 お茶を飲んでいる最中だったので、湯飲みを口から放し、お茶を飲み込んでから答える。そして、まこさんは、手に持った団子を一口食べてから答える。

「いや……んぅ、んぅ……好きな人がいるかなぁ〜? てぇ……んぅ、んぅ……ごくぅん――はぁ〜」
「好きな人……ねぇ」

 そう呟き、横に置いてあった団子を手に取り、一口食べる。同時に、あの娘の顔が過ぎった。背中には、黒い羽。手には、カメラとメモ帳に万年筆。定期的ではないが、人里などに配られる新聞を作り続ける、年齢不明の女性。

「ふぅ――ん、ん……」

 ここは幻想郷。今日も今日で、おおむね平和である。

「ん、この団子上手いなぁ――んぅ、んぅ……」











































東方愛物語
〜とうほうそらものがたり〜










































「お前は――あんぅ……どうなぁんだ? ……んぅ、んぅ……」

 全部で三本あった内の一本目が食べ終わり、串を皿に置いく。そして、まこさんが持ってきた新聞――文々。新聞を取り、開いて読み始める。
 今日の一面は……≪レミリア、チルノに負ける≫だ。って――、

「ぶぅうううう!! げふぅ、げふぅ……レミリアが、チルノに負けた!?」

 余りの衝撃に、俺は口の中にあった団子を吹きて咳き込む。そのまま、思わず叫んでしまった。いくらパパラッチの新聞とはいえ、これは驚く。で、内容を読み進める。
 何々――私、烏天狗の射命丸文も、この件に関しては驚きの言葉。何でも、悪ふざけでレミリアが、チルノに「一撃入られたら、貴女の勝ちよ」と言って、戦闘開始。何でも、吸血鬼の暇つぶしらしいと、門番の妖精から証言を得られた。しかも、相当悪ふざけが過ぎたらしく、パーフェクトフリーズ(イージーモード)で落ちたらしい。ノーダメージではあったが、一発は一発。負けは負けである――と、一面に紅魔館に関する説明と、当時の証言が書かれてあった。証言の大半はメイド妖精だが、美鈴も答えていた。
 これにより、美鈴の末路は、簡単に想像できる。咲夜のナイフ地獄だろう。

「もういいっすかぁ?」

 そこで、まこさんに声を掛けられて、我に返る。うん、相当読みふけってしまった。

「あ、ああ、すまない」

 そう言って、新聞を畳んでから返す。まこさんは、それを受け取り、新聞を広げる。それを見て、まこさんも「マジかよ」と声を漏らす。
 そりゃあ、漏らしたくなるよ。だって、幻想郷の上位の一体と、下手すれば人間より弱い妖精の弾幕勝負。ただ、チルノは、妖精の中では一番強く、人間よりも強い妖精である。が、馬鹿。しかも、安置が堂々とあるのだ。それを喰らうという事は、レミリアにとってプライドを地面に叩きつけて、埋めるに等しい行為だろう。
 ただ、その前に、この件を暴露した奴は……文は、無事だろうか? 咲夜辺りに、仕留められてなければいいけど。

「その新聞……渡して頂けないかしら」

 噂をすれば、何とやら。目の前に、ナイフをちらつかせている素敵なメイド、十六夜咲夜様が立っておられる。しかも、疑問系ではなく、命令形で言う辺り、新聞回収に全力を出している最中だろう。当たり前か、主人の無様な姿を記載されているのだから。自主か、それとも主人の命令か、どちらも同じだが。

「――はい、どうぞ」

 いつの間にか、新聞を畳んで差し出している、まこさん。確かに、懸命な判断だろうな。

「ええ、ありがとう」

 素早く受け取り、一瞬の内に消える。地面に、トランプを残しながら。
 あ〜、少し勿体無いかもと思ったが、自分が持っていてもゴミと同じだと思い、再びお茶を一口。

「メイドさんのトランプGET!!」

 もの凄い勢いで滑り込みながら、男がトランプを回収。ちなみに、その男の体系は、がっしりとした良い体系をしている。お陰で、砂埃が舞い上がっている。ってか、周りの連中は、見てないフリ。

「メイドさんの、ハァハァ――ァァァァ――……」

 もの凄くヤバイ奴だったので、問答無用でスキマに落とした。多分、妖怪の山の神社辺りにでもいるんじゃないかと思う。だって、ランダム落としだから。あれ? なんか矛盾しているけど、まぁいっか。

「そう言えば、好きな奴だっけ?」

 俺は、とてつもなく強引に、話を反らした。というより、戻した。

「あ、ああ、俺は……慧音さん、かな。まぁ、無理だろうけど」
「確かに、相手が悪い以前に、なぁ」

 お互い、先の光景は無かった事にし、話を戻す。そして、同時にお茶を飲む。
 上白沢慧音。この人里の守護者にして半妖、月に一度訪れる満月の夜には、ワーハクタクとなる。
 半妖――文字通り、半分妖怪、半分人間。すなわち、混血を意味する。森近霖之助も、妖怪の混血ではあるものの、慧音に変化はしない。
 人間が六十年生きると考えても、妖怪は千年生きると思われる存在。千年生きる妖怪の、十分の一も生きられない。それが、半妖でもなおさらであり、一時の時間しか過ごせない。
 ただ、それを乗り越えて前へ進む心が、お互いにあれば、特に問題は無いはず。むしろ、主である八雲紫が、望んでいる光景の一つだと思うのだから。だから、俺は、自然に言えた。

「射命丸文、かぁ」

 あいつは、幻想郷のパパラッチにして、唯一妖怪の山から出て、新聞をばら撒く変わり者。掴んでくるネタは、ガセや早とちりしたモノばかり。時に、怒りを買って、締め上げられるのも度々目撃している。
 それでもめげず、毎日幻想郷の空を、駆け巡っている烏天狗。俺は、どこと無く惹かれているのだろうか? それとも、友達付き合いとして?
 そう考えると、いつの間にか団子も無く、お茶も空になっていた。











































外伝

嘘が真に
〜しゃめいまる あや〜










































 まこさんと、お茶をしてから次の日の朝。あ、俺の住んでいる場所は、マヨイガの家だ。
 俺は、起きると寝服のままで外に出て、裏の流しに向かう。その際、スキマを地面スレスレに展開し、それを踏みしめて移動する。寝起きは、意識が朦朧としている所があるので、その状態で能力を上手く使えるかの訓練をしている。
 ただ、紫みたいに、無意識に行うことが出来ないが。ただ、「無意識で出来るように頑張る」と言ったら、藍に泣き付かれた。どうやら、俺が紫二号になって欲しくないのだろう。相変わらず苦労しているからな、俺の上司は。そう思い出しつつ、裏手に設置されている流しで、顔を洗う。
 そして、玄関に戻ろうとした時、空から黒い物体が落ちてきた。

「うわぁ」

 俺は、慌てて距離を取った。その際、スキマにワザと落ちて、離れた距離から現れる。案の定、黒い物体が落ちた付近は、砂埃が上がっていた。
 よかった。寝服が砂だらけになったら、洗濯に出さないといけないからな。あと二、三日は着れる。

「おっはようごぁいます! 文々。新聞です――って、空さん!」

 新聞を差し出してきたと思いきや、大慌てで後ろにバックステップをする文。そして、どんどん顔が赤くなっていく。まるで薬缶の様だなと、直感的に思う。が、次の瞬間――

「新聞です!」
「っでぁ!?」

 額に衝撃が走り、視界に火花みたいなモノが見えた。そのまま、思わず地面に四つん這いになってしまうも目蓋の上から目を揉んで、何とか視界を回復させる。文に文句を言おうと思ったが、既に離脱済み。手元には、新聞しかない。

「ぃてて……はぁ……今日は、何なんだよ」

 ため息を吐き、新聞を掴んで立ち上がりながら、そう呟いた。

「あ〜あ、結局洗濯に出すのか……藍に、また小言決定だな」

 寝服の上着の胸元辺りを摘みながら、この後になっているお叱りの小言を聞く事に、うんざりとした。まぁ、結果的に、俺が未熟なだけの話だからな。
 そう思いながら、玄関から家に入っていった。すると、新聞を取りに着たのか、エプロンを着た藍と会う。

「あ、おはようございます、藍さん」
「ああ、おはよう……で、弁解を聞こうか」
「あ、いや、今回は――」

 と、俺は藍に、先ほど起こった出来事を報告する。

「――ってなぁ訳です」
「ふむ」

 と、一旦目を瞑る藍。だが、出てくる言葉は、いつも通りだったりする。

「それは未熟者の言葉だ」

 はぁ、と、心の中でため息を吐く。その後は、軽い小言ですんだ。今回は、不意打ちとはいえ、相手が相手だ。勝てる要素、逃げる要素、共にスキルが未だに低すぎる。それと、まだ、料理中なので、そうそう切り上げた結果といえる。

「ふぅ……着替えたら、洗濯籠に入れておくように」

 それだけ言い、台所に戻る藍。

「はい」

 その背に、俺は返事だけ返して、足の裏に付いた埃を払ってから上がる。新聞は、玄関前の通路に置いておく。
 そして、そのまま自分の部屋に行き、泥を部屋に落とさない様に脱いで、普段着に着替える。ちなみに、今着替えている服の袖口には、結界の刻印が縫い付けられている。紫曰く、「母さんが、夜なべをして」らしい。それを聞いた時は、驚いて感動したが、実は藍がやったとの事。なお、それが判ったのは、その話を聞いて数秒後だったりする。

「よし」

 俺は、着替え終わり、寝服を丸めて脇に抱え、襖を開ける。と、ちょうど橙が、目の前を歩いていた。

「おはよう、橙」
「あ、おはようございます、空兄」

 橙は、あの日以来、俺の事を空兄と呼ぶようになった。ただ、その時の藍の取った行動が――ああ、思い出しただけで振るえが止まらん! 本当に、紫に止めてもらってなければ、俺は死んでいたに違いない。
 だって、あの目は殺る目だったもん。

「今から、紫様を起こしに?」
「はい!」

 俺の問いに、元気良く答える橙。何事も起きなければいいなと思う。

「頑張って来い」

 そういって、橙の頭を軽くポンポンする。

「はい、行ってきます!」

 橙は、耳をピコピコと効果音が聞こえてきそうな動きをし、元気良く返事を返して早歩きで移動する。向かう先は、先も言った紫の部屋。
 俺は、橙の背中を見送りながら、洗濯置き場に向かった。ちなみに、洗濯機だけは乾燥機内蔵型の新型である。何でも、手違いで投棄される予定だったものを拝借したらしい。それを聞いた時は、藍は呆れていたが、実際使い勝手が良くてお気に入りの一品となっている。幻想郷で現代――外の製品は、ここではオーバーテクノロジーだが、電気がなければ只の鉄くずである。

「空、いるか?」
「いますよ」

 と、廊下から藍の声が聞こえたので、返事を返して出てくる。

「今、味噌汁が出来たから、味見をして貰いたい」
「別にいいですけど……何でまた?」

 藍の言葉に、俺は戸惑った。完璧主義といっていいほど、物事をこなす人――じゃなくて、式神と言えばいいのか? 妖怪の部類に入るのか、この場合。などと思ってしまった。

「まぁ……いいじゃないか、たまには」

 藍は、そう微笑む様に言い、背を向けて歩き出した。俺は、首を傾げつつ、藍の後を追って、台所に向かう。で、台所に入って、藍は鍋の蓋を開け、おたまで味噌汁を掬って小皿の上に入れて、横に着いた俺に渡す。俺は、それを受け取って飲む。

「うん、いいと思いますよ」

 薄味で、健康的な味と言える。最初の頃は、この薄味に慣れるのに大変だった。料理当番になった時、自分感覚の味覚でやったら、紫にスキマ送りにされた。曰く、「脳卒中にするつもりかしら」というお言葉を頂いた。藍も橙も、しょっぱぁっかったと言われた記憶がある。まさに、現代人と明治時代の人の、食文化の違いを思い知った瞬間だった。瞬間だったが、現代料理を食べている辺りはスルー。というか、味の濃さは調整済み。

「藍しゃまぁ〜、空兄ぃ〜」

 ふと、廊下の方から、涙声で橙が呼んでいる。紫の所へ行き、この声になっていると、大体察しがついてしまう。
 それを聞いて、俺と藍は顔を見合い、同時にため息を吐いた。

「藍しゃまぁ〜、空兄ぃ〜」

 橙が、台所に入ってきたらしい。

「どうしたんだ、ちぇ――……」

 と、藍が、振り返りながら橙の名前を言い掛けたところで、言葉と動きを同時に止めた。

「? どうしたんです、藍さぁ――」

 行き成りだったので、俺も声を掛けながら振り返り、藍と同じく動きを止めた。だって、見たモノが衝撃過ぎるんだよ。えっと……一言で言えば、デカイな。

「どっ、どうしたんだい橙、その……胸は?」

 どもりながらも、恐る恐る尋ねる藍。その光景は珍しいが、見たモノが見たモノだ。対象が溺愛している娘みたいな存在なので、そんな姿を曝すのは当然と言える。

「紫様を起こしに行ったら、スキマに落とされて……出てきたら、こうなっていたんです」

 だって、数分前まで小さい子と同じだった体型が、いきなり巨乳となって現れた瞬間を思い浮かべてみろ。牛乳飲んでぇたら、鼻から出ても可笑しくは無い。あと、子ども好きを、ロリコンと言うらしい。橙を子どもだとして、胸の大きさは体に対して巨乳だとすれば、巨乳ロリと表す事になる。
 まさに、その状況の相応しい一言がある。

「何やってぇんだかぁ」

 呆れ口調で放つ言葉と内容は、まさにこの状況に相応しい――冷静になると、相当テンパってるぅなぁ、俺も。内容が、ちと継ぎ接ぎだったから。
 不意に、横から不の何かを感じ取り、そちらを向くと……顔を下に向け、体を震わせている藍がいた。それを見た俺は、大体察しがついた。そう確信した瞬間、藍は素早く台所から出て行き、廊下を軽やかな足取りで駆け抜けていくのが判った。

「はぁ〜……橙、大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫です」

 先ほどまで唖然としていた橙に、俺は声を掛けたことにより、再起動を果たす。

「けど……」

 そう言って、橙は自分の胸を軽く掴んで持ち上げる。うん、大胆な行動だ。

「胸が邪魔で、足元が見えないし、肩が少し疲れる様な感じがして……」

 今の言葉は、胸の女性に対しての喧嘩の叩き売り。ここは、家の中。しかも、男である俺しかいないときで良かった。良かったが、別の意味で危ないかもしれない。
 先ほど出て行った藍の怒りの矛が、こちら向かってくる理由が成り立っているのだ。出来れば、それだけは避けたい。避けたいが、あの状態の藍は、人の話を聞かない。特に橙の事になると。パソコンで言うと、一種の熱暴走であろう。まぁ、出来れば、勘弁してほしい暴走であるが。

「っと、火を消さないと」

 味噌汁の入った鍋に、コンロの火を当てっぱなしだった事を思い出して、慌てて止める。木造建築だけに、火事は厳禁である。しかも、古い作りと成っており、風通しも良い。つまり、火の回りも速い事を意味する。なので、火の扱いは、細心の注意が必要なのである。
 藍は、多分俺と橙がいるから、鍋の火を消さずに向かったのだろう。

「ふぅ……橙、物を運ぶ事は出来るな?」
「あ、それは問題ないです」

 俺の問いに、橙は耳をピコピコと、尻尾をフリフリさせながら答えてきた。それを見て、俺は笑いながら、味噌汁をお椀に注いでいく。

「あ、味噌汁は俺が持っていくから。橙は、そこに置いてある魚を持っていってくれ」
「判りましたぁ〜」

 橙がそう返事をして、戸棚からお盆を取り出している所で、俺は再び味噌汁を、お椀に注ぎ始める。

「あ、摘み食いは駄目だぞ。今の藍の状態を考えてなぁ」
「あ……う、あ、はぁ〜い」

 摘み食いする気満々だったのかい。と、心の中で突っ込みを入れつつ、四つ目のお椀に味噌汁を注ぎ終わる。
 そして俺も、戸棚からお盆を取り出して、味噌汁を乗せて居間に持っていく。

「って、鍋ごと持って来れば良かった、かな?」

 マヨイガの家の台所から、居間の間は距離があり、一々行ったり来たりするのが面倒だったりする。なので、ご飯の炊飯器は、居間の隅に置いてある。だが、味噌汁なので、別に良いかと思って、そのまま居間へ行く。

「あ、橙。悪いが、お茶碗を一回濯いでから、布巾で拭いて持ってきてくれないか」
「了解ですぅ〜」

 相変わらず、笑顔が眩しいなと思い、俺は黒い大人だなと考えながら、居間に入っていく。
 すでに、四人分の魚が置かれており、いい匂いを醸し出している。うん、さすが藍である。今の俺では、まだ出来ない領域である。
 が、そこで肝心な物を忘れていた事を思い出す。

「あ! 箸を出し忘れたぁ〜」

 額に手を当てながら、「ぁちゃ〜」と言いう俺。古典的な格好ではあるが、人がもっとも取りやすい行動だからこそ、古典的という名が付いたのである。もっとも、能力を使えば、断然早いし楽だが、使わない理由がある。
 その理由は、覗きと勘違いされたらかなわないし、殺されるかもしれないから。あ? ババァって、中身はともかく、外見は美しいじゃん。口紅とかの化粧は好かないけど。と、話が反れた。つまり、俺以外全員女性。つまり、言葉の表現上では、俺が狼。あとの三人は羊。というのだが、現在の俺は橙と同レベルか、ギリギリ上。よって、自然と紫と藍には勝てない。っーか、襲うと考えた時点で、死は確定している。それ以前に、家族を襲う気などさらさらない。

「空兄、お茶碗と、あと箸も持ってきたよ」

 先ほど入ってきた襖から、橙が持ってきたお盆の上に、お茶碗四つに箸は四膳乗っていた。

「すまない。じゃあ、とっとと並べるか」
「うん♪」

 俺と橙は、四人分の配膳をする。ご飯は、お茶碗に入れないで、空のまま引っくり返しておいて置く。埃が入らないようにする為の処置であり、方法である。が、それはすぐに意味を成さなくなる。

「あ、ゆかぁ……りぃ様、とぉ……藍さぁ、ま?」

 もの凄い区切り方に、さしもの俺も、ドンだけ凄い事になっているのか、疑問は尽きない。だが、振り返れば早い話だが、振り返ってはならない気がする。それでも、振り返って挨拶を交わさなければ成らないのが日課。生活習慣の一部と化していたので、恐怖より習慣が勝ってしまった。

「おはようござぁいま――……」

 うん、橙の硬直が、良く判る光景が広がっていた。
 説明すると、紫は、髪の毛はボサボサで、一部焦げ目らしき部分が見える。服は、紫のドレスではなく中国風の服を着ているが、どこと無く違和感を覚えた。覚えたのだが、どこが違和感の根源かは不明。足は、珍しく素足だった。いつもなら、靴下を履いているのに。
 で、藍の方は、何もかもボロボロだった。帽子は、右耳が剥き出しとなって、染みの様な焦げ目が所々に見える。さらに服は、左袖の二の腕の部分が、何かに噛み付かれたように破けている。中国風の前掛けみたいな奴も、腹の辺りから下の部分が無い。スカート部分も、所々穴だらけである。九尾の象徴である尻尾も、ボロボロ。
 本当に、何が起きたのか問いただしたいが、現在の俺にそんな根性も力も無い。

「あ、ぁの〜……」
「何かしら?」

 もの凄い威圧感を、紫から感じるも、臆せず俺は進言する。腹も減ってきたし。

「ご飯の方は?」
「頂くわ」

 そう言って、いつも座っている場所に、そのままの姿で座る。藍も、無言のままで紫の横に座らず、正面に座る。この時、俺は家のちゃぶぅ台が憎く感じた。多分、橙も同じ気持ちだと思う。だって、橙のちゃぶぅ台を見る目が、まるで親の仇だった様に見えたので。
 仕方なく、俺は炊飯器を隅から引っ張り出し、ご飯を入れていく。橙が、お茶碗を引っくり返して、俺の方に置く。俺は、それを取ってご飯を入れ、橙に再び渡す。橙は、紫、藍、自分と置いていく。そして、最後に自分のご飯を入れて、準備は終わる。

「……では――」

 俺の言葉に、全員が手を合わせる。確認すると、素早く言葉を言う。

「いただきます」
『いただきます』

 橙は、明るく挨拶したが、紫と藍は、低い声で挨拶した。俺は、真面目に泣きたくなったが、ご飯を食べない事には動けない。ので、素早く食べる事にした。
 今の現代人(二〇〇九年時点)は、昔の人に比べて、物を噛む回数が減った。それが原因で、顎が弱くなり、顎関節症などを引き起こす原因となっているそうである。本来、ご飯の一口(人の目測で変わるが)の各回数は、三十回だと言われている。それによって、消化率を効率良くし、また空腹になる時間を延ばしてくれる効果があるらしい。それは、他のおかずや汁物に入った具も、例外ではない。
 ただ、本当に例外なのは、汁物の汁や飲み物の液体である。よって、俺の現在の食事方法は、幻想郷に来る前――現代人と同じ、余り噛まないでご飯を食べるという行動を起こしている。本当に体に良くは無いのだが、こんなギスギスした空気の中で、ご飯などゆっくり食べたくはない。

「空、人里へ行きなさい」

 それは、残り半分になった所で、紫から声が掛かる。俺は、ご飯を食べるのを、一旦止める。

「人里、ですか? 何か用事でも?」

 と、紫に聞き返したが、返事は返ってこなかった。ただ黙々とご飯を食べ続けているだけ。待っていても仕方が無いので、俺は再びご飯を食べ始めた。
 で、ご飯を食べ終わり、俺だけ先に「ごちそうさま」を言って、台所に食器を運ぶ。その際、橙に助けて視線を受けた様な気がしたが、見捨てた。これ以上、ここにはいたくない。ただ、お土産を買ってきてやる事を、心に刻んでおく。
 台所の上の棚から、桶を出して水を張り、その中に食器をつける。その際、魚の骨は、排水溝の溜め口に入れる。念の為に、火の確認をしてから、台所を後にする。そのまま俺は、自分の部屋に向かう。

「必要な物は……サイフと札、あとは、あれと――」

 そう持っていく物を呟きながら、自分の部屋の前に着き、襖を開けて中に入る。そこで、朝畳み忘れていた布団が敷きっぱなしだったので、先に畳む。終わると、目的の物が仕舞っている場所から、物を取り出していく。壁に掛けてあった愛用のポシェットに詰め込み、札はいつでも出せる様に、何ともポケットから出し入れして確認する。確認が終わると、しっかりポケットの奥に入れ込み、部屋を出る。
 途中で移動する道を変更し、居間に向かった。行きたくはないが、一応出て行く報告はしておかないと。そうして、居間の前に着くも、襖は開けない。

「では紫様。言われた通り、人里へ行きます。それでは、行ってきます」

 襖越しで、軽く会釈をして玄関に向かう。特に返事は返ってこなかったが、特に問題はないと考える。どうせ、玄関を出る際、大きな声で返事をするのだから。
 玄関に着くと、ふと今日の新聞を思い出し、しゃがんで新聞を取り、一面を広げる。
 今日の一面は……≪藤原妹紅! 寄せて上げて胸運動を、密かに行う!?≫である。

「どうでもいいな」

 射命丸文が、本当に焼き鳥になってない事を切に願いつつ、新聞を畳んで元の場所に置いた。





「よぉ、物好き」

 空を飛行中に、普通の魔法使い、霧雨魔理沙と出会うや否や、第一声のお言葉。何が何だから、訳が判らんのが現状である。
 自分がいる現在位置は、マヨイガの里と人里の中間地点に当たると思う。

「いきな――」
「これは、私からの祝いだ。釣りは取っておきなぁ!!」

 俺の言葉を遮って、自分の言葉を重ねる魔理沙。いい終わると同時に、懐からミニ八卦炉の穴を、俺に向けてきた。って、ちょっと待て!

「魔り――」
「≪祝砲「ファイナル・マスタースパーク」≫!!」
「――さ、テメェ――」

 魔理沙のファイナル・マスタースパークが、俺の全身を飲み込んだ。もう、止める暇も無く。

「――ぐっはぁ! …………何なんだよ、今日は」

 俺は、一瞬気絶したものの、草むらに落ちたと同時に目が覚めたらしい。そして、黒い煙を口から吐き出しながら、そう呟くのだった。
 ああ、空は青いなぁ〜と思いながら、ルーミアと思しき黒い球体が、空中を横切っている空を見上げた。





「空くん、烏天狗と付き合っている話は、本当か!?」

 で、人里の守護者にして半妖であるワーハクタク、上白沢慧音の第一声であった。
 ここまでの道中は、特に問題は無く、いたって平和だった。精々、チルノが蛙にちょっかいを出して返り討ちにあったり、魔理沙にFM(ファイナル・マスタースパークの略)を食らったり程度だ。だが、人里に来た早々、行き成り守護者からの発言。どうリアクションを起こせば良いのか、困惑してしまった。

「むぅ……どうやら違うようだな。っというか、何で服がボロボロなのだ?」

 どうやら、俺のリアクションを独自に理解し、腕を組んで顎に手を当てて考え始める。が、やっと俺の身なりに気づいたらしく、指摘をしてきた。遅すぎるわ。

「まず、服に関しては、魔理沙に祝砲としてFMを全身で貰った。で、何で俺と文が付き合ってると?」
「それは待たぁ何とも……付き合っている件に関しては、悪戯兎が言いふらしていたからだ」

 その言葉を聞いた瞬間、俺はポケットから札を出し、何を持っていたのか再確認する。基本的に、使い手が同じ札――スペルカードを持っているのを見たことはない。だが俺は、何気に同じ札を二、三枚持っている。

「これだけあれば、たかが兎如き遅れは取らんよのぉ〜……ふふふふふふふふふ」
「くっ、空殿?」
「何か?」

 あれ、何故かドン引きの慧音。まさか、先の言葉が口に出てしまったのか。まぁいい、殺れば終わる事なのだから。

「たっ、頼むから、里内では穏便に。前みたいに……ナイトメアだとかいうので、爆走されても困るから」

 前に一度、まこさんが人――俺のデマを流した事に、俺の怒りを買わせた事があった。その際、≪装符「鋼の巨人」≫を使用し、コードギアスに出てくるナイトメア――サザーランドとなり、人里を爆走した経験がある。お陰で、俺が里内で札を掴むと、里の実力者が慌てて出てくる事に。主に慧音が。
 全く関係無いが、コードギアスの人型自在戦闘装甲騎ナイトメア――≪悪夢≫の意味ではなく、≪騎士の馬≫という「馬」の部分を「機体」に掛けてなった名前である。作者も、検索して調べるまで、悪夢と勘違いしていた。

「大丈夫です。今度は格闘タイプか、長遠距離射撃タイプのどちらかで仕留めます」
「頼むか! 穏便に頼む!! ナイトメア――あの時は、文字通り悪夢だったから!!」

 慧音が、俺の両肩を掴んで、切羽詰った表情で叫ぶ。あの騒ぎの後、事後処理に駆け回っていたからな、この人。

「あれのナイトメアは、≪悪夢≫の意味ではなく、≪騎士の馬≫という「馬」の部分を「機体」に掛けてなった名前らしいですよ」
「そんなのはどうでも良いから!!」

 真実を告げたのに、何故か流されてしまった。可笑しいなぁ〜、アハハ。

「くっ、今日は君が、里を出るまで監視させてもらう」
「へぇ、デートのお誘いで?」

 などと、茶化した。その言葉に、慧音の顔が、朝の文のときだった様に赤くなっていく。周りの人たちも、こちらの様子を伺っている。どうやら、聞き耳を当てていたらしい。そりゃそうだよな、要注意人物と里の守護者が会話しているのだから、気にならない訳が無い。

「確か、あいつ空だろ?」
「ああ、烏天狗といい、遊び人か?」
「八雲の名を持っているんだぞ、それは無いだろ?」
「いいや、慧音さんが寝取るかも」
「寝取りか」

 などと、根も葉もない話が飛び交うが、何故か慧音の寝取りの方針で、話が纏まりつつあった。おいおい、後は知らんぞ。

「うお――ガッ!?」

 行き成り胸倉を捕まれ、顔を向けた瞬間、脳天に激痛が走る。それと同時に、目に火花が飛んだ様に見えたが、真偽を問うより痛みが勝り、地面を転げまわる。右へ左へと、痛みを拡散するように、本能で動き続ける。正直、動いていないとキツイ。
 次第に痛みが弱まり、顔を上げてみると……死屍累々だった。多分、寝取り発言をした連中に、頭突きを贈ったのであろう。倒れている連中の額から、白い湯気らしきものが見える。

「うぁ……あ、泥だらけ」

 立ち上がって服を見ると、砂がこびり付いていた。少し引きながらも、埃を払い落とす。背中に付いた埃は、上を脱いで軽く払ってから着直す。

「とにかく、詐欺兎を締め上げない――とぉ」

 里の中心に向かおうとして、体を向けた瞬間、横道から詐欺兎こと因幡てゐが飛び出てきた。それを見た瞬間、近くの民家の間に身を隠す。そのまま俺は、空と飛んで屋根の上に乗り、屋根にへばり付いて移動する。札を使って、光学迷彩が行える機体になればいいのだが、使うにしても相手から近すぎる。まぁ、それ以前にここは人里。ルール違反に当たる。ただ、そのルールを破り捨てた事がある人間だけどね、俺は。
 と、別の方向から、まこさんが現れた。俺は、身を乗り出さすに、素早く下がる。見つかっては、登った意味が無くなる。そして、ある程度下がった所で、スキマを展開。耳の近くと、ポケットから取り出した札にスキマを開ける。

「へぇ、へぇ、へぇ……旦那、言われた通り、くの字とあの字の事を広めやしたぜぇ」

 そうてゐが、まこさんに報告する。くの字とあの字は、何かの暗号だろう。

「ああ、わりぃな。これが、残りの駄菓子だ」

 そう、袋を渡す、まこさん。てゐは、それを受け取って、袋を開けて中身を確認。一目見て、袋を閉じる。

「毎度あり」

 そう言って、早々去っているてゐ。まこさんも、てゐとは反対の道を行く。
 駄菓子……あいつは、健康第一の妖怪兎。人参ならいざ知らず、菓子という食べ物には、早々手を出さない。

「いや、待て」

 俺は、スキマを塞いで札をポケットに仕舞い、その場で考え込む。
 駄菓子……菓子。ここの時代の流れは、まだ明治初め辺り。日本、昔、菓子とは黄金色とはつまり。
 そう思い立ち、屋根から降りて通りに姿を出して、てゐを探す。

「俺の安やすな考えが合っていれば、あの袋の中身は――金」

 因幡てゐ。通称、詐欺兎。持ち運びが可能で、手に持てる大きさの賽銭箱を持参している時がある。さらに、悪戯に関しては、それなりの腕を持つ。

「文を見つけるか」

 そう言って、文を探すことに空に上がった。





「文さんですか? まだ帰ってきていませんよ」

 そう答える、(白狼)天狗にして、射命丸文の部下の犬走椛。通称もみもみ。だが、それで呼ぶと斬り掛かってくるので、基本的に心の中で呟いている。

「そうか……犯人の検討がついたんだが」

 そう言いながら、木の良い音を奏でる。

「何の犯人ですか?」

 椛もまた、木の良い音を奏でる。

「俺と文が付き合っているって、デマを流した馬鹿の――良しぃ、王手」

 椛の問い返しに、俺は率直に答え、≪龍≫のコマを≪王≫の前に置く。
 現在、他愛も無い話をしながら、将棋を指している最中である。只今椛は、休憩の為に休んでいる所、俺が来たのだ。なお、妖怪の山でも、俺が文と付き合っている事が広がっていたので、一言断るとあっさり入れた。コネを手に入れたみたいで、余り好きではない待遇だけどな。

「ぁ〜……やっぱり付き合っていなかったんですね――王手で積みです」

 椛が、木の良い音を奏でる。俺の≪玉≫は、≪龍≫≪金≫≪角≫の三つに挟まれている。しかも、どこにも逃げ場は無い。

「げぇ……はぁ、負けだぁ負け」

 俺は負けを宣言。コマを箱に戻していく。

「もう一局」
「やらん」

 椛の提案を、俺は一蹴り。元々将棋とかは得意な人間で無いので、どうにも勝ったためしが無い。言い忘れたが、今やっているのは普通の将棋。妖怪たちがやっている大将棋は、やれるわけが無い。あれは、将棋の盤が大きくなり、コマの数も二十九種類の手持ち六十五個に増える。しかも、さらに特別なコマも追加されるので、ルールが覚えきれない。ちなみに、将棋にも種類がある。



 古将棋――江戸時代までに考案され、現在はほとんど指されることがなくなった将棋を総称して「古将棋」と呼ぶ。
 平安将棋(8×8マス、9×8マス、あるいは 9×9マス)。
 平安大将棋(13×13マス)。
 小将棋(9×9マス)。
 中将棋(12×12マス)。
 大将棋(15×15マス)。
 天竺大将棋(16×16マス)。
 大大将棋(17×17マス)。
 摩訶大大将棋(19×19マス)。
 泰将棋(25×25マス)。
 大局将棋(36×36=1296マス)――最大の将棋。
 和将棋(11×11マス)――江戸時代に発案。
 禽将棋(7×7マス)――江戸時代に発案。
 廣将棋(19路×19路)――碁盤と碁石を使う将棋――の、計十三種類。
 そして、コマの数は、二百九種類。参考将棋は、大局将棋から。


 現代の将棋は、将棋(本将棋)と同じ盤・駒を用い、ゲームによってルールが異なる。なお、ルールを上げると長くなるのは必然なので、種類と名前のみ記載。
将棋(本将棋)(9×9マス)。
 詰将棋 - 将棋のルールを用いたパズル。対戦ゲームではない。
 五分摩訶将棋(4×5マス)。
 5五将棋(5×5マス)。
 京都将棋(5×5マス)―― 一手ごとに駒を裏返す。
 鯨将棋(6×6マス)。
 ジャドケンス将棋(6×6マス)。
 槍将棋(7×9マス)。
 四人将棋(9×9マス)――島根県平田市(現・出雲市)の太田市長(当時)が発案。
 大砲将棋(9×9マス)。
 関が原合戦将棋(9×9マス)――関ケ原町歴史民俗資料館で販売するもの。
 川中島将棋(9×10マス)―― 明治時代中ごろに考案された将棋。
 京将棋(10×10マス)。
 新将棋(8×5マス)――リバーシのように交互に駒を置いて、置いた駒の利きにある駒をすべて敵味方逆転させ、玉将を2枚とも持った側が勝ちとなる。1枚どうしのときは味方の駒の枚数で勝敗を決める。第4回アスキーエンタテインメントソフトウェアコンテスト・パーソナルコンピュータ作品賞。
 国際三人将棋(六角形のマスで、一辺が7マス(計127マス))――谷ヶ崎治助により、1933年(一説には1931年)に発表されたゲーム。一辺7マスのHEX(六角形)盤を用い、3人で行う――計十五種類。
 コマは、ゲームによって数もコマ自体変わるので、一概にすることが出来ない。あと気になる方は、ここに調べてください。参照サイトは、あとがき辺りを参照。



 と、言う具合に、一口に将棋にも、色々な種類の将棋がある。おまけとして、軍人将棋とかも存在する。個人的には、軍人将棋が好きだ。

「やっぱりって、文も否定していたら」
「ええ、他の烏天狗に説明していたのですが、まったく聞く耳を持っていただけなかったらしくて」

 俺の言葉に、椛は同意して言葉を返す。文も苦労しているな、と思いつつ、盤の真ん中にコマを入れた箱を置く。

「そう言えば昨日、守矢神社にて騒ぎがありましたよ」

 その言葉に、俺は一瞬止まったが、知らない素振りをする。

「そうか」
「犯人は貴方でしょ? さっきの反応でバレバレです」

 俺の態度に呆れる椛。くっ、口封じに揉むか。どこを揉むって? 人の勝手だろ。あ、胸ではないぞ、死にたくないから。まぁ、冒険してもいいが、剣の錆びにはなりたくないのでやらない。

「射命丸文、只今戻りましたぁ――って、空さん!」

 もの凄いスピードで、上空から地上に降り立つ文。そして、何やら決めポーズをしながら帰還報告をした瞬間、俺に気がついたららしい。もの凄いバックステップで、後ろに下がったから。

「文、丁度良かった」

 俺は、その場から立ち上がって、体を文に向けて歩き出す。が、文が手を突き出してきたので、その場で止まる。
 文は、その場で深呼吸を行う。少しして、どうやら落ち着いたらしく、文から俺に歩み寄ってきた。

「あややや、朝の時は申し訳ありませんでした。私とした事が、相当気が動転していたらしくて」
「俺も事情を知ったから、気持ちは判る。で、この情報源の犯人は判るか?」
「あ、はい。大体の目星は着きましたけど……」

 文は、俺の問いに答えながら、ポケットから手帳を取り出して、ペンで抑えてあった部分を開く。なお、手帳は今の現代のサラリーマンが使っている奴で、ペンは万年筆である。大分前に、「八雲紫のスクープをGET!!」と叫んでいた時に、スキマ送りにされて、ずぶ濡れになってスキマから出てきた事があった。その際、何故か俺に、駄目になった手帳と筆の弁償を求められた。その際、香霖堂にて、手帳と万年筆を発見して渡したのである。気に入るかどうかは判らなかったが、文は相当気に入ったらしく、香霖堂で手帳と万年筆のカードリッジを良く買っていると聞く。

「何分、情報が錯誤しているもので、断定までは」
「その目星の中に、因幡てゐとまこさん――明津誠は、入っているか?」
「永遠亭の悪戯兎に、人間――ですか? 悪戯兎の方は、既にマークしていますが……人間の方は、ちょっと」

 手帳のページを捲りながら確認するも、挙げられた人物がいない事を告げながら、万年筆の先で額を掻く。
 だが、俺は言葉を言う。

「実は、人里で明津誠と因幡てゐが、少し会話して駄菓子を渡していたのを、目撃したんだ」

 その言葉に、文の目が光る。同時に、万年筆を額から離し、指でクルクルと回し始める。

「なるほどなるほど。つまり、その二人がグル、であると?」
「可能性だがなぁ……けど、マークされた奴が、誰かから物を受けてっているからな。しかも、駄菓子だし」
「確かに」

 俺との会話は、文は手帳にメモって行く。ふと、文の目線が、手帳から俺の顔に向かう。

「ところで空さん」
「ん?」

 文は、俺の声に反応して、再び顔を上げる。

「その目撃した時に、何か会話をしていませんでしたか?」
「会話……」

 そこで、俺は額に手を当てて目を瞑り、その時の事を思い出す。


「へぇ、へぇ、へぇ……旦那、言われた通り、くの字とあの字の事を広めやしたぜぇ」

 そうてゐが、まこさんに報告する。くの字とあの字は、何かの暗号だろう。

「ああ、わりぃな。これが、残りの駄菓子だ」

 そう、袋を渡す、まこさん。てゐは、それを受け取って、袋を開けて中身を確認。一目見て、袋を閉じる。

「毎度あり」

 そう言って、早々去っているてゐ。まこさんも、てゐとは反対の道を行く。


「確か、てゐが……くの字とあの字の事を広めたとか。それを指示したのが、まこさんだったな」
「くの字とあの字の事を広めた……人間、明津誠……」

 手帳に、自分で行ったキーワードを書き込み、万年筆の動きを止める。

「どうやら、二人に事情を聞かねばなりませんね」

 そう言いながら、手帳を閉じてポケットに仕舞う文。

「だったら、俺がまこさんを殺る」
「でしたら、私はてゐですね。キュッとですね」

 俺は、左手の親指を立て、自分の首に右から左に線を引いて、そのまま親指を下にする。文も、自分の体の前で、腕の輪を作って絞める動作を行った。お互いに、笑みを浮かべる。そして、お互いに笑いが込み上げてくる。自然に。

「ちょっ、ちょっと待ってください!」

 と、未だにいたの的な視線を、声を掛けてきた椛に向ける。

「何だ?」
「何よ?」

 椛は、ビクッと震えるも、臆するものかと言わんばかりに、言葉を述べる。

「どこから見ても、相手を殺りに行く話しになっていませんか!?」
「いやいや、別に俺たち」

 俺はそこまで言うと、文に顔を向ける。

「ちょっとお話に行くだけですよ、ね」

 文は、俺の顔を見ると、すぐに言葉を繋げた。どうやら、俺と文のシンクロ率は、それなりに高いらしい。

「ああ、そうだな。では、行くか」
「あ、ちょ――」
「ええ、行きますか」

 俺の言葉に、椛が反応するも、文の声にかき消された。そして、俺と文は、そのまま空へ上がる。いざ行かん、敵は人里と永遠亭にあり。

「と、その前に……昨日と今日の新聞は、どうでしたか?」

 上空に上がり、ある程度高度がある所で、文が振り返って尋ねてきた。

「ああ、あれか。昨日の奴は驚いたけど、咲夜さんが回収していったから、トップしか読めなかったよ。あとは、今日は時間が無かったら、同じくトップのみ。けど、今日の奴は、自重したほうが良い。報復があるし、慧音さんの関係もあるから」

 俺は、その場で簡単な感想を述べる。
 この感想を述べる事は、昨日今日始まった訳ではない。この関係は、すでに三年も続いている。記事にした方が良いかもしれないネタや、やめるべきネタの指摘。裏が取りきれているかどうかや、いつもの勘違いではないかとか。今の新聞――文々。新聞は、ある意味、俺と文で作ってきた様な物だと思っている。違くぅても、それはそれで別に良い。「俺がやった」という功績が欲しいわけじゃないから。

「ふぅむふぅむ……判りました。次からは、気をつけます」

 いつの間にか取り出して、開いてある手帳に、万年筆でメモを取る文。前にも、それに近いネタを、何回かやっているが……過剰からオブラートに下がっただけだ。有名人ならともかく、完全に一般人でしょ。多分。プライベートは、拙いと言い聞かせて、ここまで下がったのだ。本当に疲れたわ。何せ、新聞製作者に、俺の名前が載った時は、まず先に俺が締め上げられたからな。え、何故俺かって? 逃げ足の差って奴だ。

「それでは行きますか」

 どうやらメモが終わったらしく、振り返りながら、俺の声を掛ける文。

「了解」

 俺も、文の後に続く様に飛ぶ。速さが売りの天狗に、追いつく事は不可能だが、文が合わせてくれているから問題は無い。空に上っているお日様は、11時くらいに差し掛かっていた。

「あ、文」
「ん? 何ですか?」

 飛びながら、俺の方を振り向く文。

「これが終わったら、俺の奢りで昼食わない? そろそろ時間になるし」
「あ、いいですね。では、店は貴方にお任せします」

 笑顔で答える文。そんな笑顔を向けられると……少し奮発しないとなぁ。ってか、こういう笑顔に弱い男もそうだが、時折女が卑怯に見える。あれ、これ惚気に入るのか? まぁ、いっか。

「イエッサー。じゃ、また後でなぁ」
「ええ、また後で、ですね」

 と、互いに手を上げ合って、この辺で別れる。この辺という現在位置は、妖怪山と人里の間。正確には、やや人里よりの上空。
 ここまで来れば、あとは人里まで一直線である。

「≪装符――」

 そう呟きながら、ポケットから札を右手で取り出す。

「――「鋼の巨人」≫」

 スペルカード名を言い、札握りつぶして発動させる。
 握りつぶした瞬間、液体の様に噴出した鉄色のモノが、俺の体に巻きつき、さらに全体を覆いつくす。細胞の一つ一つまで染み込んできそうな感覚に襲われるが、不快な感じでもなく、心地よい感じもない。鉄の如く、ただ無視質な何かが、体に纏わり付く。
 構築が完了したらしく、視界が晴れていく。そして、出来た体は――Wガンダムゼロ・カスタム。OVAとして世に出され、劇場版では特別カットを入れて公開された作品。
 海外では、もっとも多くの国で公開された人気の高いガンダムで、宇宙世紀シリーズより、こちらを原作としてみる人が多いとか。その原因として上げられるのが、このWガンダムが、ガンダムシリーズの中で最初に公開されたのが、当たると思われる。
 ただ、ガンダムシリーズの中で、高火力兵器を装備した機体の一つとして上げても、問題はない。

「よし」

 ツインバスターライフルを握り締めながら、スキマを展開してラジカセを準備する。背中に付いている、天使の羽の様なウイングのブースターの火を、一気に吹かして加速する。
 それから少しして、人里が見えると一気に上空に上がり、雲の中に入る。今の時間は、まだ昼過ぎ。機体が金属で出来ているので、太陽の光に反射する。つまり、上空に位置を知らせてしまう可能性がある。見つかる可能性は無いと思うが、万が一の場合がある。その場合、ほぼ百パーセントで、慧音の妨害に合うのは必然。なので、事を起こすなら、一撃で終わらせなければならない。

「ターゲット確認、ツインバスターライフル――ロックオン。スキマ展開――ミュージック、スタート」

 ゼロシステムをフルに使い、まこさんを発見。そのまま、ツインバスターライフルを構えると同時に、まこさんの背中に小さなスキマを展開。さらに、ラジカセの再生ボタンを押して、バルディオスのOP曲の『あしたに生きろバルディオス』BGM版を流す。
 どうやら、まこさんが俺の襲撃が来ると感じ取り、大慌てで逃げるがもう遅い。

「誤差修正範囲内――発射」

 ツインバスターライフル――文字通り、二つの銃口から閃光が放たれ、まこさんの直撃する。なお、周囲に影響がない様に、スキマを展開して上空に逃がす。煙と衝撃波と熱が漏れてしまうが、直接的な被害がないので良しぃとしてもらう。

「ターゲット撃破……確認完了、ミッションコンプリ――」
「リートじゃない!!」
「――トばぁ!?」

 後頭部に衝撃が走る。衝撃があった部分を押さえながら、振り返ると――案の定、満月でもないのに角が生えた幻影が見える慧音の姿があった。ちなみに、手には何故か金属バットを装備。ついでに、胸倉も掴まれる。あ、今の俺は生身です。金属バットの一撃で、スペルブレイクです。

「覚悟は、出来ているからやぁったんだよなぁ、あん!?」

 真面目に怖すぎて、何も言えません。っと、慧音が頭を振りかぶって――視界が暗くなった。





 時間は夕暮れ、烏が鳴く時間帯。遊んでいた子どもたちも、家に帰る時間であり、妖怪の時間となり始める。夕方は、妖怪にとっては明け方同然。ただ、人里にいれば、絶対安心。人間と妖怪の間で結ばれた条約で、守られているのだから。

「お大事にぃ〜、お馬鹿さんや」
「ありがとさんぅ……あと馬鹿は余計だ」

 丁度、人里の病院から出てきた俺は、医者の一言に毒気を返す。あの後、目覚めたら病院の布団の上にいた。医者から、「後日、私の所へ来い」と、慧音の伝言を貰った。現在は、まこさんから事情聴取を行っている最中だと思う。だから、医者に伝言を残したのだろう。

「あやややや、空さぁ〜ん」

 上空から聞こえるや否や、目の前に黒い物体が降り立つ。正体は判る。

「文か」

 確信した言葉ながらも、再確認の意で声を掛ける。

「はい。ってか、どこにいたんですか?」

 返事を返しながら、立ち上がる文。何処と無く、スッキリした雰囲気が漂う。

「先ほどまで、あそこに」

 と、言いながら、人里の病院を親指で指し示す。

「何で病院に?」

 疑問の顔で病院を見る文。

「それは追々……で、やっぱぁ?」

 俺の言葉に、疑問の顔から打って変わり、真面目な顔になる。

「はい、ビンゴでした。主犯は、人間の方でしたけど……そちらは?」
「確認無しで、問答無用で叩き込んだ」

 俺の問答無用な言葉に、さすがの文は口元を引き攣らせる。それから、恐る恐る尋ねてくる。

「まさか……この人里で?」
「警告無しで、初っ端から」

 そう言いながら、俺はツインバスターライフルの構え方をして、撃つ真似をする。その際、反動まで再現した。

「八雲紫に怒られませんか?」
「多分、スキマ送りだろうなぁ」

 文の問いに、俺は遠い目をして答えた。

「ってか、それ以前に、慧音さんからお叱りは?」
「一瞬で気絶する頭突きを一発頂いて、あと明日」

 文の言葉に答えながら、俺は親指で空を指す。それを見た文は、羽を広げて空を舞う。続いて俺も、文の後に続く様に、空を舞う。あ、後から行けば、スカートの中身が見えるだと? 見えないよ。だって、文が能力を使って風を操り、スカートで上手く隠しているから。咲夜の場合は、すでに物理現象を超えている。一度だけ、ふと空を見上げた時に、スカートの中が見えそうだった時がある。だが、影で完全に見えなかった。近づいて見るという方法もあったが、俺は興味無いのでやらない。あと、仮に近づいたとしても、ナイフの餌食確定だし。死に行くようなものだ、アレは。実際、人里で飛び立つ瞬間に覗こうとした馬鹿がいた。あ、その馬鹿の一人は、昨日「メイドさんのトランプGET!!」とか言った男だ。未だに露骨な奴は、その男だけ。慧音も、すでに諦めているし、人里で知らない者は殆どいない。いた場合は、教育重視で育てられた子ともくらいか、まだ幼い子のどちらかだ。

「で、俺と付き合っている件……どうするか」
「そうですねぇ〜、慧音さんに消して貰う手もありましたが……」

 俺を、横目のジトォ目で見てきた。その目が、俺の体を突き刺す感じがして、思わず胸を押さえてしまう。

「うぐっ、すいません」

 顔を反らして、謝罪する。慧音の能力を使えば、この出来事自体無かったことに出来る。できるのだが、俺が怒らしたから、この件を消す事は無いだろう。消せば、俺の説教と制約強化が出来なくなるから。それでも、使う時は使うけどね。

「それで、如何しましょうか」
「そう言えば、お前新聞記者だろ? だったら、悪いけど新聞で弁解してくれない?」
「え〜、だったらこの際、本気で付き合うのもアリですね」

 そう言った瞬間、俺の左腕掴み、文自身の体に寄せる。その際、俺も文に寄る。まぁ、当然といえば、当然の状態に。あ、言い忘れていたけど、文が左で、俺が右にいたから。

「おっ、おい!?」

 文の胸が腕に当たった為、慌てる俺。だが、文は涼しい顔をしている。

「ぁやややや? 顔が赤いわよ?」

 くっ、この確信犯めぇ。と、心の中で毒を吐き、顔を背ける。
 夕暮れに吹く風は、何と無く寒かったが、左に文がいたので、そんなに寒くは無かった。特に嫌悪することも無く、むしろ心地よかった。
 文が、「え〜、だったらこの際、本気で付き合うのもアリですね」の言葉には、心が確かに揺らいだ。揺らいだのだが、胸を腕に押し付けられたので、心が揺らぐより気が動転していた。

「てゐは、何て?」
「……そうですね、ただ人間に頼まれた事をしただけだそうです。あ、貰ったものは、本当に駄菓子だったわよ」
「そうか」

 そう素っ気無く答える。そこで、お腹が鳴る。うん、そう言えば、昼に食べてなかったな。それで、文はクスクスと笑う。笑う事はではないと思うが、笑う理由が今一判らない俺。当然な生理的現象の、しかも本能の部分なので、仕方が無いモノである。基本的に、断食はオススメしない。理由は、定期的な栄養を脳に送る事などが上げられる。これ以上は、専門家で無いので、詳しくは調べないと判らない。

「たく……そう言えば、夕食――って、今は帰りたくないなぁ〜」

 朝のやり取りを思い出して、ゲンナリする俺。今帰るにしても、あの嫌悪した空間で飯を食べたくは無い。逆に不味くなる。

「何かあったの?」
「……実は――」

 俺は、朝の出来事を大雑把に伝えた。案の定、文は「ああ、スクープだったのにぃ〜!」と叫ぶ。けど、どっちにしろ、ネタには出来ないだろうな。紫に、スキマ送りにされるのが目に見える。幻想郷一の素早さを誇る烏天狗とは言え、その素早さが仇となる策を練るのが、幻想郷の賢者である八雲紫である。
 どんなに素早く、どんなに反射神経が良くても、詰め将棋の如く追い込まれれば、素早さなど意味を成さない。故に、素早さの無い天狗など、ただの力のあるだけの上級妖怪と同じ。

「ならぁ、私の家で食べません?」

 文が、笑顔で提案してきた。文の食事……料理できるのか? それ以前に、何を食べてんだかぁ。

「それはまた今度で――って、文」
「何?」
「口調違くぅない?」

 ここで、文の口調に関して、遅い突っ込みを入れる。

「ふふ、取材とプレイベートは違うのよ」

 そう言って、俺から手を離し、カメラを取り出す。再び俺の近くによって、並ぶ様に再び寄り添い、俺と文が写る様に、カメラを向ける。

「今までの新聞の愛読と協力への感謝を――ッ♪」

 そう言った瞬間、頬に何かが触れ、同時にカメラのシャッター音が、周囲に木霊する。それにより、素早く離れて、俺の前に出る。

「ではでは! 明日の新聞の一面に、書かせていただくわ!」

 と、言い残して、素早く離脱していった。そして俺は、ただその場で唖然と、浮遊していたのだった。
 夕日は、時間に従って沈み、夜の世界が顔を出す。一陣の風は、ただ吹くのみ。烏天狗から抜け落ちた黒い羽は、風に従い、顔を出したばかりの月の光の下で舞う。





「只今戻りました!」

 マヨイガの里にある、八雲家の玄関を叩いてから、挨拶を言いながら入る俺。だが、返事は返ってこなかった。

「あれ?」

 そう言いながら、俺は首を傾げる。言われた通りに、人里へ行ってきたが、それ以上の指示を受けていなかったので帰宅してきた。だが、誰もいないのは可笑しい。この時間は、四人全員で、食事をする時間である。例外としては、紫が何らかの思い付きか、用で出ているか、冬の冬眠のどちらかである。それ以外の場合は、一応連絡が貰っているのだが、今回はその連絡が無い。

「誰もいない? まさか――」

 俺は、玄関に入って靴を脱ぎ、中に入りながら想像する。


 あれから、関係がさらに悪化し……結果。

「紫様、今日という今日は、愛想が付きました。橙、出て行くぞ」

 と、藍はいつの間にか用意していたボストンバックを肩に背負って、橙の手を引いていく。

「ええ、どうぞご勝手に」

 涼しい顔で言う紫に、藍はさらに怒りを増し、一度も振り返る事無く、マヨイガの家を後にした。


 などという、やり取りが脳裏を駆け抜けた。

「それこそあり得ないか……多分」

 俺は、その場で頭を振りながら笑い、考えを消す。
 とにかく、居間を目指す。その歩いている間、全くと言って良いほど静かで、逆に薄気味悪さを感じた。

「俺を、脅かす悪戯でも考えたのか?」

 余りの静けさの重圧に耐えかね、声を出す俺。情けないが、人の本能には変えないのだろう。元々俺は、怖がりの人間だったので。現在最悪な事に、札が一枚もポケットに入っていなかった。多分、慧音が没収したのだろうが、当然の行いだ。
 そして、居間の襖を開けるが、案の定誰もいなかった。

「…………」

 その居間を見て、何と無く嫌な予感が駆け巡る。
 ふと、台所を目指す。入ると、予想した通り、大惨事になっていた。俗に言う、料理失敗の放置の仕方。ただ単に、水に浸けているだけの状態。

「まさか……本当、にぃ?」

 俺は、慌てて紫の部屋に向かう。そして、紫の部屋の襖を、勢い良く開けて入る。

「紫さぁ――…………」

 そこに誰もいなく、ただ部屋の真ん中に、愛用の布団が置かれていただけであった。あの状態から察するに、幽々子か霊夢の所に集りへ行ったか、外へ食べに行ったのだろう。
 結局、自分は何も食べていないので、久しぶりに自炊する事に。まぁ、ご飯が残っていたので、フライパンを洗って、チャーハンで済ませた。
 それから、深夜の十二時――零時くらいまで、紫も藍も帰ってこなかったので、そのまま寝た。





「っぼふぁ!?」

 腹を中心に、体中に痛みが駆け抜ける。その証拠に、目に火花らしきモノが見えた。原因を確認したいが、そんな余裕は無いし、朝から奇襲はキツイ。

「おはよう、空兄!!」

 悶絶する俺。原因は、橙が俺の腹の上に乗って来た様だ。しかも、衝撃から察するに、ジャンプして、だ。今日初めて、子どもが、父親の腹の上に乗る痛みを学んだ。出来れば、学びたくない痛みだけど。ある意味、勉強になった。

「……ぉ……おはぁ、ょうぉほ、橙……とりぁえずぅ、どぃてぇく、れぁ……」
「うん♪」

 そう年頃の娘の様な返事を返して、早々に腹から降りる橙。無邪気とは、もっとも罪無き罪な行動なのかもれない。そう結論付けて、俺は布団から起き上がる。が、受けたダメージは、早々抜けず、座り込んだまま蹲る。息も絶え絶えなので、まず呼吸を整える。

「はい」

 呼吸が整い、同時に痛みが引いてから立ち上がり、背伸びを終えた辺りで、橙が俺の服を手渡ししてくれた。どうやら、箪笥から出てきてくられたのだ。

「ありがとう。着替えるから、居間にでも行ってなぁ」
「は〜い」

 俺の言葉に、元気良く返事を返して、部屋を出て行く橙。それを確認してから、俺は着替え始める。
 で、手早く着替えて、居間へ向かう。

「おはようございまぁ〜すぅ」

 と、言いながら、俺は居間の襖を開けた。すると、紫、藍、橙の三人がいた。しかも、昨日みたいな嫌悪な空気は無くなっている。あと今更だが、橙の胸が元に戻っていた。

「昨日は、どこへ行っていたのですか? 帰ってみれば、誰もいないわ、台所はやりっぱなしだったし」

 そう言いつつ、居間に入って開けた襖を閉め、ちゃぶぅ台の開いている場所――手前に座る。

「ああ、ちょっとね」
「ええ、ちょっと」

 そう、紫と藍は、口を揃えていう。この調子だと、橙に聞いても、はぐらかされるのは目に見える。結局、昨日のやり取りは、何でああなったのか判らずじまいで、終わりを告げたのだった。
 まぁ、円満なのは良い事なので、ムシッかえすのもアレなので、今回の件はこれで終わりだと結論付ける。
 そして、用意された朝飯を、口に運ぶ。

「うん? 今日の汁物は、トン汁か」

 そう言いながら、汁を口に含み、ある程度味わってから喉に流し込んだ。





「んぅ〜…………はぁ〜」

 俺は、食事が終わってすぐ玄関から外に出て、その場で背伸び。新鮮な空気が、口から肺に広がり、古くなった空気――二酸化炭素となった気体が、口から吐き出されていく。
 空は青く、雲は少しあるが、晴天の部類に入ると思う。あ、天気にも気象庁ではランク訳されているが、詳しい説明は省く。学校の教科書に乗っていたから、大体の人は知っているはずだから。
 と、昨日の様に、空から黒い物体が落ちてきた。

「ほぃ」

 俺は、素早く距離を取った。だが、前回とは違い、黒い物体が文だと認識出来る様に、ゆったりとした着地を行った。これが漫画だったら、「ふんわり」という効果音が書き込まれているほど、ゆったりとした着地である。

「おはよう、空さん」
「おはよう、文。で、それが?」

 文が持っている新聞を、指で指しながら聞く。

「ええ、先ほど配り回って、ここが最後なのよ」

 そう言って、文は「はい」と言いながら、新聞を差し出してきた。それを受け取って、新聞を広げる。
 今日の一面は……≪公認宣言!!≫だ。

「って――、待てぇ待てぇ!?」

 俺は、新聞を食い入るように、内容を読み始める。そして、内容は以下の通りである。
 先日、この文々。新聞の発行者である射命丸文が、八雲紫の使いである八雲空と交際が公になった。つきましては、今回ここに、交際を認める事をお知らせします。
 と、文章が続いている。ぶっちゃけぇ、惚気告白内容になっている。

「…………」

 その記事を読んで、俺は恥ずかしくなりながらも固まった。むしろ、公認として宣言したのだ。写真は、最後に別れ際に、頬にキスして撮った奴を、一面にデカデカと。内容も、完全な惚気といっても過言ではない。新聞を持った手が震える。いや、昔新聞を使った伝言があったと聞く。詳しくは知らないが、外国の方ではメジャーだったとか。勘違いもあるので、何とも言えない。
 新聞を持つ俺の手は、何というか、次第に震えだす。怒りの感情なのか、それとも羞恥心から来る感情なのかは判らない。だが、今すぐこの場で、文に対して仕返しがしたくなった。

「ぁ〜やぁ〜?」
「あ、あやぁややや――ややぁ!?」

 俺は、文の足を、素早くスキマに落として固定。いくら幻想郷最速と言われ様が、拘束されれば意味を成さなくなる。むしろ、地に落ちたもぉ同然。俺が、襲い掛かったと同時に逃げ様と考えていたようだが、そうはいかない。伊達に、紫の下にいた訳じゃないのだから。大抵の事には対応できるが、季節外れや、幻想郷に無い物を言われた時は、理不尽なお叱りを受けるしかない。紫曰く、「能力が発展すれば、外の世界にスキマを空ける事が出来る」との事。今現在の俺では、当分無理だけどね。

「じゃあ、文……弁解の言葉を聞きたいのですが、如何でしょうか?」
「あ、あやぁ、ややや……ははぁ」

 口が引き攣っている文。どうやら、弁解の言葉は無いと見た。なので、心置きなくする事が出来る。丁度口も開いているし。

「うぐぅ――!?」

 文の前に立つと、口が閉じられる前に、俺の唇を文の唇に押し付ける。

「うっ、あぐぅ……」

 とにかく文の口の中に、俺の舌を入れる。さらに、俺の唾液を押し込み、文の口の中をかき回す。そして、舌を一旦引くと同時に、文の唾液を俺の口に入れる。好きな女の味だ、何の問題も無い。

「あぅ……うぁ、あ――」

 時折、唇をずらし、僅かに離して息を吸う文だが、俺が素早く塞ぐ。苦しいが、息をさせるつもりは無い。何せ行き成りやったのだ、嫌われた可能性があるし、二度と言葉を交わさないかもしれない。姿を見せないという可能性もあるが、ここは幻想郷。限定された空間でもあり、逃げ場の無い空間でもある。
 だからこそ、この一回に刻む。熱く、長く、忘れる事が無いキスを。

「ぅう、くぷっ……はぁあう――ぷっぱぁ」

 唾液と唾液が混ざり合い、口から出てお互いの顎を汚し、地面に滴る。文の方からも、雰囲気か気分か、舌を入れてきた。舌と舌をぶつけ合い、嘗め回す。上を。下を。右を。左を。お互いの交じり合った唾液で、口の中を犯し続ける。歯と歯がぶつかる事もあったが、それを気にしない勢いでやった。
 時間は……判らない。だが、短くないのは確かである。お互い、やり尽した感じが口の中に広がり、お互いの唇を離す。離すと、唾液が糸を引き、重力に従い雫となってタレ落ちる。その唾液の糸は、四、五本ほどあったような気がするが、文の目を合わせていたので、正確な数は不明。タレ落ちた雫の数を数えれば良いが、顎から流れ落ちた唾液があるので、意味は無い。
 俺は、文の足を、スキマから解放する。結果は判る――嫌われたな。そう俺は確信した。だが、文は、俺の首に両腕を回し、しっかりと固定する。そして、間をおくまもなく、再びキスをする。今度は、文の方からである。
 確信した考えと、今という結果の違いに、俺の思考は混乱する。だが、すぐに再起動し、キスに集中する。

「……ぇぺ、った――っ……」

 再び為り始めるキスの音。何人たりとも、この瞬間を邪魔して欲しくない時間。文も、そう思っているのだろうか? 思ってくれたら嬉しいと思うのは、傲慢だろうか。

「――ぅきゃ、っぺ……ぅぐ」

 再び舌と舌を交え、唾液を交換し、互いの口の中で混ぜ合う。唾液の量が顎から流れきれないほど、少し多くなり過ぎたのか、文は混ざった唾液を飲み込む。俺も、それに習い、飲み込んだ。

「うぅ――はぁ、ん……」

 お互い深呼吸。そう言えば、俺は声を漏らしていただろうか。ずっと文の声が聞こえているだけ。出した方がいいのか悩むが、文の漏れた声を聞きたいので、出さない事にする。ただ、それ以上の事は、ここでは出来ない。それ以前に、家の前だ。二度と入れなくなる。
 そして、再び互いの唇を離す。やはりと言うべきか、また唾液の糸が何本も引き、重力に従って雫となり、地面に落ちていく。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ――」
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ――」

 小刻みに呼吸する文と、大きくて深く呼吸する俺。お互いの顎は、お互い唾液で濡れている。俺は、丁度長袖の上着を着ていたので、左腕を文に差し出し、右腕の袖で自分の顎を拭う。さすがに、このままでは色々拙い。文も俺の左腕を取って、顎を拭き始める。所詮は服だ、洗濯すれば良いだけの話。

「…………いきなりとは、過激な人だったのね」

 お互い、顔を反らしたままだ。もっとも、俺も反らしているので、文が本当に顔を反らしているかは判らない。

「仕返しのつもりだったけどな……一応言っておくが、初めてだ」
「それは私も同じよ」

 顎はすでに拭き終わっているのだが、文は腕を放さないでいる。別に鬱陶しい訳でも、放して欲しい訳でもない。むしろ、安心感がある。

「嫌いになったか?」
「なら、あんなキスを仕替えなさいわよ。そこまで軽い女じゃ無いわ」
「悪かった」

 そこで、言葉が途切れる。誤解から始まった、俺と文の恋愛騒ぎ。否定の為に飛び周っていたのではなく、言い触らした犯人を捜していただけ。聞かれたら、否定を返すだけ。つまり、積極的に周っていない。
 沈黙。
 沈黙。
 沈黙。
 沈黙。
 沈黙――お互い、顔を合わせない。文は俺の腕を掴んだままで、お互い黙ったまま。けど、俺は口を開く。言わなければ成らない事を、まだ言っていなかったから。

「文……お前の事が好きだ。今更だが、結婚前提で付き合ってくれ」

 名前を言ってから顔を向け、愛の言葉を紡ぐ。
 再び沈黙。しかし、俺の言葉に、文に掴まれていた腕は、ずっと掴まれたままだ。

「あんな激しいキスをしておきながら、今更その言葉とは……呆れて通り越して……」

 はぁ〜、やはり怒っているか。当たり前か、相手は親しい仲とは言え、プライドが高い烏天狗。鬼や吸血鬼もプライドが高いが、また別の意味でプライドが高い。嫌われても、文句は言えない。それ以前に、殺されても、だ。

「……嬉しい限りね」

 そうか、嬉しいのか。うん、嬉しいのかって!?

「え、嬉しいのか!?」

 思わず声を出して言ってしまう。だって、強姦とまではいかないけど、やり方がそれに近い、もしくはまぁんまなのだから。それから導き出せる答えは、少なくない。むしろ、10人聞いたら10人「嫌い」だと答えるはず。

「嬉しくない方がいいの?」
「いやいやいやいや、考えと180度違った答えが飛んできたから、驚いただけだ」

 俺の言葉に、暗くなる文だが、慌てて否定する。

「なら、断る必要は何処にも無くて?」

 俺の唇に、人差し指を立てて、チョンと触れる文。そのお陰で、俺の動揺は、あっさりと収まる。俺は軽く深呼吸し、言葉を伝える。

「愛している、文」

 素っ気無さ過ぎる言葉。だが、俺は美形でもナルシストでもない。月並みの言葉を並べるより、一言で表した方が良いと考えたから。

「この烏天狗をモノにした以上、捨てるなどという愚考には、走らせるつもりはないわよ?」
「ふん……走る予定は無いさ」

 今のところは。などと、言葉の最後に心の中で付け加えた。俗に言う死亡フラグだが。

「むむぅ、何か変な事を考えませんでした?」
「いや、何も」

 動揺を全力で押さえつけながら、文に言葉を返す。
 そして、三度目のキスをしようと、文の頬を手により、唇を近づけた。文も、それに答える様に、自ら近づく。
 二人の唇が、再びぶつかり合う。










































「――もう良いだろ」

 その言葉に、唇がぶつかり合おうとしていた、俺と文が止まる。うん、漫画だったら、ガチン! とかいう効果音付で。

「ああ、もうじゅうぶんだよねぇ」

 さらに、別の声を聞こえる。

「ええ、それには同意ね」

 さらにさらに、別の声。

「お嬢様、準備はいつでもOKです」

 さらにさらにさらに、別の声。それも、殺気のオマケ付き。
 俺と文は、錆びたブリキの如く、ギギギッという効果音を上げているような首の動きで、顔を声のする方へ向ける。あ、声の方向は、全部同じだったりする。
 振り向きたくないが、振り向くしかない。例え、本能の警戒警報が鳴り響いていたとしても。
 振り向いた先には――霊力全開放中の方々が、スペルカードを発動して立っていました。
 一人目、藤原妹紅。背中から出た炎の羽は、まさに鳳凰。即ち、不死の象徴を出している。
 二人目、上白沢慧音。満月でも無いのに、角が生えているのは、何かの見間違いなのか。それとも、目の錯覚なのか。三種の神器である、剣、鏡、マガダマを装備して立っている。
 三人目は、レミリア・スカーレット。吸血鬼の王であると言わんばかりの迫力と圧力、手には血の様に真っ赤なグングリルが持たれていた。
 その後ろに、四人目でレミリアの従者である、十六夜咲夜。既に、宙にナイフを展開している。
 うん、何だろうかと言いたいのだが、心当たりがピンポイント過ぎて、弁解の言葉も出ない。いつの間にか、俺は文と抱き合っていた。これは、良くある恐怖に身を丸める行為と同じだろう。冷静な状況解説している暇じゃないが、相当テンパっているな、俺。

『言いたい事は色々ある(ありますが・あるけど)が……覚悟は出来ている(ますね・わね)な?』
『あはぁはぁはぁはぁ……』

 四人の問いに、俺と文は、乾いた笑い声を上げるだけだった。










































 一人の烏天狗の悲鳴と、その烏天狗を愛した人間の悲鳴が、幻想教に木霊した。
 さらに、守矢神社の蛇の神による、追加攻撃があったとか、なかったとか。その辺の真相は、山の妖怪たちですら不明だった。
 詳しく突っ込むと、思いっきり話を反らして、どこかへ行ってしまう始末。どうやら、山の妖怪の上層部が、何らかの情報規制があったのか。結局判らずじまいである。











































≪提供≫
久遠天鈴
ニコニコ動画
マヨイガ
妖怪の山
人里
紅魔館
守矢神社
モッコモコ焼き鳥店
サークル・闇砲










































風の往くまま、気の行くまま。
賢者の使いと、天狗組織の一員と。
立場が違えど、想いは繋がる。
特別な事をしていた訳じゃない。
ただ、お互い一緒にいただけ。










































END




















あとがき
 あれ? 何気に藍フラグが発生? だったら、三角関係でも書こうかな。ドロドロの奴を。つーか、この話の全体の七割ほど関係ない話。(汗
 そして、最後はハチャメチャEND。ラブラブ&ドカーン! って奴ですよ。
 でも駄目なんだよね、ここじゃ。そして、何だか神が降りた。これは、内野HPのリリなの外伝以来である。あとは、八雲家の食卓は、最初は説明文章だけで。次に、途中で切ろうと思いましたが、最後まで書いてしまいました。本当に、只今神光臨中。
 で、以下がプロット。今回は、きちんとこのしてあります。


ある日、人里にて、好きな奴はいるかと知り合いの人間に聞かれる。
特にいないのだが、何と無く文の名前を出す。
そして、次の日。何故か、俺と文が恋人同士だと広まっていた。
あくまで好きな奴と答えただけなのにと、困惑する主人公。
文も、烏天狗内でも広まっており、困り果てる。
そして、犯人探し――するも、あっさりと判明。
で、犯人はてゐと判明。二人で(主に文が)絞める事で終わる。
結局、弁解を新聞で行うとの事。
ただ、帰り際に、文が主人公の頬にキスをし、写真まで撮って退散。
次の日、弁解ではなく公認との一面。
主人公も、仕返しにディープキスをしてEND。


 なのに、何か増えた。(汗
 まさに、神が降りた時に起きる、トランスモード!<先ほど命名
 あ、あと祝砲はワザとです。変えたって、問題ないかと。他の同人でも、似た様な事があったし。でも、どんどん話が膨らんで……こんな感じになりました。(汗
 で、ダラダラかと思いますが、完全に主人公視点で描く物語なので、その辺はご了承を。
 あ、掲示板で「めぇんどくさい」とか指摘されたけど、あれはワザと。実際に喋る際、発音に必要な言葉を入れているだけ。ワードだと、それが抜けていると赤い波線がでてくるんだよね。
 最後に、文は後半までチョイ扱いだった事に気がついた。(汗
 でも、細かい描写の実験を含めた作品と思えば、問題ないか。さらに、キスは軽い頬から、行き成りディープキスに。濃厚を目標に書きました。悶えてくれれば幸いです。ってか、もう1ページ書きたかったけど、経験ないから無理です。それに、キス中の動きって、限定されているし、バリエーション無いから。
 あ、キスの経験は……余りの無知な時代があり、山にあるプールに通っている時です。ムカつく同年の奴がいたので、ケンカは無理なので、キスしてやりました。ええ、その時は、ファーストキスの意味すら知らなかった男です。相当唸っていたので、野次を飛ばしていた連中にも……若気の至り過ぎですね。(汗

 では、皆さん――あやぁやややややややややややぁ!! ちょ、文さん、って何で妹子さんまで、ちょまゆぅ――プツン――。



あとがき2
 はい、 修正ヴァージョン2.0。
 読み直して、所々修正した作品です。見た所、脱字は今回ありませんでしたが、誤字はありました。(汗
 特に三箇所指摘して頂いた部分は、ありがたかったです。正直言えば、作者の完全な思い込みでした。申し訳ないです。
 で、つくづく思うと、こんなに長い作品を書いたのは、久しぶりです。いや、マジで。
 いつもなら、15枚――最近は、18枚前後を目安に書いているので。と、言っても、半分は関係ない話だったり。(汗
 では、東方愛物語・第三回目も、お楽しみに。一応、自分でチョイスした5個のネタは、やりたいと思っているので。



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