読む前に。
 まず、文字が全て中央に寄っていた場合は、EI8などの最新のバージョンの問題です。
 解決するには、一番上ツールバー(人によって違うかもしれない)に □□□ という感じに四角のボタンが3つあります。
 その左のボタンが、互換表示という奴で、押せば設定した通りに表示されます。詳しくは、カーソルをボタンの上に置いて、少し待てば表示される筈です。





 物語を読むに当たって。
 オリジナル主人公&視点で進む。
 オリジナル設定あり&多少違う部分が出る可能性あり。
 東方に関する知識が微妙に曖昧(二次創作との)なので、そこの点をご了承ください。










































 今いる場所は、冥界の白玉楼の一室。正確には、前の日に気絶して、目が覚めた時にいた部屋である。
 その部屋で俺は――

「――――――――!?」

――激痛の余り、声にならない声を上げる。その激痛の発生地点は、足の裏。

「相当疲れていますね。そのせいで、内臓器官の能力が低下していますよ」

 足の裏のツボを押しながら答える、赤いロングヘアーで緑がベースの中国の服装――紅美鈴。

「はいはい、我慢してくださいね。自業自得なのですから」

 そう答えるのは、どこかの学生服にウサ耳と赤い目が特徴な女の子――鈴仙・優曇華院・イナバ。今は、俺の上半身を押さえている。
 筋肉痛のせいで、体の中の器官が低下しているらしく、ツボを押されるたびに激痛が走るのである。
 マッサージした、された人間には、馴染みのある感覚と言える。言えるのだが、滅茶苦茶痛い。
 本格的なマッサージかつ、的確にツボを押しているので、普段より痛みが倍増。追加で、筋肉痛が加わっている。
 動くたび、押されるたびに痛みが走るのである。
 だが、ここで疑問が浮かぶ。
 何故、紅魔館の門番である美鈴と、永遠亭の八意永琳の弟子である鈴仙。
 明らかに接点が無い。
 しかも、住んでいる場所が違うし、離れている。決して気軽に行けるような距離ではないのだが、空を飛んでいけば問題は無い距離である。

「すいません、ちゅうご――美鈴さん」
「今、さり気に中国って言いませんでした?」

 その言葉に、少し怒りが篭っておりかつ、つぼに掛かる圧力が少しずつ増えていく。

「――――――――!!!?」

 手をプロレスでいうタップを行って、声の変わりに痛いと主張する。

「あ、すいません!」

 圧力が消え、激しい息をする。息をする余裕が無いほど痛かった証拠でもある。
 だが、何故こうなったのかと言うと、自分の能力を把握していなかった結果、筋肉痛になった。
 で、幽々子の提案で、送球に治療が行われることに。
 それで、医者として鈴仙が来たのは判るのだが、何故か美鈴が来たのが判らなかった。ともかく、それらの経由の話をする為に、三時間ほど遡る。










































東方空物語
〜とうほうそらものがたり〜











































「あぁ〜うぅ〜お〜ばぁ〜」

 などと、筋肉痛の痛みに耐えながら、暇つぶしに訳の判らない事を言い出していた。
 幽々子は、部屋を退出しているので、どこにいるのか不明。スキマ能力を使いたくても、腕が上がらないのでどうしようもない。
 俺の場合、スキマの発動には、指や手などの宙に線を描かなければならない。さらに、その線に手を入れ、二方向に開かなければならない。もしくは、指を鳴らすなりしなければならない。
 鳴らす場合は、必ず両手か指でなければならない。それである程度は遠隔開閉が可能になる。
 なので、筋肉痛の俺には、今の状態でのスキマ発動はできません。

「寝たくても寝れない」

 体が引っ張られている感覚があり、どうにも寝付けない。
 しかも、睡眠はたっぷり取らせて貰ったのが、追い討ちを掛けている。まぁ、ここは静かである。鳥の囀りすら聞こえない。まさに、冥界――死者の魂が集う世界だからなのかもしれない。
 俺は生きている。
 多分、いや、本来は居てはいけない存在。死者にしてみれば、羨ましい存在なのかもしれない。
 死者の中には、羨ましく思わない者はいると思し、100人いれば100通りの考えがある。
 結果が同じでも、その導き出す過程は違う。結果は違うとも、その導き出す過程は同じ。と、パタパタと足音が聞こえる。

「入るわよ〜」

 と、言いながら襖が開く――お盆を持った幽々子であった。お盆の上には、白い土鍋。蓋に開いている小さな穴から、白い湯気が薄っすらとだが見える。

「あれ? 何ですか、それ?」
「ええ、朝ご飯食べてないでしょ? 私が作ったのよ」

 嬉しいお言葉。この冥界の主自ら、こんなボンクラの為に料理を作っていただけるのか。
 だが、その前に確認しておきたい事が一つ。

「幽々子さん」
「何かしら?」

 お盆を横に置き、座りながら聞き返してきた。

「失礼ですが、料理の経験は?」
「さあ、召し上がれ」

 いつの間にか、レンゲに盛られたお粥を差し出されていた。
 色やツヤに問題無いものの、何故か嫌な雰囲気を放っていた。生存本能というものか。だが、食べなければ引き下がらないだろうが、ここは賭けに出た。

「すいません。実は、筋肉痛で食欲が――!?」

 腹に激痛が走り、大口を開ける所か、舌まで出してしまった。
 その瞬間、口の中に何かを押し込まれたものの、余りの不味さに噴出した。同時に、体全体に負担が掛かり、激痛が走る――そのまま視界はブラックアウトした。










































第三話

医者と門番
〜ふこうなでしとちゅうごく〜











































 目が覚めると、何やらガヤガヤと聞こえる。
 首を横に向けると、ウサ耳を付けたせーらー服みたいなのを着ている少女がいた。

「あ、目が覚めましたか?」
「――――――――」

 何故か声が出ない。

「あ、しゃべらないでください。その、喉が悲惨な状況なので、今は安静にしていないと」

 どういう状況? などと、思い浮かべる俺。
 廊下の方では、妖夢が幽々子を正座させていた。その光景を見て、目を点にした俺に気がついたのか、ウサ耳少女が声を掛けてきた。

「ああ、アレね。アナタが気絶していたのを見て問い詰めた所、正直に吐いた瞬間に説教が始まったのよ」

 なるほどと、内心納得する。ただ、飯で気絶したのか、激痛で気絶したのかが微妙な所なのだが。
 と、俺に気がついたのか、幽々子がこちらを見ながら、妖夢に何かを言っている。すると、妖夢もこちらに気がつき、幽々子に何かを言ってこちらに来た。

「無事でしたか」

 痛いが声を出せないので、無言のまま首を横に振った。

「さらにしゃべれないのよ、今の彼は」
「……それの原因は?」
「……食道の炎症」
「幽々子?」

 などというやり取りが行われていたが、もう大人しくしていた方が身のためである。
 正直、今の状態では持たないと思う。

「しかし、どうしよう……湿布だけで対処しようにも、全身になってしまう」

 そうボヤきながら唸るウサ耳少女。
 ってか、彼女の名前が判らない。が、喉がアウトなので、治ってから聞く事に。

「だったら、マッサージをやるとして……先に喉を何とかしないとね。一時的なものとは言え、辛いでしょうし」

 それだけ言って、部屋から出て行った。
 また暇な時間。どうしようもなく暇な時間。だけど、治療には必要な時間。
 うん、人間健康が一番と言えるのだと、心から実感できる。でも、病気じゃないんだよね、症状が。
 ゴロゴロも唸る事もできない。
 で、時間的には短いが、俺にとっては長い時間が経つ。

「入るわよ」

 ウサ耳の少女が、器を持って部屋に入って来る。

「これを飲んでもらうから、少し起こさせてもらうわよ」

 そう言って、俺の体をゆっくりと起こし始めるも、痛いものは痛かった。が、少しだけ我慢した。
 で、ある程度起こされると、そのまま器を口に当てられ、入っていた液体が流れ込む。
 俺はそれを、何とかゆっくりと飲んでいく。
 少し痛いが、喉に染み渡っていくのが、ハッキリと判る。
 器の中が空になり、少し経ってから再び布団の中に身を沈める。

「よし、これで一時間位すれば大きな声は出せないけど、しゃべれる程度には戻ると思うわ」

 俺の口元を、拭きながら教えてくれた。
 俺は、口元から拭き物が離れると、何とか首を縦に動かして、同意の意を示した。

「鈴仙さん! 美鈴殿を連れてきたぞ!!」

 そう外から声が聞こえた。声の主は、妖夢だと判った。

「判ったわ! 今行く!!」

 そう言いながら立ち上がり、部屋を出て行った。
 メイリン……どういう漢字を書くのだろうか。それとも外人か?
 そう考えているうちに、誰かを連れて鈴仙は戻ってきた。
 連れてきた人は、緑がベースの中国の服っぽい物を着ていて、赤いロングヘアーが特徴であった。

「この人は紅美鈴。貴方の筋肉痛を治していくれぇる人よ」
「はじめまして」

 鈴仙の紹介に、挨拶をしながらお辞儀を返す美鈴。
 中国っぽいから、マッサージと言う所か。本場ものなら、さらにありがたい。
 が、急にメイリンが顔を近づけてきた。

「私の名前は、ホンメイリン。ホンは紅で、メイリンは美しいと鈴と書きます。間違っても、中国ではありませんので」

 そう言いながら放たれる圧力は、只ならぬ物があったので、はいと返事を返しておいた。
 必死な顔なので、中国という言葉に敏感なのかもしれない。
 いや、案外あだ名で中国と呼ばれているのかもしれないが、今は触れるべき話題ではない。

「で、では、美鈴さん、お願いします」
「はいはい、任せてくださいな――では、おっしま〜すぅ」

 言葉に成らないほどの絶叫を放つ俺であった。だが、ツボを的確に押している。目元に頭、腕に手の平、腰に脛、足の裏の指先までの全身マッサージ。本気で痛かったが、気持ち良かった。





 そして、時間は戻り、いつの間にか寝ていたらしい。起きた時には、襖の障子から赤い光が映っていた。
 どうやら夕方のようである。
 体を動かすと激痛――は無く、程よい痛みが来る程度。これなら、起き上がることが出来る。
 体の節々が、まだ小さな悲鳴を上げるも、外に出る。赤く染まった空は、西行寺の美しい庭を赤くしていた。
 また一挙の美しさをかもし出す。

「これだけでかいと、風情があって綺麗だな」

 などと、呟く俺。

「あ、もう大丈夫なんですか?」

 その声に横を向く――お盆を持った妖夢がいた。

「ああ、まだ完全じゃないけど、それなりに。助かったよ」

 俺は、苦笑しながら答える。
 それを見て、妖夢もまた苦笑した。

「いいえ、別に私は何も」
「主を締め上げてくれた」

 その言葉に、苦笑からだんだんと、口元が引き攣り始める。

「その節は、私が変わりに謝罪します」

 問答無用で頭を下げた。下げられても困るよ。

「良いよ、別に」

 俺は、昔の事を思い出しながら言った。中学校までの生活を思い出しながら。

「あの時に比べれば、この程度なんか幸せだよ」

 その言葉に、妖夢は眉を顰めた。

「あの時、ですか?」
「他人には、糞つまらない話さ――一応、良くなった事を、伝えに行かないと」

 そう言いながら、自分で振った話題を反らしながら立ち上がる。よは、この程度は、虐めの部類すら入らない。むしろ、善行の部類なのだから。
 ただ、善行する前に、その善行をする行動を考えて欲しかったけど。と、そこまで思って、ふと思い出したように言った。

「そういえば、何を運んでたんだ?」
「え? ああ、栄養ドリンクですよ。どうぞ」

 そう言いながら、妖夢はドリンクを差し出し、それを俺は受け取った。

「頂きます」

 そして、飲む――が、軽く吹く。鼻と喉に刺激が走った為である。
 俺は、口元を押さえるも、そのまま蒸せる。

「ちょ、大丈夫ですか!?」
「――し、刺激が強いわ。これ、何?」

 ドリンクが入った湯のみを拾いながら、俺は尋ねる。

「き、筋肉痛回復ドリンク・カマチェルトス3、だそうです」
「何だよ、その名前は? ネーミングセンスは、別の方向で最高だが」

 呆れながら、吹いて溢した液体をどうしようか考えるが、考えるまでも無かった。
 俺は、スキマを展開して台所から雑巾を取り出して、液体を拭き取った。

「――やはり何度見ても驚きますね……紫様と同じ力を使うのを見るのは」

 相変わらず驚く妖夢。
 一応、昨日の水汲みの時に見せただけだが、やはり驚くのだろう。
 大妖怪と言われたスキマの能力を、ただの人間が使っているのだから、当たり前の反応だろう。

「とにかく、元気になった事を言わないと」

 開きっぱなしのスキマに、雑巾を流しで絞ったまま置き、簡単に手を洗ってからスキマを締める。

「そう言えば、鈴仙さんと美鈴さんは?」
「あ、美鈴殿でしたら、もうお帰りになられました。一応、別の仕事もあるそうなので」

 妖夢は、右の脇にお盆を抱えながら教えてくれた。

「鈴仙さんは?」
「あ、今、幽々子様と一緒にいますよ」

 妖夢が、「こちらへ」と言って、2人がいる場所に案内してくれた。
 その途中で、中庭が見える廊下に差し掛かる。

「相変わらず、でかい庭――」

 そこで言葉は止まった。
 妖夢も、庭に顔を向けて足を止めた。
 ついでに、脇に抱えていたお盆も、その場に落としたのである。
 何がそうさせたかった?
 庭で、ウサ耳の少女が、この館の主に丸焼きにされそうになっている最中だったから。

『何やってんだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?』

 俺と妖夢の叫びは重なった。その後の行動を、阿吽の呼吸と言っても過言で無いかもしれない。
 大慌てで、俺はスキマを展開。
 妖夢は、素早く飛び出す。
 が、幽々子の目が赤く光る。
 本能か、ただの偶然か。俺は、川の水をスキマから出し、火を消す。と、同時に何かが右側を通り過ぎて――後方から、ゴカンという音を叩き出す。
 恐る恐る振り向くと……何故か、所々黒焦げの妖夢が、上半身を壁の中に収めつつ、下半身が出ている状態に。
 俺は戦慄を覚えつつも、鈴仙を奪還。別の場所から、放り出す。ついでに、手の辺りの縄だけ解く。
 足も解かないのかって?
 だって――今、俺の目には、鮮やかな弾が飛んできているから、これ以上の余裕はありません。
 なので。

「助け――」

 一瞬で、視界は暗転した。が、気絶しなかった。
 そのまま右頬に弾を喰らい、物理法則にしたがって後方に吹き飛ぶ。
 襖を二枚ほど巻き込みながら、室内に叩き込まれる。
 一度、畳に落ちるも衝撃が完全に吸収されず、もう一度跳ね上がる。
 そして、箪笥に直撃。
 さらに、その衝撃で箪笥が倒れ――下敷きになった事により、完全に意識を失った。





 そして、目を覚ますと――赤みの掛かった空が見えた。

「……夕焼け?」

 そう呟きながら、体を起こして周囲を見渡す。
 周りは花や草が生え、その先に木々が生えている――森の中が、正しい表現かもしれない。時折、細長い岩が置いてあるくらいである。
 さらに、自分が寝ていた場所は、獣道だが道は道。道のど真ん中。ただ、一直線らしく、迷う事は無いと思う。
 気のせいか、白い塊がふわふわと浮かんでいた。三段可変形戦闘機の何とかサーカスの如く、少しだけ軌道を残しながら、俺の後ろから通り過ぎていったのである。
 何、あれ? と、疑問に思うしかなく、けど場所が判らないので途方にくれるしかなく。

「…………追うか」

 この場に留まるのは嫌だったので、仕方なく白い塊の後を追う事に。
 少しすると、森らしき場所を抜け、海らしき場所に出る。何故海かって? だって、向こう岸らしきモノが見えないから。
 その海の近くに行くと、斜面とがあり、その下に砂利が広がっていた。
 ふと、見た先の一角で、子どもが石を積んでいた。
 それも、一人二人ではなく、数十人である。数えるのも、めんどぅくさい。ただ、子どもたちは、その場から動かずに黙々と石を積んでいるので、数えるのは楽だと思う。
 だが、その光景が、ある事を思い出させた。
 昔妖怪を題材にした漫画で、親より先に死んでしまった子どもたちに、罰として石を積み上げさせるという。そして、完成一歩手前だか完成した瞬間に、その妖怪が現れ、持っている棍棒で崩して去っていく。
 つまり、ここは。

「三途の川」

 そう呟いて、俺は唖然となった。
 何せ、二日前に幻想郷に来たばかりなのに、もう死んでいるのだから。しかも、死んだ理由が――多分、先のアレだろう。本当に嫌になる。

「死んだのか……死ぬ前に、実家に置いてある奴らを、全部処分したかったな」

 と、その場に体育座りで座り込み、海と思っていた川を眺める。
 川から、何かが浮き上がったように見えたが、確認する気にもなれなかった。

「きゃん!」

 その声に、振り返る俺。その先には、

「小町、覚悟はいいですね?」
「お、お許しを、映姫様!! どうか、平に!!」

 と、デザインの凝った帽子を被り、閻魔が持っていそうな悔悟の棒を持った、緑のショートカットの小さな女の子。その女の子に土下座している、ウェーブの掛かったショートヘアに、ショートツインテールの赤い髪の女性。その左側には、湾曲したデカイ鎌が置いてあった。

「今日は、どんな理由が聞けるか……楽しみで、楽しみで、仕方が無いのですよ。さぁ、放して御覧なさい」

 もの凄いエガオで、土下座している女性――小町という人に、何か説明を求めている様である。

「いや、そのぉ〜…………」
「その?」
「今日は、あ――」
「ふぅん!!」
「きゃん!!」

 あ、説明を言う前に、問答無用で棒で頭を叩かれた。しかも、言いながら顔を上げた瞬間に。微妙に理不尽だろう、自業自得だとしても。

「もう一度聞きます。いえ、聞き直します……何で、サボったのですか?」

 うわぁ、完全に自業自得じゃんぅ。でも、何で判ったんだ? カンがいいのかなぁ。

「……二日酔いと、寝不足で……回復のために、昼寝を――」

 声の低さから、多分、目も相当泳いでいるだろうと思う。が、次の瞬間、

「審判『ラストジャッジメント』」

 俺の右側に、閃光が横切った。あと、10センチずれていたら、俺も巻き込まれていた。
 恐る恐る横を見ると、何故か黒い煙が立ち昇っていた。前の方を見ると、白い煙が地面から出ている。
 もう一度視線を戻し、そのまま下を見る。と、ヤムチャ――有名な戦闘種族が出てくる、作者が「もう書くない」と言って終わった漫画――という倒れ方をしていた。

「…………芸人魂?」
「ぅんな訳アルカイダ!!」

 俺の何気ない一言に、小町という女性が復活。突っ込みも、何気にボケが入れ込まれている。

「――って、何でここにいるぅんだい?」
「……死んだから」
「いや、まだ死んで無いよ、アンタは」

 小町という女性は、俺の言葉を返しながら起き上がり、服に付いた埃を払う。

「え? いや、だってここ、三途の川でしょ?」
「その通りです。小町、これを」
「あ、すいません、映姫様」

 今度は、小さい女の子が言葉を返し、小町という女性に、湾曲したデカイ鎌を手渡す。本物かと思うが、何気に鉄の鈍い輝きが光る。うん、間違えなく本物だ。刃を落としてあるかが問題だが、実用性がきつくないかと思ってしまう。

「今の貴方は、生霊。詳しい説明は、省かせていただきますが、まだあの世の人間ではありません」

 そう小さな女の子が言う。そして、持っていた悔悟の棒らしきモノで、先ほど来た道を示す。

「戻りなさい、あるべき場所へ。大丈夫、来た道を戻れば、自然と帰れますから」
「……判りました」

 少し釈然としなかったが、戻れるなら問題ない。

「あ、名前は何て言ぅんですか? 自分は、八雲空と言います」
「八雲?」

 八雲という言葉を聞いた瞬間、小さい女の子は眉を顰め、俺を上から下まで見る。

「……私は、この地獄の最高裁判長である閻魔の、四季映姫・サマザナドゥと申します。で、こちらが部下の――」
「三途の水先案内人の小野塚小町さ」

 小さい女の子――閻魔と名乗る映姫は、そのまま部下の小町を紹介する。
 キチンとした上司と、だらしが無い部下。でも、上手くやっている様子である。とにかく、長居は無用だろう。

「じゃあ、映姫さん、小町さん、ではまた何所かで」
「ちょいと待ちなぁ」
「ん、何ですか?」

 小町に呼び止められ、今一度振り返る。

「確かに、死ねば否応無く私らと会うけど……ここは死者の集う場所。できれば、さよならの方が適切なのさ」

 そう、あっさりと言う小町。
 確かに、ここは死者が集う場所。気軽に来られる場所でもなく、まして生きている存在がいる場所でもない。なら、「さようなら」が適切だろう。もっとも、馴染みのあり、判りやすい別れの言葉。

「そういえば、時間はあるようですね――では、ここで少しですが、貴方を裁きます」
「へ?」

 思考中に、行き成り掛けられた言葉。それに思わず硬直してしまったが、裁くのは死んでからじゃないのかと思う。
 だが、俺の意志とは関係なく、話は進んでいく。

「じゃあ、アタシは――」
「貴方もですぅ、小町」

 そう言われ、素直に従う小町。俺も、戸惑いながら、小町の横に胡坐をかく。

「胡坐ではなく正座!!」

 と、怒鳴られてしまい、小町と一緒に正座して――お説教が始まった。










































≪提供≫
久遠天鈴
ニコニコ動画
白玉楼
サークル・闇砲










































≪予告という名の予定≫
第四話

三途の川と永遠亭
〜せっきょうとうさぎ〜










































第三話
END





















あとがき
 三話目完成――と、いっても、某掲示板でここまで公開していたので、制作は追加・修正だけ。
 と、言うか、ちょっと寄り道的な話を追加。まぁ、死亡フラグみたいな?
 本来は、気絶する程度にして、そのまま話を続けていましたが、この辺を死に掛けに変更。
 ちなみに、小町と映姫の場面は、3回ほど書き直しました。理由は、ニコニコ動画と某所の東方SSの話と被ったからです。