読む前に。 まず、文字が全て中央に寄っていた場合は、EI8などの最新のバージョンの問題です。 解決するには、一番上ツールバー(人によって違うかもしれない)に □□□ という感じに四角のボタンが3つあります。 その左のボタンが、互換表示という奴で、押せば設定した通りに表示されます。詳しくは、カーソルをボタンの上に置いて、少し待てば表示される筈です。 物語を読むに当たって。 オリジナル主人公&視点で進む。 オリジナル設定あり&多少違う部分が出る可能性あり。 東方に関する知識が微妙に曖昧(二次創作との)なので、そこの点をご了承ください。 俺には、特別な力があった。 物心付いたときから、持っていた力。異常であったと悟るのは、子どもの好奇心と無邪気によって理解した。 空間に目がたくさんあり、いろんな色が混ざりきれない、訳の判らない空間。 空間は、別の場所に開ける事が可能で、その空間を通る事で移動も可能であった。 そして、色々な事を試したくなったが、何を試したら良いのか判らない。だが、子どもの時だったから良かった時でもあり、悪かった時でもあるが。 大人だったら、善悪の理解が出来ている時期で、こんな非現実的な出来事が判る人間などいない。故に、悪に走っていたかもしれない。 なら、子どもの時は? 無邪気で、善悪が今一つ判っていない時。さらに、常識が定まっていない時でもある。だから、偶然から出来た出来事から、思いついてしまった。 モノをモノに融合させる事――偶然、捩れてしまった空間に、玩具を入れてしまったのが切っ掛けであった。 その空間に入れてしまった玩具は、別の玩具とくっ付いてしまったのである。 それによって、俺は無邪気な、初めて後悔する出来事を起こしてしまった――偶然捕まえた鳥に、別の生き物を融合させた。 成功した時は、俺は大いに喜んだ事を、覚えている。一生忘れる筈が無い。 で、案の定、親が見つけて大騒ぎ。 そして、大人たちによって捕獲され、色々な実験が行われ――死んだ。 その過程を、スキマで覗いていた。見つかる様なヘマは――しそうになったが、空間を素早く閉じたので、判らないと思う。監視カメラなどに写っていたとしても、一種の怪奇現象として処理されているはずである。 空間越しから、生で見る実験。子どもには、キツイ内容。ただ、テレビの報道は、真実とは異なる内容であったが、子どもが理解できる訳が無く。 寝ている最中に、時々融合させたモノが襲い掛かってくる夢を見る。これは、十八歳になった今も、たまにだが見る。 それにより、幼かった俺の心に圧し掛かり、重くしていった。 それからある時、とあるアニメで『力』について、子どもが解釈できる様に悪党に説教をしているシーンを見た。 『力に罪はない。だが、力の使い方を間違えれば、誰かに迷惑を掛ける。だから、力を使うのなら、その力の恐ろしさを覚えるのだ』 その言葉が、重く圧し掛かった心を救った。だが、罪は消えた訳ではないのだが、受け入れるには少々時間が掛かった。 アニメを見た次の日、自分の力を徹底的に調べ始めた。 空間の特性、特徴を掴み、色々な事を試した。 確かに、正しく使えば便利な力である。だが、一歩間違えれば、自分自身を殺しかねない力だと理解した。 その実験過程でも、色々あった。行き先を確認していなかったので、トラックの前や空のなど、死に直結する様な場所に出てしまった。危うく、男性が入れない場所――主に女性関係の場所――や、立ち入り禁止区域に出そうになってしまうなど。 あと荷物が、先の入れない場所に落ちてしまい、誤魔化した。『力』の事を言えば、信じてもらえたかもしれないが、実験の過程を生で見ていたので、誰にも言わなかった。 友達でさえ、言うことは無かった。 それから十八歳の、ある昼下がり。力を使って、移動し終えたときであった。 ふと、閉じていく空間も見る。 いつも通りの光景に、何の違和感も無い――始めている人には、異常な光景なのだが、それは置いておく。 この『力』には、名前が無い事に気が付いたのである。 十五年。十五年である、この力と付き合って。 人が来ない場所で、空間の開閉をしながら、名前を考える。 「なら、『スキマ』ってどう?」 背後から投げかけられる、女性の声。 とっさに空間を展開して潜り込み、壁際から出る――そして、女性と対面する。 その瞬間、死を覚悟した。 人としての本能か、力を持つ者としての本能だったのかは、あの時は判らなかった。 金髪でロングヘアーであるも、ウェーブが掛かっている。服は、紫1色でワンピースぽい。ロンググローブをして、傘と扇子を持っている。 「あら、そこまで使いこなせるなんて驚きだわ」 扇子を開き、口元を隠す様に顔の前に添える。 「人間には、過ぎた力でしょうけど」 「当たり前だ」 女性の問いに、俺はすぐさま返事を返す。 この『力』と付き合って十五年である。間違いを起こしたし、正しく仕えたかも定かではない。 だが、確実に判っている事の一つに、≪この『力』は人間には、過ぎた『力』である≫と自覚している。 「なら、何故その『力』を使い続けているのかしら?」 「便利だから」 素直に答えるも、この女性に嘘は通用しないタイプだと悟ったから。 ついた瞬間、殺させる可能性があると本能が告げている。 正直、まだ生きたいから。 「あら、素直じゃない」 女性は、クスクスと笑い、口元から扇子を退かして閉じる。 「嘘をついた瞬間、あの世行きはごめんだ」 その言葉に、女性は目を細めて、再びクスクスと笑い出す。 その表情と雰囲気は、まさに上に立つ者――生まれ持った能力である、カリスマしか持つことが出来ないモノを感じた。 逃げられないのは判っている、判っているが試してみたくなった。 好奇心は猫も殺す。まさに、その言葉通りの結果になりそうで怖いが、好奇心が勝ってしまう。 女性の足元に空間の切れ目を少しずつ、断続的にかつ複数同時に行う。 次の瞬間、女性の足元の空間が開かれる。 そして――その空間に落ちていくはずだった女性だったが、似たような力で空間を開き、椅子代わりにして座ったのである。 「……なぁ……に?」 俺は唖然とした。同じ力の持ち主であり、そんな使い方も出来るとは、今まで気がつかなかった。 「フフフ……これは、喧嘩を売っているのかしら?」 見すかされた様な目で見ながら、微笑みながら言い放たれる。 「……いいえ、ただの好奇心です」 俺は汗を流しながら、敬語で答えた。多分、死んだなと直感する。 いきなり敬語を使ったのは、『力』の理解度が、俺より遥かに上だから。 「まぁいいわ。これからアナタを、幻想郷へ送るから」 「は――い!?」 俺は、素早くその場から離れる。間一髪の差で、先ほどまでいた地面が開かれた。 どうやら俺を、どこかに飛ばしたいのだろう。 しかし、幻想郷とはどういう場所なのか、検討がつかない。 だが、日本ではない事は確かである。学は並みの下であるも、ある程度の地理は判る。 親に「住んでいる国の都道府県は知っておけ」と、スパルタで叩き込まれたからな。その辺のテストは、満点を取っている。あとは……聞かないでくれ。疎ら過ぎるから。 「へぇ〜……今のぉ、かわせるの」 感心する女性だが、こちらは切羽詰っている。 今のだって、首の皮一枚。タイミングが遅れていれば、今頃開いた空間の端に引っ掛かっている状態でいたかもしれない。もしくは、そのまま落ちていた。 女性は、楽しそうに微笑む。 何が嬉しいのかは、俺には理解できない。だが、女性を楽しませる何かがあった事は、確かである。 「……………………」 「……………………」 無言のまま見つめ合う、俺と女性。 目を反らせば、やられるという古典的なモノに囚われるも、自分の眼球が捉える視界に納めておかないと拙いと踏んだからである。 すると女性の頬が僅かに赤くなった様な気がする。 そして、女性が動いた。 「そんなに見つめちゃいやぁん♪」 女性は、そう言いながら、体をクネクネさせながら言い放つ。 お陰で俺は、軽くこけた。おかげで緊迫とした空気が一気に吹っ飛んだが、そのお陰で、女性から目を離してしまった。 「しまっ――!?」 再び視線を戻し、いない事に自分の失態を口に出すも、途中で無重力になる。 そのまま下に引き付けられるも、上手く空間の周りにしがみ付く事に成功する。 両腕に掛かる衝撃は、さすがに一般人より毛の生えた程度の身体能力しかない自分にとって、強烈な痛みであった。 自分自身の体をさせるのに精一杯だったので、他を気にしている余裕など微塵も無い。 が、頭上に恐怖を感じ取り、上を向く。 「光栄に思いなさい」 女性は、そういいながら落ちてきた――お尻を向けて。 そこで俺は、場違いな事を思い出す。 生まれる前の特撮ヒーロー作品で、主人公のサポーターの女性が、敵にヒップアタックをするという映像があった。 しかも、敵の顔が凹む瞬間もあった。つまり、今眼下に映し出されている光景は、それを連想させた。 「ちょ、まぁ――」 それを言った瞬間、すでに距離が三十センチあるか無いかで、とても回避できる代物ではない。 所詮、力を持っていようが、所詮人間は人間であったという瞬間でもあった。 そして、言わずとも視界はブラックアウトして、そのまま気絶した。 グッバイ、現実の日々。 ハイ、幻想の日々。 これから綴られる物語は、幻想の可能性。 世界は一つであり、複数存在する。その複数の中の一つである。 If――可能性である。 可能性は、星の数だけ可能性を生むも、状況によって無にもなる。 故に、ここにある一つの可能性の話の軌跡を、ここに描く。 東方Project ≪作者&部類≫ ダークバスター 二次創作 ≪提供≫ 久遠天鈴 ニコニコ動画 八雲家 サークル・闇砲 東方空物語 〜とうほうそらものがたり〜 「提供は、こんな感じで?」 と、俺はペンキを仕舞いながら、紫さんに尋ねる。 「ええ、さり気無く仕込むのも悪くは無いわ」 満足そうに頷く紫。でも、丸判りじゃあ、意味無いじゃんと思ったものの、心の中に仕舞い込んだ。 END あとがき 東方二次創作作品、公開開始。 ダークバスター、初の完全主人公視点作品。 途中、漢数字と英数字が混ざる可能性がありますが、基本的には漢数字で統一。東方=日本ですから。 言わずとも、日本=日本語、日本語=漢字です。 なを、提供でニコニコ動画あるのかと言うと、それに影響されたからです。似た様な主人公がいるらしいですが、全く無関係です。 最後に、制作更新率が滅茶苦茶遅いので、その辺はご了承を。 追伸 修正は、プログラミングのみです。 | ||
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