レムレムに厚底くんを強奪されたあの日。 とっきゅんと一緒に入り口の扉を壊してしまった。 オレはその修理代を弁償しようと思う。 ちょうど旅の通り道に香霖堂があるので立ち寄った。 「扉の修理代はコリコリさんのお手伝いで弁償します」 「君のそういうところを魔理沙や霊夢にも見習ってほしいね」 「それは期待するだけ無駄かと」 「あはは、君もここの生活に慣れてきたかな」 「コリコリさんの言う通りでした。嫌でも慣れてきますね」 それにしても、あの三人をどうにか出来ないものか? レミレミ、コリコリさんの羊羹を勝手に食べるな。 スイスイ、コリコリさんの酒を無断で飲むな。 天ちゃん、店内の商品を乱暴に扱うな。 「あの三人、ここに置き去りにしてもいいですか?」 「気持ちはわかるけど、ちゃんと引き取ってほしいね」 「ですね……して、お手伝いの内容は?」 「無縁塚にある珍しい品々を運んでもらいたい」 「了解」 無縁塚は死者の墓場みたいな場所だ。 幻想郷でも屈指の危険地帯と言われている。 あの三人は手伝ってくれないので自分でやるしかないな。 「やれやれ」 台車を引きながら無縁塚に入っていく。 掘り出し物はこの辺りに落ちているのだろうか? 周りを見渡していくと。 「こんなところに生きた人間が来て、死にたいのかい?」 「死にたくはないな」 後ろから声をかけてくるのが幻想郷の挨拶。 オレは慌てず騒がずに振り返った。 「こまっち久しぶり、一撃屋の鬼心だよ」 「なんだい、あたいの暇つぶしに付き合ってくれるのかい?」 「ヒマって……仕事は大丈夫なの?」 「ま、まあ、たまにはいいじゃないか。うん、息抜きは大事さ」 誤魔化してもダメだよ。 こまっちのサボりは有名だからね。 まあ、オレには関係ないから別にいいけど。 「で、寿命のある人間が、ここへ何の用だい?」 「無縁塚に落ちている珍しい品を拾いにきた」 「へぇ。お前さんも香霖堂の兄さんに頼まれたのかい?」 「お前さんも?」 「良也もお使いに行かされたことがあるのさ」 「なるほど……むっ、ここにいたらまずいような気がする」 「ま、まさか、映姫様が来るのかい!?」 「ああ、そうかも」 オレの勘はそれなりに当たるものだ。 立ち去ろうとした時にはもう手遅れで……。 「小町!! 貴方は何を考えているの!?」 「すみませんー」 おそらく、あの女の子が閻魔の映姫だろう。 オレはこまっちの後ろに隠れてその場をしのぐ。 「いいですか。私達は生前の罪を裁く者です。罪を裁く者は、常に公明正大に身を正しくしていなければならない」 「すみません!!」 「そう、貴方は言い訳を付き過ぎる」 「すみません!! すみません!!」 「このままでは、貴方をクビにしないと示しが付かない。貴方を放っておく事自体が、私の公明正大に傷をつける」 「もうしません!! 真面目に働きますから!!」 うわぁ〜、全く容赦ありませんね。 サボっているこまっちには丁度良いのかもしれないが。 とりあえず、抜き足、差し足、忍びあ――。 「そこの貴方、待ちなさい」 待ちたくないです。このまま帰らせて下さい。 オレに構わず、こまっちの相手を続けて下さい。 「貴方にも言いたいことがあるわ」 閻魔ちゃんはオレに説教をする気だね。 こうなってはもう逃げられない。 「初めまして、一撃屋の鬼心と言います」 「私は地獄の最高裁判長である閻魔の四季映姫・ヤマザナドゥと申します」 「では映ちゃん、用件を――」 「まず、目上の者をちゃん付けする礼儀の無さを改めなさい」 「いいえ、オレはあだ名をつける程度の能力を持つ者。たとえ閻魔といえども譲れません」 ピキッとその場の空気が固まった。 こまっちがあんぐりと口を開けて唖然とする。 さてと……。 「映ちゃん、オレの覚悟は出来ている。さあ、存分に説教を――」 って、あれっ? 何でそんなに閻魔パワーを出しているの? 表情は変わってないのに雰囲気がメチャクチャ恐いんだけど? と、とりあえず、この場を何とかしなければ。 「大丈夫だよ映ちゃん。オレは映ちゃんの話をちゃんと聞くから」 オレなりに愛想良くしたつもりである。 でも、映ちゃんの閻魔パワーがさっきよりも増してきた。 おいっ!! なんでそうなるの!? 「貴方という人は……閻魔を何だと……」 「待った待った!! オレが何かしたか!?」 「貴方は卑しくも、閻魔にあだ名をつける大罪を働きました」 「じゃあ何て呼べばいいの?」 「映姫様と呼びなさい」 「却下です」 オレは一刀両断のごとく斬り捨てる。 ぴりぴりとした空気がオレ達を包んでいった。 「映ちゃん、あだ名は正式に認めて頂きたい」 映ちゃんの噂はよく耳にしている。 相手の話を聞き流し、自分のペースで説教をするのが常だとか。 でも、オレのあだ名能力はそれを許さない。 あだ名を認めろ。話はそれからだ。 「貴方のしている事は、我々裁く者に対する無礼極まりない行為です」 「無礼もバレーもない!! 譲れないといったら断固として譲れない!!」 「あくまで閻魔の名を汚そうとしますか。貴方は地獄に堕ちる裁きを受けたいと?」 「地獄は嫌だけど、あだ名は認めて下さい」 オレはこまっちにテーブルと椅子と水差しを要求する。 真正面から映ちゃんと話し合うためだ。 こうなったら長期戦を覚悟して挑んでやる。 「何度でも言う!! あだ名を認めてくれ!!」 「どうやら、貴方のあだ名問題を解決しなければ先へ進めないようですね」 「そういう能力ですから。映ちゃんというあだ名が不満なら他にもあるぞ」 四季ちゃん・姫ちゃん・ヤマちゃん・ナドゥちゃん。 いずれも閻魔の立場として認められないそうだ。 一方、こまっちは……。 「さぁー張った張った!! 映姫様が勝つか!? 人間が勝つか!?」 おい、霊を相手に賭け事をするな。 しかも賭けの対象はオレと映ちゃんかよ。 ちなみに大穴のオレに賭けたのはこまっちだけである。 「いい加減にしなさい!! 貴方は引くことを知らないのですか!!」 「オレはそういう能力者だ!! そっちがあだ名を認めない限りは引けないの!!」 お互いにテーブルをバシバシと叩いて睨み合う。 映ちゃんの能力が『白黒をつける程度の能力』。 オレの能力は『あだ名をつける程度の能力』。 二つの能力が交じり合い『あだ名に白黒をつけるまで』は止まらない。 「ゴクゴク、あだ名を受け入れて下さい」 「ゴクゴク、断じて認められません」 適度に水分補給をしながら口論する。 それから長い時間が過ぎていった。 一歩も譲らないオレ達に何者かが割り込んでくる。 「四季映姫・ヤマザナドゥ!! そんなところで何をサボってるか!!」 一喝された映ちゃんがビクッと身を震わせる。 取り巻く雰囲気からして別の閻魔らしい。 お互いに能力が発動しているせいで引くに引けないオレ達。 こうなったら……。 「そこの閻魔さん!! あだ名を認めるか否かをそちらで裁いて下さい!!」 「なっ!? 貴方は何を考えているのですか!?」 「このままではキリがない。オレと映ちゃんで裁判対決だ!!」 叱りに来た閻魔もこの場の空気を感じ取ったらしい。 能力が発動したままで中断ができない。 そう、決着がつくまでは終わらないのだと。 「先ほど、閻魔王様からお達しが届いた」 「いつの間に……」 閻魔王という事は閻魔を束ねるボスのことだろう。 相手が閻魔だけに先読みをしたのかもしれない。 「特例として貴方達の裁判を開くと」 「閻魔王様が!? そ、そんな……」 「よし、これで決着をつけられる」 「貴方!! 自分で何をしているのかわかっているの!?」 「無礼とか罰当たりとかは聞き飽きた。オレは正々堂々と裁判で戦う」 オレと映ちゃんの裁判に地獄は大騒ぎだ。 なんでも閻魔の沽券に関わる重大な問題になるらしい。 でもオレはあだ名にこだわるので絶対に引かない。 ……オレの能力が勝つか。映ちゃんの能力が勝つか。 裁判長は閻魔王さんがやってくれる。 周りにいる閻魔達は見届け人だ。 なお、閻魔王さんには守秘義務があるらしく正体をさらけ出せない。 そのため、シルエットの影となり声も細工されて男か女かはわからない。 「これより四季映姫・ヤマザナドゥのあだ名裁判を開廷します」 小さなハンマーで開始のコングが鳴った。 先制攻撃として映ちゃんが仕掛けてくる。 「裁判長、私は閻魔の一人として公明正大な裁判を心掛けています」 映ちゃんの真面目さはちゃんと伝わっているよ。 だからこそ、オレも真面目に戦っていくのだ。 「ですが、馴れ馴れしくあだ名で呼ばれることは閻魔の威信を損なう事に――」 「異議あり!!」 オレは映ちゃんの発言を遮って挙手をする。 裁判長に発言権をもらって反撃を仕掛けた。 「裁判長、オレは能力者の一人として公明正大なあだ名付けを心掛けています」 マリマリの泥棒精神がこんな所で役に立つとは。 映ちゃんの発言を利用して存分にお返しをする。 「ですが、閻魔だからと特別扱いすることは能力者としての公平さを損なう事に――」 「異議あり!!」 映ちゃん、あんたも泥棒発言かい。 ……ふっ、望むところだよ。 相手が誰であろうとあだ名は絶対にゆ・ず・ら・ん!! ………………。 …………。 ……。 オレと映ちゃんは対等に渡り合った。 普段だったら絶対にそんな事は出来ないだろう。 恐るべし、あだ名をつける程度の能力。 「これより、判決を言い渡します」 裁判長の判決を一同が固唾を呑んで見守る。 お互いに全力は尽くした。 泣いても笑ってもこれで全てが決まる。 「原告のあだ名請求を……」 ドックンドックンと鼓動が鳴り響く。 より一層に周りの緊張感が高まった。 そして……。 「認めます」 よっしゃああああああああああああああああ!! 思わずガッツポーズで勝利の喜びを味わう。 そう、オレのあだ名能力が閻魔を越えた。 「ば、ばかな!! 人間の訴えが押し通るなんて!!」 「こんな事が許されていいのか!?」 「我々閻魔にとって最大の汚点だ!!」 見届け人の閻魔達が激しく取り乱す。 閻魔が人間に、しかも自分達が得意とする裁判で負けた。 動揺してしまうのは当然といえるだろう。 「静粛に」 裁判長が認めてくれたオレのあだ名主張。 あだ名で呼ぶことが許されるのは映ちゃんの休日のみ。 仕事をしている時は役職名で呼ぶことが絶対である。 映ちゃんが下界に来るのはあくまでも休日だから問題はない。 役職名で呼ぶのはオレが死んだ時になるだろう。 「では、せっかくなので閻魔王さんにもあだ名を――」 「これにてあだ名裁判を閉廷します」 「ちょ、ちょっと――」 小さなハンマーの音が響いて裁判が終了。 そのまま強制的なワープとなって無縁塚に戻された。 閻魔王さん、そんなに嫌がらなくても……。 「こまっち、ただいま」 「やれやれ、とんでもない事をしてくれるね」 「なにが?」 「お前さんは間違いなく閻魔王様に目をつけられたよ」 「そうなの?」 「あたいは長年死神をやっているが、映姫様を相手に裁判する奴なんて初めてさ」 「まあ、そうするしか解決策がなかったので」 というか、なんで知ってるんだ? もしかして……。 「つ〜か〜ま〜え〜た〜」 「うぎゃあ!?」 やっぱり姐さんの仕業か!! 急に後ろから抱きつくのはやめろって!! 「姐さん、冬眠はどうしたの?」 「まったくとんでもない坊やね」 相変わらず無視ですかそうですか。 まあ、答えを期待するだけ無駄だね。 ここは全てを見透かされていると思ったほうがいいか。 「あだ名はオレにとって絶対です。後悔はしてません」 「あのね、閻魔の中には幻想郷を快く思わない者がいるのよ」 「そうなの?」 「そうよ。もし、あのまま貴方が負けていたら」 「負けていたら?」 「これを機会に幻想郷は滅亡していたかもしれないわ」 「あだ名を決めるだけでそこまですんの!?」 地獄VS幻想郷という大戦争。 なんとスケールの大きい戦いであろうか。 オレみたいな凡人には想像もつかないよ。 「坊やは相手が閻魔でも恐れないのね」 「いやいや、充分に恐れてます。あだ名が譲れなかっただけで」 「本来ならお仕置きをするところだけど」 「お、お仕置き!?」 「あの閻魔の負け顔を見せてくれたし、それに免じて許してあげるわ」 「あのぉ〜、姐さん。やっぱり幻想郷の皆はこの事を知ってるんですか?」 「そうね。テレビで全国に放送されたものだと思いなさい」 フミフミからの取材は避けて通れないな。 姐さんはスキマを開いて再び冬眠に戻っていった。 すると……。 「そこの貴方」 「オレのこと? オレには鬼心って名前が――」 オレは振り向いたことを後悔した。 映ちゃんがブルブルと震えて激怒モード!? なんで!? もうあだ名の件は終わっただろ!? 「今回の件で閻魔の業務に遅れが生じ、そのための始末書を私が書くことになりました」 始末書って反省文のことだよね? 下手に刺激するのもやばいので様子見である。 いや、それよりも話題を変えたほうがいいな。 「そういえば、仕事の時と休日の時って服装は違うの?」 「私はいつでもこの姿で生活しています。閻魔の心得を忘れないためです」 「悪いけど、見分けがつくようにしてほしい」 同じ姿だと呼び方の使い分けができない。 それでは閻魔王さんの言い付けを破ることになってしまう。 という訳で。 「休日には私服を着用して下さい」 「私にそのような服はありません」 「じゃあ、作るなり買うなりして下さい」 閻魔の仕事をしているなら普通に収入があるでしょう。 それで私服ぐらい用意しても罰は当たらないって。 「では貴方が責任をもって見立てなさい」 「お断りします」 「閻魔に逆らえると思っているのですか?」 「ひ、卑怯な!? 閻魔パワー反対!?」 アッという間に押し通されてしまった。 あの閻魔パワーに勝てる気がしません。 「せっかくの機会です」 「はい? 突然なにを?」 「今ここで貴方を裁く」 えぇ〜!? マジですか!? 「まず、貴方は偏った知識で周りの者を混乱させる。学ぶべき事を学ばず、事の重大さに気付かず、自分に都合の良い事ばかりに固執する。そう、貴方は少し無知が過ぎる」 お、おいおい……。 「さらに、力の使い方が荒く、妖怪との戦いでは詰めの甘さが著しい」 なにしろパワータイプなんで。 詰めの一手は実際にやろうとすると難しいんだよ。 ここぞの攻撃って一歩間違うと自滅することもあるしさ。 「それでも小物相手ならば容易に退治できる力を持っている」 まあ、低級妖怪ぐらいなら何とかなるけど。 「なのに貴方は妖怪との戦いに消極的」 無益な戦いは避けたいのさ。 「人里で受けている妖怪の被害は貴方も知っているはず。そう、貴方は少し怠惰に過ぎる」 ひどい!! そこまで言うか!? 「さらに」 ま、まだあるの!? 「貴方の能力は周りに絶大な影響を与えてしまう。貴方に関わった者たちは全てそう。今ここにいる私や閻魔王様まで」 あだ名については絶対に譲れません。 「しかし貴方はそれを知らず、また希少な能力をなんでもないことのように扱う。そう、貴方は少し自覚が足りな過ぎる」 そ、そうかな? 「さらに」 映ちゃんがオレの悪い所を挙げてボロクソに説教してくる。 とても頭の中に入りきらない。そこでオレは閃く。 ……リン師匠、オレに力を貸してくれ。 オレは立ったまま太極拳の呼吸法を続ける。 閻魔ちゃんの説教をお経として置き換えた。 しばらくすると……。 「貴方は多くの人妖と交流を持っている。それも、女性とばかり」 「……」 「その彼女たちに対して、貴方はあまりに鈍感な振る舞いをする」 「(こくり)(こくり)」 「そのせいで幻想郷の実力者が機嫌を悪くし、周りに被害が及んでしまう」 「zzz」 「……閻魔を前にして居眠りですか。まったく貴方という人は!!」 「うぎゃあ!!」 閻魔の棒で叩かれてさすがに目が覚める。 打ち所が悪かったら撲殺になっているぞ。 「ふざけるのもいい加減にしなさい」 「何を言う、これはリン師匠の『立ち居眠り』です!! 立ったまま寝るなんて凄いじゃないか!!」 体力や気力を回復すると同時に睡眠学習をする。 まさに一石二鳥の策!! どうだ、このオレの発想を思い知ったか!! と、自信満々に胸を張っていると……。 「どうやら、貴方は身体に覚えさせないといけませんね」 と、映ちゃんがいきなり弾幕を展開した。 地獄の閻魔ちゃんと弾幕ごっこはさすがに――。 「審判『ラストジャッジメント』」 問答無用で瞬殺されてしまった。 何が起こったのかサッパリわからん。 全身が痛くて立ち上がるのがやっとの状態だ。 「恐るべし、閻魔パワー」 精神干渉だけでなく物理干渉も強すぎる。 まあ、そうでなければ閻魔という職業は勤まらないのだろう。 「さて、今貴方がつめる善行だけど」 「ぜ、ぜんこう?」 「善い行いをすることです。その善行を積むことで人生をより豊かにすることができます」 「なるほど。してオレの善行とは?」 「旅で見識を深め、より多くの人妖と出会うこと。これが今の貴方が積める善行よ」 「了解」 こうして長々とした説教はようやく終わりを告げた。 解放されたオレはコリコリさんに頼まれた仕事を始める。 作業が終わって香霖堂に戻った時。 「よおっ、『あだ名大魔王』」 「マリマリ、そのラスボスみたいな呼び方はなに?} 「鬼心君、これを」 コリコリさんから文文。新聞の号外を受け取る。 一面トップの見出しに『閻魔様(四季映姫・ヤマザナドゥ)、裁判にてあだ名大魔王(鬼心)に敗れる!!』と書いてあった。 「なによなによ、天人の私より目立つ事するんじゃないわよ」 天ちゃんよ、そんなに言うなら今すぐオレと代われ。 「ふんっ、閻魔に喧嘩を売ってきたのね。本物のバカを見たわ」 レミレミよ、お前にバカ呼ばわりされたくない。 「やれやれ、彼の今後は色々と大変だろうね」 コリコリさんはあくまでも傍観者ですね。 「私は面白かったぜ。閻魔の大将まで引っ張り込んだそうじゃないか」 まあ、正体を隠していたとはいえ、閻魔王が出てきたのは間違いないけど。 その閻魔王さんにあだ名をつけられなかったのはちょっと残念だ。 「にゃはははっ!! お前は本当に面白い事をやってくれるね!!」 どうせスイスイは酒の肴にしたんでしょうね。 「こんにちはーーーーー!!」 「やっぱり出た」 疾風のごとく乱入してくるフミフミ。 記者というのは相手を嗅ぎつけるのが上手いものだね。 「あ、カメラは向けませんので安心して下さいね」 「それはわかってる。用件も予想済みだ」 「それなら話が早いですね。では、取材をさせて下さい」 「はいはい、手短にね」 オレはフミフミの取材に応じた。 ちなみに『あだ名大魔王』という異名を考えたのは姐さんらしい。 オレは普通の人間です。そんなラスボスみたいな異名はやめてくれ。 今後の先行きが不安すぎる。 |
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