外の風が寒い、冬の昼過ぎ。コタツに入ってヌクヌク出来る自分の部屋とは違い。博霊神社は寒い。
コタツ…造るか? 火鉢を下に置いて、その下に板とか石を置いて火鉢に足が当らないようにすれば良いんだし。
布団だけじゃ少し寒いよ。

「一寸、良也さん。もう少し範囲を広げてよ」

「コレでも一杯一杯何だよ…お茶、お代わり」

霊夢の淹れてくれたお茶を飲む。まぁ、僕は自分の能力が有るからコタツも要らないんだけどね。

「それにしても寒すぎだぜ。今年の冬は…良也、もう一寸コッチに来てくれ。」

「ちょっと魔理沙。そうしたら私が寒いじゃない」

「良いだろ。さっきまでヌクヌクと暖まってたんだから…次は私の番だ」

何でだろう? 暖房器具の取り合いをしているだけなのに…ちょっと嬉しいと思ってしまった。
情けないぞ、僕。

「あ、雪が降ってきた」

「本当ね…道理で寒いわけだわ」

「今日は泊まる。この寒い中帰ったら凍えちまうぜ」

結果、僕を真ん中に右に霊夢。左に魔理沙で落ち着いた。物凄く動き難い。でも、ちょっと嬉しいと思ってしまった僕は男の子な訳で…情けないなぁ
お昼は食べた後なので、特にする事も無く、雪が少しづつ積もっていく光景を眺めているだけなんだけど…少し楽しい。そして、落ち着く。
雪合戦もしたなぁ…散々だったけど。チルノめ…今度は負けない。

「それにしても…」

「どうしたの? 良也さん?」

「どうしたんだ? 良也?」

二人とも同時に聞かないでよ。

「いや…もう、幻想郷に来て三年も経つんだなぁと思っただけなんだけど…」

「もう、三年も経ったの? 早いわねぇ」

「そうか…三年も経つのか…早いな」

本当に早いや。ついこの間まで生霊だった様な気もする。今は不老不死だけど……

「そういえば、空飛ぶパンツとか言われてたな」

「そうね。空飛ぶパンツだったわね。良也さんは」

「ソレを穿り出す?! アレってかなり恥かしかったんだよ?! ていうかその渾名は霊夢がつけたんじゃないか!!」

アレから暫くの間、恥かしくて恥かしくてマトモに人里に降りれなかったんだからな!!
くそぉ…ムカムカしてきた。こうなったら…

「今日は飲む!! 絶対に飲む!!」

「そうね…明日も寒いんだろうし。夜は鍋にしましょう。」

「いいな…ソレ。良し、一寸家まで酒を取りに行ってくる!!」

アレ? 魔理沙の奴、凍えるから今日は止まるとか言ってなかったか?

「どうせ、寒くて帰るのが面倒になってただけよ…良也さん。野菜お願いね。」

「僕が行くのか…今から行っても、良いのは無いと思うんだけど?」

「外に行けば良いじゃない」

その手が有ったか。ついつい忘れそうになるよ。僕、コレでも外では働いてるんだよね。

「それじゃあ、ちょっと行ってくるよ」

「行ってらっしゃい。良也さん…気を付けて行くのよ?」

「子供じゃないんだから大丈夫だって。」

それに不死身なんだし。
外の世界に出てから気付いたんだけど…材料、僕の自腹じゃないか。

「今月は苦しいくなるなぁ…」

酒は霊夢達のが有るから良いけど…







夜。コトコトと音を立てる土鍋の中で、野菜と兎の肉が煮える。大根も卸したし、酒も有る。
何故か、酒の話題をすれば普段なら何時の間にか現れる萃香も現れない。明日はとんでも無い大雪になるんじゃ無いだろうか?

「あ、魔理沙肉ばかり食うなよ!!」

「早い者勝ちだぜ!!」

「子供ねぇ…って、ソレ私の春菊!!」

「「早い者勝ちだ!!」」

変わらぬメンバーで、良くある騒がしい夕食。こんな楽しい時間が、長く続けば良いのに…僕はそう祈った。

残った具をグチャグチャにして、出汁に残った御飯を入れて一煮立ち。溶きタマゴを淹れて再びフタをして、少し蒸らしてから掻き混ぜる。
雑炊の出来上がり

「コレを食べないと…鍋って感じがしないよね」

「そうね…お腹にも優しいし」

「私は…アレだ。この間、良也が持ってきたチャンポン? とかいうのを入れるのも好きだぜ?」

雪は未だに降り続いている。

今日のツマミは雪景色かな?


朝、魔理沙が風邪を引いた。其の侭寝るからだよ。



あとがき


グダグダな話。ただ鍋を食べただけの話。良也が少しだけ『今』を大切に思う話です。だと良いなぁ…
次は…妹様か美鈴の続きか…






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